僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1   作:エターナルドーパント

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『タイトルはこんなんだが、今回は勝茶と出久の回です。出久は後半』
「じゃあどうぞ~」


第49話・ラストのM/1位の万能と血濡れのコブラ

(出久サイド)

 

「中々良い戦術だったな、フラン」

そんなありきたりな感想を浮かべ、口角を釣り上げる俺。

「なぁ出久、何でこの世界にサガークがいるんだ?」

仁が聞いてきたことも尤もだ。答えようか。

「あいつは、俺がメモリガジェットの技術を応用して創ったものだ。言わばコピー品、故にオリジナル程のスペックも無い。だが、そこはレミリアの馬鹿げたポテンシャルでカバー出来る」

と、帰ってきたみたいd───

 

「出久ゥゥゥゥゥッ!!」

 

─ドゴンッ─

 

「ヴェンノイッ!?」

あ、危ねェェェェ・・・筋肉が無かったら死んでいた・・・

「ど、どうしたフラン・・・」

「どうしたもピーナッツも無いよ!あんなの聞いてない!」

「そりゃ、言ってねぇからな・・・」

「む~っ」

フランは唸りながらポコポコと俺の腹を叩いてくる。加減はしてくれているようだ。

「にしても、まさか東方Projectもクロスしてるとは・・・」

「ん?なんぞそれ?」

中々興味深いワードが聞こえた。

「あ~、記憶をお前に流そう」

言うや否や、仁は俺の頭を掴んだ。

「ほっ!」

「うぇっ!」

すると、途轍もない量の情報が流れてきた・・・幻想郷、博霊の巫女、紅魔館、永遠亭、白玉楼、命連寺、旧地獄・・・興味深いな!ゾクゾクする!

「大体分かった。そして驚いた事に、そこのキャラクターと酷似した人がいるぞ。それも知り合いに」

「マジで?」

「レミリアとフラン以外にも、八意永琳、射命丸文、犬走椛、星熊勇義、聖白蓮・・・知り合いだけでコレぐらいだな」

「Oh・・・」

引くだろ?東方Projectの情報閲覧した後だから自分でも引いたわこの交友関係。

「出久、ただいま」

そんな中、レミリアも帰ってきた。傍らにはサガークも飛んでいる。

「お帰り義姉さん。どうだった?ソイツは」

「えぇ、素晴らしいの一言に尽きるわね。それにこの子も可愛いし。ね~サガーク♪」

『Rぇ美lいaぁ~♪』

おぉ随分と懐いてるな。

「因みに、もうメモリ抜いても大丈夫だぞ?それは機動スイッチみたいなもんだから、一度挿した後はメモリを抜いても動く」

「あら、そうなのね」

 

─カシュッ─

 

そう言ってレミリアはサガークのスロットからメモリを引き抜く。因みに、プリント部分に画かれているのはサガのライダーズクレストだ。

「さぁてと、次はかっちゃん達・・・ってもう行っちゃったな」

「アイツ等なら大丈夫だろ。何せあのOTONAを倒したんだから」

「え?どういう事っすか?」

気になったのか、切島が聞いてきた。まぁ、良いか。

「俺達、ちょっと前に異世界旅行したんだよ。で、コイツの世界に行った」

『はっ?』

まぁこうなって当然だわな。

「緑谷の今の発言は本当だ。前に証拠も見せて貰ったからな」

お、相澤先生からの助け船だ。先生は合理的な嘘しか吐かないから、コレは信憑性が増すな。

「い、異世界って」

「マジで!?魔法とかあった!?」

「魔法少女はいたか!?」

峰田は言うと思ったよ。

「魔法少女は居なかったが、触れた人間を炭素に変換して殺す『ノイズ』っていう古代兵器の化け物と、それに対抗する戦乙女(ヴァルキリー)なら居たぞ」

「人間を炭素に!?」

真っ先に反応したのは、物質転換系の個性を持つ八百万。まぁ驚くわな。

「で、さっきの話だ。その戦乙女(ヴァルキリー)・・・シンフォギア奏者達の師匠をやってる、人間卒業しやがった化け物(OTONA)に勝ったんだよ。あの2人は」

仁が顔に青筋を入れながら言った。

「え・・・その人、どんだけ強いんスか?それと、どんな個性?」

「無個性だぞ。ウチには三重螺旋のDNAを持つ人間は居ない。その癖して四股踏みでアスファルトをめくり上げるわ、マイクロミサイルを全部素手でキャッチした挙げ句発射した奴に投げ返すわ、体重の乗った日本刀の振り下ろしを右手のチョキで挟んで真剣白刃取りしてそのまま刀ごと剣士を投げ飛ばすわ・・・」

「轟だって勝てるか分からないな。あの人は衝撃波を拳で相殺するし、コンクリを殴って散弾みたいに飛ばすし・・・発剄で炎を掻き消して、氷も粉砕されるぞ」

仁の解説に付け足す。

『・・・人間?』

当然そう思うわな。

「だから言ったろ?人間卒業したって」

そう言って仁が遠い目をした。

「所であんた達」

ん?どうしたのリカ婆。

「爆豪と麗日のテスト、見なくて良いのかい?」

あ、ヤッベ・・・

 

(勝己サイド)

 

「クッソォ~ッ!」

「もう、ちょっとだったのにぃ~!」

お茶子の個性で浮かして、ビルの上を渡ってゲート前まで来たまでは良かった!だが・・・

「ふぅ~危ない危ない。逃がさないぞ~!」

ゲート直前で見つかっちまった!クソが!今は何とか手摺りに掴まってるが・・・何か・・・何かねぇか!この状況を突破出来る打開策・・・

「言っておきますが、僕のブラックホールは光をも呑み込みますからね!逃げられませんよ~!」

・・・ん?待てよ?《光をも呑み込む》?つまりそりゃ、光の進行方向を屈折させてねじ曲げるって事・・・ッ!()()が使える!

「お茶子ォ~、浮かんだぜ!今を突破する打開策が!」

「ホント!?」

「あぁ!」

俺は何とか手を持ち替え、仰向けのような体制になった。

「何を企んでるか知りませんが、させませんよぉ~!」

更にジリジリと近付いてくる13号先生。

「お茶子ォ!俺は()になる!お前が噛み砕けェ!今の内に軽くしとけよォ!」

「え?」

よし、今だ!

 

─BOM!─

 

「なっ!?」

俺は手摺りから手を離し、13号先生に向かってぶっ飛ぶ!そして・・・

「(空気の密度が変わって光が屈折してる!)ここだァァァァッ!!!!」

手を両側に広げ、光を重視した爆発を起こす。

 

閃光手榴弾(スタングレネード)!!─

 

「グアァァ!?ば、馬鹿なァァ!?」

ハッ!そうするよなぁ!突然目に強い光が入ったら、体丸めるしか無ェよなァ!指のブラックホールも閉じちまったなァ!

「お茶子ォ!やれ!」─BOM!─「ハァァァァ!」

俺は即座に右向きの爆破で左に飛び退く。すると、そのスレスレをお茶子が飛んで行った。その脚を鰐の顎のように上下に開き、顎は目の前の獲物を───

 

─ガチンッ!─

 

「ウオッ!?」

───見事捉えた。そしてキツく絞め上げ、上半身を捻ってデスロールみてぇに噛み砕く!

 

─クラック・アップ・フィニッシュ!─

 

同時にお茶子は指を合わせ、個性を解除。そして地面に倒れた13号先生の腕に・・・

 

─ガチャンッ─

 

ハンドカフスを、かけた。

『爆豪・麗日チーム、条件達成。クリア!』

「「ヨッシャー!」」

 

─パンッ─

 

同時に叫び、同時にハイタッチする。

「いやはや、驚きましたよ。特にあの閃光。並みの光量ではありませんでした。このヘルメット越しだったのにまだ目が見えませんし・・・一体どうやったんですか?」

「簡単だ。《重力レンズ》を使ったんだよ」

「「重力レンズ?」」

オイオイ、お茶子はともかく13号先生は知っといた方が良いだろ。

「直進する電磁波が、物質の持つ重力の影響で湾曲する事だよ。前にテレビでやってたんだ。

だからちっとばかし外向けに光を放てば、あんたの重力(ブラックホール)で吸い寄せられて湾曲。結果、あんたの頭に集束したって事だ」

まぁ賭けっちゃ賭けだったがな。

「成る程。それにしても麗日さん、よくあの合図で分かりましたね」

「えへへ。だって、噛み砕くって言ったら挟み蹴り(アレ)しか無いですし、それに・・・」

お茶子は俺と目を合わせ、にへっとはにかんだ。

「石って、体育祭の試合の時に私が投げた石の事でしょ?」

流石はお茶子だな。

「あぁ。あの時みたいに、俺が脅かしてお前が追撃だったからな」

「合ってて良かった♪」

あぁ、この笑顔は反則だろ・・・

「じゃあ行くか。お茶子、先生浮かしてくれ」

「はいよ」

俺達は動けない先生を風船みたいに引っ張りながら、帰りのバスに乗り込むのだった。

 

(出久サイド)

 

「やっぱりな」

概ね予想通り、かっちゃん達は勝ってくれた。

「すっげ~・・・」

「爆豪が才能マンだってのは知ってるけど、まさか麗日まで才能ウーマンだったとは・・・」

そうだよ。麗日は格闘が光るんだ。

「でもお茶子ちゃんと爆豪ちゃん、凄いコンビネーションだったわね」

「そうですわね。何の打ち合わせも無く、ほぼ一言で理解していましたわ」

そりゃ相思相愛だからな。

「つーかよ、アイツ等、今ナチュラルに手ぇ繋いでなかったか?」

『え?』

切島の一言に、クラスが凍る。何処からかポォ~ゥズとか聞こえて来そうな位にガチガチだ。

「た、確かにあの2人、最近仲良いし・・・」

まず口を開いたのは響香さんだ。

「と言うか、気軽に下の名前で呼び合ってるし・・・」

「言われてみれば・・・」

上鳴と常闇。と言うか、何で今まで気付かなかった?

「み、認めないぞぉぉぉ!!オイラはそんな事ォォォ!!」

「アナタの意見なんて聞いてないわよ、性犯罪者予備軍のエロブドウ君は黙ってて」

おぉっと、峰田にレミリアの絶対零度のジト目が入った~!

「コ レ は キ ツ い !」

「笑うなぁぁぁ!!」

いや、自業自得だろう。

「それより出久、ソロソロ時間よ」

「お、そうだな。行ってくる」

 

因みに許可を貰っているので、エターナルボイルダーに乗って演習場まで直行した。

 

────

───

──

 

「さて、手加減はしないぞ!緑谷少年!」

『そういうこった。因みに、このお人好しさんには出来ないだろうが・・・俺はマジに殺す気で行くからな』

「ありがとよスターク、望む所だ」

俺達は演習場(高層ビルの多い都会の街中)の中心に移動し、先に変身すを済ませる。

『今回の特別ルールだが、

 

①オールマイトが着ける錘の量は半分

 

②ゾーン・ボーダーの撤退禁止(奇襲の為の短距離ワープなら可能)

 

③ハンドカフスは相方が外せば無効とし、拘束されていた方は復帰する

 

④仮面ライダーは、極力市街地を破壊してはいけない

 

⑤制限時間は50分

 

の5つだ』

「あぁ、了解。3つ目のルールはケイドロっぽいな」

「そう!だから確保した敵を守りながら戦わなくちゃいけないって事だ!」

成る程な。実戦に近い分、面白い。

『緑谷出久 対 オールマイト&ブラッドスターク、戦闘開始!』

 

「TEXAS・SMASH!!」

 

「開幕ブッ放かよ」

オールマイトが拳を振り抜く。その拳圧が届く前にエターナルエッジを地面に突き立て、エターナルローブを前に引き寄せて防いだ。

 

─轟音、衝撃、振動─

 

それらが一遍に襲いかかってくる。流石は究極の脳筋ヒーローだな。

「と、やらせねぇぜ!」

『やっぱ、バレるよな!』

爆風を背に受けてバタ足蹴りをカマしてくるスターク。と言うかベノクラッシュじゃねぇか!

「よっと!」

『おろっ!?』

俺は右に転がってかわす。するとスタークはそのままスッ飛んで行った。

「そっちを気にしてて大丈夫かな!?SMASH!!」

「大丈夫だ!問題無い!」【ジョーカー!マキシマムドライブ!】

オールマイトの左ストレートを、ライダーアッパーでカチ上げる。すると必然的に拳に込められたエネルギーは上に向けられ、先程と同じ風圧が打ち上げられた。

「HAHAHA!ならばコレは「利用させて貰うだけだ」!」

次に繰り出されそうになった右前蹴りも、左足で踏みつけてジャンプする。オールマイトの馬鹿力が乗ったこともあり、ビル半分程度まで飛び上がった。

【サイクロン!マキシマムドライブ!】

風影(ヴェルニー)!」

そして、風を纏い飛翔。スタークを探す。だが・・・

「チッ、居ないな。スチームワープで移動しやがったか・・・この場合俺なら・・・!スチームガンで遠距離から銃撃して奇襲!」

─バキンッ!─

「やっぱりな!この威力は、スチームショット!」

案の定、近くのビルから撃って来やがった。

「スチームワープが出来るアイツを先に捕らえた方が良いか」

「ソロソロ降りてきたらどうだい?」

「丁度そう思った所だ」

ハイジャンプして殴りかかって来たオールマイトだが、その拳が振り抜かれる前に掌で圧縮空気丸を精製。それを破裂させる事で自分を吹っ飛ばして地面に向かって離脱する。

「さぁ、実験を始めようか!」

【ルナ!マキシマムドライブ!】

ルナのマキシマムドライブを発動させ、2体の分身を作り出した。そして・・・

【イチイバル!】

【ガングニール!】

【アメノハバキリ!】

「「「詠装(えいそう)!」」」

俺達はシンフォニックメモリを起動、各々が胸に突き立てる。そして心に浮かぶまま、この口に歌を紡いだ。

 

愛知る堕天使は、敵を穿つ(Shemhaza Ichaival tron)~♪─

 

この槍と共に、ここに辿り着いた(Destination time Gungnir zizzl)~♪─

 

決意を鋭刃とし、闇を切り裂く(Determination edge Amenohabakiri tron)~♪─

 

歌声が響き、閃光が溢れる。その光の正体を知るオールマイトは、思わず冷や汗を流す。

 

「仮面ライダーエターナル・シンフォニックスタイル《バンバン・イチイバル》♪」

 

「仮面ライダーエターナル・シンフォニックスタイル《ドラゴナイト・ガングニール》ッ!」

 

「仮面ライダーエターナル・シンフォニックスタイル《タドル・ハバキリ》!」

 

それぞれのエターナルの体に歌の結晶、シンフォニックアーマーが装着され、手には紅のクロスボウが、橙の双刃槍が、蒼の日本刀が構えられた。

「さぁ、薙ぎ倒すぜ!」

「・・・斬る!」

「蜂の巣にしてやらァ!」

ドラゴナイトガングニールと本体である俺、バンバンイチイバルがオールマイトに襲い掛かり、タドルハバキリはスタークに向かう。

「コレはキツいね!」

「そうだろうな!」

ドラゴナイトガングニールは双刃槍を振るい、鋭い風圧刃を幾つも飛ばす。オールマイトはそれを拳で相殺するも、幾つかは当たって流血を起こした。

「そろそろ、やってみるかい?」

「だな」

ドラゴナイトガングニールは俺に同意し、オールマイトは訝し気な顔をする。

 

──真夜中の鏡に、自分を写したら・・・──

 

──運命のゲート問い掛けている!──

 

─ドドォンッ!─

 

その歌を紡ぐと、フォニックゲインが急激に上昇。シンフォニックアーマーの表面からオーバーフローを起こし、覚醒(アウフヴァッヘン)波形を描く。そのエネルギーによる爆風に、流石のオールマイトも思わず目を覆った。

「「~♪~♪!」」

歌のリズムに身を乗せ、変則的に撃ち抜き、斬りつける。

「こ、コレが・・・コレこそが、シンフォニックメモリのッ真骨頂ッ!!」

その通りさ、オールマイト!最も、迂闊に喋ると出力が落ちちまうがな。

「~♪~♪!」

俺は声を更に張り上げ、両手のアームドギアをクロスボウから6門ガトリングに再構築。そしてドラゴナイトガングニールと共にオールマイトを挟み、ガトリングを連射する。

「~♪!」

すると、ドラゴナイトガングニールも声のボリュームを上げて双刃槍の刀身をランス型に再構築。外れたイチイバルのエネルギー弾にガングニールのエネルギーも上乗せし、オールマイトに向けて打ち返した。

「イィデデデデデデデデデッ!?」

流石のオールマイトも、構えようとした瞬間に筋肉を強打されて中々力が入らないようだ。そんな中、ドラゴナイトガングニールが動く。上半身を反らし、右足をしならせて狙った場所は・・・

「トォアッ!」

─ズドンッ─

 

 股 間 

 

「ウギャアァァァァァァァッ!?」

イチイバルの連射とガングニールからの反射に堪える為、腰を落として低重心の安定した体制をとっていたオールマイト。故に、股間はガラ空きになっていたのだ。勿論、コスチュームにはファールカップ(股間プロテクター)も着いてはいた。だが、感触からしてコスチュームのラインを崩さない為にかなり薄い合金板で造られていたのだろう。ライダーのキック力の前では、たかが合金板程度を蹴破るのは朝飯前。寧ろ中身が潰れなかっただけ奇跡だ。そして、股間を押さえてビッタンビッタンと痙攣しているオールマイトの手首に、俺が手早くハンドカフスを掛ける。

「よし、確保!ガングニール、スキマ!」

「了解!」

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

「『境界符・スキマゲート』!」

ドラゴナイトガングニールは瞬時にスキマゲートを開いて、そこに俺がオールマイトを投げ込んだ。ここなら回収はされないからな。

「まだ10分か。余裕はあるな」

「よし、次・・・に行く前にっと」

俺は周りを見る。道路やビル壁のそこかしこには、大きくはないが穴が開いていた。

「コレは塞いどこうか」

【スイーツ!マキシマムドライブ!】

「よっと!」

指から瞬間硬化クリームを飛ばし、応急処置程度だが穴を埋める。

「よし、行くぞ!」

「タドルハバキリの反応はあっちだ!」

 

─────

────

───

──

 

(タドルハバキリサイド)

『ったく、何てこったよ・・・』

スタークの呟きが聞こえる。ここは駐車場、しかも三方を大きなビルが囲っている故、奴の銃撃を避ける事は出来ない。しかし、その心配はする必要は無かった。何故なら・・・

『っとらァ!』

 

─バシュンッキンッ─

 

奴の弾丸は・・・

 

『当たれ!』

 

─バシュシュンッキキンッ─

 

切り落としているからだ。

 

holy shit(チクショウ)!』

勿論、弾速が低い訳では無い。寧ろ対物スナイパーライフルのブレット並みに速いだろう。だが、思考加速とスピード重視のアメノハバキリからすれば、この程度を捌くのは容易い作業だ。

『チィッ!だったら!』

─ブワッ─

スタークはセントラルチムニーから煙を放出した。その瞬間、電磁波探知が途絶える。

「成る程、ジャミングスモークか。だが・・・」

─ギャリンッ─

俺はガントレットに刀身の峰を擦り付けた。そして・・・

「そこだ」

─ギャッ─

『イッテェ!』

俺は7時の方向に向かって左手でアームドギアを振り抜く。すると、堅いものに当たり、尚且つ浅く切り裂いた手応えが帰ってきた。

『流石に、エコーロケーションは防げないか・・・なら、コレでどうだ!』

スタークが声を上げ、更に煙幕を追加する。成る程、ここは風通しも悪いからな。だがこれしき、また反響定位で───

─ガキンッ─

「グアッ!?何!?」

左から何か・・・!これは!

「・・・ベノスネーカーか!」

巨大な水色のコブラが、左肩に噛みついてきた。

『ご名答!厳密には、スタークコブラらしいがな!』

まんまな名前だな・・・しかも、1体では無いらしい。

─ガキンッガンッ!─

「くっ、ぐあっ!・・・成る程、3体らしいな」

思えば、こういう環境内ではほぼ暗殺しかしたことが無かったな。いやはや、『煙幕』と『数』がこんなに難敵だとは・・・やはり、良い勉強になるよ。

「さぁ・・・反撃ついでに、臨床実験開始だ。カウントは・・・65秒」

その瞬間、俺の意識は闇に落ちた。

 

(バンバンイチイバルサイド)

 

「おうおうやってるねぇ」

「それにあのスモーク、もう間違い無いな」

駐車場内で煙幕戦、か。これは・・・!

「オイ、分解だ」

「了解」

そう言うと、ドラゴナイトガングニールの身体は分解された。何だか、嫌な予感がするな。しかし、歌のブーストも切れたし、シンフォニックアーマーは解除しとこう。

「・・・」

俺が角から覗くと・・・

『たくっ!何なんだよさっきから!急に機械みたいになりやがって!』

「心と身体~♪繋がれば~BLADE♪」

ベノスネーカー3体とブラッドスタークの攻撃を歌いながら捌き、淡々とカウンターを決めていくタドルハバキリ。その様はまるで、オーバーフローモードのハザードフォームだ。

「アイツ、インセクトモード使いやがった!しかも心と身体、見るからに繋がって無いじゃん・・・」

 

インセクトモード

それは意識を完全にシャットダウンし、外的刺激に対して条件反射で最適な反撃を繰り出す状態だ。当然その間、連携も全くとれなくなってしまう。仲間さえ敵と見なし、攻撃してしまうからだ。

 

「サノバ・ビッチ!」

思わず呟く。丁度アイツもトドメに入るようだ。開脚しながら逆立ち、そしてその足首に付いたブレードを延ばして、独楽のように高速回転して周りの敵を切り刻む技・・・

 

――逆婆娑羅

 

『グアァァァァ!?』

コブラは3体とも破壊され、ブラッドスタークも大きく吹っ飛ばされる。

「さて、今の内に・・・」

俺は太股からマキシマムスロットを一つ外し、そのまま左手首にジョイント。そしてメモリを取り出して、スロットに装填する。

【アクセル!マキシマムドライブ!】

『え?』

その瞬間、タドルハバキリは光になって消えた。時間切れだ。

「START UP」

そして俺は、マキシマムスロットのボタンを押す。そこからスタークに向かって一気に加速し、首に巻かれたパイプを掴んで表まで引き摺った。

『オォォォォ!?』

 

─3─

 

そして最後に・・・

 

─2─

 

スタークの手にハンドカフスを・・・

 

─1─

 

─ガチャリッ─

 

かけた。

 

「TIME OUT」

その言葉と共に手首のスロットからアクセルメモリが薬莢のように排出され、それをキャッチ。

 

『緑谷出久、条件達成。クリア!』

「・・・Mission・complete」

そう呟いて、俺はモニタールームにエターナルボイルダーを走らせるのだった。勿論、スタークは尻に乗っけて。

 

─────

────

───

──

 

「只今~・・・あれ?」

モニタールームに入ってみると、そこはお通夜の(ような雰囲気)だった。先生も含め、主に男が。

「え~っと・・・取り敢えず、スキマゲート」

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

ボーダーで空間を切り裂き、中からオールマイトを連れ出す。

「あの、オールマイト。何か雰囲気がお通夜みたいなんだけど・・・」

『お前のせいだ!』←クラスメイト

「?」

俺、何かしたっけ?

「なぁ仁?俺って何か間違った事したか?」

「う~ん、間違っちゃいない。いないんだがなぁ・・・流石に、金的ってどうなのよ・・・」

「当然だろ?戦いではより有効な攻撃を決めた方が勝つんだ。急所攻撃なんて基本中の基本」

「お前には◯◯◯◯が無いのk」

「黙れ。それと、俺はしっかり雄だからな?」

全く、峰田の躊躇無いセクハラには参るな。

 

───この時、ここにいる男の思いは『コイツと戦ったら男として死ぬ』だった───

 

「もう、出来れば君と戦いたくない」

「そう思わせる事が、(ヴィラン)の再犯予防になるんだよ」

 

 

そんなこんなで、結局インセクトを使ってやれないままテストは終了。もうコレ、誰かに譲渡出来ないかな?因みに仁はワームホール作って帰ったよ。「響には刺激強いかな・・・」とかブツクサ呟いてたな。

そして何故か、帰るまでやたらと男子から距離を置かれた。何でだ?

 

to be continued




「オゥ痛い!オールマイトのライオンキングを潰さないで!」
『奇跡的に潰れてないって』
「男の癖に躊躇無くやるんだからアイツ・・・」
『戦場仕込みの格闘術だからね。今まで使う機会が無かっただけ。脳無には付いてないし、体育祭では純粋に戦いを楽しみたがってたから。じゃ、そろそろ締めるぞ!』
「あいよ。せーの!」
『「次回もお楽しみに!」』


「あぁ怖かった。タマヒュンモノだぜありゃ・・・」

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