僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1 作:エターナルドーパント
「何時もの事だろ」
(出久サイド)
「ほぅ・・・」
俺は息を吐き、ゴキゴキと肩を鳴らした。ったく、初の対ドーパント実戦が過剰適合者とか・・・馬鹿みたいにハード・・・
「・・・そう言えば・・・」
前にブランクメモリを装填したデンデンセンサーでサーチしたらシンフォニックメモリが出来たな。俺はバイオレンスの過剰適合程の出力は出来ないし・・・やってみるか。
【バイオレンス!サーチ・・・アナライズ・・・コンプリート!バイオレンス!アップデート!】
「おぉ、強化出来たな。後は、ジーンで個性因子を破壊っと」
【ジーン!マキシマムドライブ!】
よし、コレでコイツはもう暴れられない。しかし、状況は相変わらず最悪一歩手前ぐらいだな。火の手も回ってる・・・
「なぁ洸汰」
「な、何?」
「お前の個性、水を発生させるモノだったりするか?」
俺は少々希望を込めて、洸汰を見やった。
「うん、ほら」
─バシャンッ!─
洸汰は頷き、壁に向かって放水してみせる。中々の威力だ。使い込んできたんだろうな。
「よし。だったら洸汰・・・お前に頼みがあるんだ」
「頼み?」
「あぁ」
そう言って、俺は再び火災の方向を見た。生木だからか広がり自体は遅いが、全体的にゆっくりと火は広がっている。
「このまま燃えると、周りが囲まれちまう。そうなれば逃げ道も無くなるし、ヒーローの到着も遅れるんだ。だが、お前なら火を消せるだろ?」
「・・・」
「俺も天気を変えて雨を降らすことも出来るが、局所的にしか無理だ。一番火が強い所にしか使えない。それ以外の部分をカバーして欲しいんだ。分かるな?」
「・・・うん」
やっぱり賢いな、洸汰は。
「マスキュラーは、充分に戦い慣れた俺が苦戦するレベル・・・他の奴等もこのレベルなら、ほっといたらダチが殺される。だから、行かなきゃ行けないんだ。そんな俺達を・・・洸汰、お前の個性で助けてくれ」
洸汰は数秒の沈黙の後に、力強く頷いてくれた。
「ッシャ!背中に乗れ!」
俺は洸汰を背負い、メモリを取り出した。
【レストレイント!マキシマムドライブ!】
その効果によりエターナルローブが繊維状にバラけ、洸汰に巻き付いてしっかりと固定する。
「来い、エターナルボイルダー!『境界符・スキマゲート』!」
【ヒート!ユニット・タービュラー!】
スキマからボイルダーを取り出して、更にその右スロットにヒートメモリを装填、エターナルタービュラーにモードチェンジした。よし、行くぜ!
(爆豪サイド)
「
目の前の白いドーパントを見ながら、ボソッと呟く。見た所、牙そのもの以外にもラプトルみたいな肉食恐竜も混ざってるみたいだな。
「背に腹は変えられん、か」
俺はウェストポーチからスクラッシュドライバーとロボットスクラッシュゼリーを取り出した。
「何ソレ?」
「みてりゃ分かる」
【スクルァァァッシュ・ドォライバァ~ッ!!】
一々うるせぇのが玉に瑕だな、このベルト。
【ロボット・ゼァリー!】
「肉面ンンンッ!!」
「っとあぶねッ!変身!」
─ガコンップシュー─
【潰レ
途中で飛んできた歯の刃をギリギリで避けて、何とか変身完了・・・つか音声端折ってたな。
「俺が・・・グリスだ!」
「肉面ンンンッ!!」
ケッ、それしか言う事ねぇのかよ。
【ジュエル!】
【ディスチャージ・メモリィ!】
─ガキンッ─
【潰レッナ~イ!ディスチャージ・クルルァッシュ!!】
─ガキガキガキガキッ!─
俺はジュエルメモリでダイヤモンドの盾を創り、目の前から向かってくる無数の牙を防ぐ。ダイヤモンドは打撃に弱いが、斬撃にゃ強い!
「ホアァァァァァァァッ!!」
何だ?急に叫び・・・ッ!?
─メリッ・・・ミリミリッ─
「・・・切り裂きジャックかよ」
生々しい音を立てて、奴の身体から刃が生えて来やがった!
「ウアァァァァ肉面ンンンン!!」
─バピュンッ!─
やっぱり飛ばして来やがった!
「おい!氷壁!」
「分かってる!」
─バキンッ─
ッ!?あの軽そうな刃が貫通しやがった!つかそのまま地面にめり込んで行きやがったぞオイ!
「この投げナイフはどうにかしねぇとな・・・そうだ!」
こういう大量の飛び道具にはコイツだ!
【ジェット!】
【ディスチャージ・メモリィ!】
─ガキンッ─
【潰レッナァ~イ!ディスチャージ・クルルァッシュ!!】
レンチレバーを叩き下ろすと、背中にヴァリアリブルゼリーで出来たヴェルヌーイングフェザーが精製される。だが本命は・・・
「機雷艦載機だッ!」
そう。このメモリには機雷艦載機発射機能がついている。コレならあのブーメランみてぇな刃も・・・
─バギャギャギャギャンッ!─
「よし砕けたァ!」
これで、しばらくは凌げ・・・ッ!?
─ギリッギキッキリギリリリ・・・バキバキバキンッ!─
・・・野郎、口の歯を直接延ばして来やがった!この氷壁もナイフで紙を切るみてぇに簡単に貫いたぞオイ!
「・・・こりゃ、ジュエルで防ぎきるしかねぇか・・・クソッ情けねぇ!」
(出久サイド)
「あ!あそこ!」
「おう!ありがとよ洸汰!」
飛行中に洸汰が見つけてくれたイレイザーヘッドの所に、俺はエターナルタービュラーを進めた。ラッキーだぜ!
「ッ!緑谷!?」
「イレイザーヘッド、時間無いから手短に。コイツは水の個性だ。守ってやってくれ。俺はマンダレイに無事を報告して来る」
俺は洸汰をイレイザーヘッドに預け、エターナルタービュラーをスキマに収納した。コレは目立つからな。ここからは脚で走っていった方が良さそうだ。
「オイ緑谷!マンダレイにこう伝えろ!」
────
───
──
─
「あ~んもうっ近い!アイテム拾わせて!」
「お前みたいな利己的なヒーロー擬きは!とっととシュクセーされちまえ!!」
着いた。と言うか、マンダレイ意外と善戦してるな。対ドーパント実戦初めてだろうに・・・あぁ、アームズは武器以外に特殊能力が無いからか。良い練習になったかも。取り敢えず・・・
【ホッパー!マキシマムドライブ!】
「ホッパーキック!」
─ドンッ─
俺は木を足場にして、振りかぶられたアームズの大剣にドロップキックを叩き込む。そのムチャクチャな構造故に、アッサリとバラバラに砕けた。
「仮面ライダー!?」
「マンダレイ!洸汰は無事だぜ!それと、悪いがもっかい借りる!」
─バサッ─
【パペティアー!マキシマムドライブ!】
俺はマンダレイをエターナルローブで抱き締めるように包み込んで、再びパペティアーのケーブルをマンダレイの頭に接続する。
「え、ちょっ///」
「済まないがガマンしてくれ。接続中は無防備だからな。個性、強制発動!」
よし、繋がった!
『A組B組総員!プロヒーロー・イレイザーヘッドの名に於いて、
メッセージ完了!
「セクハラじみた事をして済まなかった」
「いや、大丈夫っ!///」
しまった、耐性が無かったか・・・
「俺は他のドーパントを始末しに行く!あ、そうだ。マンダレイ!」
「何?」
「
それだけ言い残し、俺はその場を離れた。
───
──
─
俺はマンダレイ達に奴らを任せて、より破壊音が大きい方に走っていた。
─パァンッ!─
「ッ!銃声!」
多分コルトパイソンか・・・しかも、ガス溜まりの中央方向から聞こえてきた・・・って事は!
「このガスは非可燃性!」
可燃性ガスの中で発砲すれば、結果は火を見るより明らかだ。だが、そんな様子は無い。
「しかし、他のメンバーは何処だ?2番目だったかっちゃん達なら、そんなに離れちゃいなッ!?」
─ヴオンッ!!─
「危ッ!?」
闇の中から延びてきた腕を、スウェーバックで何とかかわす。コレは・・・
「常闇の、
「そうだ」
木の陰から障子が出て来た。常闇とチームだったな確か。
「
確か、暗い所じゃ強化・凶暴化だったな。なら、話は早い。
「任せろ」
【ヒート!マキシマムドライブ!】
【ルナ!マキシマムドライブ!】
俺はスタッグフォンにヒートを、バットショットにルナを装填してそれぞれ放つ。
『ひゃんっ』
思ったよりアッサリと無効化出来た。
「す、済まない」
「いや済んだ。行くぞ。ドーパントを倒せるのは仮面ライダーだけだから急がないと」
有無を言わさず歩き始める。音が近いな、そろそろ・・・あ、轟の氷壁!そして戦ってんのは・・・!ラプトルみたいなパーツに、全身に付いた鋭い刃・・・
「ファングか!」
分かり易い見た目だからすぐ分かったぜ!
「出久!コイツ何とかしてくれ!」
「了解!時間稼ぎありがとよ、グリス・ライト!」
軽く言葉を交わし、ファングドーパントを観察する。口から歯を延ばして、それで切りつけてるな。コレは、恐らくマスキュラーと同じく過剰適合タイプか!
「グリス・ライト!奴の攻撃方法は!?」
「アァ!?近付けば身体の刃で斬り掛かってきて、遠距離ならブーメランみてぇに飛ばして来やがる!今んとこコレだけだ!」
成る程、特殊系の癖に物理攻撃しかしてないか。いや、グリス・ライトのジュエルシールドに深い傷が入ってるから、切断力の上昇にエネルギーを使ってるんだな?よし、分かったぜ!
「どうだ!?勝てるか!?」
「あぁ────」
俺は左手にメモリを掴み、右手で角を撫で上げた。
「────勝利の法則は決まった!」
そう言って、エターナルエッジにメモリを叩き込みながら駆け出す。
【オーシャン!マキシマムドライブ!】
「肉面ンンンン!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
やたらめったらに歯刃を延ばしてくるファング。そしてそれらは、正確に俺の身体を貫いた。
「キャアアアアアアッ!?」
おっと、轟の悲鳴が聞こえる。刺激が強かったか。だが・・・
「無駄だ!」
─ボチャンッ─
次の瞬間、俺は液状化。そして、その歯を伝って一気にファングの顔まで移動する。
「液体は斬れないよな」
「バボッ!?ゴボボボボッ!?」
「あぁ、答えられないか」
更に頭を覆って窒息。コイツはパニックに陥って、空気を吐き出しながら溺れている。
「まだだぜ!追い打ちだ!」
【ツァンダー!マキシマムドライブ!】
─バチチチチチチイイッ!!─
「ッッッ~ッ!?ッ!?~ッ!?」
液状化した身体から発電し、感電させながら拘束する技。
「名付けて、ボルタームホールド」
オーズ先輩のボルタームウィップから取った名前だ。さて・・・
「グリス・ライト!抑えてる内に叩き込め!」
「あいよ!!」
─ガコンップシュー─
【スクラップ・フィニッシュウ!】
グリス・ライトがレンチレバーを叩き下ろすと、腕にヴァリアブルゼリーで出来た巨大なロボットアームが出現。
「オリャアァァァァァァァッ!!」
そして、その腕でアッパーを叩き込んだ。空中に打ち上げられ、海老反りになるファング。そこで俺は液状化を解除し、ファングの上に飛び上がる。
「トドメだ!」
【ナスカ!マキシマムドライブ!】
「ライダーキック!!」
「ウアァァッァァァアッァァァアア!?」
─ドゴンッドガァァァァンッッッ!!!!─
トドメのライダーキックで地面に叩き落とした。そのエネルギーにより、ファングドーパントは爆散する。
─パキンッ─
メモリブレイクも完了だ。俺はその爆炎に背を向けてサムズアップした右手を伸ばし・・・
「さァ、地獄を楽しみな!」
ひっくり返してサムズダウン。やっぱりしっくりくるな。
「どちらが悪の存在か、もはや判別不可だな・・・」
「それは言わないお約束だ」
「いや、確実にオーバーキルだったような・・・」
「ファングは強力なメモリだから、ああしないとメモリブレイク出来なかったんだ」
あぁもう台無しだ。
「しかし、合宿中疲労もあってキツいな」
そう言って俺は一端変身を解除し、次の場所へ急ぐのだった。
(麗日サイド)
「戦闘許可、か・・・」
【スクルァァァッシュ・ドォライバァ~ッ!!】
「ッ!お茶子ちゃん、ソレ何?」
「あ~、お茶子ちゃんカッコイィね~♪」
私はポーチからスクラッシュドライバーを取り出して装着し、ボトルを構える。
─ピキピキピキッ─
【デンジャー・・・】
【クゥロコッダイルッ!】
─ギュアァーンッ!!ギュアァーンッ!!バリィンッピシィピシィピシィッ─
キャップを合わせてドライバーにセットし、即座にレンチレバーを叩き下ろした。
「・・・変身・・・」
【割レルッ!喰ワレルッ!砕ケッ散ルゥッ!】
私の呟きと共に、周りに現れたビーカーが砕け散る。
【クロコダイル・イン・ローグ・・・オォォルァアアアッ!!】
─キャァァァァァァァァァッ!!─
最後にクリアバイザーにワニが噛み付いて、全身の装甲に罅が入った。
「仮面ライダー、ローグ・ライト・・・」
頭の中が、サッと冷め切っていくのが分かる。最初に変身した時は、これが少し怖かった。でも、今は大丈夫。カツキ君がいてくれるから・・・だから、戦える。
「うっは~♥麗日さんカッコイィねぇ~♥血塗れになったらもっとカッコイィよ~♥」
「梅雨ちゃん・・・コイツは、任せて・・・下がっててね」
梅雨ちゃんは素直に引き下がってくれた。コレで遠慮無く戦える。
「梅雨ちゃん・・・梅雨ちゃん!カァイイ呼び方~♪私もそう呼ぶね?」
「・・・止めて。そう呼んで欲しいのはお友達になりたい人だけなの」
・・・コイツ・・・
「取り敢えず、梅雨ちゃんとお付き合いしたかったら私を通して」
「じゃあ行くねッ!」
やっぱり突っ込んで来た。凶器は右手のナイフ。それを突き出しながら来たから、左足軸回転で半身になって、右手で手首を掴む。そっから左手で首根っこを思いっ切り掴んで・・・!
「ッたァ!」
「グベッ!?」
地面に叩き付ける!ガンヘッドマーシャルアーツが役に立った!最後に右腕を捻り上げて、ナイフを取り上げながらその腰に馬乗りになってっと・・・
「ふへへ~、捕まっちゃいました~♪」
コイツ、ほんまもんのイカレ女や・・・
「お茶子ちゃん、好きな人がいますね?」
「こんな時に何の話かな?」
「分かるんですよね~、おんなじ匂いがするからぁ♥好きな人とは同じになりたいよね~?おんなじ服着たりおんなじアクセサリー着けたり・・・でもその内、そんなんじゃ満足できなくなっちゃうんだよね~?だから───」
「その口を閉じろイカレ女。この胴体噛み潰すぞ?」
自分でも驚く程に、ドスの効いた声が出た。
「私は彼とは違う。違うから支えあえるんだ。同じになりたいなんて思わない」
「あひ~♥お、お茶子ちゃんの脚、締まって♥潰されるぅ~♥殺されるぅ♥でも・・・」
─ズキッ─
「ッ!」
コイツ、この状態で器用に太股を刺しやがった!血ぃ吸われてる!
「えへへ~♪ちぅちぅ♪ちうちう♪ちう~♪」
「こンの!」
─バキンッ─
すぐさま装置のアタッチメントを握り潰し、吸血を止めた。
「お茶子ォ!!」
「!!カツキ君!?」
森の中から現れたカツキ君達に、私は思わず立ち上がってしまった。
─するっ─
「しまっ!」
逃げられたッ!
「人増えたので殺されるのは嫌だから、バイバイ」
「・・・クッ、個性が分からない以上、深追いは危険か・・・」
一旦力を抜いて、刺された太股をさする。手には血の代わりに、紫色のゼリーが付いた。スーツも直ってるし、もう全く痛くない。このゼリーのお陰かな?
「オイお茶子!何だ今の女!」
「
カツキ君が今変身解除したし、疲れるから一旦解除しとこっかな。
「ったく、さっき出久と一緒にドーパント倒したんだが・・・」
「そう・・・ん?出久君?」
カツキ君の言葉に、私は首を傾げた。
「ねぇ、カツキ君?」
だって───
「何だ」
「出久君、何処?」
───出久君、いないよ?
(NOサイド)
「出久君、何処?」
「・・・ッ!?」
麗日の言葉に、思わず目を見開く爆豪。慌てて振り返るが、そこに出久の姿は無い。
「ッ!?何時の間に!?お前ら!背中合わせろッ!!」
爆豪の言葉で、全員が即座に背中合わせの隊形をとる。しかし・・・
「ッ!爆豪、おかしいよ!常闇もいない!」
「何だと!?」
出久だけでなく、常闇さえも消えてしまっていた。
「彼なら、俺のマジックで
突然の事に狼狽える面々の頭上から、突然声が発せられる。見上げてみれば、マント・ハット・手袋・マスクの、如何にも怪しいですという格好の男が木の上に立っていた。
「テメェ!!」
「話しかけるなんて、嘗めたことするっ!」
「元々エンターテイナーでね、悪い癖さ」
睨み付ける雄英生たちに軽口で返す男。自分で言う通り、マジシャンのようなエンターテイナー特有の何を考えているか分からないような喋り方だ。手の中にはビー玉のような物を持っている。
「このッ!」
「おっと」
轟が氷壁で攻撃するも、軽くかわされてしまった。
「こちとら、欺きと逃げ足だけが取り柄でね。ヒーロー候補生なんかと戦ってたまるか!《開闢行動隊!目標回収達成だ!短い間だったがこれにて幕引き!予定通り、この通信後5分以内に
仲間に通信して逃げ出す仮面の男。
「ぜってー!」
「逃がさん!」
【ロボット・イィン・グゥリッスゥ!!ブルルルラァァァッ!!】
【クロコダイル・イン・ローグ・・・オォォルァアアアッ!!】
爆豪と麗日は再変身し、すぐさまメモリを取り出してドライバーに装填する。
【【バード】】
【【チャージ・メモリィ!】】
─ガンッ─
【【潰レッナァ~イ!チャージ・クルルァッシュ!!】】
2人はソレスタルウィングを展開し、仮面の男を追った。当然、10秒もせずに追い付き・・・
「「でぇりゃあぁぁぁぁぁぁぁあッ!!」」
「なっ速っぐえっ!?」
その背中を蹴り抜き、更にスッ飛ばす。
「待てやゴラァ!!」
「逃がさへんゆうたやろがァ!!」
自分で蹴っ飛ばしておきながら、理不尽極まりないカップルである。
(爆豪サイド)
─ドゴンッ─
「ぐへぇっ!」
俺とお茶子はこのクソマジシャンを地べたに蹴落とし、俺は踏みつけて、お茶子は腕を右手を捻り上げて拘束する。
「オイオイオイィ~!知ってるぜェ?この餓鬼共ォ!誰だッ!?」
あの黒マスク、デッドプールみてぇな雰囲気を感じるな。まぁ良い。
「テメェ等動くな!」
「ミスター、避けろ」
「
─ガチンッ─
ッ!?消えた!?って前から炎!
「くっ!」
「ちぃっ!」
俺らは左右に大きく跳んで何とか避けた。その隙に何も無い所からクソマジシャンが現れ、奴らと合流した。
「ったぁく、反射的に飛ぶって発想が出る辺りさ。流石は雄英生、ブッ飛んでるねぇ」
「平気で人殺すお前らよりゃマシだ」
さて、この人数は面倒だが・・・
「とりあえず、出久返せや!」
「返せ?オイオイ、彼は彼自身の物だぜ?」
「違う」
俺はクソマジシャンの言葉を強く否定した。
「お前が攫ったソイツにゃ、一緒にいなきゃいけねぇ奴も、ソイツが消えて悲しむ奴も居るんだ!何より────
────俺らの、大将みてぇなモンなんだよ!ソイツは!!」
出久は、嘗て道を踏み外し掛けた俺を救ってくれた!お茶子と恋人になるキッカケもくれた!そして今纏ってる仮面ライダーの力も、アイツが仁の奴に頼んでくれたんだ!!
「だから助ける!奪い返す!理由なんざもうそれで十分なんだよォ!」
【ジェット!】
【ディスチャージ・メモリィ!潰レッナ~イ!ディスチャージ・クルルァッシュ!!】
「オラァッ!」
俺は艦載機をバラ撒き、奴らを吹っ飛ばす。が、継ぎ接ぎの奴は炎で全部ブッ壊しやがった。さっきの炎もアイツだな。
「うわっこのミニチュア飛行機痛いっ!うっひょ~気持ち~!」
アイツ一々逆の事喋ってんな・・・
「とりゃっ!」
─バキンッ─
「折れた!?」
「オラァッ!」
─BOM!!─
「うわぁ!?」
さっきお茶子刺しやがったクソアマが突き出したナイフは、ヴァリアリブルアーマーに当たって折れた。そこにすかさず爆破を叩き込む。
「可愛い女の子殴んのは気が引けるんだけどよ!その不細工な面ボッコボコにしてやるぜェ!」
「いや、お前じゃ無理」
お茶子はあのデッドプールっぽい奴を浮かして蹴っ飛ばした。
「ネホヒャンッ!」
「ッ!脳無か!」
緑色の脳無が背中から生えたチェーンソーで襲い掛かって来る。だったら・・・
【ヘリコプター!】
【ディスチャージ・メモリィ!潰レッナ~イ!ディスチャージ・クルルァッシュ!!】
腕に精製したウィングブレードを高速回転させ、打って出る!
「ムラサメソードォ!!」
─バキバキバキバキバキバキッ!─
そのウィングブレードは一瞬でチェーンソーを粉々に切り刻み、その右腕もカッ裁いた。
「あぁあ、せっかくの俺仕様が」
どうやら指揮官は継ぎ接ぎ野郎みてぇだな!
─ゾアァ─
「ッ!!アイツUSJの!!」
あのワープクソ霧野郎!
「ミスター、緑谷は?」
「あいあい、ここにシッカリ・・・!?」
ポケットを探ってる?
「探し物って、コレかな?」
お茶子が見せたのは、さっきクソマジシャンが出したあのビー玉・・・成る程。
「お前の個性、物を圧縮か何かして閉じ込めるってとこか?で、コレが出久と常闇ってワケだ」
「・・・良く分かったねぇ」
こんだけヒント見せられれば、流石にな。
「合図から5分経ちました。行きますよ、荼毘」
「待て、まだ緑谷が・・・」
「いいや、大丈夫さ。マジシャンの悪い癖でね、何かを見せびらかす時は、そりゃ大体───」
そう言って仮面を外すクソマジシャン・・・ッ!まさか!
「───
口ン中にもう2つ!
─バキンッ─
「ッ!?氷!」
「さっき逃げながらダミー作ってやがったか!くそったれ!」
「そんじゃ、お後が宜しいよう───」
─ビンッバキッ─
ッ!!今のはキラキラ野郎のへそレーザー!それがクソマジシャンの顔面に当たって・・・出久と常闇のビー玉!
「「たァァァァァァッ!!」」
俺達は同時にジャンプしてビー玉に目一杯手を伸ばす。何とか常闇のは掴んだ!出久は・・・
─パシッ─
「なっ!」
継ぎ接ぎ野郎に取られたッ!
「ミスター、確認だ。解除しろ」
「ったく、何だよ今のビーム・・・俺のショウが台無しだ!」
─パチッ─
クソマジシャンのフィンガースナップで、常闇と出久が現れる。常闇はこっちに、出久はあっちに。
「問題無し。帰るぞ」
「出久!」
必死に伸ばされた俺の手が、出久の手を掴む───
「頼むぞ・・・かっちゃん!」
───事は、無かった。そしてワープゲートが消え、俺達が残される。
「う──────
(あぁ、そうか。出久がヴィジランテをやってた理由は・・・──
───────ウア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
──
先生が通報していたようで、奴らが消えた15分後に警察と消防が到着。生徒40人の内、
一方
キツくも楽しい筈だった・・・少なくとも俺は楽しんでいた林間合宿は、こんなクソみてぇな、最悪の結果で幕を閉じる事となった。
・・・to be continued・・・
「オゥ・・・今回出久が捕まるのかよ・・・」
『まぁな。原作で爆豪だったのは体育祭で目を付けられたからだ。対して今作じゃ、体育祭での印象は《ちょっと強面だけど、優しさもある好青年》だったからな。そして何より、出久が元々ダークサイド寄りのキャラだったって事もある』
「成る程ねぇ・・・じゃ、頑張れよ!」
「言われるまでもねぇぜ!」