僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1 作:エターナルドーパント
「シャッ!行くぜェ!」
(NOサイド)
「くたばれやァ!!」
─BBOM!!─
グリス・ライトが叫び、メモリアル・カオスに爆破で加速を付けたライダーキックを叩き込んだ。更に流れるように回転して両拳を順に叩き込む。
『ゴァエアッ!?』
「ッシャ!1本穫ったぜ!ザマァ見ろ!!」
そして、グリス・ライトの反対側からはローグ・ライトが迫り、レンチレバーを叩き下ろした。
【クラック・アップ・フィニッシュ!】
─ドガンッバゴンッ!─
そのエネルギーを両腕に流し込み、ワンツーフックを叩き込む。
「こっちも、1本!」
【パペティアー!】【クイーン!】
『ガイアメモリ!残り、12本!』
出久がメモリをカウントし、更にメンバーが殺到。
「行くよ、デップー君!」
「おうともさ!」
【クゥリティカァルッ・エェンド!】
【クゥリティカァルッ・CARNAGE!】
「ッタァァァァァ!!」
「ヴェアァァァァ!!」
2人のゲンムが脚にエネルギーを溜め込み、ライダーキックを放った。そのエネルギーは同調増幅し、メモリアル・カオスの肉体の一部を原子崩壊へと導く。
「やったぞォ!一気に2本だァ!!」
「よし退くぞ。今ので僕らもバックファイアを受けた」
【オーシャン!】【ゾーン!】
『ガイアメモリ!残り、10本!』
「行くわよ~!行ってらっしゃいッ!」
「どっちだよ!フッハッ!ッタァ!!」
ルナドーパントが腕を振るってエネルギー弾を放ち、その着弾点にヒートドーパントが炎を纏ったグレネードパンチを叩き込む。この連撃により、またメモリが飛び出した。
【アイスエイジ!】【キー!】
「レイカ!早く拾ってッ!」
「ったく、あの手は不便だね!」
『ガイアメモリ!残り、8本!』
「オリャア!」
「・・・」
メタルドーパントがハンマーシャフトを打ち付け、すぐさま鎚とは反対側に持ち替えて突き刺す。更に、トリガードーパントがその傷口を正確に撃ち抜いた。
「ッヘッヘ~♪2本だぜ!」
「MISSION CLEAR」
【ルルォケット!】【ユニコーン!】
『ガイアメモリ!残り、6本!』
「フッ!ハッ!ッシュレェ!」
仮面ライダーサイクロンが、風のエネルギーを纏った強力な回し蹴りを叩き込む。インパクトの瞬間に爪先から溜めていた圧縮空気が一気に解放され、衝撃を更に内部まで浸透させる蹴撃だ。
【サイクロン!マキシマムドライブ!】
そしてサイクロンは、マキシマムスロットにメモリを叩き込んでマキシマムを発動。右腕に緑の竜巻を纏い・・・
「ッツォラァッ!!」
─ドゴォンッ!!─
鋭い手刀、スピニングスラッシュを叩き込んだ。それによりメモリアル・カオスの身体は3割程度切り離され、その肉片は地面に落ちて消滅。メモリが転がり落ちる。
【イェスタディ!】
【ジーン!】
『ガイアメモリ!残り、4本!』
「よし、感覚も慣れた事だし・・・行くよ!出久!」
『おう!』
ジョーカーサイドの三奈にエターナルサイドの出久が答え、瞬時に駆け出すダブル。共に訓練、ダンス、バンドライブなどをやっていたお陰で、お互い動きを完璧に合わせられていた。
『フッ!トァ!』
「タァッ!!」
右足でミドルキックを叩き込み、その反作用で反時計回りしながら間髪入れずにエターナルエッジで右向きに一文字を刻み込む。
そしてその勢いのまま左脚を軸に一回転し、今度は流れるように左ハイキックを叩き込んだ。
メモリと共に身体を削ぎ落とされ、人間程の大きさにまで削られていたメモリアル・カオスは大きく吹き飛ぶ。
ジョーカーの身体能力強化と、ソウルサイドの相乗効果であるETER・アズールブレイズが容赦なくその肉体を破壊。至る所から煙が上がった。
『ヌゥンァアアアアァァアアッ!!』
堪らず紫の波動を放ち反撃を試みるメモリアル・カオス。その波動はダブルを確実に捉える。だが・・・
『成る程、コレはスカルのエネルギー攻撃だな?』
「ありがとう出久、助かった!」
エターナルサイドが咄嗟に黒いスカーフ・・・フォーエヴィスタビライザーを操って防いだ。このフォーエヴィスタビライザーはエターナルに備わっていたエターナルローブの形質が変化した物である。故に、最強の盾となるのだ。
『さて、やれレミ義姉さん!ウェイクアップだ!』
「分かったわ。行くわよ、サガーク!」
出久に答え、上空にスタンバイするサガ。そしてサガークバックルからサガメモリを抜き取り、その端子をサガークの口に当てる。
【WぇイK・Apプ!】
サガークの声と共に赤い稲妻が迸り、そのエネルギーがメモリにチャージアップされた。そしてサガはジャコーダーを持ち替え、グリップエンドに設けられたらマキシマムスロットにメモリを装填。
【サガ!マキシマムドライブ!】
そしてサガメモリの頭をサガークバックルの右側の穴に突き刺し、一気に引き抜いた。紅いエネルギーが増幅してジャコーダーを覆い、その姿を大きく変える。
細長く、先端から半分の所までが鋭い円錐になったそれは、まさしく神槍だった。
「スピア・ザ・グングニル!」
サガはその神槍を逆手に握り直し、メモリアル・カオスに投擲した。一瞬でメモリアル・カオスに着弾したその槍は紅い円錐となり、同時に
そしてサガは両脚を揃え・・・
「
─ドゴンッ!!ギュイィィィィィィンッ!!─
『ゴアァァァァァァァッ!?』
急降下の勢いを加えたドロップキックを、円錐に叩き込んだ。そのインパクトはメモリアル・カオスの足を地面にめり込ませる。そして円錐が薔薇の花のように開き、サガのライダーズクレストとなった。
【スカル!】
【ダミー!】
『ガイアメモリ!残り、2本!』
(出久サイド)
「さて、アタシ達だね。準備は?」
『とっくに、出来てるよ』
そう三奈に返し、俺はカチャカチャとエターナルエッジを回す。
『フッ!ッタァ!』
そして握り直したエッジを2回振るい、蒼い斬撃波を飛ばした。しかし、何とか防いだみたいだ。あれは、バイオレンスの硬質装甲だな。
『決めるぜ、三奈!』
「合点承知!」
三奈はドライバーからジョーカーメモリを引き抜き、俺の右手に渡す。そこから俺は、メモリを右腰のマキシマムスロットに叩き込んだ。
【ジョーカー!マキシマムドライブ!】
すると、ジョーカーのマキシマムドライブが発動。蒼い焔の竜巻が俺達を包み、ダブルの身体が浮き上がった。そしてメモリアル・カオスに向けて両足を突きだし、一気に突っ込む。
「『
そして、空中でエターナルサイドとジョーカーサイドに分割。30tのキックを、時間差で2発ブチ込んだ。
『グォアアアアアァアアッ!?』
【バイオレンス!】【ファング!】
その一撃で、最後の2本も排出。オール・フォー・ワンは元の姿に戻る。無論、全身ボロボロだが・・・
そして、キックの勢いを殺す為にスライディングして着地っと・・・
「・・・終わりだ、オール・フォー・ワン」
恐らくコイツと最も付き合いが長いであろうオールマイトが口を開いた。長いこと続いていた因縁に、漸く終止符が打たれるな。
「フ・・・フフ・・・」
「・・・何が可笑しい」
何だ?オール・フォー・ワンの奴、急に笑い出しやがった・・・
「いや・・・君に、言っておきたい事が、あってね。オールマイト・・・君がさっき殴って止めた、死柄木弔・・・彼は───
───志村菜奈の、孫だよ」
「ッッッッ!?!?なッ!?」
『ッ!!』
志村菜奈・・・確か、先代ワン・フォー・オール継承者だったな。まさか、アイツがその人の孫とは・・・
「えっと、死柄木が実はオールマイトの師匠の孫だった、って事?」
『あぁそうだ』
何より拙いのが、今の一言でオールマイトが硬直しちまった事だ。俺達からかなり距離があいてるから、一瞬隙が出来る。
「その顔が見たかったよ。絶望に染まる、その顔が・・・」
【ユートピア!】
『ッ!アイツ、
「何かあのメモリ、ヤバそう!」
俺達は一気に駆け出す。が・・・届く直前に、オール・フォー・ワンは頸動脈への挿入を完了してしまった。
「ッ!?ぬぉ!」
『グァッ!』
「きゃっ!」
その瞬間、俺達は不可視のエネルギーに吹き飛ばされる。慌てて体勢を立て直してみれば・・・
「ぐ・・・あ・・・」
『ッ!オールマイト!』
オールマイトの首を掴み上げる、黄金の異形・・・ユートピアドーパントの姿があった。
しかも今のカミングアウトがショックだったのか、オールマイトのマッスルフォームが解けかかって煙が吹き出してやがる!
「ねぇ出久!」
『三奈が思ってる以上にヤベェ!』
ユートピアドーパントの恐ろしい能力・・・《希望を奪う》能力が発動し、オールマイトの精神エネルギーが少しずつユートピアに流れ出す。急げ!
「ッツォラ!」
「ぬぅ・・・」
『兄さん!』
吸いきられる前に、何とか兄さんがユートピアを蹴り飛ばして吸収を中断した。
『大丈夫かオールマイト!』
「しっかりして!」
肩を揺すってみるも、オールマイトの目は虚ろなままだ。仕切りに「私は、何て事を・・・私は・・・」とブツブツ繰り返している。
『クッ、希望を吸われたか・・・仕方無いな』
「出久、何か考えがあるの?」
『まぁ、荒療治だがな・・・おい、オールマイト』
俺はうなだれるオールマイトに話し掛けた。それに反応し、少しだけ顔を上げるオールマイト。
『あの死柄木がアンタの師匠の血縁者だって事は、確かに意外だったな・・・で、それがどうした?』
「ちょ、出久!?」
『済まない三奈、ちっとばかし黙っててくれると助かる。兄さん、NEVERの皆・・・ユートピアの足止め、頼まれてくれるかい?』
「足止めだな?分かった。だが・・・別に、倒しても良いんだろう?」
『オイヤメロ』
兄さんが洒落にならん死亡フラグをブチ建てて行きやがった・・・まぁ、大丈夫だろうが。
『・・・で、だ。死柄木がその師匠の孫だったからって・・・アイツの凶行を、見逃すのか?』
「っ!」
オールマイトの肩が、僅かに跳ねる。
『アンタがこの事実に打ち拉がれ、死柄木を止めなくなるのは勝手だ。だがその場合、誰が傷付くと思う?
・・・罪の無い、一般人だ。
奴は、アンタの事が大嫌いだからな。活動出来ないと知ったら、そりゃあもうド派手に暴れるだろうさ。そうなると、アンタは無力感と罪悪感に苛まれて更に力を失う・・・
判るか?そんな未来を防ぐには今!アンタが立ち上がるしか無いんだよ!』
「ッ・・・!」
拳が震えてきたな。もう一押しだ。
『どうした!自分の拳と笑顔で、人々に平和と安心を与えるんじゃなかったのか!?
オール・フォー・ワンを倒し、巨悪の歴史にピリオドを打つんじゃあなかったのかッ!?
それとも今まで言ってきたそれら全部!この程度で打ち砕かれるような、薄っぺらい夢見言だったのかッ!?』
「・・・そう、だ・・・」
オールマイトがゆっくりと腰を上げた。漸く、気合いが入ったみたいだな。
「そうだ。私は《オールマイト》・・・笑顔と平和を守る者・・・ありがとう、緑谷少年。お陰で、オリジンを思い出せた!」
ふぅ、これで良しっと。
『復活早々悪いが、今回は俺ら・・・NEVERとダブルに任せてもらうぜ』
「えっ!?いやあの、私も手伝いたいと言うか・・・」
『済まんが、今回の奴は桁違いなんでな。ガイアメモリに関してはこの世界の誰よりも詳しい俺らじゃないと勝てないんだ。兄さんは、ユートピアを倒した事もあるしな。アンタは・・・俺達の代わりに、街の人等を安心させてやってくれ』
「むぅ・・・し、しかし・・・」
うむ、やはり頑固だな。
「オールマイト!私達は大丈夫!仮面ライダーを信じて!それに・・・助けを求める人は、向こうの街にいるよ」
「・・・わかった!少年少女・・・いや!《仮面ライダーダブル》!健闘を祈るよ!」
三奈の言葉に折れ、オールマイトはここを任せて跳んで行ってくれた。
『ありがとよ、三奈・・・皆も、時間稼ぎありがとう!』
「ケーキ1切れみたいなものだ!気にするな!」
「アタシ達は大丈夫よ~ッ!」
視線を移せば、重力操作を用いて戦うユートピアに対し、NEVERの皆は上手い事足止めをしていた。
だがユートピアも、オール・フォー・ワンで貯め込んである個性を使い多種多様な攻撃をバラ撒いている。コンバットベルトが無いダブルだとキツそうだな・・・なら、
『かっちゃん達は、成る可く近づくな!奴は感情を吸い取るからな』
「じゃあお前らはどうすんだよ!」
かっちゃんからの問いに、俺はあるメモリを握って返す。
『
俺が見せたのは、《T2エクストリームメモリ》。メモリアル・カオスから脱出する時に、エターナルと共に奪ったメモリだ。
それを持って俺の身体を抱える永琳に駆け寄り、俺の左腕を握る。更にもう1つのメモリ・・・パペティアーを取り出して、エターナルエッジに装填した。
【パペティアー!マキシマムドライブ!】
そして、その左腕にメモリを挿入。すかさず右手の指からケーブルを伸ばして頭に接続し、作成作業を開始する。
(出久、いま創ろうとしてるコレって・・・)
『あぁ、コレが・・・勝利の鍵だ』
言ってる間に、出来たな。今までは一人で戦うエターナルだったから、使う必要が無くて創ってなかった。だが、今はコレが必要だ。
『来い!』
すると、俺の身体から輝く緑の粒子が放出され始めた。
それが胸程の高さで固定化し、実体を持つ。その瞬間、俺の身体がデータに分解。浮遊する
「なっ!?出久君の身体が・・・」
『ッシャ!行くぜ三奈!』
「ハァ、了解」
(NOサイド)
「ッシ!ッツァ!」
「ほぉッ!ホヤッ!」
ユートピアドーパントから放たれる火炎弾を、サイクロンは竜巻で、ルナドーパントは延ばした腕で防ぐ。
「火炎攻撃に電撃、そしてユートピアメモリ・・・全く、何から何まで加頭順を思い出させる奴だ」
愚痴を零すサイクロン。オール・フォー・ワンが使う超能力に、超能力改造兵士クォークスを思い出したのだ。そして、芋蔓式にドクタープロスペクトと加頭順の事も。
『お待たせ、兄さん』
「遅くなってすいません」
そこに、用を済ませたダブルが合流する。
「あぁ、気にするな。多少クォークスのような能力が使えるとは言え、ガイアドライバーも使わず、尚且つ只の死に損ない風情が変身したユートピア如きに遅れは取らん」
「・・・この兄にしてこの弟ありだね・・・」
『なぁ三奈、それはどう言う事かな?』
ジョーカーサイドの呆れた声に聞き返すエターナルサイド。そうこうしてる間に、他のNEVERのメンバーも集まって来た。
「さて、アイツの攻略法だが・・・これが少々厄介でな。奴の体内では、生存本能の制御を離れた超能力が共振増幅している。下手に倒せば、この真っ平らな地形が今度はサラダボウルになるぞ?」
『ワォ。もしそうなったら、地図の描き変えが大変だな』
「こんな時にブラックジョークで会話しないでよ!」
エターナルサイドとサイクロンの笑えない会話にジョーカーサイドが叫ぶ。
『悪い悪い。こういう作戦前にはジョークなんかでリラックスすれば、成功率が上がるんだよ』
「ジョークで言った光景がリアルに想像できて全く笑えなかったんだけど?」
どうやら出久は久々に再会した克己との会話でテンションがブッ壊れているようだ。
『ふぅ、落ち着いた。で、こっからだが・・・』
「さっきのやつ、使うんでしょ?」
『あぁ、その通りだ。来い!
─フォロロラン~♪─
エターナルサイドの呼び掛けに応じて、鷹のような形をしたガジェットが現れた。それはダブルの頭上を舞い、その右手に収まる。
「・・・やっぱ、ちょっと緊張するね」
『そうか?実は俺もだ。心身共に融合なんて初めてd「こらそこ!こんな時にイチャイチャしないの!」悪かったよ京水姉さん・・・さて、行くぜ!』
エターナルサイドはそのガジェット・・・エクストリームメモリを勢い良くドライバーに装填した。エクストリームはエターナルメモリとジョーカーメモリを取り込み、エネルギー増幅音を響かせる。そして・・・
─ガシャンッ!─
【エクストリーム!!】
エクストリームメモリを、真ん中から分割するように展開した。
その瞬間、中央に露出したエクスタイフーンが紫炎と蒼炎の混じり合った焔を吹き出し、ダブルの身体を覆う。
その焔は竜巻となり、どさくさに紛れて放たれたユートピアの火炎弾や電撃を打ち消した。エクストリームメモリは、変身プロセス中に仕掛けられる無粋な攻撃にも対応可能なガジェットだったのだ。
【~♪!~♪♪♪!】
「『ハァ~・・・ッタァ!!」』
【~♪~♪~!!】
その竜巻の中でダブルは眩い光が溢れ出す中央の分離帯・・・セントラルパーテーションに指をかけ、勢い良く左右に開いた。
その中央からは虹色に輝くクリスタルのような地球の記憶へのアクセスポイント、クリスタルサーバーが展開し、ダブルの頭脳を《
───す、すごい!まるで、この星と一つになったような・・・
───それだけじゃない!感じる・・・溢れ出す、無限の記憶のエネルギーを!
そして、紫蒼の焔が霧散した。その中から、それは現れる。
──エターナルと同じく真ん中が繋がった、無限マークを象る金色の複眼──
──頭部の左右に付いた、WとEを思い起こさせるアンテナ──
──同じくW・Eをモチーフにした、ゴツいショルダーアーマー──
──左右のエターナルブレス・ジョーカーブレスは、能力を引き上げるエクストリームブレスに変質──
そして中央のクリスタルサーバーから青い電流が迸り、胸部と右手脚に白いコンバットベルトが装着された。無論エターナルの物と同じく、無数のマキシマムスロットが備わった物だ。
「『コレが、
「『仮面ライダーダブル!エターナルジョーカー・エクストリーム!」』
そう言い放ったダブルはユートピアドーパントを見据え、検索を開始。同時に、ユートピアの体内のエネルギーがその右腕に集まっている事を察知する。
『このエネルギー・・・避ければ、間違い無く後ろの街まで被害が及ぶな』
「え!?じゃあどうするの!?」
『あぁ~兄さん達は後ろに。で・・・当たり前だろ──────』
『グォアァァァッ!!』
─ドッゴォォォォンッ!!─
ユートピアは右腕から強力なショックウェーブを発射した。それはダブルに命中し、膨大な量の砂塵が舞う。
「出久、三奈ちゃん・・・」
その光景に、後ろで見守っていたフランは祈るように呟いた。しかし・・・
「・・・やっぱり」
「そうですわね」
「でないと、おかしいからね」
「そういう事になるわね」
「間違い無いわ」
この光景に感じる違和感から、確かな希望を見いだした者達がいる。永琳、八百万、ゲンムⅡ、レックス、サガの5人だ。
「えっと、どういう事ですか?」
ローグ・ライトの質問に、レックスが口を開いた。
「今の衝撃波、地面を抉るレベルの出力だったわ。でも、ダブルの後ろは抉れてない。と言う事はつまり・・・───
『──────ここで、防ぎきれば良い』
───そういう事よ」
(出久サイド)
「・・・死ぬかと思った」
『だが、大丈夫だったろ?』
想像通り、ダブルはピンピンしていた。3m程後退しているが、ダメージはゼロだ。そして俺の左手には、大きな《盾》が握られている。見た目はプリズムビッカーに似ているが、コレはシールドのマキシマムスロットが4つでは無く6つだ・・・
『・・・まぁ、今は良い。取り敢えず、さっきみたいな長射程攻撃が来たら後ろが危ないし・・・』
俺は右手にエターナルエッジに召喚し、額にある第三の眼───《
【ゾーン!マキシマムドライブ!】
そしてそのエッジを振りかぶり・・・
「『分断!ディバイディングドライバー!」』
地面に突き立てた。
すると地帯の記憶を内包するゾーンの効果が発動し、地面に1本の線が刻まれる。
そして更に、その中に物体の相互作用を弱めて分子の結合を緩める働きを持つを持つレプリションフィールドを、外周に相互作用を強めて拘束力を高める働きを持つアレスティングフィールドをそれぞれ形成し、空間湾曲を発生。
半径100m程の
「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」
空間落差は50m程で、当然俺達は落下する。
【アイスエイジ!マキシマムドライブ!】
三奈の悲鳴が響く中で瞬時に壁から氷壁を伸ばし、滑り台のようにして底面に滑り降りた。
そして俺達の後ろにNEVERの皆が続き、最後尾を滑り降りて来たレイカ姉さんが滑り台を溶かす。
「で、出久。あの爆弾みたいな状態のユートピアを倒す算段は付いたのか?」
サイクロンの問に、俺は頷いた。
『エネルギーが爆発しちまうなら・・・
それを飲み込む程のエネルギーで、爆発のエネルギーを大気圏外に捨てっちまえば良い』
「・・・は?」
うん、三奈の気持ちは分かる。文字通り分かる。だが今の俺達なら出来るんだ。
『さて、行くぜ・・・!』
その時、ドクンッと胸から1本のメモリは飛び出した。コレって・・・そうか!
【ダウルダヴラ!】
平行世界で手に入れたそのメモリを起動し、ビッカーに刺さった剣のグリップエンドに搭載されたマキシマムスロットに装填する。すると剣のロックが解除され、抜剣が可能となった。
『今名付けよう。この盾剣の名は──────』
─ジャキンッ!─
『《ダウルビッカー》だ』
まさか、今まで全く使わなかったダウルダヴラが抜剣用メモリだったとはな。
『と、報道のヘリも飛んで来たな。早いとこ、決着を着けようか』
俺は剣・・・ダウルセイバーをユートピアに向ける。そのクリスタルガイアエッジは緑に染まっており、透き通った刀身にはブルーフレアとパープルフレアが絡み合うペイントが入っていた。タドルレガシーガシャットのRGサーキットボードに入った唐草模様みたいだな。
『ぬぅぅぅ・・・』
「お、かなりキツそうだね!」
『コレなら、直ぐに決められるな』
どうやら、火事場の馬鹿力にも限界が来たらしい。
『皆!メモリを!』
「あぁ。使え出久」
「やっちまいな!」
「フッ飛ばしちゃいなさいッ!」
「ブチかませェ!」
「・・・SPECIAL ATTACK」
皆が変身を解除し、そのメモリを俺に向けて投げる。
【ゾーン!マキシマムドライブ!】
「『ィヨッシャァアアアアアッ!!」』
それに合わせて、再びゾーンのマキシマムを発動。今度はベルトの右腰に着いてる方だ。そしてゾーンの効果で、A~Zの全てのT2メモリが出現。次々とコンバットベルトのマキシマムスロットに装填した。
【
発生するエターナルウェーブをクリスタルサーバーが吸収し、緑色に輝く。最後に、アクセルだけが俺の手元にやってきた。そしてダウルセイバーをビッカーヘキサシールドに装填、更に5本のメモリを出現させる。
「『コレで決まりだ!」』
【アクセル!マキシマムドライブ!】
【エターナル!マキシマムドライブ!】
【ジョーカー!マキシマムドライブ!】
【ガングニール!マキシマムドライブ!】
【アメノハバキリ!マキシマムドライブ!】
【イチイバル!マキシマムドライブ!】
エターナルとジョーカーのマキシマムにシンフォニックメモリの共振する性質を上乗せし、ソレを更にアクセルによって加速。
ビッカーヘキサシールドを循環加速器として、内部で共鳴増幅させる。そのエネルギーはダウルダヴラの
「『ウオォォォォォォオッ!!」』
その輝きを宿す剣を引き抜き、ユートピアを見据えて構える。そしてブレードからエネルギーを放出し、その勢いに乗ってユートピアに突っ込んだ。
『何、だ・・・何なんだ!それはァァァァァァ!!!?』
叫ぶユートピアに、俺達は輝く鋭刃を振り抜く。
そして、その問いへの答えを叫んだ。
「『希望だァァァァァァァッ!!!!」』
────セイバー・エクスカリバースラッシュ────
斬り込まれたエネルギーは、ユートピアの内部で暴走していたエネルギーを瞬時に引きずり出す。
そして完全に分離した事を確認し、瞬時にダウルセイバーをビッカーヘキサシールドに収めてエネルギーの収束を開始。
今度はビッカーの7本だけでなく、クリスタルサーバーに貯め込まれていたエターナルウェーブもだ。
そして緑に輝くオーロラのようなエネルギーがビッカーのガイアディスクに流れ込み、より一層輝きを増す。
そのビッカーを左手に持ち、右手でプリズムマズルを弾いた。
すると圧縮され増幅を続けていたエネルギーの奔流は一気に放出され、虹色の光線としてユートピアのエネルギーを撃ち抜く。
────ビッカー・メモリアルバースト────
その七色の光線はユートピアのエネルギーを一気に飲み込み、遙か彼方・・・大気圏外まで撃ち出した。
─ドサッ・・・パキンッ─
そして、ユートピアは倒れて変身解除。メモリも排出され、粉々に砕け散った。攻撃が終わってコンバットベルトからメモリが薬莢のように排出され、次々と
─ズドンッ!─
「ダブル!」
『ん?』「オールマイト!」
ユートピアの敗北を見たのだろう。俺の背後にオールマイトが降ってきて着地した。
「・・・無事そうだね」
『まぁな』
「出久が色々と対応してくれたお陰でね!」
嬉しい事言ってくれるじゃないか。
「・・・さぁ、観念するんだオール・フォー・ワン!今度こそ大人しく刑務所に・・・」
『いや、そりゃあ無理だな』
オールマイトの言葉を遮り、俺は口を開く。
「ど、どう言うことだね!?」
「ソイツはもう、死ぬからだ」
オールマイトに答えたのは、背後から歩いて来た兄さんだった。
『ガイアメモリの毒素の事は、もう聞いてるよな』
「あぁ、相澤君からね」
「だったら話が早い。コイツは、人体許容量を遙かに越えたガイアエナジーをその身に取り込んだんだ。それを全て無理矢理に引っ張り出されて、ダメージが蓄積した状態で更に毒素と負荷の強いゴールドメモリを、しかも直挿しで使用した。ゴールドメモリはドライバーを介しても尚、所有者を死に至らしめる事もある程の猛毒だ。こんな無茶をすればどうなるか・・・解らない程の馬鹿では無いだろう?」
言おうと思っていた事を全部言ってくれたな。ありがとう兄さん。
「ふ・・・フハハ・・・」
オール・フォー・ワンは仰向けになり、小さく笑い声を上げる。それはゲスなものでは無く、心底楽しそうな、憑き物の落ちたような声だった。
「な、何を笑っている!?」
「ハァ・・・いやはや、楽しかったよ・・・仮面ライダー・・・長い事生きていたが・・・そのピリオドに相応しい、そんな相手だったよ、君は・・・」
言い続けるオール・フォー・ワンの身体に、異変が起こる。露出している上半身に、夥しい数のガイアメモリ生体コネクタが出現し始めたのだ。
「ひっ!?」
引きつった三奈の声と共に、不気味さや恐怖、生理的嫌悪感が流れ込んで来た。まぁ、確かに怖いわな。
『三奈・・・』
「・・・うん」
俺は三奈にこれからやる事のイメージを流し、ダウルビッカーを左手から右手に持ち替えた。
そして三奈はその左手を突き出し、オール・フォー・ワンを指差す。
左を見れば、兄さんも右手でオール・フォー・ワンを指さしていた。考える事は、やはり同じらしい。
「散々罪を重ね、挙げ句に死んで消えた俺が言うのも何だが・・・」
「「『さぁ、お前の罪を数えろ」』」
まさか、俺がこの言葉を言う時が来るとはな。
「・・・ふふ、到底数え切れそうもないが・・・地獄で、何とか数えておくよ・・・フッフッフッフッ・・・ハッハッハッハッハッハッハ・・・」
弱々しくも笑いながら、オール・フォー・ワンの身体は生体コネクタで覆い尽くされて消滅した。
その身が崩れた塵は空へと舞い上がり、その先から光が射す。長い夜が、漸く開けたのだ。
『・・・戻ろう、三奈』
「・・・うん」
俺達はNEVERの皆にメモリ返し、それぞれが再びドーパントとライダーに変身。俺達はとオールマイトはジャンプ力で、NEVERの皆は兄さんとレイカ姉さんが起こした上昇気流に乗って、ディバイディングフィールドから脱出した。
そして着地した瞬間、巨大な断崖が急速に閉じ始める。レプリションフィールドとアレスティングフィールドの均衡が崩れ、アレスティングフィールドの作用によって湾曲した空間が修復され始めたのだ。そして20秒もたたずにディバイディングフィールドは消滅。空間は元通り、完全に修復された。
「・・・ぬっ!?」
─ボシュゥゥゥンッ─
『「・・・あ』」
緊張が途切れたせいだろうか・・・オールマイトのマッスルフォームが、解除されてしまった。元々、ほんの少し延びたとは言え活動時間は短かった。今回は、活動限界までマッスルフォームを気張り続けてしまったんだろう。
「し、しまっ!?」
当然、世間は大騒ぎになるだろう。あのゴリマッチョなオールマイトの正体が、実はこんなに痩せたおっちゃんだっただなんて・・・まぁ、会って間もない時の骸骨顔を晒すよりはマシかもしれんが・・・
「ど、どうしよう出久!?」
『俺に聞くなよ』
コレばっかりは、もうどうしようも無いな。
─────
────
───
──
─
こうして、一連の事件に幕が下りた。
かっちゃん達は多少怒られはしたが、ドーパントの性質と永琳やマンダレイの『許可の元の戦闘行為である』という証言で、どうにか現状注意で済んだらしい。
かく言う俺は、竜兄さんや進兄さんと一緒にパトカーに乗って、警察署で事情聴取。兄さん達はどうやら本棚への完全な出入りが出来るらしく、俺の中に入っていったよ。
緑谷火吹については・・・子供の頃、少なくとも4歳の頃から接点が全く無かった事、そして竜兄さん達が気を使ってくれた事で、そこまで深くは聞かれなかった。
そして次に、永遠亭で精密検査。結果は、健康体そのものだったらしい。エクストリームメモリに吸収された事で、肉体が修復されたみたいだ。まぁ、欠損部位を埋めている
───
──
─
「ふぅ、終わりっと」
俺は視力検査などを済ませて、診察室を出る。時計を見たらもう朝6時だ。こりゃ酷い・・・ん?
「フラン?」
待合廊下のベンチには、俺の天使の片割れが寝転がっていた。規則的な寝息をたてながら、小さく縮こまっている。
「お前の事心配して、待ってたんだよ」
「デップー・・・」
そっか・・・待っててくれたのか。
「出久、ホレ」
「ん?ほっと」
─かちゃっ─
投げ渡された物を見てみると、『仮眠室』と書かれたタグが付いた鍵だった。
「布団は敷いてある、使いな・・・お疲れちゃん」
「・・・文やんは、お前のそういう所に惚れたんだろうなぁ」
「よせやい。じゃ、お休み」
デップーは照れ臭気にそう言って、廊下の奥に消えていった。
「・・・ありがとう、デップー」
俺はそう零してフランの額にキスを落とし、横抱きにして仮眠室に向かった。
──────その後6時間程寝て、起きたらレックスとウィルがニヤニヤしてたとだけ言っておこう。
『ヨッシャァアアアアアッ!!書き上げたァ!!』
「今回、史上初の一万文字だぜ?」
『いやはや苦労したぜ・・・でも、エターナルジョーカーエクストリームが出てから雑だったな・・・反省だ』
「よし!じゃあ久々に、解説行ってみようか!」
『応よ!』
「まず、仮面ライダーダブル・エターナルジョーカーからだな」
『じゃあ基本スペック乗せるぞ~』
名称・仮面ライダーダブル・エターナルジョーカー
身長・215cm(アンテナ含め)
体重・99kg
パンチ力・9t
キック力・15t
ジャンプ力・162m
走力・100mを2,2秒
「お次は見た目カモン!」
『あいよ。
まずアンテナ。エターナルの山の字形のアンテナの真ん中が少し折れ上がって、WとEの両方に見えるような形になってるな。
次に複眼。ダブルと同じく左右で分割されていて、色は赤。右目の下にはエターナルと同じ黒色の涙模様が着いているぜ。
そして、右首から伸びるフォーエヴィスタビライザー。サイクロンの物より長く、色は真っ黒。エターナルローブと同じくありとあらゆる攻撃を防ぐ能力がある。
あ、因みにコンバットベルトは着いてないぜ。
で、右手足にはエターナルと同じくブルーフレアが刻まれてるな。そこから焔が燃え上がって、ジョーカーサイドのスペックを底上げ。適合率の関係で低かったジョーカーサイドの出力を引き上げて、エターナルサイドに追い付かせるぜ。コレが、見事な連続攻撃の要だな。
必殺技は、ジョーカーのマキシマムで発動する技。
まず蒼い焔が激しい竜巻を形成して、ダブルの身体を上空に持ち上げる。そこから敵に向かってドロップキックを繰り出し、滞空中に左右で分離。マキシマムによって倍化した30tのキックを時間差で2発叩き込む・・・
ジョーカーレクイエムッ!!
合計60tのインパクトを、エターナルの相乗効果で敵単体にエターナルレクイエムを発動し、確実にドーパントを行動不能化してから叩き込むぜ!』
「お前、こういう事に関しては設定厨だな」
『凝った方がカッコイイだろ?で、次がエクストリームだな。スペックはこちら⇩』
名称・仮面ライダーダブル・エターナルジョーカーエクストリーム
身長・208cm
体重・103kg
パンチ力・19t
キック力・33t
ジャンプ力・221m
走力・100mを1,1秒
「うっへぇ、2倍位じゃん!」
『まぁ、CJXも大体CJの倍化スペックだしな。で、見た目だ。
まず、見た目のベースはS.I.CのCJXだ。
そして、完全に融合した事でエターナルの形質が色濃く出て来てるぜ。その最たる物が複眼だな。エターナルと同じく真ん中が繋がった、無限マークを象った金色の複眼だ。
そして、眼の横に付いたアンテナ。コイツもエターナルの影響を受け、V型の真ん中から小さい角が出てE型になってるな。コレはWの形もモチーフにしてるぜ。
で、首もとはCJXよりも長い衿が立ってて、細かく差別化してあるぜ!
そして、胸・右上腕・右下腕・右股にマキシマムスロットを搭載した白いコンバットベルトが着けてあるな。因みにマキシマムスロットは黒いままだぜ。
ま、こんなもんかな』
「カッケーなオイ」
『これ投稿して、近々pixivにもイラスト上げるよ』
「マジかい」
『次に専用武器の説明だな。
名称は《ダウルビッカー》。
6つのマキシマムスロットを備えた《ビッカーヘキサシールド》と、グリップエンドにマキシマムスロットを備えた《ダウルセイバー》、そして抜剣用メモリの《ダウルダヴラファウストメモリ》で構成されているぜ。
ダウルセイバーの刃には敵のメモリの特殊能力を破壊する力も備わってるし、切れ味も抜群だな。そしてエネルギーを流し込む事で、極細振動でその切れ味を更に引き上げられるぜ!
ビッカーヘキサシールドは、6つのマキシマムスロットからガイアディスクに伸びる透明なフォースケーブルが装填したメモリによって変色し輝くぜ!
また、クイーンバリアのようにエネルギーバリアを張ってエネルギー攻撃を弾く事も可能!まさに鉄壁だぜ!
説明は以上だぜ』
「飛蝗の咢さん所の魔理沙みたいな口調だな」
『解説だとどうもな。それに、今回のは細かいパーツ名なんかを咢さんの動画で確認しながら書いたから余計に』
「成る程な。じゃあ、これにて閉幕!」
『「ありがとうございました!!」』