思い付き短編集   作:ゆっくりRUISU

5 / 8
なんかオリジナル作品のネタが思いついたけど多分書けない奴。


5話

前回のあらすじ

一区切りついた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

横須賀第二鎮守府を強襲してから数日。

 

喜一は現在、ペンダントを手放していた。

と、いうのも。

 

 

「『改造案が思いついたから貸して』ってなぁ…」

「チ級ハアンナ感ジナノダ、諦メロ」

 

呟きを拾ったリ級が、諦めたような声を発する。

溜め息混じりに、喜一は口を開く。

「それにしたって、唐突過ぎるぞ。

今朝叩き起こされていきなりアレだから飯食えてねぇし」

直後、当のチ級が飛び込んできた。

「改造終ワッタヨー」

「結構時間かかったな…」

言いつつ、喜一は艤装を展開してみる。

 

これまでの直線的な装甲はやや湾曲した分厚い装甲に置き換わり、今まで無かった腕部、脚部にも装甲が追加されている。

また、今まで双剣と大盾だけだった武装は、大盾を廃して新たに突撃槍と投擲用の砲弾、盾を兼ねる対空用の噴進砲が追加された。

「要塞棲鬼・第二形態ッテ感ジダネ。

試運転トカスッ飛バシテルケド頑張ッテ」

そう言いつつ、チ級は喜一を蹴り出した。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「…なんでこうなった」

そう言う喜一は現在、呉市内にいた。

『休暇やるから出てけ』とリ級に言われ、そのまま追い出されたのだ。

ペンダントは持っているので帰れないという事はないが、一つ無いものがあった。

「そもそも金の持ち合わせねぇし…」

そう、金である。

金がなければ現代社会、ほとんど何も出来ない。

しかし、深海では金銭という概念が薄かった。

故に、喜一もリ級もその事をすっかり忘れていたのだ。

通帳もカードも深海に置いてきてしまったが、取りに戻るのもめんどくさい。

「どーすんかなぁ、これ…」

そう喜一が呟いた直後。

 

 

 

 

「すいません、ちょっといいですか?」

と、声が掛けられた。

喜一が振り向くと、そこにいたのは白いセーラー服の少女。

(げっ、吹雪)

駆逐艦娘の、吹雪が立っていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

喜一のこの反応は、悪意による物ではない。

呉第一鎮守府における、先日のハゲワシ隊との戦闘時に一度、艤装を解除している。

その時に顔を見られた可能性があるので、どうしても警戒してしまうのだ。

…実際には逆光になっていて吹雪には顔が分からなかったので意味のない心配であるが、喜一に知る術はない。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「…ど、どうかしたのか?」

「いえ、此処に行きたいんですけど…」

そう言いながら吹雪が差し出したのは、印が書き込まれた地図。

「…あー、ここか。

案内すんのもメンドイから、ちょいと着いてきてくれ」

「あ、はい!」

言いつつ歩き出した喜一に、吹雪は大人しく着いていった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「…こちらアイン。

目標を確認した。同行は1」

『HQ了解。監視を継続せよ』

「了解。

例の兵器の状況を求む」

『既に起動準備を終えている。操縦士も準備済みだ』

「了解。目標の到達予測時間、300秒後」

『了解した。起動させておく』

悪意は、しつこい。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「…着いたが、なんなんだ?ここは」

「分かんないです…」

そう言う二人が見上げるのは、壁がほどよく劣化し、ボロボロになったビル。

塗装もほどよく劣化したおかげで、廃墟感が際立っている。

 

「…てか、なんでこんなとこに用があるんだよ」

「ここに荷物を運んで欲しいって頼まれたんですけど…」

吹雪の返答を聞きながら、とりあえず喜一は廃ビルに入ってみた。

続けて吹雪が入った直後、シャッターが閉まって密室となる。

それを見た喜一は、咄嗟に吹雪を盾にした。…いや、庇えよ。

 

「ふっ、まさか本当に来るとはな」

「…狙いはどっちだ?」

倉庫の奥から聞こえた声に対し、吹雪を盾にしながら喜一は問う。

「ふん、元より狙いは艦娘という化け物のみっ!」

「…ご指名らしいぞ」

「嬉しくないです…」

そう言いつつ、吹雪は艤装を展開する。

 

直後、喜一は割と馴染みのある気配を察知した。

(…深海棲艦?)

そして、奥の暗闇からナニカが姿を現した。

「対艦娘用装備『クラーケン』、その正式モデルだ。

精々、すぐには死なないでくれよ?」

それを合図に、クラーケンと呼ばれたそれは吹雪に主砲を向けた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

十分後。

ドシン、と粉塵を巻き上げながらクラーケンの上半身が落ちた。

「マッタク。人間ガ乗リ込ンデ動カスカラ俺ガ始末スル羽目ニナッタ」

そう言いつつ、要塞棲鬼となっている喜一は突撃槍をクラーケンの下半身から引き抜く。

 

対艦娘用装備『クラーケン』の実態とは、実にシンプルだった。

『人間を攻撃できない』艦娘に対し、『深海棲艦の死骸に人間が乗り込んで操作する』事で『撃たれることなく一方的に艦娘を攻撃する』という物だ。

 

だが、深海棲艦である喜一は攻撃できる。

艦娘よりも人間をよく狙う深海棲艦の特性と、少々個人的な怒りから、容赦なくクラーケンを刺突した。

 

そして今に至る。

 

 

 

「…ンデ、幾ツカ聞キタイコトガアルカラ」

突撃槍を地面に突き刺しながら喜一は言い放つ。

「チョット鎮守府ニデモ行ッテモラオウカ?」

 

その言葉に男達は反発し、喜一に銃を向けた。

結果は言うまでも無かったが。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「サテ、捕マエロヨ」

中破しながらも立ち上がった吹雪に対し、突撃槍と噴進砲を捨てながら喜一はそう言った。

 

「…すみませんが、この人たちを連れてくだけで手一杯なので」

そう言い、吹雪は倒れている男達を拘束していく。

「…ソウイウコトナラ」

そして喜一は、突撃槍と噴進砲を回収して廃ビルから飛び出した。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ちなみに喜一はこの後リ級に怒られた。

それと同時に金の件で謝られた。




久々でしたが以上。
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