思い付き短編集   作:ゆっくりRUISU

7 / 8
前回の後書きで『明日も更新する筈』とかのたまっといてこのざま。


7話

前回のあらすじ

要塞棲姫が迫る。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「…ともかく、その元になった艦に心当たりはないの?」

「心当たりはないが推測は出来る。年寄り舐めんな」

「…年寄り?」

「それは置いとく。

…多分、要塞棲姫の元になったのは信濃だ」

「信濃?」

信濃。

大和型戦艦三番艦として起工するも、ミッドウェー海戦以降の戦局の推移から航空母艦へと設計変更を施され、事故を伴いながらも強引に竣工。

その僅か10日後に沈没した軍艦である。

 

 

「…そんな艦が、深海棲艦に?」

「多分な。戦艦と空母、どっちの能力も高い水準って辺り、思い付くのは信濃くらいだ。

戦艦として完成してれば大和型基準の砲火力、空母として完成してれば正規空母以上の装甲を持つ不沈空母ってとこだった」

「…運動性は?」

「それは知らん。多分本人が望んだんじゃないかな」

「望む?」

「信濃はほとんど艦隊行動らしい事を出来てないから、自由に動きたいって望んだのかもしれない。

その渇望というべき願いは、奴に絶対的な運動性を与えた」

「…その結果、君はボコられたと」

「まぁ、そうなるな…」

某航空戦艦がくしゃみをした。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

あーでもないこーでもないと議論していると、ドアを開けて明石が入室した。

「改造終わりましたよ!…えっと」

「……あぁ、名乗ってなかったか。

永谷喜一だ」

今更ながら、喜一は艦娘たちに名乗った。

「と、ともかく!鎮守府の資材を結構使っちゃいましたけど、要塞棲鬼の改造が完了しました!」

「…明石?どのくらい資材使ったのかしら?」

「あ…。えっと…、そのぉ…」

口ごもる明石に、喜一は助け船を出した。

「…資材に関しては要塞棲姫を仕留めた後にこっちから消費分を補填する」

「あら、どうも。…そっちは大丈夫なの?」

「しばらく迎撃の余力が無くなる程度だ、問題ない」

そう言いつつ、喜一は明石からペンダントを受け取る。

 

「…あぁそうそう、忘れてた。

深海本部から正式な許可が出た。

緊急事態に伴い、当部隊は呉第一鎮守府の指揮下に入る」

「…混成部隊、って事?」

「そうなる。こっちへの指揮はリ級を介してくれ。多分俺は前に出るから余裕がない」

「分かったわ。

そういえば、そっちはどのくらい深海棲艦がいるの?」

「一応開示許可は取ってある。

これが一覧だ。武装は艦娘基準で書いてある」

そう言って喜一はメモした紙を渡すと、演習場へ向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

喜一が演習場に着くと、そこには数人の艦娘と深海棲艦が砲撃訓練をしていた。

「…タ級、お前馴染むの早いな」

「イツノ間ニカ、ナ。

場所開ケルカ?」

「おう、頼むわ。

艤装展開っと…」

そう言って喜一が黒いもやに包まれると、新たな要塞棲鬼が姿を現した。

 

盾を完全に廃した代わりに分厚くなった装甲と、失った突撃槍の代わりの得物である大剣。

残っていた双剣の片方はオミットされ、手甲が追加されている。

さしずめ要塞棲鬼・第三形態といったところか。

 

 

「ンジャ、邪魔スルゼ」

そう言うと、喜一は海面に着水し、とりあえず標的の1つに狙いを定めて軽く海面を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのつもりだったが、予想以上の推進力で標的を飛び越えた。

「ウォォォォォ!?」

そして、喜一は顔面から海に突き刺さった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

工廠にて。

「ゴメーン、足回リノ出力上ガッタノ伝エ忘レテタ」

「「すいませんでしたっ!」」

「いや、いいんだけどさ…。

つかチ級。出力上がったんなら燃費悪化してんじゃねぇの?」

「大丈夫大丈夫。燃費ハソノママダシ、今マデノ装甲ノ内側ニ燃料入レタ基礎装甲加エタカラ!」

「えっと、補足説明します。

今までの要塞棲鬼だと、多少足回りに燃料を回すのに無駄な部分があったんです。今回はその部分を整理して効率化したのと同時に燃料を噴出して着火、強引に推進する機構を追加しました」

「コレデ要塞棲姫ニ追イ付ケル筈ダヨー」

明石の補足に、チ級が軽い様子で付け加えた。

 

「予想以上にじゃじゃ馬だったが…。

とりあえず、早いとこ慣れるべきだな」

そう言うと、喜一は再び演習場へと向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ちなみにこの後5回程頭から突っ込んだ。

 

 

※信濃の事故:進水式でヒューマンエラーによりバルパス・バウと内部の水中ソナー、プロペラ翼端を損傷した。

他にも工期の短縮のために工事を簡略化した結果として水密試験は最低限、防水ハッチを閉める訓練すら省略され、あまつさえ防水ハッチの隙間から水が漏れた。

竣工から沈没まで僅か10日。これは世界の海軍史上最も短い。

尚、元が大和型なので『潜水艦に撃沈された最も巨大な船』である。

ただ、空母化に伴い一部の装甲を薄くされたりしている。(出典:Wikipedia)




以上。

次の更新についてはノーコメント。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定