日本一のエースと天才バッター   作:四つ葉

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VS沢村

 

「アウト。」

相手の攻撃を終えた声が聞こえてくる

「……」

俺はこれから打ち倒すべき。投手を見る

「よーし。打てるようになってきたぞ。全然通用しないわけじゃねー。この回もばっちり抑えるぞ。」

そう言ってチームの士気を高めてる

本当いいピッチャーだよ。

こういうピッチャーは本当に手強い

そんなことが分かっているから手加減なしでいくぞ

俺はいつも打っている左バッターボックスに入る

息を吐き。そして深呼吸をする

「お願いします。」

そしてバットを構えると集中力を高める

こいつの球は気を抜くと詰まってしまう

力んでもいない

でも意識してしまうこいつのピッチング

沢村が1球目を投げるそれを俺は1球見逃がすと

ボールが変な方向に変化する

「ストライク。」

監督の声が聞こえてくるがすぐに状況を理解する

厄介だな。これ本気でミートできるか分かんねぇぞ

俺はスイングスピードのために900gの軽いバットを使っているのだが

こいつ本当にキレがいい。

「すいません。」

と俺は一旦間をおく。こいつのペースにさせてはダメだ

バッドをギリギリまで短く持って強いゴロを打つしかない

それにステップをする間もなさそうだからいつも追い込まれてからやってるノーステップ打法に切り替えるほうがいい。

バッターボックスギリギリまで前に来て俺はバットを構える

曲がる前に叩く

俺はそう判断する

大きいのはいらない

次のバッターにどう繋げるかだけ考えろ

そして沢村が投げる

真ん中へのボールいつもならギリギリまで引き込むところだがこいつの場合は悪手だ。

強いゴロを一二塁間へ

鋭いスイングでいつもより、前でボールを捉える

……手応えあり。でも重てぇ

すると鋭い打球ががファーストの右を抜きライトへと転がっていく

「しゃー。」

そうしてライトが捕球体制をみてこれ以上は進めないと判断する

「ナイバッチ。砂田」

ランナーコーチの先輩が俺に言う

プロテクターを外しその先輩に渡す。

「ありがとうございます。やっぱ相当厄介ですよ。あいつの球質。手元で曲がるから余計に分かりづらいですし……正直結構ギリギリでした。」

形をこだわらないで打ったのは本当に久しぶりだった

「……なぁ砂田。あいつの球そんなに打ちづらいのか?」

するとファーストの選手が俺に話しかけてくる。

「……天然もののムービング。ど真ん中に投げる分先輩の打ち気を誘い手元で曲がるボールに引っ掛ける。それも無意識でやってる分余計にタチが悪い。あれほどに打ちにくいボールなら150kmのストレートの方が打ちやすいわ。しかもクソ重たいし。」

球質自体は軽い方だけど気持ちが乗ってる分重たくていいボールだった

「……お前らは沢村の評価見直した方がいいぞ。一回は投手を諦めろと監督に言われたにもかかわらず前だけを見てしっかりと一歩ずつ課題をクリアしてチャンスをもらえたんだ。いい加減中学のプライドを捨てて青道野球部である事の自覚を持て。」

「……」

俺はそう言うとリードを取る。悪いけどこの雰囲気じゃ逆転される可能性がある。

沢村が足をクロスさせた瞬間俺は二塁へと走る。

「スチール!!」

俺は走りながらキャッチャーの方を確認するとやっぱりキャッチャーを球質に気づいていなかったのか後ろにボールをそらす。

それをみて俺は二塁をオーバーランしてキャッチャーの捕球をした後に二塁へと戻る。

盗塁成功かパスボールだな

「ナイスラン!!砂田!!」

すると先輩たちの声が1声大きくなる。悪いけど沢村この回で試合を決めさせてもらうぞ。

「……相変わらず早いね。」

「悪いけどそれ以上そっちのペースに持っていかれたら最悪逆転あったからな。早めに一点取っておきたかったんだよ。」

「それにしてももしかしてムービングボール?沢村くんが投げてるの。」

「あぁ。本人は気づいてなさそうだけど。でも相当キレてるぞ。」

と言って俺はリードを取る

バッターは増子先輩どうやら増子先輩も沢村の球質気づいたらしい

俺と同じようにコンパクトに振り抜くつもりらしい。

ここだぞ沢村。

この回が大事なポイントだ

踏ん張れるかどうかでお前は次第だぞ

てかこいつ本当ランナー見てないなそれなら

投げる前に俺はスタートをきる

「スチール!!」

これで三遊間破りやすくなりましたよ増子先輩

しかしカキィィィンと打ったボールは大きく切れファールボールになる

「……」

せっかく走ったのに俺は苦笑してしまう

ここで真っ向勝負を選ぶのかよ

俺は小細工して工夫しながらライトに引っ張るしかなかった

しかしこの人は力と力のぶつかり合いを選んだのだ

本当そのパワー羨ましいですよ増子先輩

でもそれが今では心強い

「……はぁ。仕方ねー見守りますか。」

俺は苦笑しながら二塁ベースに戻る。さっきとは打って変わってリードは小さく盗塁はなし。

任せますよ。最悪センターに飛んだらタッチアップ行きますから

一つ一つのプレーをしっかりこなす

それが今の俺に出来る事だった。

「増子先輩タイミング少し早いです。もうちょっと引きつけてください。」

声を出せプレー示せ

そして第3球目

コンパクトに振った打球がセンター方向に飛んで行き

スタンドへと運んでいった。

詰まった打球なのにホームランかよ

俺は三塁を回りホームまでゆっくりと帰る

こりゃいくらなんでも沢村でもダメージでかいだろ

と思いマウンドを見ると

笑っていた。

子供が新しいおもちゃを買ってもらったように笑っていた

「……」

もっと投げたいって気持ちが伝わってくる

「……やっぱ投手だよお前は。」

こっちも笑ってしまう

やっぱこういうの無名ピッチャーがいるからこそ面白い

「ナイスバッティングです。増子先輩。重かったでしょ。」

「あぁ。気迫のこもったいいボールだった。」

「まぁ、普通は強いゴロを打つのが正解なんですけど。それをホームランに持っていきますか普通。」

俺は苦笑してしまう

「増子、砂田。お前ら次の回から交代だ。増子は後から監督室にくるように。前園と渡部は準備しろ次の回から出すぞ。」

「「は、はい。」」

「はい。」

「気をつけて下さい。かなり気持ちの乗ったいい球なんで。」

と俺はこれでお役御免になる

後は声を出していくだけだった

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