日本一のエースと天才バッター   作:四つ葉

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奇策

関東大会一回戦

青道対横浜港北学園との試合は7回の表が終わって6対2で青道高校が負けていた。

「お疲れ様です。丹波さん。」

「あぁ。ありがとう。」

俺が水を差し出すとそれを飲む丹波さん

……本当嫌な戦い方をするチームだな

6回までの丹波さんの球数は109でかなり投げさせられていたしな

粘って粘って後半にしぶとく攻撃してくる

こういう時本格派の投手がいたらいいんだけどな

「……砂田この回からライトには入れ。」

「はい。」

と準備はしていたので

「そしてピッチャーは降谷に変える。」

その一言でベンチが少しだけ凍りつく

「降谷?あの時御幸先輩といた人でしたよね。」

俺は小声で御幸先輩の方を話す。

「……どんな球投げるんですか?」

「まぁ、見ればすぐに分かるさ。」

「?」

まぁ俺は守るだけだしいいんだけど。

そして降谷がマウンドへと向かうとチンタラチンタラと歩いて

……あいつ。

少しだけ青筋が立ってしまう。

俺はこういったプレイヤーはあんまり好きではない。

できる限りは走るべきだし、特に守備を待たせることが嫌だった

あいつ後から注意しとかねぇと

まぁ問題は投球内容だからいいんだけど

でも一軍に上がるくらいのピッチャーってどういうことだ

そうして迎える一球目

ズバンと唸りをあげるストレートが御幸先輩のミットに収まる

「……」

さすがに俺も声を失う

まじかよこの速さで同学年かよ

そしてテンポよく投げる降谷に言葉を失う

でも思った以上に早く弱点は見つかった

バッターが振ってくれているがストライクはほとんど入っていない。

それに指先から放たれるボールはかなり指に負担かかるはずだ

……まぁでもこの試合まではなんとかなるか

俺はため息をつく

投手問題解決とはいかないけど

継投でやりすごせばなんとかごまかしながらやっていけそうだな

後は点数取ってやるか

8回の攻撃は俺からの打順である

そして降谷が三者3球三振で抑えると球場中が湧く

……認めたくはないけど

「ナイピッチ。」

ベンチに戻るさいに声をかける。

そうして先頭バッターなので俺はヘルメットとグローブをつける。

せめて先頭バッターの俺は出ないとな。

3球の投球練習を投げた後

バッターボックスに入る。野手の位置は

「……は?」

ライトまでもがかなり左に守りレフトはほぼライン上に近い。引っ張り無視の流し打ち専用シフトに少し戸惑ってしまう。

これには観客もざわめき戸惑いの声が隠しきれない。

「……一年相手にここまでやるかよ。」

といってもこれは本当に打ちづらい。とりあえず一球見よう

そうして俺はバットを構える

そして一球目

外角の低めのいいコースに初球は決まりワンストライク

これ相手外角で勝負する気かよ

「すいません」

いったん間をあけるベンチの方を見ると

ただ見守っている監督の姿があった

……いったん仕方ない。

ギャンブルするか

俺は打席に入るといったん内外野の位置を確認してみるとあることに気づく

内野は引っ張り警戒シフトかよ

本当厄介だ

力んで引っぱったボールは内野が裁き

落ち着いて流したボールは外野に任せる

よく考えられている

だから一つだけ空いているスペースそこを狙おう

ピッチャーが振り返ると俺はバントの構えを取る

セーフティーで三塁線ぎりぎりにそしてコツンと音がなるそして分かる

やばい勢いを殺しすぎた

そのまま全速力で走り俺はそのまま一塁へ走るここで先頭バッター出塁と出塁しない場合はかなり違う

しかし俺が一塁を駆け抜けた時にはファーストグラブにボールが収まっていた

「アウト。」

俺は少しだけ点を仰ぐ

観客からはなんで引っ張らないんだよとかヤジが聞こえるが

俺はベンチに戻る

「……やられたな。」

結城先輩に声をかけられる

「えぇ。ちょっと勢い殺しすぎました。」

俺はため息をつく。まさかここまで警戒されていると思ってなかった

「……大丈夫だ。多分このシフトはもう使えないからな。」

結城先輩もそう思うか

「多分無理やり引っ張らせて内野で抑えるシフトだったんですけど。俺が弱点ときましたからね。でも塁にはでときたかったです。」

少し弱すぎたセーフティーバントに少しだけ反省してしまう

ちょっとだけプッシュぎみにすれば良かったな

「でも、ここまでする必要ってありましたか。点差4点差ありますけど。」

「いや。ここでランナーを出したら勢いを持って行かれるからな。この時だけの特別なシフトだろう。どうしても流れを切りたい時のためのな。」

「……それにまんまとしてやられたわけですね。」

考えすぎたっていうのもあるか

クソ。ここで引っ張ってどうすんだよ。

次のプレーに切り替えないと

と俺は少しだけベンチに座り込む

打ち取られるのが悔しい。

思い通りのバッティングができないことが悔しいんだ

「……やべ。こんな悔しいと思ったこと久しぶりだ。」

「……あぁ?」

すると笑ってしまうやばい。

「……やば。めっちゃ楽しい。」

そんなことを呟いてしまう

「……お前どMか?」

「なんでそうなるすか。」

「いや。やられて喜ぶって。」

「……だって本当に楽しいんですもん。最近絶好調でちやほらされてたし、。なんか久しぶりに負けたって思いましたし。」

あの市大戦以来か当たりが出なかったのは

「なんかこういった時ってすげぇ燃えません?」

「……お前やっぱ変だろ。」

伊佐敷先輩が俺を呆れたように見る。

「それと降谷。お前マニキュア持ってるか?」

「マニキュア?」

「お前その豪速球かなり指先の負担かかるだろ?もし持ってなければ一つ買っておいた方がいい。多分今の指先はお前のストレートについていけないだろうしな。お前も爪が割れて途中降板とか嫌だろ?」

「……」

するとコクリと頷く降谷

「だから試合前には絶対塗っといた方がいい。まぁ今日は仕方ないけどな。」

すると倉持先輩がセカンドフライを打ち上げスリーアウトになる。

「……怪我だけは気をつけろよ。お前はセンスにまだ体が追いついてないんだから。」

グローブを持って俺は守備に行く。

「まぁ、後一イニング抑えたら先輩方と俺が初勝利を取ってやるから頑張れよ。」

「……(こくり)」

「おい。砂田。」

「だって負ける気ないですし。このまま2点で終わっていいんですか?」

俺が笑う

「それに、やられた側としてはやり返さなければ気が済まないですし。」

「お前絶対そっちが本音だろ。」

「…まさか。」

「おい。今一瞬の間があったぞ。こいつ。」

でもほんとうにやり返さなければ気が済まない

……チームとしても、さっきの借りも

 

最終回2アウトランナー一塁

6対5で青道が怒涛の後ろについていた

ランナーの俺は最終打席でもう一度セーフティバントを試み成功

見事にやり返すことに成功した

バッターは九番の白州先輩

サインは初球エンドラン

俺はリードをとるこの人はクイックも牽制もそこまで上手くはないことはランナーコーチをやっていて分かっている

ファーストランナーコーチをやらせてほしいっていったのもこの為だ。そうすることによってクイック牽制を見ることができる

そしていつも通りスタートを切る瞬間投手が投げる

「スチール。」

俺はバッターの白州先輩を見ると堅実に一二塁間を抜いていき俺は三塁へ到達する

最近この組み合わせ多くなってきたよな

俺が塁に出て盗塁かエンドラン

バントが殆どない積極的な野球がこの8、9番で展開していた。

てかこの人とかなり平均だけどもこのチームでもクリーンアップ任せてもいいくらいに上手いぞ

俺はヘルメットを一度触ると白州先輩と倉持先輩が頷く

監督のサインはなくこのチームでも俺と白州先輩そして倉持先輩しかできないプレー

初球からいきましょう

「スチール。」

白州先輩が走りだすと俺は大きく二次リードをとる。どのタイミングでスタートを切るかが問題になってくる

そして倉持先輩がバントした瞬間に俺も走り出す

エンドランスクイズ

俺たちが中学校の時やっていたオリジナル作戦だ

条件は足の速いランナーが3人揃っていること

倉持先輩のセーフティバントはプッシュぎみにする為にピッチャーとファーストの間を狙った絶妙なバント

……あの人セーフティーうますぎるだろ。要求通りのバントだぞ

思惑どうりに進むそしてファーストが掴むがファーストカバーは誰もいない

普通はセカンドがいくのだがそれはできないはず

なぜならサードランナー牽制のためにピッチャーとセカンドカバーしにいったのでカバーにいけないのだ

そうして俺はホームに帰ると横学の守備はどこにも投げられずオールセーフとなる

「うぉぉぉお追いついたぞ!!」

「……今のすげぇ狙ってたのか?」

と俺はベンチに戻る途中

「……ねぇ。これ考えたの砂田?」

小湊先輩に話しかけられる

「はい。中学校の時に俺が一番されて嫌なことを自分達のプレーに取り入れたんですけど……ここまで上手くいくとは思いませんでした。」

「…うん。性格の悪さが滲みでたプレーだったよ。」

「…それはどーも。後はお願いします。」

言いながら俺はベンチに戻る

この回に試合を決めないとこの回に降谷に代打だしたから今のベンチには川上先輩しか残っていないはず。

カキィィィン

「……考えるだけ無駄だったか。」

小湊先輩の打球はセカンドの頭上を抜けていった

青道高校7対6横浜港北高校

青道高校関東大会一回戦突破

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