日本一のエースと天才バッター   作:四つ葉

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インコース攻め

「はぁ。」

関東大会二回戦後ミーティング後食堂俺は少しため息をつく

前橋郁栄相手に9対7で負けた

完全に投手陣の脆さを痛恨してしまった

「……はぁ。まさか話を聞いてなかったとはな。」

先発の降谷が爪をやり2回途中で降板その後連投の丹波先輩が3回4失点。そのあと引き継いだ川上先輩も打たれ全員で9失点

打線の方も奮起はしたが結局力負けた

俺はスタメン起用で3打数1安打1死球

それで6回に坂井先輩と交代になった

「打高投低の高校野球だけど投手力って本当に大事なんだよな。」

こういった時エースの不在は本当に厳しいことがある

降谷は今日の件で二週間の二軍降格

俺は坂井先輩とのレギュラー争いが始まった

ぶっちゃけ一年の夏に一軍のスタメン争いをしている俺は異例らしい

御幸先輩でさえ試合に多く起用されるのは夏大会前でのスタメンが怪我で離脱したのがきっかけらしい

それにインコース攻めが多くなってきたな。

外角が得意コースだとわかってきたのだろう。インコースも俺は苦手ではないが打者の正面のライナーが多い。

もっとウエイトつけなくちゃいけないかな。

俺はため息をつく

パワー不足

この学校に入ってから痛いほどおもいしらされる俺の壁

長打が打てるようになってきたのは俺はボールに力を加えることが上手くなってきたからで自分にパンチ力があるからじゃない。

「……はぁ。」

「なにため息ついてんのよ。」

すると美帆が隣に来ていた

「あぁ。インコース攻めのこと考えてたんだよ。俺が外角得意っていうのがバレてきたからインコースの対応の仕方を考えてたんだよ。」

「なんで?内角が苦手ってわけじゃないじゃん。」

「まぁそうだけどさ。なんていうか欲が出てしまってるっていうか。」

「……欲?」

「なんか少しずつ長打出るようになっただろ?でもインコースのボールに押し負けてるように感じるんだよ。外角のボールは面白いように飛ぶから。」

俺は外角の球には力が入りやすくてインコースの球が力が加わりにくいんだよな。

「だからポイントが掴みづらいっていうか。フルスイングするのは俺の強み全部消えるしスイングスピードを生かして引っ張る方法はないのかって思ってな。」

「……ふーん。」

「なんか素振りでも上手くイメージ湧かなかったしどうしたらいいのか分からねぇんだよ。」

特に俺は左バッターだ。もし強く引っ張ることができれば進塁打やゲッツーになる確率が全然減る。

「うーん。でもマシンバッティングじゃあ引っ張る事できるんだよね。」

「あぁ。でもやっぱり変化球とか対応しているとなんかなぁ。てかお前ってインコースにはあんまり投げなかったよな。ほとんどアウトコースの球ばかりで。」

「うん。私の緩急にとって最大の弱点って引っ張られることだから。」

「……どういうことだ?」

「私って中学の時緩急でゴロを打たせてたでしょ?でもねインコースになげると自然にライナーやフライになりやすいんだ。」

「……どういうことだ?」

「私の球ってコントロール重視だから芯に当たればそれなりに飛ぶでしょ?」

「あぁ。だからボール半個分したとか外に外してたって言ってたな。クイックやリズムでもタイミングを外してたっていってたし。」

「うん。でもね一番嫌なのは前で捉えられることなの。私のピッチングはカーブやチェンジアップでタイミングを外して差し込ませるピッチングだったから。」

「おかげでセカンドにはボテボテの打球処理が難しいボールばっかり飛んできた。」

……ってあれ?それって数日前どこかで聞いたような

そういや小湊が沢村がマウンドに立った時難しいボールがよく飛んでくるって

「それって沢村のムービングと」

「うん。似たような感じ。だから私は絶対にフライを上げられるのを嫌ったの。だからアウトコースに固めて時々アウトハイで三振を狙う以外は高めの釣り球も投げなかったでしょ?軟式だから低めに少し動く球でタイミングをはずせばゴロになるの。」

「……ちょっと待てお前もしかして。」

「うん。三年の春からツーシームも少しだけ混ぜてたの。取材やチームメイトには黙ってたけど。」

「……」

こいついつのまにか味方まで騙していたのかよ

「……つまりどういう事だ?」

「つまりね。沢村くんの打席みたいとはいかないけど少しだけポイントを前にすればいいんじゃないかな?あの時ムービングでもきっちりと芯で当たってたでしょ?多分だけど健斗にとってそこが一番ボールに力が加わりやすいんじゃないかな?あの時の沢村くんの球カットボールに近かったから多分内角でも通用すると思うけど。」

「……」

あの時のポイントは確か

「……悪いけど美帆。」

「うん。いいよ。」

それだけで分かる関係。本当頼り甲斐のある相棒だよ。お前は。

 

「……」

カキィィィン

俺が川上先輩から打ったボールはラインを切れる

「……まだちょっと早い。もう少し引きつけて。」

「……」

球出ししている美帆からアドバイスってかヤジが飛んでくる

「……」

言われた通り少しだけ修正して振ると

少しバットからボールの重みが伝わってくる

そしてライン線ギリギリに鋭い打球が飛ぶ

「……うん。まだ正確ではないけどいいんじゃない?」

「まぁ、5本に3本は入るようになってきたしな。」

インコースを思いっきり引っ張ることが少しずつできるようになってきている

「ありがとうございました。川上先輩。」

「いいよ。俺も少し投げたかったから。」

と自主練に付き合ってもらった川上先輩にお礼を言う

俺は一息いれると

「そういえばお前、マネージャーの仕事は?」

「もう終わってるわよ。ついでに吉川さんの仕事も減らしてきたわ。」

「あぁ、確かドジっ子マネージャーの?」

と電話で愚痴をこぼしていたので覚えていた

「うん。私も球拾い手伝うわ。」

「サンキュー。」

と外野にとんでいった球を拾いに行く。

「……お前ら仲良いな。」

そんな川上先輩の声も届かずに

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