日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
4回の裏
「笑っているな。」
「うん。笑っているね。」
俺はキャッチボールをしながら春市と話す
「……試合好きなのはわかるけど怖いな、」
俺たちが話しているのは大阪桐生のピッチャー館さんのことだ
笑い顔が本当に怖い
怖いっていうか恐ろしいっていうか
でも
「試合出たいなぁ。」
あんな風に笑ってたらこっちまで出たくなるな
「てか回が増すごとに球威上がっているな。」
「うん。さすが去年の準優勝投手なだけあるね。」
「尻上がりに調子を上げるピッチャーか。しかも多少甘いコースにいってもストレートの力で押し切ることができる。それにあのスライダーもそうとうきれてるし。速球派ピッチャーとしてお手本と言っていいんじゃないか?」
まぁ少しだけ気になるところは
まだ一球も決め球であるもう縦スライダーを一球も投げていないってところか。
そして次のバッターの坂井先輩も三振してしまう。
立ち上がりも要所はしめてるし球数もここまで71球
初回の小湊先輩のが効いてはいるけどそれでもいいペースだ
「……ん。これくらいでアップはいいや。悪いな付き合わせて。」
「ううん。大丈夫だよ。」
俺と春市はベンチに戻る。9点差あるからいつでもいける準備はしてあったけど
まぁ、打たれないだろうな。
降谷は打たれないだろう
何か御幸先輩隠してるそうだったし
そして5回の表
先頭バッターは四番館さん
てか四番でエースか珍しいけど
実力は確かなんだよな
2打数2安打1四球
ストレート系を広角に弾き返せてライトフェンス直撃のツーベースを打たれている
「……ここ重要だな。」
感覚で分かる
この場面は流れが変わるターニングポイントだと
かなり打ち気なピッチャーだし
まぁ初球は見逃すからどのコースっていってもど真ん中だろう
そして初球
「……えっ?」
流石に俺も絶句してしまった
ゆっくりと山並みに投げたボールがキャッチャーのミットに収まる
でも意図は分かった
次は打ち気のバッターを沈む球で空振りを取る気だ
となると球種はフォークかスプリットどちらかだろう
……上手いなこの人
リードが強気で相手がこっちのペースに乗せやすい
さて御幸先輩はどっちを選んだんだろう
少し楽しみしながら俺は次の打席をみる
そして第二球目
ストレートのように早い速球のように見える
あぁそっちか
俺は見た瞬間確信する
そして打者の手元で急激に落ち、御幸先輩が捕れずに後逸してしまう
……やっぱりスプリットか。
もうこれで勝負は決まったのも同然だろう
「沢村、お前アップしとけよ。次の回からお前投げるんだから。」
「……」
するとジッとマウンドの降谷を見つめる沢村
「……こいつ。」
俺はため息をつく。本当にこいつら話きかねぇな。
そして思った通り館さんは高めの釣り球で空振り三振
てか、こいつ少し表情かたいよな
……もしかして緊張をごまかそうとしてるのか?
まぁ最初の登板でもあるし緊張するのも無理はないけどさ
ちょっと意外だなこいつ
案外緊張とは無縁そうなのに
そして降谷が三者三振させて帰ってくる。
こいつがペースにはまったら本当怖いよな
俺は笑ってしまう
「降谷ナイピッチ。次ピッチャー動揺しているから。初球の甘いストレート狙っていけ。」
「えっ?」
「一発打ってトドメ刺してこい。」
するとコクリと頷き打席に入っていく
さてと俺はランナーコーチはもう交代してしまったし少し沢村のことを御幸先輩と話すか
「御幸先輩。」
「ん?どうした?」
「いや。沢村が少し硬いんで少し緊張ほぐさないとまずいのとちょっとムービングのキレが上がっている分少しだけ変化が小さくなってます。その代わりといってなんですが、打者を立たせない場合にはインコースの球はフォーシームとムービングともに投げ込めてたのでインコースはガンガン使っていいと思います。」
「……へぇ〜」
「ってかインコース以外沢村は投げれる球ないと思います。」
ぶっちゃけ沢村といえど甘いコースは厳禁。アウトローに構えると高めに浮くし、今のところできるのはこれで精一杯だ
「あとフォーシームなんですがムービングと同じで暴れますよ。俺完全捕球一回もできなかったので。」
「……お前がか?」
「……なんていうんですか?綺麗なストレートなんですけどムービング以上にタイミングが掴めにくいんですよ。どちらかというと沢村のフォーシームはジャイロボールに近いですから尚更取りづらくて。打席に立った時も急に加速したっていいましたよね?あれをどんどんテンポよく投げ込んできますから。……受けてみたら分かりますよ。沢村のストレート。」
と話していると
大きな金属音が聞こえてくる
そして
「あいつ打つ方も化け物かよ。」
俺は笑ってしまう。あいつ凄すぎるだろ。
センター後方にぶち込みやがった。
結構冗談で言ったのにそれを実行する方も凄いよな
「……御幸先輩は初球難しい変化球打ってピッチャーゴロだったのに。」
「うっせ。」
「……すいません。口に出てました。」
まぁ、降谷を立ち直らさせたのは完全に御幸先輩のおかげだが
「すいません。時間とらせてしまって。」
「あぁ。大丈夫。沢村がテンパってるって情報はありがたかったから。」
「じゃあベンチに戻ってます。」
と俺はベンチへ戻る
そしてこの試合はついに後半を迎える