日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
修北高校との一戦
俺は8番ライトとして出場していた。
「お願いします。」
5回の第四打席先頭バッターとして打席に入る
ここまでは3打数3安打
絶好調と言ってよかった
……息を吐き集中を高める
視野がいつもより広くなり構えている状態でどこが穴になっているのかがよく分かる
『私は健斗がいないところで野球やっても意味ないのよ。私がマウンドで立っていられたのは、健斗がいるからだもん。』
……嬉しいこといいやがって
お前からその一言を聞いて俺はやる気が満ち溢れていた
俺にとって一番の投手は相変わらず美帆である
そんなこと言われて燃えないわけないだろ
するとピッチャーが振りかぶる
ボールの回転、向かってくるスピードがいつもよりも遅くみえる
……そしてインコースに厳しめに入ってきた球に対して俺はギリギリまで引きつける
ここまで全部流してヒットにしてきたのでインコース攻めに切り替えたのだろう
でもそれよんでたわ
ノーステップで振り出したバットは少し前で捉え金属音が響く。一塁線へ強く引っ張るとファーストが飛びつくが間に合わないでライン線に転がっていく
チッ少しだけ早すぎた
流し打ちシフトで右中間を狙ったのに
しかし打球は思った以上に早くライトの横を抜ける
これはついてる
俺は全力で走るがやっぱり体が重く思った通りに走れない
俺は二塁へ向かってランナーコーチを見るとランナーコーチの楠木先輩は止めている。
俺はオーバランを大きくとりそれで二塁に戻る
……クソ。
少し疲れが溜まってきている。中学校時代は7回までだったからダブルヘッターでも14回までしかなかったからな。
少し息を吐きサインを見る
すると送りバントのサインが出される。
リードを取りそしてコツンとゴロを転がす丹波さんでも、
強い。と思いながら走る。
三塁ベースにスライディングをするとボールが一つに送られる。
ふぅと一息をつきサインをみると
……了解
俺はつばを一度触る
そして一球目
大きなリードをとりそして
足をクロスした瞬間走り出す
「スクイズ。」
そしてコツンと当てられたボールをピッチャーがとった瞬間に滑り込む
これでまた一点追加することになる
これで俺は今日8回塁に出て得点圏に全部進んでいる
……さすがに辛いぞ
ここまで当たることは俺は珍しかった
……でもその分足が動かないようになってきたけど
俺はベンチの戻ると先輩や春市や沢村から話しかけられた後に紙コップに入れた水を飲む
……さすがにきついな。
高校初めてのダブルヘッターの試合に俺は結構足にきていた
「……坂井準備しておけ次の回砂田と変えるぞ。」
「は、はい。」
「砂田はダウンをしっかりしておけ。足に疲労が溜まっているだろうからな。」
どうやら監督も気づいていたらしく坂井先輩に声がかかる
「……」
正直俺は限界に近かった終わった途端に一気に疲れが押し寄せる
悔しさはあるけど、とりあえず今日はアピールを続けてきた。
6ー5
そして四球3つに盗塁3つ
……こんなにも疲れが出るものとはな
「健斗くんお疲れ様。」
「ん。でも、結構辛いなやっぱり。」
「そりゃあんだけ走ってたら疲れるだろうよ。」
と倉持先輩が珍しく俺の方へ来る
「大丈夫か。後半結構スピード落ちてたと思うが。」
「怪我とかはないのでただのスタミナ不足ですね。合宿中の疲れがまだ昨日だけじゃ抜けっきってなかったので。」
「お前大阪桐生の練習にも参加してたからな。まぁ、でもいいアピールにはなったんじゃないか?」
「……まぁ、そうですね。」
と素直に頷く
でも、もうちょっとスタミナつけないとな。
疲れ切った体を見てそう思う。
……でも2試合持ってないんだよなぁ
「そういえば。これ。」
「ん?」
すると黄色い液体の入ったペットボトルが春市から渡される。
「何だ?」
「前田さんからスポーツドリンクだって。」
「……美帆から?」
「うん。」
あぁ、あれか
俺はそれを開けると一口飲む
程よい酸味と甘みが疲れた体に丁度いい
「……なんでスポーツドリンクはうまいのに料理は下手なんだろう。」
レモンと蜂蜜、それに隠し味で季節の柑橘系の果物の搾ってあるスポーツドリンクはとても美味しい
ついでに俺の好物の一つでもある
「……美味しいの?」
「あぁ。俺は好きだな。あまり甘いスポーツドリンク好きじゃないから。」
「えっ?そうなの?」
「あぁ。だから美帆がよく作ってきてくれてたんだよ。あいつはジュース自体飲めないから。」
甘いのが嫌で自家製のスポーツドリンクを作っていた
すると金属音が聞こえフェンスに直撃する音が聞こえる
「……相変わらずすげぇ打線。」
俺は結城先輩の姿を見て苦笑してしまった
6回の裏
「まずは先頭切っていきましょう。」
と大きな声で声援を送る
……丹波さんが崩れるとしたら後半
狙い球を絞ってくるころだ。
そして相手打者に対して一球目
丹波さんが投げたボールがストンとシンカー気味に落ちる
「……えっ?」
俺は目を見張る
ストンと落ちたボールを俺は初めて見た。最近宮内先輩が丹波先輩の新しい変化球を受けにいくのが多いことは知っていたけ
なんとか夏に間に合っていたのか
すると勢いに乗った丹波先輩はこの回を三者凡退で押さえ込む
「ナイスピッチです丹波さん。」
と水を渡す川上先輩
その姿を見ながら一塁ランナーコーチをするために出る
俺はヘルメットを被り一塁へと向かう
……本当いい投手だよ
元々力を出し切ればいい投手だと思う
メンタル面が少し弱く一度打たれ始めたら止まらなかったけど
どうどうと投げ込めているしな
今年のエースはほぼ丹波さんで決定だろうな
チームからの信頼感
それが圧倒的な支持となる
……それがどんな形でも
同じように苦しみ、踠きそして試練を乗り越える
……その隙間に俺は入ることだできない
たった3か月であの隙間に入ることは本当に不可能だ
するとプレイと審判の声が聞こえる
さて、俺は俺のできることをしないと
バッターは白州先輩。さっきは御幸先輩の三振でイニングを終えたからな
すると初球の甘く入ったボールをセンター前に弾き返す。
「ナイバッチです。」
「あぁ。」
「結構甘い球多くなってきたんでライナーゲッツーだけ気をつけてください。」
得点差が離れているので盗塁のサインはないだろう
そして次の坂井先輩も初球を捉えるが
サードの真正面に飛んでいく
「バック。」
すると白州先輩は戻る。サードライナーでワンナウトランナー一塁。
普通ならバントだろうけど
バント下手なんだよなぁ丹波さん
俺はサインを見る
監督からのサインは
ノーサイン
多分三振狙いでよほど疲れを溜めないためだろう
でも一つだけ気になるといえば
めちゃくちゃ打ちにいくよな
「……あっ!!いつのまに白州先輩が出塁してる。」
「見とけよ。」
「綺麗なセンター返しだったぞ。」
沢村の言った言葉に白州先輩にさすがに同情してしまう
一見地味に見えるがかなり、丁寧なプレーをする
出塁率も高く守備範囲も広い
まるで外野手のお見本みたいな選手だ
「……そして坂井先輩はベンチに。」
「サードライナーで悪かったな。」
いや、いい当たりだったんですけどね。
まぁアレは普通ならセンター返しした方が良かったけど
……まぁせめてライト方向に飛ばしてほしかったけど
そしてリードを取り始める白州先輩
俺はモーションを盗んでいるから盗塁のサイン出されたら大体の人は成功させられると思う
「……」
そしてフォームに入る前に
「GO」
と一言言った瞬間ピッチャーが投げる
投げたボールは一直線に丹波さんに向かっていき、
丹波さんの顎に直撃した
「……えっ?」
それは声をあげる暇さえなかった。
俺はただ少しだけ呆然としながら
それでなぜか冷静だった
全員が駆け込む中で
「秀明、信二タンカー持ってきてくれ。」
「……えっ?」
「いいから。あの調子だと動けないし何より……早急に病院に連れていかないとまずいから。」
「……あ、あぁ。」
「できれば救急車も。悪い。今携帯持ってないから。」
「……あぁ。」
とそうした中で急いで二人は行動に移す
夏の予選まであと二週間
暗雲が青道野球部に押し寄せるのだった