日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
室内練習場に集められた俺たち
組み合わせ抽選会の結果と昨日の丹波さんの怪我についてのことだった
「うぉこんなにあるのか。」
「まぁ東西分かれているぶんまだマシな方だよ。」
「大阪や神奈川とかはこれ以上だからな。5回勝てば全国大会出れると思えばまだマシだ。」
と俺はトーナメント表を見ると
準々決勝で薬師と当たることが分かる
「……準々決勝小柴のいる薬師か。」
「えっ?市大じゃないの?」
「いや。わからん。なんか学校側が結構本気で甲子園を目指しているらしいぞ。今年から野球推薦枠を設けてきたらしいし、中学の時有名だった三島と秋葉が薬師に言っている。油断していると喰われるぞ。」
あの二人も野球センスに関してはずば抜けていた
何よりも本当に小柴の勝負強さには何度も助けられていた
俺たちのほとんどは俺と小柴がとった点だ
……負けるはずがねぇよな。
俺はあいつのことは信頼していた
「……でも心配なのは先輩達だろうな。」
「……うん。」
さすがに引きずっているらしいし。
……大丈夫かな
「お前らも聞いているだろうが、昨日のデットボールで丹波の顎の骨にはヒビが入っている。」
監督の言葉に全員が苦しそうにしている
全治3週間
脳は無事だったので少し安心だったのだがそれでも昨日のことは全員がどこか思っていることがあるだろう。
話を聞いているけど、それでも
……丹波さんがいないのは本当に士気が低くなるよな
それでも今年の夏はもう始まってるし今更ごたごたするのは筋違い
この中の戦力でどう戦うのかが問題だ
「……これはチームの監督としての意見であり、決して一個人の感情としての意見ではない。」
と言ったあと
「エースナンバーは丹波に渡す。あいつが戻ってくるまでチーム一丸となって戦い抜くぞ。」
すると一気に全体が引き締まる
全治三週間か
今大会で復帰できれるか微妙だな
でも士気は少しは高まっているし少しの間は持つだろう
それには沢村と降谷にも出番が回ってきやすくなる
これはスタメンに執着するよりも沢村達の練習に付き合う方がいいかもな。
「……頼んだぞ。」
「「「はい。」」」
「……沢村そこ違う。公式をしっかり覚えとけよ。」
「ぐぬぬ。」
「ねぇ。降谷くんそこの公式違うって言ったよね。」
と食堂に降谷、沢村、春市と秀明、信二と美帆、そして吉川さん勉強会を開いていた
と言うものも中間テストの成績を俺が見てたんだが
全部赤点と言う偉業をこの二人は成し遂げていたのだ
「お前ら学生の本業が勉強だとわかっているのか。」
「本当やる気あるの?これ乗り越えないと追試があるんだよ。練習時間が減ることがどれだけ無謀なのかがわかっているよね。」
「……健斗くん、前田さんそれくらいに。」
と春市が止めるけど
「……全く。こいつらは多少厳しくしないと言うこと聞かないからな。降谷は前科があるし。」
「あはは……」
と苦々しく笑う春市、もうフォローする気は無いようだ。
「お、おい。俺から頼んでおいたのはいいが、そんな厳しくしなくても。」
「でも、仕方ねぇだろ。丹波さんが怪我している中だったら必然的にこいつらにも出番は回ってきやすくなる。そのために補習なんかなられたら困るんだよ。」
俺がそう言うと美帆も頷く
「そういや、お二人は成績って確かいいんだよね。確か砂田くんって中間の時にクラスで一位だったよね?」
「えっ?そうなの?」
美帆が意外そうな顔をしているけど
「それを何で吉川さんが知ってるの?」
「……沢村が怒られた時に俺と比較されてるんだよ。お前のせいで俺のプライバシーがなくなりつつある。」
「実際野球部のお手本として先生受けいいからな。」
信二の言葉に意外そうにする降谷
「まぁ、普段の俺から見たら信じないだろうけどな。」
「……でも、意外ですね。強豪校って沢村くんみたいに寝ている人ばっかりだと思ってました。」
吉川さんの言葉に苦笑してしまう
「まぁ、確かにそうだな。あんまりそう言う人は少ないかもな。……でも、俺にはそれができないわけがあるからな。」
「できないわけですか?」
「負けたくない奴がいるんだよ。」
俺は苦笑する。
「……そういや、何で食堂なんかで勉強会しているんだ?」
「いや、マネージャーは入りにくいだろ?降谷と沢村教えるためにはさすがに美帆の力が必要だったし。」
「……まぁ、そうだけど……」
「てか、信二が沢村にあんなこと言ったのが驚いたけど。」
こいつも普通なら悔しいはずなのに沢村の勉強に付き合ってあげていた
沢村を一年の代表として認めたのだ
「まぁな。こいつが頑張っているのは知っているしな。」
「その頑張りを少しでも勉強が普段の態度に生かしてくれないかな。」
美帆がそんなことを言う。
「ほら期末まで後少ししかないんだ。死ぬ気で叩き込め。」
「降谷くんももっとスパルタでいくからね。野球も学校生活も、勉強も。」
「……鬼だ。」
秀明の言った言葉に俺らは顔を見合わせる
「「まだまだぬるいだろ(でしょ?)」」
「沢村くん、降谷くん頑張って。」
「天使や天使がおる。」
そうして、大会前の俺たちは勉強に費やす羽目となった。