日本一のエースと天才バッター   作:四つ葉

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開会式

「降谷、ふざけんな。」

東京都大会開会式終了後沢村が降谷を背負っていてぐちぐち文句を言っていた

とは言うのもスタミナがない降谷が開会式中ずっと沢村の方に倒れていたのである

「……お前よくそのスタミナでピッチャーできるな。」

「……」

汗の量が凄いな

少し酔っていてもやっぱり北海道からきただけはあるか

東京の暑さには慣れていくしかないからな

しぱらく歩くと肩をトントンと叩かれる

後ろを振り返ると胸にYと書かれたシンプルなユニフォームを着た見た目が完全に女子みたいな小柄な男が立っていた

「久しぶり、キャップ。」

「……おう。久しぶりだな。小柴。」

そこには元チームメイトの小柴がいた

「……お前また縮んだか?」

「変わらない。キャップが背が伸びただけ。」

「お前本当に変わらないな。」

「野球では変わっている普通の打率も3割程度なら載せられるようになった。」

「……お前それ絶対他の人に言うなよ。」

3割打てない人結構いるぞ。

まぁ俺も打率は6割超えてるけど

「そんで、何の用だ。」

「……別に見かけたから。挨拶しにきた。」

「あぁ、そう。」

「そうなのだ〜。」

「そうなのか。」

「うん。そうなのだ〜。」

「無限ループになるからやめようぜ。」

のんびりとした性格だから小柴に合わせてたらきりがない。

でもこう見えても勝負強いバッティングをするんだよなぁ。

「む〜。楽しかったのに。」

顔を膨らませているけど

「……お前の価値観いつに立っても分からないわ。」

マイペースすぎて本当に分からない

「でも、久しぶりに会えてよかった。最近LINEしか話せなかったから。」

「おう。こっちも練習や期末あったしな。それで、そっちはどうだ?」

「うん。楽しいよ。バッティング練習多いし。」

「お前本当バッティング好きだよな。」

「ノックのほうが好きな変態はおかえりください。」

「……お前ぶん殴るぞ。」

「……そうしたら女声で痴漢だって叫ぶけど?」

「ちょ。」

「冗談だよ。キャップにそんなことする訳ないよ。」

と笑う小柴に

「俺じゃなければやるんだな。」

とため息をつく。

ってかこいつ本当に女に見えるけど男なんだよなぁ

好きな食べ物はレバニラ炒めと餃子というかなりオヤジ臭い点を除いては

「……はぁ、まぁ今度会うのは準々決勝か。どうせ上がってくるんだろう?」

「もちろん。僕たちには秘密兵器がいるから。」

「……秘密兵器?」

「うん。楽しみにしてて。僕たちは青道にも負けるつもりはないから。」

といってまたフラフラと人ごみの中に紛れていく小柴

あいつ大丈夫かよ。と前を見ると

………やばい逸れた。

 

「今日は本当にすいませんでした。」

戻った後こってり監督から絞られた後に俺たちは練習後食堂に集まっていた

「別にいいけどよ。お前って時々抜けてるよな。」

伊佐敷先輩の言葉がぐさっと刺さる

「小柴くんって薬師に来てたんだ。」

「お前知らなかったのか?」

「うん。私興味なかったし。」

「…まぁお前がそういうやつってことは知ってたけどさ。」

こいつなもう少しチームメイトに興味持てよ

「でも最悪に近いね。小柴くんが同地区なんて。」

「そうだな。」

「はぁ?どういうことだ?」

「……10人で全国制覇できたのはほとんど小柴のおかげなんですよ。……あいつ打撃に関しては御幸先輩の強化版みたいですから。」

「私たちのチームで唯一得点圏で期待のできるバッターでした。特に三塁にランナーがいた時の打率は7割5分ありましたから。」

「なっ。」

伊佐敷先輩が驚く。俺でもあの得点圏に強いバッティングは不可能だ。

「あいつ守備も走塁も俺らのチームでは下の方でしたが、約8割型俺と小柴でとった点です。それに得点圏では最低限の仕事はちゃんとこなす。……俺たちのチームって個性的なメンバーばかりでしたが小柴は別格ですよ。」

「……でも、それならなんで薬師に行ったの?他にも推薦があったんじゃない?」

「…俺たちのチームは守備のチームでしたし。それに守備に関しては県大会レベルだったのが原因だと思います。後長打はめっぽう打てないですし、それにランナーいなかった時のあいつは打率1割ないですから。」

「本当御幸みたいな奴だな。」

「それに小柄でしたのも原因だと思います。でもランナーいないと打てないことを自覚してるから追い込まれるまで絶対に振らないんだよね。……私も嫌だったな。小柴くんに投げるの。」

美帆が嫌そうな顔をする

「出塁率は高いからなぁあいつ。しかもランナーいなくても打てるようになったとか言ってたし。元々バッティングセンスは俺以上ありますから。」

「……大門中って化け物の集まりかよ。」

伊佐敷先輩が口を開けたまま固まってしまう

「そういや。そっちは稲実とあってたんですよね?」

「あぁ。相変わらずだったけどな。」

と俺が離れていた時に稲実の主力組と話していたらしい

「いいなぁ。カルロスさんと話して見たかったな。」

「……はぁ?鳴じゃなくカルロス?」

「はい。同じタイプの先輩なんで話してみたかったんですよ。それに成宮さんとは絶対に相性悪いってこと分かっているんで。」

元々あぁいう人は苦手だ。ちやほやされアイドルみたいにもてはやされてる人はなんていうか

……なんか見下されているように見えるから

「あまり人付き合い得意じゃないですし。」

「……まぁ、それは分かる。」

「自覚はあるんだね。」

春市が苦笑している。

「まぁ、弱いところは全部美帆に押し……任せてましたから。」

「今押し付けたっていったわね?だから私のところに取材ばっかりきて健斗には取材はほとんどなかったの?」

「……お前は目立つのは好きだろ?俺はジメジメした暗いところで黒子に徹したいの。面倒だったし。」

「……健斗後から帰る時じっくり聞くから覚えておいてね。」

「相変わらず仲良いなお前ら。」

御幸先輩が苦笑する。いつの間にか美帆は先輩たちとも仲良くなっていた。

こう言った社交性は美帆が優れているよなぁ

「……まぁ、幼馴染ってこういうものだと思いますよ。」

「私たちは仲良すぎるって言われるけどね。」

「そうだな。喧嘩ももう何年もしてないし。」

「ってか喧嘩したことあった?」

「……いや。覚えている限りではないな。」

「どんだけ仲いいんだよ。」

「まぁ、それでも時々意味分からないけど蹴られたり殴られたりしますけど。」

本当に時々訳わからないんだよなぁ。

「ん?そうなのか?」

「はい。吉川さんと同じクラスだから話したり、同じクラスの女子と話しているとなんか意味不明だけど叩かれたり不機嫌になるんですよね。」

「「「………」」」

すると全員が黙り込んでしまう。

「あれ?なんか変なこといいました?」

「……健斗、前に聞いたけど健斗が告白されたらどうする?」

美帆が急にそんなことがいいだす

「……なんで恋話?」

「いいから。」

まぁいいけど

「……まず俺みたいな野球バカ好きになるやつなんていないだろ?告白された時考えるだろうけど今は多分断るかな?ちゃんと考えないと相手に悪いだろうし、生半可で付き合ったらさすがに相手に失礼だろうし。」

「……うわぁ。めんどくさいね。」

小湊先輩が可愛そうな目で俺を見る。

「あれ?だって俺みたいなめんどくさいの好きになるやつなんていませんよ。見た目だって優れている訳じゃないし。」

「……これ本気で言っているからたち悪いんですよ。」

「……前田さんも大変だね。」

「……?」

首をかしげる。どういうことだろうか。

「まぁ、いいや。帰る前に美帆素振り見てくれないか?なんか大阪桐生との試合以来少しフォーム崩してるように感じているから見て欲しいんだけど。」

「それならトップの位置が少しだけ前になっているわよ。後引っ張ろうと意識しすぎ。もう少し引きつけないと。」

「……なるほどな。」

「健斗は塁にさえ出れば無敵だから強く叩けばいいのよ。長打になるのは結果でしかないの。ホームランで入る一点でもタイムリーで入る一点でもどんな形でさえ一点には変わりないんでしょ?」

「……本当おっしゃる通りです。」

「最近長打多かったけど元々はチャンスメイカーなんだから。欲をかかずに塁に出ることだけを考えればいいの。」

「……はい。」

正論すぎることを言われて自然と頭が垂れる

「……なんか完全に尻に敷かれてるね。」

「正論なんだから仕方ねぇだろ。」

一通りの説教を受けた後俺はため息を吐く

何よりも近くにいたことだから気づくことはたくさんある

……あいつも俺なんかのことばかり構ってなければ青春できると思うんだけどなぁ

はぁと息を吐き体を伸ばす

「送るぞ。」

「へ?まだ8時じゃない。」

「いいから。それとちょっと待ってろ。グラブ持って来るから。」

不思議そうにしている先輩方に少しだけ苦笑してしまう

「……久しぶりにキャッチボール付き合えよ。美帆。」

すると嬉しそうに顔を明るくする美帆に苦笑してしまう

本当単純だなこいつ

「別にいいけど何よ急に。」

「別に。なんでもねぇよ。」

「……変な健斗。」

クスクス笑う美帆にこっちも笑顔になる

やっぱり俺は幼馴染離れが未だにできずにいる

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