日本一のエースと天才バッター   作:四つ葉

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一回戦

一回戦が終わって対戦校が決まったところでビデオを見る

初戦の相手は米門西高か

「……」

ビデオを見ると対戦校の姿があった

見終わると俺は息を吐く

コントロールが良くないピッチャーに守備が上手い選手を重ねている守備のチームと言っていた。

120km後半のストレートにスライダーとカーブ

つまりは軟式野球で見慣れた球種を使ってくるはずだ

「……」

いつも通りの力を出せば打てる

そう判断していた

ただやはり一番の問題は緊張と油断

やはりそれだけは避けられないのも事実だった

 

「……おいおい。左のエースじゃねーのかよ。」

八番バッターの倉持先輩が呟く

今日の先発は背番号10のアンダースロー投手だった

「多分こっちの方がエースなんじゃないですかね?多分強豪校と当たった時の隠し球みたいですし。」

「……へぇ〜どうしてそう思うの?」

「…いや、純粋にこっちの方がチームの方針とあっているんですよ、クリス先輩曰く守りのチームらしいですしそれならコントロールがいいピッチャーの方が戦術があっているんですよ。低めと外角に集めればフライをあげることができますし。」

「……へぇ〜。よく見てるじゃん。」

「小湊先輩球数稼ぐの任せていいですか?まずランナーに出ることが優先だと思うのでちょっと初球から狙っていいですか?」

と今日は一番を任された俺が言うと

「……うーん別にいいけど。なんで?」

「いや。もしかしたらなんですけど。俺が話した癖って覚えてますか?」

「うん。覚えているけど……」

「もしかしたら同じような動きをしてくる可能性があるんで。そこを狙い打ちしたいんですけど。」

……私高都低

今は私立校有利な高校野球だがどこの高校も勝ちたいと思う気持ちは同じである

だからどんな形でさえ勝つことにこだわってくるはずだ

……それが狙い目になるとも知らずに

「……まぁ、突破口を開くにはいいかもね。」

「すいません。今日の先発は降谷なんでなりふり構わず一点とっていきたいので。」

と今日のスターディングメンバーは

一番 砂田   ライト

二番 小湊(亮)セカンド

三番 伊佐敷  センター

四番 結城   ファースト

五番 増子   サード

六番 御幸   キャッチャー

七番 白州   レフト

八番 倉持   ショート

九番 降谷   ピッチャー

となっていた。

丹波さんが戻っての間降谷が先発に抜擢させた。

一年で初先発

……さすがに一点は取っておきたいんだけどなぁ

こいつの場合弱点解析されたら速攻やられるしなぁ。

『一番、ライト砂田くん』

アナウンスが流れる

「お願いします。」

俺はバッターボックスの入るとあえて前気味に立つ

そして守備位置を見ると

……やっぱりそうか

俺は確信に変わる

セカンドがセカンドベース付近までいる流し打ちシフト。

やっぱり研究はしているらしいな

……まぁ、意味ないけど

俺は集中しボールに集中する。

さっきの投球練習から浮き上がるボールではなく落ちていくボールなのはわかっている

するとブラスバンドが聞こえてくる。

聞こえる曲を聞きながら主審の一言を待つ

この緊張感がたまんない

「プレイボール。」

このキャッチャーは四番などの強打者にはアウトコース中心で打ち取り守備でも流し打ちしか警戒してないシフトになっているのはわかっていた。

だからその初球

下から放ってくるボールに多少ボールでもいい

外角にきた球を上から強く叩き引っ張る。

金属音を響かせ甘いコースに入った球を逃さなかった

すると一二塁間に強いゴロが転がり抜けていく。

一塁ベースを大きく回ったところで止まりそして一塁に戻る

ライト前ヒット

まぁ先頭バッターとしての役割は果たせただろう。

「ナイスバッティング。」

プロテクターを外し俺は門田先輩に渡す。

「……予想以上に打ちづらいですよ。あまりあげない方がいいですね。低く鋭い打球を心がけないと。」

「それで初球からいくのか?」

「当然です。」

サインを見る

俺専用に最近強制盗塁のサインができたのでそれを見ると

……もちろんのように盗塁のサインが初球から出される。

リードは小さめでいいか

見たことないピッチャーだしな

それならノーリードの方が走りやすい

そして一球目からスタートを切る。一気に加速し俺はスライディングをする。キャッチャーは投げては来ずにただ呆然としていた。

「いいぞ!!砂田!!」

「さすが。青道の韋駄天。」

「ってか足早くね。倉持以上にあるんじゃないのか?」

とかと二塁から声がきこえてくる。

でも、やっぱりクイックは少し遅いな。アンダースローは下半身の負担とヒジ関節が柔らかいとできない

そして二球目からは後は先輩たちに任せる

無理にして三盗する必要はない

一点を確実に

それは監督も同じ思いだったらしくバントのサインが出される

それに頷くと小湊先輩は初めてみるスライダーを確実に転がし俺は三塁へ進む。

ここは形はなんでもいい

内外野は長打警戒

……まぁ外角にしか投げなさそうだけど

伊佐敷先輩を見るとこっちと目を合う

すると分かってると言われたようにこっちと見て頷く

大きいのはいらない

鋭く低く

そして初球から

「誰が青道のスピッツじゃ!!」

大振りしてからぶっている伊佐敷先輩がいた

……何しているんだあの人

どうやらスピッツって呼ばれたくなかったんだろうな

すると今のでもう少し下がったのが分かった

……今のが狙い目だな

そして二球目

「ダッシャー。」

と打った打球は逆らわず一二塁間を破る

毎日素振りを欠かしていないからこそできるのだ

俺はゆっくりと先制のホームを踏む。

「ナイバッチ伊佐敷。」

「純さ〜ん!!」

とアルプス席から歓声が聞こえてくる

「ナイスバッチ。」

結城先輩の手を出してきたので軽くハイタッチをする

「結構思った以上に遅いですよ。ギリギリまで引きつけ引っ張るのがベストだと思います。」

「…あぁ。」

苦笑しながらバッターボックスに向かっていく

ベンチに戻ると

「悪い。無茶言ったな。」

御幸先輩が俺の方を見て謝ってくる

「別にいいですよ。」

元々部屋で先取点が欲しいと言った御幸先輩が俺に対して言ったことだった

「まぁ、形がどうであれ。先制点は取れましたし、少しは力抜いて投げてくれると嬉しいんですが。あいつ多分ペース配分無視して投げますよ。」

「しかしよく初球から打てたな。」

「まぁ、配球はよんでいたよりワンパターンですから狙いやすかっただけですよ。」

「……お前がいうと嫌味しか聞こえないな。」

伊佐敷先輩がベンチに戻ってくる

結城先輩の二塁打で一点を追加したらしい

「ナイスバッティングです。」

「おう。」

その間にもどんどん点が入っていく。小技を駆使したと思えば御幸先輩の力で押し返したりなど簡単に点が入っていき。

一回打者九人の猛攻で5点を先制する

一回捕まったら止められない打線は健在だった

ネクストバッターサークルから戻ると三振で終わった降谷に話しかける

「三振は気にするなよ。点差はあるけど、序盤から全力で捻じ伏せろ。」

「……えっ?」

「一応お前ちゃんとした先発では大阪桐生戦から2回目だし、下手なコーナーを狙ったピッチングはお前不器用だからできないだろうからな。それなら全力で相手をねじ伏せてやればいい。お前の後ろには先輩方プラス俺がいる。……口は悪いけど相手は一年だからって油断しているからな。……てめぇのピッチングで相手ベンチを黙らせろ。」

俺が笑うと降谷は複雑そうな顔になり

「性格悪いね君。」

「……よく言われる。沢村とかのヤジは気にしないでいいからな。」

「元からそのつもりだから大丈夫。」

「なら大丈夫か」

まぁ、野球では素直ではいられない

汚いだろうが地味だろうがそれでもフェアプレイであればとことんその隙をつくのが野球ってスポーツだ

甘い事言っちゃ食われるのは俺たちの方だぞ

そうした中で俺はライトに着く。

「……」

やっぱりこの感じが落ち着く

そうした中で降谷が投球練習を見ると控えめで投げていることがわかる

……さて、どんな顔をしてくれるのかな?

俺はそうしてプレイボールを言われるまで待つとやっと一回の裏の攻撃が始まる

そして一球目

ズバーンと外野まで響くミットの音

それにつられて腰の引けたバッター

……ナイスピッチ

俺は苦笑する

ボール球だけど勢いと伸びのあるボール

恵まれた体から出される速球は才能だ。

そしてテンポよく出される速球に空振りしているバッター

……そして三者連続三振に打ち取った

「ナイピッチ降谷。」

「ほとんどがボールだけどな。」

と盛り上がる青道ベンチとは対象に

意気消沈気味の米門ベンチ

……決まったな

これでもうこの試合は動かないだろう

「沢村、準備しとけ。お前の出番もあるかもしれないぞ。」

「……えっ?」

すると降谷が驚くけど

「……お前一人しか先発できるやつはいないんだ。丹波さんが帰ってくるまではお前一人で回していかないといけないし、怪我でもされたら困ったもんじゃない。……お前は一応丹波さんが戻ってくるまではエースなんだ。」

「……なっ?」

「……そうだな。」

すると御幸先輩も乗っかってくる

「……休めるときはゆっくり休んで力を蓄えるのもエースの役割だぞ。今日だけじゃない。今日勝てば次の試合だってあるんだ。それに他の投手だって調整登板だってしないといけないときだってあるしな。……てめぇ一人で戦えるほど夏は甘くねぇぞ。」

するとビクッと反応する降谷と少し驚いたようにする御幸先輩

「……まぁ、口だけじゃダメだからな姿勢で示すよ。……ちょっと、塁に出てくるわ。」

少しだけ息を吐き

心を落ち着かせる

……全てをリセットする

……悪いけどチームバッティングを無視させてもらうぞ

よみ打つんじゃなくて体で反応させろ

……ふぅ

バッターボックスに入ると俺は自然体に戻す

力を抜けただ一点そこに来た時だけ思いっきり振る

そして一球目外角に外れボール二球目もインローに外れる

そして三球目

来たアウトローへのストレート

俺は足を踏み込み完璧に捉える

金属音の甲高い音が聞こえ打球は鋭くライナーで逆方向に伸びていき

レフトスタンドに突き刺さった

そしてバットを置きベースを一周する

少し上がったなぁ

結構叩いたつもりだったのになぁ

俺は一塁ベースを回ったところで歓声が聞こえる

「すげぇ。あのコースをスタンドまで持っていきやがった。」

「あいつなんなんだよ。」

とか観客席から聞こえるが納得はしていなかった

俺が肩を落として戻ると

「狙っていたのか?」

監督が話しかけてくる

「コースは狙ってましたけど、ホームランになるのは予想外でした。」

アウトローが好きだからこそあそこのコースは中学時代から大好物なんだけど

なんか思っているよりも伸びるんだよなぁ

硬式に入ってからは思った以上に打球が伸びるのが少し悩みのタネになっている。

……ボールのコントロールが聞き辛いんだよな

「……」

首を傾げている。でも、あのホームランは多分マグレだろう。

……切り替えないとな。

そしてため息を吐くと目の前に水の入ったペットボトルが出される

「ナイスバッティング。」

と一言降谷が渡してきた。

「おう。ありがと。」

と受け取り水を飲む

そしてその後は試合は淡々と進む

降谷は三回をしっかり抑え九人を完全に押さえ込み

その後沢村がデットボールが一つあったものの一回を無失点で抑える

打っては23安打17得点で俺は3打数2安打1本塁打1盗塁1打点

4回の守備からは坂井先輩と交代

そして今5回2アウト

「川上先輩後一人しっかり抑えていきましょう。」

沢村のクールダウンに付き合いながら俺は声を出す

「……健斗何言っているんだ?まだ5回だぞ?」

沢村がキャッチボールでアイシングをしながら言っているけど

「野球はコールドっていう規制があるんだよ5回以降10点差それか7回以降7点差以上つけられた時点で試合が終わるんだよ。……他の地区とかだったら実力差が開きすぎて20点差つくって学校もあるくらいだしな。」

「……」

そして、スパーンとミットの音が聞こえる

「ストライク。バッターアウト。ゲームセット。」

最後の審判の声が聞こえる。

「……苦しいだろうが励ましたり同情するなよ。……勝った奴が負けた相手にいうことなんてないんだから。」

すると沢村が黙り込む

……悪いけどこれが勝つということだ

整列し礼をした後、手を差し出される

「頑張れよ。絶対甲子園に行ってくれ。」

背番号10をつけた今日先発していた人だった

「……もちろんです。」

それを笑顔で受け答えする

そうして夏の一回戦は青道の圧勝で終わったのであった。

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