日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
「……ご馳走様でした。」
一日が終わり夕食に入っているのはいいんだけど
一年思ってた以上に酷いな
色が細い奴が多く食べきれない人が多いし
体力作りを怠っていたのか練習についていけないやつも少なくない
プロテインを飲んでから俺は小湊の方を見る
「小湊先行ってるぞ。」
「……えっ?あぁうん。」
「それとゆっくりでもいいからよく噛んで食った方がいいぞ。無理やり飲み込んだら余計に腹膨れるから。」
「わ、分かった。」
俺が食べ終わり席を立つとすぐに視線が集まる
しかし一日目を終了したんだが
練習量に限ったら中学時代とほぼ変わらない
てか人数が少なかった中学の方が練習量に限ったら多いんだよな
よく考えたら体力作りだけでへばってるのはオフに走りこんでなかっただけだろ
日頃の行いや練習への姿勢って本当に大事なことだと思う
オフはかなり走りこんできたからな
怪我の防止のためにアにップ二時間ダウンに一時間体力作りも兼ねて走ってきたかいがあったってわけか。
「ご馳走様でした。」
すると美帆も食べ終わったのか食器を下げる
「練習付き合おうか?」
「いや。これから監督室に行くからいい。お前マネージャーの仕事は?」
「大丈夫。もう終わらせてあるから。」
「そっか。んじゃ俺監督に呼ばれてるから。」
「うん。じゃあまた明日ね。」
「あぁ、また明日な。」
そう言って軽く拳を合わせる
俺は食堂を出るとあることを思い出す
「……監督室ってどこだ?」
単純なことを忘れるのであった
「失礼します。」
探すこと5分やっとのことで監督室につくと
「……」
「……」
結城先輩と御幸先輩がなぜか監督室に同席していた。
うわぁ。これなんか絶対嫌な予感がする
それに何か重要のことか
気を入れ直すと俺は少し息を呑む
片岡監督の言葉を待っていると
「失礼します。背番号持って来ました。」
「……あぁ。ご苦労。」
すると背番号19番が縫ってあるユニフォームが一着置かれてあった。
「ユニフォームだ。受け取れ。」
「…ありがとうございます。」
俺はその背番号を受け取る。
100人以上いるこのチームでの背番号19
それは選ばれなかった先輩の分まで戦うというわけだ
重たい
そのことを自覚する
やっぱり背番号を受け取るのにはどこのチームでも同じこと
少人数でも強豪校でも
その学校の代表になることを
覚悟はしてたが先輩を押しのけて背番号をもらうっていうのは正直プレーするよりもくるものがある
「さすがに砂田も重たいと感じるか?」
すると御幸先輩の言葉に頷く
「重たいですよ。一、二年もここで野球している人を差し置いてこのユニフォームをもらうのは。重たいです。今日のシートノックを見てればどれだけオフに鍛えてきたのかすぐに分かりました。帝東戦の時に見た記録にないエラーの数も少なかったし何よりも一年と態度が違いましたから。」
「……へぇ〜。分かるのか?」
「流石に分かりますよ。一応これでもキャプテンマークを二年つけてましたから。」
チーム全体の雰囲気、一人一人の行動
それを中学の監督は重視してスタメンを決めてたし
「それに、俺だって刺激受けてますから。先輩方には。」
今日のノックでも掛け声や声援は明らかに劣っている
だからこそ次の試合ではまず結果を出したい
結果を出して俺が試合に出て間違ってなかったことを証明したい
「それにどんなペナルティーでも真剣に投げたあいつのことを笑いはしませんから。」
外野ノック一旦区切ったと思えば沢村が遠投をしていた。
投手をかけての大一番
それには失敗したもののそれでも
「遠投推定86mは俺と確か降谷そして東条に次いで4位だったはず。……それもストレートではなくムービングボールですよね。……ぶっちゃけ遅刻とタメ口を使ったペナルティーでそういう結末になったのは仕方ないと思いますが。その姿をただ笑ってた一年よりかは見応えがあると思いました。」
「……お前、沢村の球質に気づいてたのか?」
「長野大会であいつらが一回勝てば俺たちと当たる予定だったんですけど、俺と美帆が沢村が投げた最後の一球。……あんなムービング初めてでしたよ。ボールが浮き上がって見えるのは。」
無意識にフォーシームそれも火の玉ストレートと言われる伸びたジャイロボールに俺も美帆も少しだけびびった
「まぁ、今頃言っても後の祭りなんですけどね。」
「……サウスポーのムービング使い。砂田ならどう攻略する?」
監督の言葉に少しだけ考えて
「バットをコンパクトに待って鋭いゴロを狙いますね。打席もギリギリ前に立って変化する前に叩くって感じだと思います。それで後は足やバントで揺さぶりますね。ムービングボールはコントロールするのが難しいってきくので投手の自滅を狙いスタミナを着実に奪っていくところでしょうか。」
「……今の沢村にもその攻略法は使うのか?」
「当然使います。一度負けたら終わりのトーナメントで少しでもやられる口があったら強豪でもあっさり潰れるので。」
「……なるほどな。」
結城先輩がうなづく。
「……合格じゃないですか?」
「……えっ?」
「あぁ、合格だ。」
全く意味のわからない言葉に俺は困惑してしまう
俺は困ったように御幸先輩を見るとニヤニヤして笑っている。
まぁいいや。俺は俺のやることをやるだけだし
「すいません。あと聞きたいことあるんですけど、市大のビデオって見られますか?素振りの後真中さんの球確認したいんで。」
「それなら一緒に見るか?俺もイメージしておきたい。」
「はい。お願いします。」
結城先輩の言葉に頷く
「後監督。盗塁のサインってないって本当ですか?」
「あぁ、各自自分が行けたら各自でスタートしていいが。」
「……」
「あまり無茶するなよ。真中はクイックも十分早いからな。」
「はい。」
「それと明日は実戦形式の練習とする。ピッチャーは丹波その後に川上、控えメンバーは守備につかせろ。」
「「「はい。」」」
「以上だ。」
俺は少しだけ息を吐く
美帆に残って貰えばよかったな