日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
「えっ?スタメン。」
「あぁ。打順はわからんけど今度の市大戦に俺を使ってくれるらしい。背番号も昨日もらった。」
「……早すぎない?」
「うん。俺もそう思う。」
食堂の清掃が終わり、俺と美帆が朝練を行うためにグラウンドに向かう
「まぁ、監督にとって何か意図があると思うし、俺もチャンスだからいいんだけどさ。昨日少しだけ寝不足。」
「さすがに緊張してるの?」
「いやようつべで真中さん以外の選手も見てたからな。二番手投手の三崎ってピッチャーも第二先発の天久さんも攻略口は少ない。その数少ないチャンスにどう切り込むかが課題だな。」
真中さんも天久さんも立ち上がりが悪い。だからそこをどう狙い撃つかがキモになってくる
ということになると
スライダーかストレートか一本に絞った方がいいな。
「イメージはできてる。それをどう攻めるかが問題だな。」
「……クス。」
「なんだよ。」
「なんか楽しそうだね。健斗楽しそうだね。」
「当たり前だろ?あんなピッチャー早々いないからな。」
俺は真中さんの球を早く見てみたい
「まぁ、バッティングはすごい地味だけど。」
「失礼な。」
と軽口を言いながらグラウンド前に着くと
一人のユニフォームを着た奴が走っていた。
「あれ?昨日は誰もいなかったよな。」
「うん。でもこんな早くに誰が。」
俺は目を凝らしてみると
一定のペースで走っている沢村の姿がいた。
「……あいつ。」
俺は少しだけ笑ってしまう
昨日のことがあってまだ諦めてなかったのか
「……悪い。俺も走ってくる。」
「うん。いってらっしゃい。怪我だけ気をつけてね。」
「分かってるって。」
俺は沢村の方へ走る
そして並走し沢村の隣を走る。
「……なっ?」
「いいから走れ。話はその後だ。」
俺はただ走りこむ。沢村より少し早いペースで。
「負けてたまるか!!」
そういってペースを上げようとする沢村だが、俺は止める
「沢村。ピッチャーなら自分のペース保て。他人に影響されるのはやめろ。」
「……えっ?」
「遠投見てたけどいい球だったな。気持ちのこもった。」
すると沢村は悔しそうに顔を歪める。
「…お前は笑わないのか?」
「アホ。真剣にやってる奴のことを笑う方が失礼だ。それでだが、お前がやらかしたことについては理解してるか?」
「……でもあれは。」
「言い訳はするな。遅刻や監督にタメ口を使ったのはお前の責任だ。」
あえてここは厳しい言葉をかける
「いいか。ここは結果だけじゃない。日頃の態度も見られてるんだ。お前なんかまだグラウンドに立てるだけマシなんだ。俺だったらランニングすら禁止してたぞ。」
「……」
何も言い返してこない。自分でも理解してるんだろう。自分がやった行為の馬鹿さ加減について。
自覚をしてるだけマシだな。こいつ
「……その悔しさ、反省を生かせ。一旦日頃の態度から見直せ。お前はまだチャンスがあるんだ。そのチャンスがくるまで腐るんじゃねーぞ。沢村。」
「えっ?」
「機会をまってそれまでは体力作り。ゆっくりでもいいから食事は必ず3杯以上。機会がくるまでは下半身の強化と怪我の防止を兼ねて走りこめ。お前のその投手に対するこだわりは絶対監督にも伝わってる。だからいつか絶対にチャンスがくるはずだ。それまでは力を蓄えろ。」
覚悟に関したら俺以上。俺と同じ地方出身の身だ。そのプレッシャーをどう使うかが試される。
「一軍で待ってるからな。」
俺は一気にペースを上げる。
……俺だって負けてはられないんだ。
こいつにも、自分にも。