グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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01「プロローグ~魔導都島プラトニア~」

 ──ここに一冊の本がある。誰かの日記のようだ。最初のページを開くと、次のように綴られている。

 

 

 

   あの日の事は、今でもよく覚えている。きっとあの時から、私は既に決意していた。

 

   貴方には、これを読んで、知ってほしい。

   貴方と私が出会った訳を。私のこれまでと、これから成す事を。

   しっかりと考え、選んでほしい。私の成す事に、貴方はどうするのか。

   冷静に。義理に縛られず。情に流されず。

 

   貴方は私より、よっぽど素晴らしい人なのだから。

 

 

 

 ──暗闇の中、ランプの明かりがぼんやりと照らす騎空艇の一室。

 ──本の持ち主が、そう長くも無い1ページ目を机の上で何度も読み返している。

 

 ──片腕に抱いたぬいぐるみを机の隅に置き、身を乗り出したくなる自分を抑えるように椅子に座り直した。

 ──慎重に。うっかり破いてなどしまわぬように。ページの隅に指をかける。

 

 神妙な面持ちで彼女は──アンナは、ゆっくりと次のページを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ──団長達の騎空艇は今日も空を行く。その舳先は今、眼前に広がる大きな島へと向かっている。

 

 ──その甲板では、アンナが親友カシマールを抱きかかえたまま艇の縁から身を乗り出し、行く先の島を瞳を輝かせて見つめている。

 

 

 

 

 

 

 

アンナ

「わぁ~~……ホラ見てカシマール、あれが『魔導都島(まどうととう)プラトニア』だよ。本で見たより大っきいねー」

 

 

 

カシマール

「ヨロコブノハイーケドオチツケ! ソンナニノリダシタラ、オレサマタチフネカラオッコッチマウゾ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 ――カシマールの注意も意に介さず、アンナは興奮気味に親友へ語りかけている。

 

 ――先日、近くを航行中と知ったアンナからの強い希望があり、艇は一路プラトニアへと向かっていた。

 

 

 

 ――そんな2人の様子を、少し離れてルリア、ビィ、カタリナ、そして団長が見守っている。

 

 

 

 

 

 

 

ビィ

「やれやれ。いつものアンナとは思えないくらいのはしゃぎっぷりだな」

「何でも昨夜(ゆうべ)は、あのプラトニアって島の事調べてて殆ど寝てないらしいぜ。まるで遠足前の子供みたいだな」

 

 

 

ルリア

「フフフ。何だか見ているこっちまでワクワクしてきちゃいます。よっぽど楽しみだったんですね」

 

 

 

ビィ

「そういやァあの島までの道のり、姐さんがここまで案内してくれたってのもちょっと意外だったな」

 

 

 

ルリア

「言われてみると……いつもは島の事なら、ラカムさんやオイゲンさんの方が詳しそうですよね」

「カタリナ、プラトニアに来た事があるの?」

 

 

 

カタリナ

「ん? ああ、そういえばルリア達に話すのを忘れていたかな」

「私自身プラトニアに赴いた事は無いが、あそこは昔からエルステと国交のある島なんだ」

「エルステである程度の立場に就く人間なら、大体の者はそういった島々の所在や歴史をみっちり学ばされるんだ。それでたまたま、プラトニアへの航路を今でも覚えていた。昔取った杵柄というやつさ」

 

 

 

ビィ

「うへぇ。騎士って、戦うだけじゃなくて勉強もしなくちゃならなかったんだなぁ……」

 

 

 

ルリア

「うぅ……カタリナも苦労してたんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 ――カタリナの過去に憐れみさえ向ける2人に、苦笑交じりにカタリナが言葉を返した。

 

 

 

 

 

 

 

カタリナ

「こらこら二人とも。教養を得るのに騎士も国も関係あるものか」

「いつどこだろうと学ぶというのは良い事だぞ。使い方さえ間違えなければ、こうして思わぬ所で旅の助けにもなるのだからな」

 

 

 

 

 

 

 

主人公(選択)

・「そうだぞ二人とも」

・「苦労した事は否定しないんだ?」 

 

 

 

→「苦労した事は否定しないんだ?」

 

 

 

 

 

カタリナ

「いや……それは、その……オッホン! とにかく、そういった勉学を疎むような態度は、これから行くプラトニアにも似つかわしくないぞ!」

「何せあの島は学術と技術、2つの面で大きく発展している島なのだからな」

 

 

 

ルリア

「がくじゅつとぎじゅつ……? 前に行った、『叡智の殿堂』みたいな所って事ですか?」

 

 

 

カタリナ

「良い例えだが、少し異なるな。叡智の殿堂は様々な知識を幅広く取り扱っているが、プラトニアでは魔法の知識を特に深く研究し、魔法を利用した製造技術に応用している」

「例えば、同じく技術力が特長のバルツでは主に島の鉱石と地熱を利用しているが、プラトニアはそういった物作りに必要な素材やエネルギーを、一から全て魔力で賄おうという方針だ」

 

 

 

ビィ

「バルツでやってる事を全部魔法で? そいつァ暑くなくて楽そうだけど、本当にそんな事できんのか?」

 

 

 

カタリナ

「私が当時聞いた限りでは、本当に0から魔力で物を作り出すにはまだまだ課題が多いらしい。だが、ごく僅かな資材から様々な道具を作る技術が確立しているそうだ。

「特に昔から魔力を使って作られてきた、いわゆる魔法薬やお守りの類では、最早かつての技術の枠を飛び越えた別物と言っても良い逸品ばかりで、質も量も空域で一、ニを争う程だとか」

 

 

 

ルリア

「あっ、だからなんですねカタリナ!」

 

 

 

ビィ

「ん? 何が『だから』なんだ?」

 

 

 

 

 

ルリア

「アンナちゃんがプラトニアに行きたくてワクワクしてる理由です」

 

 

 

ビィ

「ああそっか。確かアンナは立派な魔女になるのが夢だったよな」

 

 

 

カタリナ

「そういう事だな。アンナにしてみれば、尊敬する『お婆さま』に近づくために一度は行っておきたい場所に違いない」

「それにプラトニアは叡智の殿堂のように、その知識と技術を図書館という形で広く公開している。きっとアンナもそこに行きたくてあんな……」

「……ワ、ドコダ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 ――アンナのはしゃぎっぷりを指差そうとしたカタリナだったが、その先には無人の甲板が広がっている。程なく、指差している方向から声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

アンナ

た、たたた、た、助けて~~~~……だだ、誰か~~……!

 

 

 

カシマール

ダカライッタジャネーカ! オ、オレサマヲオトスンジャネーゾ! ……イヤデモムリハスルンジャネーゾ!?

 

 

 

 

 

 

 

 ――よく見ると、船の(へり)に白い手が1つ乗っている。縁の向こうの空間に、アンナの帽子の先端が頼りなく揺れている。どうやら身を乗り出しすぎてカシマールごと落っこちたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

カタリナ

「いかん、団長(キミ)も手伝ってくれ! 二人ともすぐ行く! もう少し持ちこたえてくれ!」

 

 

 

ルリア

「はわぁっ!? わ、私、もももしもに備えて星晶獣を……!」

 

 

 

ビィ

「やれやれ、いつものアンナらしいような、らしくないような……」

 

 

 

 

 

 

 

 ――その後、団長達の手でアンナは無事に救出され、グランサイファーは順調にプラトニアの発着場へと降り立った。




※ここからあとがき

 実は、6つの点々を挟んで上が本来のプロローグ、下がその後の第1話です。

 本文1000文字以上と投稿段階になって知り、慌てて二話結合しました。
 出来ればプロローグは短く切って、雰囲気を持たせたかったのですが……。
 出だしから早速コケてますが、どうかお付き合いいただけると幸いです。

 文章が詰まってると読みにくいかも知れないと、なるべく行間を空けましたが、少しくどかったかも知れません。
 ひとまず第一話は、この行間のままで進行しようと思います。
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