グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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15「アンナパート01・4階」

 ──団長たちと別れて間もなく、4階のアンナとカレーニャは早速、書物を1つ開いていた。

 

 

 

カレーニャ

「昔ながらのお薬とかお守りの本なら、まずはその本が手頃なのですけれど……あんまり芳しくないってお(ツラ)構えですわね」

 

アンナ

「う、うん……」

「あの……この本に書いてある事は、殆ど、お祖母様から教わって知ってる事ばかりで……」

 

カレーニャ

「ほ、殆ど……!?」

「一応、プラトニアの学者なら老いも若きもお墓に入る前まで読み返す名著ですけれど……全部、頭の中に?」

 

アンナ

「え……へ、変、だったかな?」

「だって、森で暮らしてた頃は、毎日必要になる事ばかりだったし……」

 

カレーニャ

「下位互換の世界にすっ飛んだ主人公みたいな事言いますのね……」

「ま~……でも、なるほど。確かに、こう言った分野はプラトニアでは都市開発に連れて使わなくなっていった知識と聞いてますわね」

「一般に出回るのも今じゃあアクセサリー半分なのとか健康グッズが主流らしいですし」

「環境が違うと、こうも変わるものですのね……はぁ。田舎娘だなんて囃した件、謹んで撤回致しますわ」

 

 

 

 ──思う所があったのか、グラスの椅子から降りて神妙にお辞儀しだすカレーニャ。

 

 

 

アンナ

「えぇ!? そ、そそそんな、いいよ! ボ、ボクなんてそんな……」

 

 

 

 ──「そんな言葉、言われてただろうか」と一瞬、考え込むアンナだったが、そう言えば試着室で言われたような気もする。

 

 

 

カシマール

「ザマァミヤガレ! アンナハスゲーダロ!」

 

アンナ

「カ、カシマールも、駄目だってば! ボクそんなつ、つもりじゃ……」

 

カレーニャ

「あなたに頭下げたわけじゃござあませんし、もう少し音量落としなさいな”フェルメール”」

 

カシマール

「カシマールダ!!」

 

アンナ

「あ、あわわわ……」

 

 

 

 ──慌ててカシマールの口元を抑えて周囲を見渡すアンナ。

 ─周囲に人影は1つきり。学術書を読むには些か若過ぎるような少女が、顔より大きそうな分厚い本を読み耽っており、こちらを気にしている様子は全く無い。幸いにも迷惑にはならなかったようだ。

 ──アンナがホッとしたのを見届けたカレーニャが、グラスチェアーに座り直しながらぼやく。

 

 

 

カレーニャ

「とにかく、それ1冊への理解で大体の分野と傾向も探れるスグレモノだったのですけれど……こうも万能とあってはねえ」

「改めて専門書や論文集を探るべきでしょうけれど……」

 

 

 

 ──カレーニャが2人の居る机の脇に立つ魔導グラスのオブジェを覗き込む。そして自らの傍らに浮かせたグラス球を一撫ですると、オブジェの丁度覗き込んでいた面が光りだす。

 ──このオブジェは各階に配備された蔵書検索用の端末。本来は表示画面に当たる部分に触れて起動するタッチパネル方式である。

 ──オブジェに映し出された書架の目録を流し見ながら、苦々しく声を漏らすカレーニャ。

 

 

 

カレーニャ

「ミスりましたわねえ。門外漢の私じゃ数を持ってくるのがやっとですわ」

 

アンナ

「ミス?」

 

カレーニャ

「1冊の本がどの分野について書かれているかまでは端末である程度は解りますけれども、どれだけ正確に踏み込んだ代物かは、あなたに読み解いてもらって確かめる他にござあませんの」

「となれば、手当たり次第に運んで来る事になりますけれども、そんな虱潰し何日あったって足りませんわ」

「これがドリイさんなら手頃な奴を見繕えるんですけれどもね……だから私が向こうに付いてった方が良かったかもって事」

「あの人ったら、図書館の7割くらいの書物を読破済みですもの」

 

カシマール

「ナ……?」

 

アンナ

「なな……って、あの、こ、この階だけじゃなくて……あの、全部まとめて……七割?」

 

カレーニャ

「そ。ドリイさんは速読術をマスターなすってる上に人並み外れて記憶力もよろしくってね」

「どこまで正確かは存じませんけど、各階の書物の少なくとも半分以上は内容を正確に覚えて、書架の番号まで即座に説明出来ますの。まさに生き字引ですわね」

 

アンナ

「な、何だか……何でも出来る人……なんだね」

 

カレーニャ

「そっのっ(とぅおー)りですわ! ドリイさんは最早、天才の枠さえ超えた超人と言っても差し支えござあませんことよ!」

「……っと、まあそれはともかくとして。不甲斐ないのですけれど、これは一旦ドリイさんと合流して、オススメをまとめてもらった方が効率的ですわね」

 

 

 

 ──急にまるで我が事のようにドリイを誇ってみせたカレーニャだが、これまた急に我に返り弱気に提案する。落差が激しい。

 ──カレーニャの忙しなさにしばしポカンと見ていたアンナだが、回答を求められている事まで頭が追いつくと、すぐさま応えた。

 

 

 

アンナ

「……あ、そ、それじゃあ……別の本、さ、探してもらっても、良いかな?」

「今、探したい本は、お昼にドリイさんに聞いてからで、大丈夫だから」

 

カレーニャ

「助かりますわ。それで、どんな本を?」

 

アンナ

「えっとね……。火の魔法の使い方とか、この階にあるかな?」

 

カレーニャ

「ありますわよ。アンナさん向きのクラシカルな手順の魔術書や儀式の手引きとかなら、まとめてこの階に所蔵されてますわ」

 

 

 

 ──応えながらグラス球を撫でるカレーニャ。手頃な本に心当たりがあるらしく、オブジェから漏れる光が目まぐるしく明滅する。

 

 

 

アンナ

「じゃ、じゃあ、その中から良さそうなの知ってたら、お願い」

「ボク、団長さん達と、魔物とかと戦う時、火の魔法を使ってるから──もっと、団長さんの役に立てたらなって」

 

カレーニャ

「あーら可愛らしいですこと。それなら地下に持ってく手配もした方が良さそうですわね」

 

アンナ

「地下?」

 

カレーニャ

「お話しませんでしたこと? ……ああいや、あの時は聞いてなかったんでしたわね」

「プラトニア図書館は地下階がござあますの。魔法は使ってなんぼですから、地下2階が魔法の実験やトレーニング用の設備になってますのよ」

 

アンナ

「そ、それって、ボク達が使っても大丈夫なの……?」

 

カレーニャ

「もちろんOKですわ。プラトニア図書館は一般に広く開放されてるのがウリですもの。まあ当然、幾つか決まり事はありますけれど」

「で、どうしますの。行く? 行かない?」

 

アンナ

「じゃ、じゃあ……行ってみたい!」

 

カレーニャ

「よろしい。それじゃあ、本を探す時間は極力削りましょうか。アンナさん、ここに書かれてるコレとコレ、ご自分で持ってきていただけるかしら?」

 

アンナ

「えっと……どっちも同じ棚に入ってるって事だよね。ま、任せて」

 

 

 

 ──資料の絞り込みを終えたカレーニャが、アンナに端末に映し出された本のタイトルと所蔵箇所を見せる。

 ──請け負ったアンナは2、3歩走りかけた所で慌てて早歩きに直しながら、二手に別れて資料探しを始めた。

 

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