グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ) 作:水郷アコホ
──アンナの機転で魔導グラス暴走の一件が片付いてから10分ほど。動けるまでに回復した団長がルリア達と共にアンナを持て囃していた。
──溶け残った魔導グラスは、グラスとしての形を維持する事も出来なくなり、魔力が虹色に瞬く砂のように分解され、風に舞うように消えていった。
──事件が落ち着いたのを機に野次馬も散っていき、職員達が慌ただしく後始末に右往左往している。
──現場近くに残っている一般人は、上階から降りてきたばかりで初めて事件を知ったらしい若い男女や、騒ぎで親とはぐれたのか近くの椅子に座って膝をプラプラさせている女の子くらいだ。
──アンナ達は現場の当事者として、簡単だが諸々の手続きを受ける事になるため、職員の仕事が一段落するまで、広間の損壊を免れた一角で体を休めていた。カタリナに対する追求をかわすためにも、ドリイとカレーニャも一行に付き添っている。
──謙遜するアンナをあの手この手でおだてながら、特別にと職員から振る舞われたお茶など囲んでいると、やや離れた所から言い争うような声が聞こえてきた。
職員の声
「──ですから、あのグラスは貴女のもので間違いないのですよね?」
女性の声
「だからそう言ってるじゃありませんか。早くカレーニャを呼んできてくださいな」
──見ると、現場保存のためか未だ片付いていない広間の一区画に職員と老婦人、それに事情聴取に出向した2,3人の兵士が屯している。身振りからすると、老婦人の言い分に職員と兵士が困り果てているようだった。
ビィ
「なんだなんだ?」
ルリア
「今、カレーニャちゃんがどうとかって──」
カレーニャ
「あー……まぁたあのヒトですのね。まさかやらかす程だったなんてねぇ」
ドリイ
「カレーニャ。皆様。私が出向きますので、こちらでお待ち下さ──」
老婦人の声
「あら、あんな所にいるじゃないの。カレーニャ、ドリイさん!」
兵士
「あ、こら!」
職員
「ちょ、ちょっと、困りますよ!」
──ドリイが収拾に向かおうとした矢先、老婦人が目当てのカレーニャを見つけてこちらにスタスタと歩いてくる。
──兵士・職員両方から止められているのに、「まあ見ててなさい」と言わんばかりに悠然とした足取りだった。
──目を付けられたカレーニャの方は、喜劇でトラブルメーカーがやらかす瞬間を見るような、皮肉げな苦笑を浮かべていた。
──ドリイもこれから起こる事が解っているかのように、速やかにかつさり気なく、カレーニャの隣に移動した。
カレーニャ
「あーあ」
職員
「待って下さい、ご婦人。さっきから申し上げてますように──」
老婦人
「お久しぶりねえドリイさん。今日もお美しくいらっしゃるわ」
ドリイ
「恐れ入ります」
──職員らの抗議の声を簡単に無視して、にこやかにドリイに挨拶する老婦人。
──そしてカレーニャの方に向き直ると、穏やかな面持ちながらもキッと真剣な眼差しになり、荒れ果てた現場を指差す。
老婦人
「そしてカレーニャ。あれだけの事になって、解らないアナタじゃありませんね?」
カレーニャ
「あー、そりゃーもー」
老婦人
「何ですか、その気のない返事は。ご両親はいつでもアナタを見ているのですよ」
「全く。またアナタはそうやって突っ張って。アナタにはまだ自覚が足りません。こんなにも人様に迷惑かけているんですよ?」
──老婦人の言葉を鼻で笑いながら受け応えるカレーニャ。団長たちには話が見えてこない。
ビィ
「なあなあ。この婆ちゃん、さっきから何の話してるんだ?」
カタリナ
「魔導グラス暴走の責任がカレーニャにある──と言いたいようには聞こえるが……そもそも、このご婦人は何者なんだ?」
兵士
「すいません。私どもで対応する事ですので、関係者以外にどうとは……」
ドリイ
「いいえ。先程、事件の解決に尽力して下さった当事者の方々です。事件と関係がお有りなら、むしろ知る権利を有するかと」
兵士
「うぅむ……まあ、そういう事でしたら──」
──何やら老婦人の説教が始まり、カレーニャがのらりくらりと聞き流している中、説明を受ける一行。
兵士
「手短に話してしまえば、あのご婦人が先の魔導グラスの持ち主という事が解りまして」
ビィ
「んなっ! じゃあ、あの婆ちゃんが犯人って事か?」
職員
「いえ、それが……『グラスが突然暴れだしてどうしようも無かった』とか『不良品を掴まされたのだから責任は製造元のカレーニャにある』の一点張りで」
カタリナ
「そういえば魔導グラスの管理は、グラスを造ったカレーニャにしかできないと先ほど聞いたような……」
ルリア
「じゃ、じゃあ……」
──ルリカレーニャの責任問題を懸念し、ルリア達が不安げに実質の保護者たるドリイを見る。ドリイはと言えば、実に落ち着き払った様子だ。しかしカタリナが展望フロアで見たような無機質な佇まいでもない。
──ドリイはルリア達の視線に気付くと、笑顔を返した後に兵士らに向き直る。
ドリイ
「然様でしたら、対応に難儀される事も無い筈かと存じますが」
兵士
「その通りなんですが、とにかく話が通じないし……相手が相手だけに無理強いも気が引けて……」
職員
「まるで自覚が無いっていうか、自信がありすぎるっていうか。こっちの言い分に一歩も合わせてくれないんですよ……」
ドリイ
「なるほど。正面からでは聞き入れて頂けない──と」
──語らうドリイ達に、痺れを切らしたビィが割り込んだ。
ビィ
「なぁなぁ眼鏡の姉ちゃん。それで、結局どうなんだ? 魔導グラスが暴走するのって、カレーニャのせいなのか?」
ドリイ
「あら、ビィ様──」
「……カレーニャの事を、案じておいでですか?」
──ごく僅かに、ドリイの言葉に奇妙な抑揚が混じった。
──突き放しているような、ビィを試しているような。ただの気のせいかも知れないほど、さり気なくだが。
ビィ
「そ、そりゃそうだろ。オイラ、難しい事はよくわかんねぇけど……さっきまで一緒に居たし、アンナの事も色々世話になったんだぜ!」
アンナ
「あ、あの……それに、カレーニャ……島の人のために、沢山の魔導グラス造ってるのに……こ、こんな事になって、カレーニャのせいにされるのは、その……あ、あんまり……だと、思う……」
兵士
「あぁ……皆さん、旅行者でしたか」
──まるで島の事情を知らない彼らを憐れむような、何やら煮え切らない兵士の態度が一行の不安を掻き立てる。
──ドリイが穏やかな微笑みを浮かべ、一向に軽く頭を下げた。
ドリイ
「皆様のご厚情、カレーニャの身辺を預かる者として、大変嬉しく思います」
「そして、ご安心下さい。今回のケース、昇降機前にてお話した通りです。十中八九、カレーニャの非は認められません」
「後ほど改めてご説明致しますので、今しばらくお待ち下さい」
カタリナ
「昇降機前……?」
「待てよ。確かに、そういうことなら──」
ルリア
「カタリナ? ど、どういう事?」
カタリナ
「多分、すぐに解るさ。まずはドリイ殿の仕事が先だ。良い子で見ているんだ」
──ルリア達を宥めたドリイは向き直り、未だ岩清水の如く説教を溢れさせる老婦人にそっと声をかけた。
ドリイ
「お客様。本日はお騒がせ致しまして、誠に申し訳ありません」
老婦人
「──カレーニャ、アナタは私がどれほどアナタを信じて……あら、ドリイさん。良いのよそんな事」
──「話が通じない」と職員らが辟易していた老婦人が、一言で振り向いた。余程ドリイの事が気に入っているようで表情も明るい。
──老婦人を受け流していたカレーニャは、ようやくお役御免かとばかり大きく伸びをしながら2人から距離を取った。
ドリイ
「恐れ入ります。時にお客様。例の魔導グラス、いつ頃お求めになられた物でしょう?」
老婦人
「そうそう、あれねえ。こないだの誕生日に息子が贈ってくれた物なのよ」
「使ってもう半年くらいだったかしら。孫も随分気に入ってねえ。あれ鳥みたいな形してたでしょう?」
「『ピーちゃん、ピーちゃん』なんて呼んでもう可愛くって。今ではどこに行くにも一緒に連れて行ってたのよ」
ドリイ
「然様でしたか。ではせめて後ほど、私から替えのお品をお孫様の元に贈らせていただきます」
老婦人
「あら良いのよ。貴女がそこまでする必要ないわ。カレーニャのワガママが招いた事なんだから」
ドリイ
「……カレーニャには私も、よく振り回されております」
老婦人
「でしょう? 大体あの子も年頃だからって、自覚が足りなすぎるのよ」
「若いから、自分だけの特別なものが欲しい気持ちはわかりますよ? でもねえ。世のため人のためになる事してるのに、身内にしか手を付けられないようにするわ、あまつさえ暴走するような物を作るだなんて──」
──どんどんと口数が増えていく老婦人に、穏やかかつ的確に受け答えを続けるドリイ。
──傍らから見ている団長達も職員達も到底割って入れそうに無く、持て余した一同は小声で語らい始めていた。
ビィ
「何かさっきから聞いてると、あの婆ちゃん、ちょっと偉そうな感じだよな?」
職員
「あのご婦人、プラトニアで魔法の教師として、とても名のある方なんですよ」
「魔法の事については一家言あって、島の外にまで無償で教えに行くくらい熱心で優しい人で……普段はあんなに意固地じゃないんですがねえ」
兵士
「まあ、気持ちは解るな……」
主人公(選択)
・「相手がカレーニャだから?」
・「気が動転してるって事?」
→「気が動転してるって事?」
ビィ
「あー……自分の持ち物があんな大惨事起こしちゃなぁ……」
兵士・職員
「……──」
──団長達の言葉に、決まり悪そうに視線を泳がす役人達。観光客の前で、島民がこの振る舞いとあっては、そうしたくなるのも無理は無いのかも知れない。
──そんな会話をよそに、老婦人の逸れに逸れる話題を一通り聞き終えたドリイが老婦人に問う。
ドリイ
「……お客様の抱える不安は、私の不徳の致す所でもございます」
「では、お客様。今後のより良いグラス製造のために、魔導グラスのご利用実態について、幾つかお伺いしても?」
老婦人
「そういう事なら大歓迎よ。貴女からも、ちゃんとカレーニャに厳しく言ってあげてね」
ドリイ
「善処します。それではまず、お客様の場合、運送用のグラスを日頃からご利用なされているとの事でしたね」
「魔力の補給の頻度や、どちらの設備をよくご利用なされるか、お伺いしてもよろしいでしょうか」
老婦人
「ええ、良いわよ。実はあれねえ。孫のお気に入りだから私が眠っている時も飛ばしっぱなしなのよ」
「だから──大体2,3日に1回くらいかしら。出かけるついでに魔力を補給してるのよ」
「そうそう、あの補給用の魔導グラス、あれって売ってらっしゃらないんですってねえ。あれも何とかならないものかしら」
ドリイ
「補給用のグラスに関しては度々要望は受けておりますが、悪用の恐れがあるため、オブロンスカヤ直轄の施設以外における配備は見送られております」
カタリナ
「(補給……やはりそこか)」
──黙って話を聞いていたカタリナがピクリと反応した。昇降機前……エレベーター待ちの際に聞いた魔力補給の話でも出て、そして中途半端に終わった話題だった。
老婦人
「あらそうなの。いやだわあ。誰も悪い事に使おうなんて思わないでしょうに……そもそも補給のためだけのグラスが何に使えるって言うのかしらねえ?」
ドリイ
「そちらについては私の口からは……」
老婦人
「あらごめんなさい。変な事言っちゃって。気になさらないで」
「でも本当、有ったら助かるのにねえ。一昨日だって、子どもたちと旅行に行った時にグラスが途中で魔力切れ起こしちゃって……」
「孫が『ピーちゃんかわいそう』って泣いちゃったのよ。その島に『魔導グラスに詳しい』って人が居たから良かったけど──」
兵士
「え?」
職員
「ん──?」
ルリア
「ど、どうかなさったんですか……?」
──にわかに職員と警官が驚いた顔を見合わせた。黙って頷きあうと兵士が合図し、遠くで待機していた残りの兵士達が静かにこちらにやってくる。
──それと同時に2人はルリアに何も応える事無く、ドリイの元へ歩み寄る。足音を忍ばせるようで物々しさを感じさせる。
ドリイ
「それはご不便をおかけしました。よろしければ、ご旅行先の島や、お手伝い頂いた方について詳しくお伺いしても?」
老婦人
「もちろん。ドリイさんと私の仲じゃないの。……あ、でも魔力を補給してくれた人が『特別だから秘密にしててくれ』って──」
兵士
「ドリイさん。ご協力、誠に感謝します」
ドリイ
「いいえ。後の事は、よろしくお願い致します」
老婦人
「あら、どうしたのドリイさん。……あら。あらあら……これって?」
──2人の会話に兵士が割り込む。気付くと残りの兵士と、他に駆けつけた職員数名が老婦人の背後に回っている。
──ついでに距離を置いて事態を眺めていたカレーニャが口を抑えて露骨に笑いを堪えている。
ルリア
「え、え? あの、これって何が──」
カタリナ
「昇降機の前での、ドリイ殿の説明を覚えているか。ルリア?」
「魔導グラスにカレーニャ以外の魔力を補給すると、思わぬ動作不良や暴走を招く恐れがある──と」
ルリア
「あ、そういえば……」
カタリナ
「その暴走の結果がコレで、そうなる事が解っていたなら、他人の魔力を補給する事をプラトニアが認める訳がない。確実に法で禁止されているだろう」
「元から魔導グラスに興味が薄かったか、単に偶然知らなかったのか──ともかく婦人は旅行先で『魔導グラスに詳しい』と宣う他人に魔力を補給してもらった」
「だとすれば責任は、不法行為を行った、そして持ち主である彼女にある。そういう事になるな」
「補給用グラスを普及させたくない訳だ。第三者の魔力を充填されるような事があれば、暴走するグラスが爆発的に増えてしまう」
──丁度、同じ説明を老婦人も受けていたようだ。しかし老婦人に取り乱すような様子は見られない。
老婦人
「あらやだそうだったの? ごめんなさいねえ。魔導グラスが出来たのって最近でしょう? よく知らなかったのよ」
ドリイ
「魔力補給に関する法整備が整った時期が約10年前です。プラトニアとしては充分に周知してきたつもりでしたが、私共の努力不足です」
ビィ
「最近って……10年って結構前だよなぁ?」
カタリナ
「10年20年前でも、つい最近の事だったように錯覚する事はよくある。御老体なら尚更だろうな」
ルリア
「カタリナも、よくあるんですか?」
カタリナ
「た、たまにな。私の場合は、ごくたまーに、な……!」
ドリイ
「過去のグラス暴走の事例を鑑みても、その原因は例外なく第三者からの補給を受けた事によるものでした」
「今回も、暴走したグラスの持ち主が発覚した時点で、私共もそのように備えてご協力をお願いしていた次第です」
老婦人
「お巡りさん達がカレーニャの事そっちのけでよく解らない事ばかり言ってたのは、そういう事だったのねえ」
兵士
「いえですから、現行法上、こういったケースで製造元に責任は及ばないと何度も──」
老婦人
「そこがおかしいんですよ、お巡りさん。よく考えれば解るはずですよ」
「魔法も魔力も、よっぽど事情がない限りは誰にだって扱えるモノなのよ。空気や他人から魔力を取り込む技術まであるのに──」
「魔力で動くなら魔導グラスも魔法。それが古くから決められた摂理なの。決まった人の魔力でしか動かない道具なんて、わざとそうなるように作らなければ普通ありえないんですから」
「カレーニャのワガママに国が合わせて考えるのを止めてしまうなんて、言語道断じゃありませんこと?」
──老婦人の口調は徹頭徹尾冷静だった。
──話を逸らして煙に巻こうとか、ましてや苦し紛れに言い訳を捲し立てている等と言った様子は微塵もない。
──それが、今この場を正しい方向へと導く選択だと確かに信じる者の言葉だった。
兵士
「確かに間違っていたとしてもですね。今現在の法がそう定めている以上は──」
職員
「あ、あの~ご婦人。言いたくは無いのですが、私共としましても貴女ご自身のために、ここはどうか……」
老婦人
「いやだわ貴方まで。良くないことを良くないと言う事の何がいけないの?」
ドリイ
「お客様。心苦しいのですが、お客様の証言から、お客様には魔導グラスの島外持ち出しの疑いがかかっております」
「現在、公私の別なく魔導グラスの輸出は全面的に禁じられており、これを破られた場合、魔導グラスの不正運用より遥かに重い罰則が定められております」
「今回は初犯であり、故意で無いとの事ですので、お客様のためにも、グラスの補給を請け負った第三者について説明をなされるなど、今は酌量の余地を得る事が賢明かと」
──丁度その時、図書館の入口から、老婦人の罪状の程度を伺える程度に応援の兵士がゾロゾロと押し寄せてきた。
──己の罪状を理解してなお毅然と説き伏せにかかった老婦人も流石に空気を読み始めたのか、あるいは何か別の思惑か。四面楚歌を見るなり困り顔で軽くため息をついた。
兵士
「詳しく、お話を聞かせていただけますね?」
老婦人
「ハァ……嘆かわしいこと」
職員
「あ、あのですから……」
老婦人
「良いですとも。悪法もまた法なのですから。誇りあるプラトニア市民としてお受けしますわ」
「でもねえ、お巡りさん。1つだけやらせてちょうだい」
──言うなり老婦人は歩き出し、職員・兵士の制止も聞かず、確かな足取りでカレーニャの前へと詰め寄る。
──当のカレーニャは老婦人の一連の失態が余程ツボに入ったのか、グラスチェアーから降りてその側面にもたれ掛かり、息を堪らえながら一通り笑い倒した身体を休めていた。
カレーニャ
「ブッ……クッヒククク、ふふぅ……あ~、やっと落ち着きまし──ぁん?」
老婦人
「カレーニャ。よく見ておきなさい」
「アナタが造ったモノがどれほど世の中に大切で、そのためにどれだけ多くの人の生活を左右するのか。アナタはそれがまだ全く解っていません」
「アナタのためにも、私はこれから胸を張って罪に服します。アナタの勝手で、こうして必要も無い法で裁かれる人がある意味をよく考えなさい」
「ご両親が見ても悲しまないようなアナタであるためにもね……!」
──カレーニャにお構いなしに一方的にまくし立て、老婦人はさっさと踵を返して兵士達の方へと歩んでいった。
──老婦人が遥か遠くへ兵隊と共に去っていった頃、カレーニャは一杯に膨らませた口から我慢していた呼気を盛大に吹き出し、グラスチェアーをペシペシ叩きながら膝から崩れ落ちた。