グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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32「新たな異変」

 ──カタリナがアンナを寝かせて部屋に戻ってきた。

 ──大量の紙束達は即座にしまうあてもなく、ひとまずテーブルと共に部屋の隅に追いやられている。

 

 

 

ルリア

「カタリナ……。アンナちゃんの様子は……?」

 

カタリナ

「今の所は落ち着いている。診てもらった所、極度の過労状態だったそうだ」

 

ビィ

「アンナが『寝不足』って言った時、カシマールが何か言おうとしてたからなぁ。もしかしたら、アレから全然寝てなかったんじゃぁ……」

 

カタリナ

「原因は解らんが、恐らくそうだろうな……」

「……所で、少し確かめたい事があるのだが、良いだろうか」

 

 

 

 ──団長を見て問いかけるカタリナ。団長が頷く。

 

 

 

カタリナ

「アンナが叫んでいた事を聞いて、少し思い出した事があってな」

団長(キミ)が事件について取り調べを受けた時、何か違和感を感じはしなかっただろうか」

「例えば──我々は現場に居なかったと言うのに、カレーニャについての質問が妙に多かったとか」

 

主人公(選択)

・「あったような……」

・「無かったような……」

 

→「あったような……」

 

カタリナ

「やはりか。私もそうだった」

「被害者の我々の扱いがどこか軽いと言うか、始めから結論ありきで取り調べをしていると言うか──」

「その時は気のせいかと思ったが、あの見出しの数々を見た後だと、どうもそうは思えなくなってきた」

「多分、現場を見ていたアンナは私達よりも突っ込んだ……更に言えば偏った聞き込みを受けたのだろうな……」

 

ビィ

「アンナはカレーニャが悪いって決めつけてる奴らと話させられてたって事か?」

アレ(雑誌)に書かれてるみたいな事ばっかり聞かれてたら、オイラだったら絶対やってらんなくて飛び出してただろうなぁ……」

 

カタリナ

「アンナの事情聴取だけいやに時間がかかっていた。恐らく、根強く抗議し続けたのだろう」

「そして慣れない苦労を積み重ねた結果が……アンナが取り乱すのも無理はないな……」

 

 

 

 ──重たい空気がどんどん降り積もっていく。

 ──艇の外の喧騒まで届いてきそうな程の静寂が暫く場を包んだが、カタリナが切り出す。

 

 

 

カタリナ

「……そろそろ、この騎空団の団長として、意見を聞きたい」

 

 

 

 ──急に呼ばれて、話の見えない団長がキョトンとした顔を返す。

 

 

 

カタリナ

「当面この島に残るか、あるいは今すぐにでも島を離れるか、結論を委ねたい」

「こんな事があって、ここまで知った後だ。もう観光という気分ではない」

「私個人としても、こんな雰囲気の中で余りルリア達を長居させるのは良くないと思っている」

 

 

 

 ──ルリアを見やるカタリナ。目が合ったルリアはリアクションに困って俯いた。

 ──カタリナは、最悪の場合としてカレーニャへの非難がルリア達に飛び火する可能性を考えていた。

 

 

 

カタリナ

「だが、私達はあの事件の当事者で、そしてカレーニャとドリイ殿の事についても解らない事だらけだ」

「筋を通すなら、今後のカレーニャとドリイへの処遇や、事件の真相を私達なりに確かめるのも1つの選択だと思う」

「もっとも、これ以上島に留まる事が我々の利益に繋がるとは思えないし、何一つ成果も無く時間だけを浪費する事になるかもしれない」

「それも踏まえて決めて欲しい。君が決めた結果なら、私も異論は無い」

 

ビィ

「なんだよ姐さん。そんな事なら今更聞くまでもねぇぜ。な?」

 

 

 

 ──団長に先んじてビィが答える。

 ──こんな時にとる行動はいつだって決まっている。

 

 

 

ルリア

「このままカレーニャちゃんが酷いこと言われ続けるなんて、私も絶対イヤです!」

 

 

 

 ──ルリアも同調する。数の上でも、既に答えは決した。

 

 

 

カタリナ

「フッ──。確かに愚問だったな」

「それじゃあ、明日の朝にでも早速──」

 

 

 

 ──言い終わらぬ内に突然、何か重い物がどこかにぶつかる音と共に艇が大きく揺れる。

 

 

 

ルリア

「キャアッ!」

 

ビィ

「な、何だ急に!?」

 

カタリナ

「今の音は船底──それも外からだ!」

「皆、まずは状況を確かめる。行くぞ!」

 

 

 

 ──部屋を飛び出す団長達。状況を確認するために甲板に上がり、外の光景を確認する。

 ──すると、一行の目に飛び込んできたのは、悲鳴と共に逃げ惑う人々と、大量の魔導グラスだった。

 ──よく見ると、人々は我先にと近くの艇へと駆け込み、グラスがそれを追いかけている。

 ──広大な発着場の一角で一際大きな悲鳴が上がる。一行がその方向を見ると……。

 

 

 

市民

「ヒッ、ヒィィ……来るな、来るなぁっ!」

 

魔導グラス

「──」

 

 

 

 ──男性が、例のグラスの鳩を前に腰を抜かし、後ずさっている。

 ──ゆっくりとグラスの鳩が男に接近したかと思うと、その姿が液状化したように崩れ、そのまま男に投網を広げるように迫り……。

 

 

 

市民

「うわっ……い、嫌だ……助けてっ! 誰かっ!! 誰か助──」

 

 

 

 ──グラスの先端が男に触れたかと思うと、全身を薄く包んだ。中の男は見る見る末端から透明になり、そして最後には完全に消えてしまった。

 ──男を消し去ると、グラスはまた鳩の姿に戻り、次の獲物を探すかのように宙を滑り始めた。

 

 

 

ビィ

「何だこりゃ──魔導グラスが人を襲ってるのか?」

 

ルリア

「もしかして、また魔導グラスさんが暴走を?」

 

カタリナ

「可能性はゼロではないが、図書館で見たものより随分大人しい」

「それに図書館の時から考えれば、暴走中もある程度、グラスの機能の範疇で動いている。あんなおぞましい機能が元から有ったとは考えにくいな」

「とは言え、今は考えている場合でもないか。ルリア、ビィ君、艇の皆を呼べ。総出で一人でも多くの者を避難させるんだ!」

 

ルリア

「ハ、ハイ!」

 

 

 

 ──ルリアとビィが船内に引き返し、団長とカタリナは梯子もステップももどかしいとばかり甲板の縁から飛び出し、発着場に降り立った。

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