グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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34「再会」

 ──発着場を脱し、街道を駆ける一行。しかしその行軍は遅々として進まない。

 ──プラトニアのあらゆる生活を支えている、全ての魔導グラスが一斉蜂起していた。

 ──あちらこちらで悲鳴が飛び交い、特に団長とルリアがこれを放っておけず、最短ルートを外れ街中を右往左往していた。

 ──今も、何十かあるいは百を超えたか、数えるのも止めたグラス粉砕数を1基更新して、図書館に続く大通りへ引き返していた。

 

 

 

ビィ

「ふひぃー……お人好しも良いけどよう……流石に、こいつはちょっと……」

 

ルリア

「はぁ……はぁ……でも、見捨てるなんてできません……」

 

アンナ

「はー……はひぃ……うぅ……」

 

カタリナ

「アンナ。辛いようなら私がおぶって行くぞ」

 

アンナ

「お、おぶ……!?」

「い、いいよ。大丈夫だから……」

 

カタリナ

「しかし、君が案内役なんだ。もし倒れられでもしたら──」

 

アンナ

「だ……ダメでも……大丈夫……!」

「自分の力で……た、辿り着きたいの……」

 

カタリナ

「むぅ……」

「気持ちは尊重するが、本当に危なそうだったら無理矢理にでも私か団長(どちらか)が君の足になる。いいな?」

 

主人公(選択)

・「大丈夫、まーかせて!」

・「──え?」

 

→「大丈夫、まーかせて!」

 

アンナ

「えぇえ!? だだ、だ、だだ団長さんも!?」

「うぅ……ぜ、絶対に、絶対に大丈夫だから……!」

 

カシマール

「チョ、チョッピリタヨリタイナンテ、ゼンゼンオモッテネーンダカラナ!」

 

 

 

 ──何故だか意固地になって手助けを拒むアンナだが見るからに消耗しており、立ち止まる度にどこかに寄り掛かるか膝に手をつくかを繰り返している。

 ──徹夜の上に、結局1時間も休んでいない。その1時間も、取り乱した末の気絶によるもの。アンナの体力を案じる一行。

 ──そこに、とっくに団長の肩で休憩していたビィがふと呟く。

 

 

 

ビィ

「しっかし、こんな事言うのもなんだけどよぉ。オイラ達、よくまだ無事でいられるよなぁ」

 

ルリア

「そういえば、今の所は街の人達は助けられてますけど、発着場の人達はちょっと触られただけで……」

 

 

 

 ──人がグラスに取り込まれる有様を思い返す一行。ほぼ例外なく、犠牲者はグラスに触れられた途端、カエルに捕食されるが如く一瞬で全身を包まれ、そして消えていった。

 

 

 

カタリナ

「それなんだが、発着場で戦っていて気付いた事がある」

「私の推測が正しければ、恐らく私達はグラスに触れたとて取り込まれる事は無いだろう」

 

ビィ

「ん? どういう事だ?」

 

カタリナ

「魔導グラスと戦っていて、何度か一般人を襲うグラスに巻き込まれた事がある」

 

ルリア

「えぇ!? じゃ、じゃあカタリナも……」

 

カタリナ

「飲み込まれたりはしていないさ。こうして元気なのがその証拠だ」

「ただ、高速で迫って来るタイプに跳ねられたりしてな──」

 

 

 

 ──大通りに到着し、グラスが居ない事を確認する一行。

 ──カタリナが先行して進んでいく。その背中を見ながら団長は、高速で移動する魔導グラスについて思い返していた。

 ──トロッコのような形状に跳ねられたと思しき男性は、グランサイファーに強く身体を打ち、歩くのもやっとの状態で逃げ惑っていた。

 ──カタリナを改めて観察する団長。鎧で固めているとはいえ、ダメージ1つ感じさせない。場数で鍛えた受け身の妙か、成人男性を超える頑丈さなのか……。

 

 

 

カタリナ

「私はただ跳ね飛ばされるだけで済んだのだが、そのグラスはそのまま他の一般人に接触してな。すると今度はその人を飲み込んでしまったんだ」

「助けられなかったのは無念だったが──そこでふと思ったんだ。グラスは襲う相手とそれ以外とを区別しているのでは……とな」

 

ビィ

「つまり、オイラ達は襲われない側だから触られても平気って事か」

「でも、どうやってそんなの見分けてんだ?」

 

カタリナ

「うむ。そこがまだ解らなくてな……だからあくまで推測の域を──」

 

アンナ

「……余所の人……かな」

 

カタリナ

「ん? アンナ、今なんと?」

 

 

 

 ──アンナの呟きに振り向く一行。

 ──大通りを進み、見覚えのあるショーウィンドウが見えてくる。初めてこの島に降り立った時、アンナがオーバーヒートして座り込んでしまったアクセサリーショップだ。

 ──団長達がここに来るまでにも相当な犠牲者があったのだろう。昨日とは打って変わって、すっかり静まり返ってしまっている。

 

 

アンナ

「えっとね……だ、団長さんも、覚えてる、よね?」

「魔導グラスの鳥が、男の人を通り過ぎて、お爺さんを襲おうとしてたの……」

 

 

 

 ──頷く団長。

 ──発着場で、パニックを起こしていた男性は逃げる意思を失いその場に蹲った。

 ──しかしグラスの鳩は、男性が始めからそこに居ないかの如く、その直上を素通りしていた。

 

 

 

アンナ

「あの人……自分の艇に逃げるんだって言ってたから……島の外から来た人だと思う」

「グラスは島に住んでる人だけ、その……”あんな風”にして、島の外の人には多分、自分から襲いかかったりは……あんまりしないんだと……思う」

 

カタリナ

「そう言われてみれば……確かに私がグラスを破壊して回っていた時もそうだ」

「人を襲おうとしているグラスに割り込んで巻き込まれる事はあったが、明確に反撃を受けた覚えは無かった」

 

アンナ

「ボク達も……よ、余所者……だから……」

「だから、助けに入ってもグラスはボク達の事、気にしないで……そのまま、壊されちゃってるんじゃないかな」

 

カタリナ

「確かに辻褄は合うが……何か他に根拠でもあるのか?」

「もしかして、それもアンナがカレーニャの居場所を知っている事と関係があるとか……」

 

アンナ

「う、うん……あ、ち、直接じゃないけど……」

「でも……多分、”そうする”って思うから……」

 

カタリナ

「そうするって、一体誰が……首謀者が居るというこ──」

 

ビィ

「姐さん、前、前!」

 

カタリナ

「まえ? ……ぁがっ!?」

 

 

 

 ──カタリナが先陣を切る隊形で、カタリナはアンナの推理に興味を示し、後ろを向きながら歩いていた。

 ──その結果、カタリナは前方の障害物に後頭部を強打した。頭を押さえて悶えつつ前方を確認するカタリナ。

 ──推理から我に返って前方を見るアンナ。たちまち目を丸くする。

 ──残りの3人はアンナより後方に立ちすくんでいる。先程から、カタリナが衝突した物体を目の当たりにして呆気にとられて居たからだ。

 

 

 

カタリナ

「ぐっ……つ~~~……!」

「一体何が……って、何だこれは! 魔導グラス!?」

 

 

 

 ──例のショーウィンドウの店から、その向かいの店まで。高さはその屋根の辺りまで。

 ──分厚いグラスが道を横断し、壁となって立ちはだかっていた。

 ──いつの間にかショーウィンドウが消えて商品が剥き出しになっている。

 

 

 

ルリア

「き、急に、あのお店のおっきな窓がぐにゃって動いて……」

 

ビィ

「そんであっという間に壁になっちまったんだ。姐さんがぶつかるちょっと前までただの道だったのに……」

 

カタリナ

「くっ……先頭に立っておきながら情けない……」

「しかし、何で急にこんな……」

 

アンナ

「(やっぱり……居るんだ……!)」

 

 

 

 ──グラス壁の遥か向こう……聳える図書館を見上げるアンナ。

 ──グラスの壁は昨晩ドリイが廊下を封鎖した物よりも、磨き抜いたように滑らかで、そして頑丈だった。団長が一撃加えて見るも、機械兵さえ叩き潰す団長の業前でさえ傷一つ付かない。

 

 

 

カタリナ

「強行突破は難しいか。一旦引き返して脇道を──」

 

アンナ

「大丈夫。さ、下がってて……」

 

 

 

 ──声に振り向くと、アンナが既に魔法を放つ構えに入っている。

 ──グラスへの有効性は図書館での暴走騒ぎで実証済みだが、カタリナはアンナの体力を案じて消極的だ。

 

 

 

カタリナ

「頼りたいのは山々だが……」

 

アンナ

「こ、このくらいなら──何ともないから……!」

 

カタリナ

「──わかった。くれぐれも無茶はしないでくれよ」

 

 

 

 ──どちらかといえば「言っても聞かないだろう」と諦め半分で認めたカタリナ。アンナの邪魔にならないよう、グラスの壁から離れる。

 ──スウッと一呼吸挟んで、アンナが火球を発射する。

 ──壁に比してかなり小さな火球だったが、弾丸の如き速度で射出され、グラス壁に衝突した途端、大きなヒビを入れた。

 ──更にグラスにめり込むように凄まじい力で直進し続け、見る見る壁のヒビが広がっていく。

 ──壁の周囲が火球の熱量で陽炎を立ち上らせ、遂には派手な音を立ててグラス壁が崩壊した。

 ──明らかにいつものアンナの火力を超えている。

 

 

 

ビィ

「うおーっ! さっすがアンナだぜ!」

 

カタリナ

「しかしこの破壊力……アンナ、無茶はするなと──」

 

 

 

 ──カタリナが咎めようとアンナを見るも、アンナもあんぐりとその結果に驚いている。

 ──ひとまず、ここまで歩いてきた疲労以外に消耗した様子は見受けられない。

 

 

 

カタリナ

「な……何とも──無いのか?」

 

アンナ

「う、うん……ちょ、ちょっと試して見て……疲れそうだったら止めて置こうって感じ……だった、んだけど……」

 

主人公(選択)

・「才能が目覚めた──?」

・「疲れすぎてハイになってる?」

 

→「疲れすぎてハイになってる?」

 

ビィ

「まあ壁も壊せたんだし、とりあえず細けえ事は後にして進もうぜぇ」

「……って、見ろ! 壁の向こうに人が居るぞ!」

 

カタリナ

「ま、まあアンナに支障なければ──」

「──何!? ならまずは保護だ。グラスが現れる前に、どこか安全な……待て、あの人影は……」

 

 

 

 ──崩れた壁が路面の石を砕き砂煙を上げる。

 ──その向こうに立つシルエットに、一行は確かな覚えがあった。

 ──背丈はアンナより少し小さいくらい。ゆったりした高級感のある服装。

 ──金色の直毛はルリアのそれより見るからに柔らかく、せせらぐように枝垂れて容易く風に遊ばれる。

 ──その人影は地に足が着いていない。丸みのある何かに乗って宙に浮いている。

 ──そして、傍らには同じく宙に浮く限りなく真球の物体が……。

 

 

 

???

「あらまあ──」

「一般向けのグラスじゃあ質量増やしてもこんなもんですのねぇ」

「本当、こんなギリギリで脆弱性に気づけたなんて──日頃の行いの賜物ですわね」

 

ビィ・ルリア・カタリナ

「!!」

 

アンナ

「……カレーニャ……」

 

 

 

 

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