グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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3.5「6名様ご案内」

 ──浮浪者との騒ぎの後、カレーニャの案内で行き着いた先は、巨大な屋敷の中だった。

 ──客間に通された一行は、少し待っているようカレーニャに告げられ、各々席について時間を潰していた。

 

 

 

ビィ

「このソファすっげぇフカフカだぜ! 軽いオイラでも沈んじまうソファなんて初めてだ!」

 

ルリア

「ソファも凄いですけど、テーブルも真っ白で鏡みたいにピカピカです……!」

「あ、あの……テーブルの上の物は好きに食べてて良いってカレーニャさん言ってましたけど……」

「あの、当たり前のように置いてあるおっきなカゴ一杯の果物の事、ですよね……!」

 

ビィ

「クンクン……この匂い、やっぱり飾りじゃなくて本物だぜ。リンゴもたくさん入ってる匂いなのに、他の果物に隠れちまって殆ど見えてねえ……ゴクリ」

 

カタリナ

「待て二人とも。そもそも此処がどういう場所なのかもまだ知らされていないんだ。せめて彼女が戻ってくるまでは失礼のないよう大人しく待つべきだ」

「見ろ、アンナはこんなに大人しく……アンナ?」

 

アンナ

「……」

 

 

 

 ──屋敷の豪奢さに圧倒され興奮を隠しきれない二人と、逆に気後れを覚えるカタリナと、そして団長は、アンナが今の今まで一言も発していない事にようやく気がついた。

 ──路地での一件の時からずっと、彼女は俯き、髪に隠れた眉根を痛ましく寄せたままだった。膝下に置かれた手は固く握られている。

 

 

 

ルリア

「あ……」

 

カシマール

「ソーヤッテイツマデモキニシテンナヨ! アイツラガヨケナカッタノガワリーンダ!」

 

カタリナ

「むぅ……」

「アンナ。先程の件、気に病むのはわかる」

「確かに君にも非はあったかもしれない。だが、だからと言って君一人だけが悪い訳じゃない」

「君にも、あの場に居た私達にも、カシマールの言う通りではないが彼女たちにとっても、ほんの少しの備えや咄嗟の機転があれば避けられたかもしれない事なんだ」

「これは、言ってしまえば不運な事故なんだ。事故は、どうしたって起きる時は起きてしまう。それがたまたまこんな形で現れてしまっただけで、君が背負い込む罪なんてないんだ」

 

 

 

 ──ゆっくりと落ち着いた口調でカタリナが宥めるが、アンナの翳りは晴れない。取りこぼしたような頼りない声が返ってくる。

 

 

 

アンナ

「……だけど……あんなに、欠片がたくさん……きっと、凄く大事な物なんだ……代わりの物なんて……ボ、ボクが、謝ったくらいじゃ……」

 

 

 

 ──伏せられたアンナの視線は誰も見ていない。握った拳が小刻みに震えている。

 ──カタリナは、その手にそっと手を添えて、アンナの顔を覗き込みながら苦笑してみせた。

 

 

 

カタリナ

「何を言ってるんだアンナ。誰か、君一人に責任を取れなんて言っていたか?」

 

アンナ

「え……?」

 

カタリナ

「もう一度言うぞ。あれはあの場に居た全員、ほんの少しの工夫や機転があったら避けられた事だ。だったら、この始末は皆で分かち合って付けるべきものだ」

「もしアンナが心配する通りに、これが思いもよらない大事(おおごと)だったとしてもだ。起きてしまった事は戻せない」

「だから私達はもちろん、あの二人も、お互いに自分の背負う分がどれほどか、これから確かめるんだ」

「彼女たちだってそのつもりのはずさ。本当にアンナだけが悪いというつもりなら、こんな立派な場所まで連れてきてもてなす必要なんかないのだから。なあ、団長殿?」

 

 

 

 ──少し冗談めかして、カタリナが団長に視線を向ける。つられてアンナもようやく顔を上げ、団長を見つめている。

 

主人公(選択)

 

・「困った時はお互い様!」

 

・「守ってみせる! 団長だもの!」 

 

 

 

→「困った時はお互い様!」

 

 

 

ビィ

「そうだぜ! こんな時助けられなくて、何のために一緒に旅してるってんだ!」

 

ルリア

「わ、私も……何もできないかもしれませんが、アンナちゃんの傍についていてあげるくらいなら……!」

 

アンナ

「団長さん……皆……」

 

カタリナ

「今は慣れない土地で少し疲れているだけだ。まずは心を落ち着けよう。一人で悩んでみたって、何か変わる訳じゃないだろう?」

 

ビィ

「なぁなぁ。それだったらやっぱりテーブルの果物食べちまおうぜ!」

「オイラ達まだこの島に来て何も食べてないしよ!」

 

ルリア

「賛成です……! 食器と取り皿も、ちゃんとたくさん用意されてますし……ね、カタリナ?」

 

カタリナ

「全く。ルリアもビィくんも自分が食べたくてしょうがないだけじゃないのか……?」

「まあ、そこまで至れり尽くせりなら、そういうことなのかもな。辺りを汚したりしないよう、落ち着いてだぞ?」

 

ルリア

「ハーイ! それじゃあまずはアンナちゃんの分ですね」

 

ビィ

「だったらあの辺から取るのが良いぜ。下にリンゴがぎっしり隠れてんだ!」

 

 

 

 ──フルーツ崩しに夢中になる二人を見て、ようやくアンナの体から力が(ほど)けた。

 

 

 

アンナ

「クスッ……ごめんね、カタリナ。ボク、確かにちょっと疲れてたみたい」

 

カタリナ

「元気になってくれたなら何よりだ。しかしだ、アンナ。そういう時は──」

 

 

 

 ──その時、客間の出入り口の方……設えも蝶番の具合も一級品の扉が、わざとらしくキィと鳴った。

 

 

 

カレーニャ

「あのぉ……ものっすっご~く、入りにくいのですけれども」

 

カタリナ

「あ……ああ、お気遣い感謝する。丁度、落ち着いたところだ。気づかず失礼した……」

 

 ──こんな時は、先に「ありがとう」を言うのが粋である。不意打ち受けて言う相手を間違えなければなお良い。

 

 




※ここからあとがき

 このパートは蛇足かと思い一度削除しましたが、せっかく書いたのだしと、改めて幕間として挿入投稿しました。
 もしかしたら前後の話と若干、文章の脈絡がズレているかもしれませんが、「有っても無くても大きな支障の無かった出来事」として、おかしな所は脳内で調整していただければと。
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