グラブルオリジナルストーリー(主役:アンナ)   作:水郷アコホ

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43.5「別ルート」

 ──団長達が図書館に突入してからどれほど経った頃だろうか。カタリナは図書館の前に立っていた。大時計を見上げて眉根を寄せる。

 

 

 

カタリナ

「大分道草を食ってしまったな。ルリア達は無事だろうか──」

 

 

 

 ──救助したニコラは無事に路地へ運び、アジトへ入る所を見届けた。

 ──間近で見ていても壁の中を出入りしているようにしか見えない仕掛けには驚かされたが、あれなら当分は勘付かれる心配も無いだろう。

 ──カタリナがここに着くまでかけた時間の内訳は、団長とほぼ同様だった。助けに行っては通りに戻る。行って帰った方角の他に大した違いはない。後は人数差の分、時間を少し費やしたくらいか。

 

 

 

カタリナ

「しかし、想像はしていたが……これは中々どうしたものか」

 

 

 

 ──図書館の外周を回って見るカタリナだが、どこもグラスに閉じ込められて、これは剣で砕くとか言う次元では無さそうだった。

 ──再び玄関前で考え込むが、ふと気付いてグラスの向こうを覗き込む。

 ──入れそうな場所を探すのに気を取られていてよく見ていなかったが、グラス越しの玄関には大穴が開けられている。そして夜中と言えど、穴の縁が真っ黒に焦げているのを見逃さなかった。

 

 

 

カタリナ

「皆、突入した後という事か。良い判断だ」

 

 

 

 ──ここに着くまで、自分を待ってまごついては居ないかと言う心配が少しあった。

 ──それが杞憂に終わり、自分を置いて進んで行った事が何だか誇らしい気さえした。

 ──拳と手の平を打ち合わせながら気合を入れ直す。

 

 

 

カタリナ

「ヨシッ! 私もこんな所で突っ立ってる訳にも行かないな」

 

 

 

 ──図書館を見上げるカタリナ。入れる場所が無くとも、今は行ける所まで行くまでだ。

 ──グラスの表面は、昨夜のカレーニャ邸の四方を埋め立てたグラスと同じ、岩山の岸壁のように角ばった面が連なっている。

 ──否、今回は周囲の全てを拒むように棘や突起状の部位があちこちに形成されている。好都合だ

 ──更に言えば、全体的に要塞のような輪郭を型どりながらも、図書館の形に対応して、屋敷のそれより凹凸が顕著になっていた。

 

 

 

カタリナ

「ふむ──」

「どれ……」

 

 

 

 ──おもむろに剣を抜くと自身の腰辺りの高さに構え、柄頭(ポンメル)でグラスの壁を強かに打ち据える。

 ──叩く度にヒビを作り、細かな破片が散り、5回ほど打ち込んだ所で、小さく、そこそこ深いクレーターが出来上がる。

 ──クレーターに足先を突っ込み、そこを足場に飛び上がり、瞬時に頭上へ手を伸ばす。

 

 

 

カタリナ

「せっ……!」

「ふむ──これならいけそう……だ!」

 

 

 

 ──伸ばした手はグラスのスパイク状に突出した部分を握り締めている。

 ──足元でグラスが再生する音がする。すかさず足先を離し、片手1つでぶら下がるカタリナ。

 ──次の手がかりを見定め、スパイクを握る手が胸の高さと並ぶまで体を引き上げ、空いた方の手で剣の柄を構える。

 ──踏ん張りが効かないのに器用に柄頭を振るい、今度は渾身の力で柄をグラスにめり込ませる。

 ──差し込んだ柄を頼りに更に体を持ち上げ、すぐさま次の手がかりを掴む。

 ──次々に手がかり足がかりを見つけ出し、無ければ作ってよじ登っていくカタリナ。

 ──難なく5mほど登った所で、比較的広い足がかりの上に立ち、一息ついた。

 

 

 

カタリナ

「うん、思ってたより軽いな。私もまだまだやれるじゃないか」

「ひとまず登れるだけ登ってやろう。どこかにグラスが薄い箇所もあるかも知れない」

「しかし……身をもって思い知るとはこの事かな。あの頃は帝都と戦艦を行き来するばかりで、山岳訓練などすぐに錆び付くと思っていたが──」

「やはり、学ぶというのは良いものだ」

 

 

 

 ──騎士として……かはともかく、軍人として昔取った杵柄との思わぬ邂逅に手応えと興奮を覚えるカタリナ。

 ──不謹慎とは思いながらも、少し楽しさを覚えながら、グラスのフリーソロ・クライミングを再開した。

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