悪役令嬢プロデュース   作:ななせせせ

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書きたくなったものから書いていくスタイル
こんなことばっかしてるから他のが進まないんだよね。知ってる。


プランニング

 トンネルを抜けるとそこは、異世界だった。

 ……吾輩は転生者である。

 名前はもうある。

 ヘクセン=“Ⅾ”・ヴァーミリオンという、長ったらしく訳の分からないのが今生の自分の名前だ。

 

 一応説明しておくと、ヴァーミリオンは家名でヘクセンは名前、Ⅾは称号となっている。

 どうやら祖父だかが竜殺しを成し遂げたらしく、その功績からドラゴンスレイヤーという意味でつけられたとか。

 それが悪かったのかうちの父は領地を離れては迷惑な竜を殺して回り、今ではデストロイヤーだとかデンジャラスだとかそういう意味も込められている。

 では、その息子である俺はどういう人間なのか?

 

 簡単に言ってしまえば、勝ち組である。

 実家はクリーンな名家。容姿はどこを取ってもイケメン。銀髪に碧眼とかいう痛々しいカラーリングだが、それでもイケメンである。

 身体のスペックも最高とまではいかないがかなりのもの。勉強、運動、魔法なんでもござれ。一位は勉強だけしか取れないがそれ以外も二位になんとか食いついていけるハイスペック。

 友人関係も良好。同年代の友人ではアンドリュー・“K”・マックスウェルという男がいる。この国の現国王の第一子で、金髪碧眼のクソイケメン。清廉潔白にして悪を許さない性格。勉強こそ二位に甘んじているが、それ以外は一位を維持し続ける将来の王である。

 

 もはやこれだけで胸やけがするくらいのチート環境だが、とどめと言わんばかりに許嫁の少女もいる。

 カタリーナ=ディスペンシア。まだ称号はないが、いつかは付くと思われる才女だ。桃色のロングストレートに紫の瞳。身長は146cm、体重は45kg。スリーサイズは……いいか。ただ色々と慎ましやかだとだけ言っておく。なぜそこまで知っているかと言えば、わざわざ手紙で送られてきたからだ。

 実家は最近勢いに乗っているディスペンシア家。元々は王城の下級役人の家系だったが、色々あってついに上級の仲間入りを果たしたとか。

 これで嫌われているとかならまだしも、週一で文通をするくらいには関係は良好。不定期的にパーティやら旅行やらのお誘いを受ける。しかもうちの母親が何かしているのか、用事のない時に限って誘いが来るので断るに断れない。

 

 さて、ここまでずらずらとヘクセンこと俺の現状について語った訳だが、これは何も勝ち組の俺スゲー、かっけー、と自慢したいわけではない。

 むしろ逆。俺はこの現状に飽き飽きしているのだ。

 約束された安定の将来? 何でもできる自分? 王族の友人? 絵に描いたような美少女の許嫁?

 

 クソくらえだ。

 

 つまらん。全くもってつまらん。

 死ぬまで完璧に引かれた線路を歩き、何をやっても努力も何もなしに成果を得て、王族の友人として常日頃言動に注意し、許嫁に配慮して違う女の子と関わらないようにする毎日。ここから逃げ出そうものなら付き人によってさりげなく部屋に戻される。幼少期は家から出ることすら叶わなかった。

 なんだそれは。これがゲームならクソゲーにもほどがある。ノベルゲーでも選択肢くらいあるぞ。

 

 ……という鬱憤が溜まりに溜まった結果。

 俺はある一つの結論に至った。

 

 この国を崩壊させればいいのだ。

 生半可なものでは駄目だ。徹底的に、完全に、誰もがもう駄目だと絶望するくらいに破壊しつくす。その時こそ、初めて俺は俺としての人生を歩み始めることが出来るのだ。

 

 

「はははは、自分で自分が恐ろしくなる……!」

 

 

 そのために練ったこの計画。

 名づけて『悪役令嬢プロデュース作戦』はじわじわと侵食し、腐り落ちていく木のような計画となっている。

 説明すれば、なんかこう悪そうな令嬢を探して唆し、悪事に加担させる。そうして共犯者となったその令嬢の資金を使って官僚などに金を握らせ、腐敗させていく。不正と悪事が蔓延り始めたらしめたもの。

 今度は他国の間者を大量に招き入れつつ、自国の貴族を堕落させて攻め入らせる準備をする。各地に拠点を作らせ、砦の物資を減らし、物価を上昇させて民意を下落させる。

 人々が逃げ始めたら最終段階だ。

 一気に他国の兵を招き入れ、首都まで進攻させる。そして最後は内側から招き入れる、と……

 正義が服を着て歩いているようなアンディーにも気付かせないよう、友人である俺が大元となって何人かの手下を作りだし、そいつらにまた手下を指揮させてじわじわとこの国をぶっ壊してやる。

 

 完璧だ。

 完璧すぎる。

 我ながらこの神算鬼謀っぷりは世に生まれるべきではなかったのではないかと思うほどに。

 

 

「ふふ、ふふふ、フハハハ!! 見てろよ……! こんなところさっさとおさらばして自由に生きてやるからな!!」

 

 

 もうすでに最初の手下となる令嬢は決まっている。

 エーリカ・“G”・ユークリウッド。百年前から続くユークリウッド家の長女だ。百年も続いている家なら当然に腐敗しているだろうし、金髪縦ロールで釣り目だし、なんか欲深そうな感じがするから唆すのも簡単だろう。まさにチュートリアルキャラとして最適。

 この女から崩壊の序章が始まるのだ。

 

 おっと、危ない危ない。

 いくら浮かれていても、許嫁がいるのに片っ端から令嬢に声を掛けて回る軟派男と取られては計画に支障が出る。具体的には許嫁殿の誘いが増えたりする。

 慎重に、それでいて大胆に、全ての黒幕として暗躍するのだ。

 そして最後の最後に実は俺が全ての事件を引き起こしていたのさ! とアンディーにカミングアウトしつつ、国外へと消える……うん、クールでスタイリッシュなフィクサーそのものだ。

 

 ククク……明日が楽しみだぜ。

 何せ明日は、例のエーリカも来る舞踏会が開かれる日だからな。




この作品は阿呆が阿呆な考えのもと阿呆なことをして結果更に阿呆になる話です
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