悪役令嬢プロデュース   作:ななせせせ

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あけましておめでとうございます
結局年内更新は間に合いませんでした


……仕事辞めてラノベ作家にジョブチェンジしてぇ


4

 しまった。

 完全に浮かれていた。

 

 数分前の自分を殴ってやりたい。

 『ぼくのかんがえたさいきょうのとうぼうけいかく』など土台無理な話だったのだ。

 

 うっかり忘れていたが、そもそもこのパーティはアンディ主催である。

 ということは奴と親交のあるものであればどういう家であれ(・・・・・・・・)招かれるという事であり、つまるところ――人混みの中に婚約者殿を見つけてしまったのである。その桃色は一瞬にして浮かれ気分を薙ぎ払ってくれた。

 

 俺のこととなると異様に鋭い婚約者殿のことであるから、もう既に俺がいることも分かっているかもしれない。ついでに俺が何をしに来たのかも。

 

 今回の俺の目的は言ってしまえば、『未婚の令嬢と密室でお話すること』である。

 

 貴族社会の常識からすると、もう寝たのと同義らしい。

 例え実際には「俺この国嫌いだからぶっ潰そーぜ」と楽しくお話をしていただけだとしてもアウトらしい。

 とりあえず俺は婚約者であるカタリーナ嬢からそう聞いている。

 それがなくてもこれがバレた日にはあの桃色婚約者からの誘いが倍になる。そうなればカタリーナに骨抜きのうちの両親が勝手に了承し、自由な時間がまたゴリゴリと削られていくことになる。地獄だ。

 

 うっ、駄目だ。時折見せる視線から感じる、何か得体の知れない宇宙恐怖(コズミックホラー)的なものの影を思い出しただけで身体の震えが……

 

 もういいかな。帰ろうかな。

 なんか疲れたし。カタリーナさんが怖いし。

 

 ……いや。

 ここで諦めて何が男か。何が黒幕か。

 俺はこれしきの困難で折れる程軟弱ではないのだ。これくらいの障害なら今までにいくらでもあった。思い出せ、あの時はどうした……!

 

 ――そう、あれは俺が五歳の頃。

 外出はおろか、庭に出ることさえ専属メイドが「いけません若様。外は危険です」と妨害するため室内でメイドと遊ぶことしか出来なかった時はどうした。

 当時すでに天才にして最悪の黒幕の片鱗を見せつつあった俺は華麗なる脱走計画を実行し――

 

 

 専属メイドに2秒で捕まったのだった。

 

 

 いや違う。

 あれは練習みたいなものだから。

 別に失敗したとかじゃないから。

 

 本当の華麗なるフィクサームーヴは十歳の時。

 度重なるカタリーナの誘いに一人の時間を削り取られ、イライラしていたあの時はどうした。

 当時すでに冷酷にして非道なる黒幕の片鱗を見せつつあった俺は永久凍土が如き瞳でカタリーナを振ろうとし――

 

 

 あの子の目に宿る深遠のような闇に気圧されて2秒で「じょ、冗談だよ~」と言ったのだった。

 

 

 いやこれも違う。

 これはあれだから。カタリーナがなんか自殺どころかこの世の全てを滅ぼして私も死ぬわと言わんばかりの闇を溢れさせてたから、仕方なく。

 ちょっと想定より闇の深い女子だっただけだから。

 

 そう。そうだ。

 あれは確か十五歳の時――

 

 

 なんか二人きりになってから様子がおかしいと思っていたアンディが突然服を脱ぎ始めて襲い掛かってきて……

 

 

 違う。

 なんか失敗してばかりとか思わなくもないけど絶対に違う。

 

 ――よく考えよう。

 そもそもカタリーナは俺のことに気付いているのか否かだ。

 今回の計画は実行するにあたり、魔法の練習のために一人になりたいという口実で両親を欺き、専属メイドにはかなり集中力を要するものなので傍から離れる必要があること、三時間で切り上げるのでその時に来てくれればいいと言って引き剥がしている。

 更に傍目には瞑想している俺にしか見えない魔法で作り上げたダミーヘクセンを置いてきている。どこかで必要になるだろうと作っておいた魔法が役に立った形である。

 

 更に、この会場までは足がつかない様に屋根伝いを跳んできた。

 もし仮に御者なんかに出掛けていないか尋ねられたとしても彼らは何も知らないのでバレないという寸法である。

 とどめとばかりにアンディに見つかった後から認識阻害の魔法を掛けている。

 

 いるはずがないという思い込みに加えて認識阻害もついた今の俺を認識出来たらストーカーとはまた別ベクトルで怖い存在だ。というかもう人じゃないまである。

 

 

「……ふっ。所詮カタリーナ・ディスペンシアは字無しの下級役人一家の娘。何を恐れていたのか」

 

 

 ほら、こちらに全く気付いていない様子で今目が合ったやばいやばいやばいやばい

 

 咄嗟に二階へと飛び移るほどの恐怖である。

 ……あれ。でもなんか、視線は追ってきてないし。今のは気のせいだったんじゃね?

 

 いや。

 一応、なんか策を打っておくべきだな。具体的にはカタリーナからの誘いを断れる系のやつ。

 なんかしら考えておかないと困る。のちの俺が困る。

 

 とりあえず仮病の言い訳はこの前使ったから無理だし、旅行は絶対着いて来ようとするからNG。

 何とか、何とかして婚約者から逃れる方法は――

 

 

「あっ」

「あら、ごめんなさ――えっ?」

 

 

 やべ。

 考え事をしていたせいで人にぶつかっちまった。

 声の感じからして女性だしすぐに謝らねば――

 

 

「へ、ヘクセン様……!? 嘘、本当にヘクセン様よ!? あの滅多にパーティーに姿を現さない、現しても近くに何か(王子または婚約者)がいるヘクセン様が、お一人で――!?」

 

 

 し、しまったァァァァ!

 最悪のタイミングで人にぶつかった!

 一度認識された以上はどうにかして撒かない限り認識阻害は意味ないし、この女がやたら説明口調で大声を上げたせいで他の人間にまで注目され始めてるし――!

 

 

「ぶつかってしまってすまない! 私は用事があるので失礼する!」

 

 

 逃げるしかねえ。

 ここまで来たら逃げてカタリーナから離れつつユークリウッド家の奴を探すほかない!

 

 

 こんな、こんな所で終わってたまるか!




それはそれとして応募作品は未だになめくじよりも遅い速度で進んでいるようで後退しているので結局書けてないです
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