色が抜け落ちた私の世界に私は居たくないわ。

小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

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Please kill me!!

あーあ。もう嫌だな。

何でだろう。

何で私がこの様々な、カラフルな色に囲まれた世界が嫌になったの?

あお、あか、みどり、き、ちゃ、しろ、くろ…

数えだしたらキリがない位の色鮮やかなこの世界。

でも、私には全部灰色に見える。

このマンションの一室にある散らばった物も全部灰色だ。

灰色というか、モノクローム。

別に色覚に異常があるわけじゃない。

何でだろうね。

どうしてもそう見えちゃうんだよ?

おかしな話。

でも、本当にそうなんだ。

つい、1ヶ月前…

あれ?1ヶ月前だっけ。

それも忘れちゃった。

とにかく、最近まではちゃーんと色はついてた。

とっても色鮮やかな世界に居た。

えぇ、とっても幸せでしたとも。

私にだって彼氏も居た。

とってもイケメンな彼氏がね。

彼は20代。

でも私はもう三十路なの。

釣り合うわけなかったんだ。

彼ったら浮気してたんだ!

私は何気なくショッピングモールを歩いてただけなのに。

とっても気分が害された。

泣いたっけ?

覚えてないや。

色と一緒に置いてきちゃった。

覚えてるのは彼にベッタリくっついてきゃっきゃと笑う若い女の子。

そして申し訳なさそうな彼の顔。

でも、分かってるんだよ?

目が語ってたもの。

こんなのと別れられる。

嬉しいって。

そのあと、どうしたんだっけ。

そうだ、怒って、「もう別れる!」何て言ったんだ。

私はその瞬間にきちんと見たわよ?

彼の目が一瞬煌めいたわ!

とっても無邪気な子供の目。

おもちゃを買い与えられて、喜ぶ子供の目だった。

怒ってるからって、冷静さを失ったわけじゃないもの。

それ位見抜けるわ。

顔では申し訳なさそうにしてた。

そして、ゴメンなんて言ってた。

でも、目の奥底には喜びの感情が見えたし、声も少し喜んでた。

そうそう。

その後、尾行してやったわ。

気分は車内待機の警察官。

そしたら何と、ラブホテルに入っちゃった。

その日かな。

明るい色が抜け落ちたのは。

そこから大通りに出た。

いつもはうるさく感じない若者のざわめきや、甲高い笑い声も、その時は不快に、うるさく感じた。

私の家は大通りを通らないとショッピングモールからは帰れないから、どうしても若者の喧騒を耳にしなきゃいけない。

いやぁ、うるさいのなんの。

よくそんなに声が出ますねって、心の中で皮肉言ってた。

ベットの上では散々騒いでたくせに。

散々嬌声をあげてたくせに。

それも近所迷惑を心配するレベルで。

まぁ、今はそんなこともう無いのだけれども。

そこから1週間くらいかな?

無心で仕事してた。

それで、何してんだろって。

私は頼まれた事を何でも引き受けちゃう。

それを自分で分かってても直せない。

それで調子に乗った上司が、

「スマン!これやっといてくれね?ちょっと今日外せない用事あってさ…」

それが何回も何回も繰り返された。

そして、彼と別れて2週間後くらいで遂に倒れっちゃった。

結果は過労。

ほら、仕事を押し付けるからこうなるんだ。

それに、ストレスもあったからかな?

壊れちゃうよ?

そんな扱いされたら。

幸い、軽いものだったけど、1週間は点滴を打たれて、寝たきりだった。

つまり、入院生活。

でも、費用は会社が出してくれたの。

仕事を押し付けた上司の責任だって。

だったら上司が払えっての。

全く納得いかなかった。

それで退院してすぐに退職願を出したわ。

まどろっこしいのは嫌だったから、退職金だけ貰って速やかに退場してやったわ。

そこで今度は、暗い色も抜け落ちた。

そして、今に至る。

貯金はしてたのでお金には困ってない。

部屋は散々荒れていて、三日間分買いだめをしていたコンビニの袋。

でも、もうなくなっちゃった。

黒く、無駄毛、枝毛の無い茶色味があり、ツヤのあったロングの髪の毛は三日間手入れをしないだけでボサボサになってしまった。

三日間着替えて無いからヨレヨレになったスーツも元は綺麗で、ピシッとしていた。

でも、過去形。

今はこの有様。

掃除もしてなければ洗い物もしてい無い。

洗濯はもちろん、お風呂にも入っていない。

食事をとる以外はダラダラしてた。

そのせいで身体から汗の染み込んだような酸っぱい匂いがする。

発酵させすぎたチーズみたいな。

それでも私はここから動くつもりは毛頭ないわ。

でも、なんとなく窓を開けたくなった。

窓の方に向かってトボトボ歩いていく。

窓の鍵に手をかけて、ガチャっと窓の鍵を開ける。

そして、窓を強く押して窓を開けた。

ギィィっと重苦しい音を立てて窓が開く。

3日ぶりの風だ。

そういえば、時間感覚は戻ってきてる。

でも、色はない。

ふと下を見ると、金髪のおそらく外国人と見られる顔立ちをした男の人が歩いていた。

そうだ、この人に言ってみよう。

三日間、頭の中でぐるぐる回ってたこの文章を。

3日ぶりに声を出す。

ちゃんと出るかな?

「あぁーあぁー…」

出た。

決まり。

あの人に言おう。

もう生きていくのは疲れたの…

だけど、自分で死ぬのは怖いの。

だったら。

「Hey,man!Please kill me!!」

殺して貰えばいいじゃない。

 


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