シャイニング・ブレイド 涙を忘れた鬼の剣士   作:月光花

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ご覧いただく前にお知らせです。

19話の終盤と、タグをちょっといじりました。

気が向いたら、コレをご覧になる前に見てみてください。

では、どうぞ。


第20話 魔法の歌い手

  Side Out

 

 崖の上で賞賛の言葉を送ったアイラは吹雪の風をもろともせずに降りてきた。

 

「アイラ様……!」

 

「エルミナ……久しぶりね、元気そうで良かったわ」

 

微笑を浮かべながら真っ先に駆け寄ってきたエルミナの頭を一撫でし、アイラは視線を傍に立つレイジに向けた。

 

「それで、こちらが……クラントールの勇者殿、[シャイニング・ブレイド]の持ち主かな?」

 

「はい。レイジさんです」

 

「え、ああ……オレはレイジ。こっちの刀がユキヒメだ。よろしく」

 

2人の視線を受け、レイジは軽く会釈しながら自己紹介を済ませる。

 

ユキヒメに何度か“礼儀がなっていない”と注意されるレイジだが、流石にルーンベールの王女相手には礼儀の意識があった。

 

「ああ、よろしく……さて、そちらは久しぶり、かな? あの頃とは色々違うようだ」

 

アイラが次に視線を向けたのは、左手で右脇腹を抑えながら歩いてきたレオだった。

 

どうやら、骨が折れていなくとも軽い怪我ではなかったらしい。戦闘が終わって気が緩んだのを境にズキズキと痛みを訴えて来た。

 

「ええ、ざっと半年ぶりですね……お久しぶりです、ブランネージュさん」

 

「憶えていてくれたのは嬉しいが、今はアイラと呼んでくれるか? もう1人の方も名乗り方を変えている」

 

「……あの、アイラ様。先程から気になっていたのですが、レオさんとお知り合いなのですか?」

 

「ええ、前に少し、ね。機会があれば話してあげるわ」

 

エルミナの質問に何処かはぐらかすような苦笑を浮かべ、アイラは地面に倒れるエールブランの傍へと歩み寄った。

 

エールブランの周りにはまだレイジの放った炎が燃え盛っていたが、アイラが右手を軽く横に振るうと、炎は一瞬で冷気に飲み込まれて消えた。

 

「大丈夫か? エールブラン。辛いかもしれんが、まだ弁解が残っているぞ」

 

『<やれやれ……意地が悪いなアイラ姫。だが、彼等が光の加護を受けた者達であるなら、話さねばなるまいな>』

 

そう言ったエールブランは自分の右足に突き刺さっている龍麟の柄尻を口に咥えて引き抜き、レオ目掛けて高く放り投げる。

 

レオは上空から落ちてくる龍麟を左手でキャッチし、両手の小太刀を鞘に納める。

 

『<まずは謝罪しよう。私は、[シャイニング・ブレイド]の解放に関わる、氷の精霊王を守ることが出来なかった>』

 

「なっ……!? そんな、どうして……!」

 

守る事が出来なかった。

 

その言葉の意味を理解した戦線メンバーは絶句し、代表するようにレイジが戸惑いの声を上げた。

 

『<帝国軍の操る巨大な機械兵器が何の前触れもなく、この山に侵入してきたのだ。私が対応するよりも早く精霊王を倒し、力の全てを吸収してしまった。本当にすまない>』

 

「そんな……それじゃあ[シャイニング・ブレイド]の封印は……」

 

頭を下げるエールブランに対し、エルミナは視線を俯かせる。

 

他のメンバーにも重苦しい空気が漂うが、レオはエールブランの“巨大な兵器”という言葉が気になっていた。気付かないが、サクヤもその言葉が引っ掛かった。

 

この世界、エンディアスには精霊という存在によってか、レオから見て“機械”という存在がかなり少ない。

 

そんな世界で巨大な機械兵器がいるというのは、かなり異質だ。

 

もちろん、精霊王がどうでもいいわけではない。このままではドラゴニア帝国、最終的にはダークドラゴンに勝てないのだから。

 

『<話は最後まで聞くことだ。霊刀の継承者よ。確かに氷の精霊王は消滅した。しかし、氷の精霊王はここにいる>』

 

いないのに、いる。

 

エールブランの言葉に、その場の全員が頭の上に?マークを浮かべた。

 

だが、その中の1人、龍那が何か思い至ったらしく、ハッとなって顔を上げた。

 

「……もしや、次世代の精霊王、ということですか?」

 

『<流石に白竜教団の巫女は察しがいい。その通り、次世代の氷の精霊王はここにいる。私がこの時まで、大事に守ってきた>』

 

なんと、精霊王という存在は継承されるらしい。

 

レオは安堵の息を吐くと共に驚くが、よく考えれば精霊という存在の王がそう簡単に途絶えるはずはない。

 

「じゃあ、[シャイニング・ブレイド]の封印を解いてもらう事は出来るんだよな? なら頼む! 精霊王に会わせてくれ!」

 

『<もちろんだ、霊刀の継承者よ。君達は私の試練を乗り越えたのだから>』

 

食い付くように声を上げるレイジに対し、エールブランは静かに頷く。

 

そして、傍に立つアイラはエールブランの前に立ち、エルミナへ視線を向けた。

 

「エルミナ、こちらにいらっしゃい。次世代の精霊王を、アナタに託すわ」

 

「え……? わ、私にですか!?」

 

『然り。今このエンディアスにおいて、お前にしか託せないのだ』

 

アイラの言葉に戸惑うエルミナだが、エールブランの言葉に背中を押され、決心した表情で自ら進み出る。

 

「……わかりました。お受け致します……ですが、精霊王はどちらに?」

 

エールブランが首を動かし、自らの顔をエルミナの目の前に俯かせる。

 

『<手を出しなさい。精霊王を預ける>』

 

「手を、ですか……? は、はい」

 

エルミナが両手を揃えて差し出すと、手の中に冷気のように白く、しかし何処か温かさを感じさせる光が集まった。

 

徐々に強まった光は勢いを無くし、ゆっくりと消える。

 

そして、光が収まったエルミナの手の中にあったのは、小さな青い卵だった。

 

「それが、次世代の精霊王よ」

 

「で、ですがアイラ様! これではお話ができません! お話が出来ないと、ユキヒメさんの……[シャイニング・ブレイド]の承認が……」

 

エルミナは慌てて言い寄るが、アイラはエルミナの肩に手を置いて落ち着かせる。

 

「大丈夫よエルミナ。心配はいらないわ。たとえ卵のままでも、貴女なら精霊王を目覚めさせることが出来るの」

 

「私が? そんな、無理です……そのようなこと、私にはとても……」

 

「いいえ。あなたにしか出来ないのよエルミナ。覚えているかしら? 小さい頃、あなたが私に歌って聞かせてくれた歌を」

 

エルミナは視線を俯かせながら首を振るが、アイラは確信を持った声で断言し、沈んだ視線を再び持ち上がらせる。

 

そして、エルミナは自分の記憶の中を探り、アイラの言う歌を探り当てた。

 

「は、はい。ルーンベールに古くから伝わる、あの歌ですね?」

 

「そうよ、その歌を歌ってみて。それで、全てが分かるわ」

 

そう言われ、エルミナは手の中にある青い卵を見ながら考え込む。

 

だが、秒単位の時間が経つごとに瞳の中の迷いは消え去り、決意の色に染まった。

 

「……わかりました。私、歌ってみます!」

 

エルミナは返答の後に右手を胸に当て、呼吸を整える。

 

「では……始めます」

 

◇◇◇

 

最初に唇の先が震え、エルミナがゆっくりと歌を奏でた。

 

吹雪が舞う山頂だというのに、聞こえてくる歌声には一切のノイズが無く、聞く者の心の中に直接響いてくる。

 

全員がその歌声に聞き入り、声1つ上げない。

 

だが、心の静寂を終わらせる変化が起こった。その発生源は、空。

 

冷たい雪と風だけをもたらしていた曇り空に割れ目が生まれ、その奥から眩しい太陽の光が差し込んできた。

 

それに続き、エルミナの手の中に合った精霊王の卵の表面にも亀裂が走り、レイジの手に握られていたユキヒメにも変化が起こった。

 

大太刀そのものが見えない浮力でレイジの手を離れ、その刀身にほんの数瞬だけ刻印が浮かび上がった。

 

それに驚いたレイジは手を伸ばしてユキヒメを掴み、刀身に目を走らせるが、その刻印はエルミナの歌声が止むと共に、刀身の中へと溶けて消えた。

 

 

 

 

        *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 

 

 

 

  Side レオ

 

 優しく透き通った歌声の中、ふと僕は自分の体の中に変化を感じた。

 

右脇腹からズキズキと伝わってきた痛みが、徐々に和らぎ始め、消えたのだ。

 

試しに痛んだ場所を手で強く押したり、数回軽く跳んでみるが、まったく痛まない。少し信じられないことだが、完治している。

 

でも、傷が治った原因がわからない。

 

内出血で青く腫れているのは間違い無さそうな痛みだったから、少なくとも自然治癒で治ったってことは無いはずだけど。

 

(もしかして……この歌の力……?)

 

怪我をしてから起こった変化を辿ってみると、それしかなかった。でも、何故かそう言われても不思議と思わない。

 

『<マナの歌を歌うとは……そうか、お前が歌姫(ローレライ)だったのか…>』

 

「ろ、ローレ……ライ?」

 

納得の声を上げるエールブランとは対照的に、エルミナは自分の目の前で起こった事態に理解が追い着かず、半ば呆然としている。

 

「そう。マナの歌を歌い、精霊王と意思を交わすことが出来る存在。それが歌姫(ローレライ)。これは貴女の力であり、同時に役目でもあるの」

 

「わ、私が……歌姫(ローレライ)?」

 

「驚いた? でも、私も同じよ。今回の件で精霊王の事を調べていたら、あなたが歌姫(ローレライ)の血筋だとわかったんだもの。本当、世の中広いのか狭いのか分からないわね」

 

誰に対してでもなく、呆れたように溜め息を吐くアイラさんの言葉に僕は心中で同意する。

 

世界を救う為に必要な人物が自分と一番親しい人だなんて、なんと達成感を半減させてくれる結果だと思う。

 

「今回貴女に、レイジとユキヒメを連れてきて欲しいと頼んだのは、この使命を背負うに足りる者なのか確かめる試練だったの。苦労をさせてしまったわね」

 

「苦労なんて言うなよ。アンタがエルミナに試練を与えてくれたから、俺達はこうして此処に辿り着けたんだぜ?」

 

エルミナの頭を撫でながら、申し訳なさそうに顔を俯かせたアイラさんに声をかけたのは、近くにいたレイジだった。

 

その言葉に驚いたのか、アイラさんは一瞬キョトンとなって、微笑を浮かべた。

 

「そう言ってくれると、ありがたいな。精霊達もキミ達に感謝してる。氷と雪の精霊の力が戻ってきたのを感じる。この寒波も少しずつ和らぎ、自然も安定するだろう」

 

言われて周りを見ると、僕達を囲むように無数の青色の小さな光が浮遊していた。多分、これがアイラさんの言った氷と雪の精霊だろう。

 

周りの皆も感動の声を上げ、僕もキラキラ光る精霊達を見回す。

 

だけど、そんな中でふと、思い詰めた顔で俯くアルティナが目に留まった。

 

「アルティナ、どうかしたの?」

 

「レオ……うん。故郷の、フォーンティーナの森に異変が起きてるのも、銀の森にいる木の精霊王の力が弱まってるかもしれないって、前に聞いたの」

 

それだけでアルティナの考えていることはわかった。

 

先代の氷の精霊王がやられてしまったこと、さらに過去にスレイプニルが森の奥まで侵入していたことなどを加えれば木の精霊王も安全とは言えない。

 

「でも、安心して。今はこの国を救わなきゃいけないっていうのは、ちゃんとわかってるから……」

 

そう、ルーンベールの問題はまだ全て片付いてない。残酷なことかもしれないけど、今すぐ助けに行くことは出来ない。

 

だけど、僕は俯くアルティナの肩に手を置き、言葉をかける。

 

「多分だけど、大丈夫だよ」

 

「え?」

 

「ヴァレリアがこんなことになって、アイラさんが帰ってきてるなら、きっと“あの人”も戻って来てるはずだから」

 

アルティナはただ首を傾げていたけど、僕は脳裏に浮かべた人のことを考え、自然と心の中に安心感が生まれていた。

 

 

 

 

        *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 

 

 

 

 その後、一旦クレリアに戻ることになり、全員が山を降りようとした。

 

でも、時を計っていたようなタイミングでエールブランとアイラさんが僕とサクヤさんを呼び止めた。

 

多分、用があるのはサクヤさんだけだろうけど、近くにいたついでで僕も話しに混ぜてもらうことにした。

 

『<渡しておきたいものがある。私が先代の精霊王から預かり、守っていたものだ。簡単に使いこなせる物ではないが、きっと役に立つ>』

 

そう言ったエールブランは、何故か視線をゆっくり僕へと移した。

 

人間ではなくドラゴンの目なので上手く感情を読み取れないけど、そこにあったのは、悲しみと警戒が混じったような、思いやりのある目だった。

 

『<……名を聞いても良いかな?>』

 

「黎嗚です。こっちで言うなら、レオ・イブキ」

 

『<ではレオ、キミは何故、ドラゴニア帝国と戦う? この世界は、キミの生きるエルデとは違う。戦う理由など無いだろう>』

 

その質問に、僕はすぐに答えられなかった。だって、エールブランの言うことは本当のことだ。

 

レイジのような伝説の霊刀の後継者でもなければ、リックのようにドラゴニア帝国に故郷を滅ぼされたわけでもない。ただ、偶然巻き込まれただけだ。

 

アミルとエアリィのおかげで“出来ること”は見付かった。でも、それは決して“戦う理由”にはならない。

 

「……多分、そんな大したものは無いです。言葉にすれば“なりゆき”、または“自己満足”ですかね。でも……」

 

少しだけ皮肉げな笑みが零れる。

 

だけど、不思議とその後の言葉はすんなりと言うことが出来た。

 

「やっぱり、目を逸らしたくないんです。この世界に来たのが偶然でも、今この世界で起きてる悲しいことに見て見ぬふりをして後悔したくない。

確かにハッキリとした理由なんて無い。でも、僕には少しでも力が有った。だったら、この力で少しでも多くのモノを守りたい。それが、僕の戦う理由です」

 

目を逸らさずに伝えた言葉は届いたようで、エールブランはそうか、と答えて視線をサクヤさんへと向けた。

 

『<今の言葉で私の知りたい答えは得た。私は彼に賭けるとしよう>』

 

そう言うと、エールブランの眼前に光が集まり、その中から淡い光を放つ青いカードが“2枚”出てきた。

 

「これは……氷の精霊力を制御する魔術プログラムね。ありがとう、心強い贈り物だわ」

 

「でも、2枚有りますけど、もう1枚は誰のなんですか? アイラさんですか?」

 

「いや、私には必要無い。2枚の内1枚、セルリアンはサクヤのものだが、残りの1枚、グラマコアは、お前のものだ」

 

「え? 僕の?」

 

アイラさんの言葉に疑問の声を上げる中、グラマコアと呼ばれた青いカードは僕の手の平に納まった。

 

『<先程の戦いを見た限り、キミはフォースの使い方をまったく知らんのだろう? 加えて、剣術の方もまだ未完成。

対人戦だけならともかく、帝国のモンスターを相手にそのままでは厳しい。だがそれを使えば、短期間で魔法をものに出来るはずだ>』

 

つまり、エールブランはこう言いたいのだ。

 

僕は皆が使っているようなフォースの使い方をまったく知らず、御神流の腕もまだまだ未熟。うん、これは事実だし、否定もしない。

 

だけど、そんな状態じゃドラゴニア帝国が従えてるモンスター達を相手にしていて、いつか限界が来る。

 

だから、何も知らないという状態を逆に利用し、このグラマコアというカードの力を借りて、変な癖を付けずに魔法を習得しろということだ。

 

「気持ちはありがたいです。でも、僕は……」

 

僕は、御神の剣士だ。見習いでも、小太刀二刀御神流の剣士だ。

 

夢で見たあの人は魔法なんて使わなくても圧倒的なまでに強かった。

 

あの人がそうだったんだから僕も、という、多分つまらない意地になる言葉が枷となって、僕の言葉を濁らせる。

 

『<キミの言いたいことは分かるし、私もその想いを尊重する。

何も剣を捨てろと言うのではない、キミが持つ力の1つとして、それを役立ててはくれないか? どう使うかは、キミに任せる>』

 

そう言ってくれたエールブランの言葉に、僕は了承の言葉も出せず、ただ頷いてグラマコアのカードを懐に仕舞った。

 

サクヤさんはそんな僕の肩を軽く叩き、身を翻してレイジ達を追っていった。

 

僕もその後に続こうとしたけど、少し気になっていたことを思い出し、足を止めて再びエールブランに向き直った。

 

「何で、戦う前に一度僕を見たんですか? 別段、目立つ外見はしてないし、あの時僕だけを見る理由はありませんよね?」

 

小さな、だけど心の隅に引っ掛かっていた疑問。

 

今この時に聞いたのは、多分、サクヤさんがいないことが理由だと思う。殆ど勘頼りだけど、あの人は、僕が知らない僕自身の秘密を知っていて隠してる気がする。

 

『<気付いていたか。すまないが、私にはその質問の答えを口にする資格は無いのだ。

だが、これだけは覚えていてくれ、レオ。

このエンディアスにいる限り、いつか、キミは自分の知らない“答え”を必ず知ることになる。例えそれがキミにとって辛いことであっても、決して、暗闇に逃げないでくれ>』

 

そう言った時のエールブランの瞳にはハッキリと悲しみの感情が宿っていて、それだけで僕はその言葉の中に込められた想いの強さを理解した。

 

もちろん、エールブランの言葉の意味を完全に理解できたわけじゃない。だけど、言葉だけでも記憶に刻んでおこう。今は、多分それが限界だ。

 

『<……さて、私が話せるのはここまでだ。呼び止めておいてなんだが、キミと話せて良かった。アイラ姫、キミも彼等と行くのだろう?>』

 

「ああ。正直、もうここにいても暇なだけだからな」

 

『<やれやれ、まったく手厳しい。では、しばらく退屈な環境で一緒に過ごした仲として、1つ頼まれてくれるか?>』

 

「内容にもよるな」

 

『<難しいことではない。彼、レオに魔法を教えて上げてほしい。当然、彼がグラマコアの力を使うと決めた場合でいい>』

 

「なんだ、そんなことか。私は別に構わんぞ? こいつには昔少しだけ世話になったからな。その気があれば、鍛えて上げてやる」

 

「……ま、魔法のことにつきましては、よく考えさせていただきます……」

 

ニヤリと笑みを浮かべたアイラの妙なやる気にレオは背筋に悪寒を感じ、乾いた笑みを浮かべて歩き出した。

 

 

 

 

そのまま2人は話をしながら山頂を後にし、その場にはエールブランだけが残った。

 

『<……この世界の有り様は、本当に正しいのか?>』

 

その呟きに答える声は無い。

 

だが、エールブランが求めるのは返答ではなく、心の中に渦巻く疑問の払拭だ。

 

『<秩序と混沌。どちらかが片方に傾き過ぎてはいけないというのなら、彼が進むべき道とは、一体何だ?>』

 

太陽の光が差す空を見上げたエールブランの声には見えぬものへの怒りと疑問が込められていた。

 

だが、そんな心の苦悩を嘲笑うかのように、山頂には、冷たい風が吹き荒れていた。

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

とりあえず、主人公の肉体を使ってエルミナの歌のありがたい回復能力を出してみました。ゲームでもあの効果はありがたい。

アイラと主人公が何故知り合いなのかは、また別の機会で詳しくやります。というか、もう1人の方も多分気付かれてるでしょうね。

さて、タグと今話をご覧になって気付いたと思いますが、レオにはサクヤと似た感じで、仮面ライダーディケイド的な能力を加えました。

とはいえ、私自身もレオは小太刀二刀のスタイルをメインにしたいので、他の属性フォームで固定っていうのは無いと思います。

現段階では、下手したら、今後のストーリー構成で消滅しかねない設定です。もしかしたら皆さんには不況を買うかもしれませんね。

では、また次回。
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