シャイニング・ブレイド 涙を忘れた鬼の剣士   作:月光花

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すんごいお久しぶりです。

私事ですが、10年以上愛用していたPCが年を明けてすぐの頃に突然ぽっくりと逝きました。

次のPCを買うまでスマホで執筆・投稿しているのですが、今までずっとPCでやってきたせいで入力や確認作業で難航して普段の亀更新が更に遅くなりました。

大変申し訳ありません。


今回はVSブレイバーンになります。

では、どうぞ。


第56話 獄炎の蛇竜

  Side Out

 

 歓喜の咆哮と共にブレイバーンは蛇竜の巨体をしならせ、勢い良く突撃を仕掛ける。

 

いきなりの開戦だが、既に2回もドラゴンと戦ってきたレイジ達は動揺することなく左右に散開して突撃を回避。

 

真っ直ぐに伸びた蛇竜の巨体は凄まじい音を鳴らして地面を削り取るが、レイジ達はその迫力に臆すること無くブレイバーンに反撃を仕掛ける。

 

 

『四連乱れ突き』

 

『御神流奥義之壱・虎切』

 

 

この場にいるメンバーの中で身軽なレオとサクヤが伸びきった腹部に刺突と斬撃を打ち込むが、刀身を通じて返ってきた手応えに目を細める。

 

((浅い……!))

 

速攻で勝負を付けようと全力で技を放つが、体表を覆う鱗を傷付けるだけで肉には届いていない。

 

エールブランは氷、ベイルグランは岩に体を覆われていたが、ブレイバーンの全身は溶岩の熱にも耐える真紅の鱗に覆われている。

 

元より生物として最強クラスの竜種。その体の強度は傷を負わせるだけでも容易ではない。

 

「<なんだ……何かしたかぁ!?>」

 

怒りと猛りを混ぜたような咆哮を上げたブレイバーンがズリズリと足場の岩を削りながら体を持ち上げ、少し離れた位置から再び突進の構えを取って力を溜める。

 

獲物を狙う蛇のように瞳孔を細めたブレイバーンの巨体が溶岩流を泳ぎ、深く体を沈めて初撃よりも威力が増した突進を放とうとしている。

 

解放戦線のメンバーは再び左右に散って突進を避けようとするが、周囲の熱で体力を奪われているせいか動きのキレが普段よりも鈍い。

 

精霊の加護のおかげで体力に余裕の有るレイジはその変化にいち早く気付き、1人だけ突進してくるブレイバーンの方向へと踵を返す。

 

『おい、レイジ!

 どうするすつもりだ!』

 

「皆の消耗が思ったよりもデカい。

 他より余裕の有るオレ達がどうにかしねぇとジリ貧になって終わりだ」

 

慌てるユキヒメに冷静な声を返し、レイジは大太刀を正眼に構えて精神を集中させる。

 

呼応して刀身を覆う青色の光が強さを増し、ソレを目にしたブレイバーンはレイジが今から何をするつもりなのかを推測して獰猛な笑みを浮かべた。

 

「<止める気か?……面白れぇ、やってみろやァアア!!>」

 

気合いの咆哮と共に溜めた力を解放し、急加速した巨体が1人の人間を押し潰そうと迫る。

 

だが、レイジは研ぎ澄まされた集中力によって全身に押し掛かる恐怖を振り払い、正面から一切目を逸らさずに大太刀を振り上げる。

 

(焦るな……心を乱すな……見極めろ……!)

 

流石にレオの『神速』には及ばないが、集中力によって引き延ばされた時間感覚の中で最適なタイミングを逃さんとレイジは目を見開く。

 

そして……

 

 

「ッ! 此処だぁぁ!!!」

 

 

……叫びと共に振り下ろされた大太刀がブレイバーンの頭部と激突し、炸裂した極大の衝撃波が周囲に無色の爆風を巻き起こした。

 

 

バアアァァン!!!!

 

 

凄まじい衝突音が響き渡り、ブレイバーンの突進が放たれた衝撃波と拮抗するように止まった。

 

だが相殺し切れなかった衝撃が岩場を揺らし、本来で有れば圧倒的な質量差で吹き飛ぶか粉々に砕けているレイジの肉体は両足から地面にめり込んでいく。

 

当然、その衝撃はダメージとなってレイジの全身に襲い掛かるが、歯を食いしばって前を向く。

 

(絶対に退かねぇ……!

 完全に受け止めるのが無理だってことくらい分かってる。

 けど、拮抗出来るなら……!)

 

「ウ、オオォアアア……!」

 

軋むような全身の痛みを無視して声を上げ、衝撃に震える大太刀を持つ両手に力を込める。

 

そのまま前へと押し返すのではなく、ゆっくりと横へ傾けるように刀身の角度を変えていく。

 

そう。レイジも最初から正面での力比べで勝てるとは思っていない。

 

力に力で対抗すれば劣っている方が敗北する。それが当然の結果だ。

 

ならば……

 

「は、ず、れ、ろォォ!!」

 

……力の向きを変えてやれば良い。

 

気合いの声と共に大太刀の刀身がガクリと傾き、正面から迫るブレイバーンの頭部が刀身の反りをなぞるように横へと“流れる”。

 

「<なにッ……!>」

 

力のぶつけ先を失ったブレイバーンの体は驚愕と共にレイジの真横を凄まじい勢いで通過し、岩場の上を何度も跳ね回って失速する。

 

「ハァ……ハァ……くっ……!」

 

その隙にレイジは攻撃を仕掛けるが、極度の集中力を発揮した反動か体が思うように動かない。

 

「<ハハッ……ハッハッハッハッ! やるじゃねぇか!

 今のは素直に驚かされたぜ!>」

 

楽しそうな声を上げたブレイバーンの体が地面を削りながら再び動き出す。

 

また岩場から離れたら攻撃する手段が無くなると判断した他のメンバーが武器を構えるが、すぐに何らかの違和感を感じて動きを止める。

 

そして、違和感の正体はすぐに判明した。

 

なんと、ブレイバーンが真っ直ぐ伸びた体を元に戻さずそのまま水平方向に動かし始めたのだ。

 

「いけない、この位置は……!」

 

サクヤが何かに気付いたように声を上げるが、もう遅いと告げるように響く轟音に掻き消される。

 

今戦っている場所は20メートル近い円形の岩の上で、その周囲は溶岩に埋め尽くされている。

 

突進によって解放戦線のメンバーは半分ずつ左右に分かれており、ブレイバーンの伸びた巨体がその間を隔てる壁のようになっている。

 

そんな状態でブレイバーンが真横に動けば、岩場の上しか動けない者達は“逃げ場が無い”。

 

幸い、一番近くにいたレイジはリックがすぐに助けに入ったので無事だったが、一番火力の高いレイジはまだ動けないのでブレイバーンの攻撃を止められない。

 

「<ハッハァ!! このままだと溶岩に真っ逆さまだぜぇ!!>」

 

最強の竜種の一角である自分に挑む相手が珍しいからか、ブレイバーンの心底楽しそうな声の中には余裕や慢心だけでなく何かを期待するような感情が有る。

 

しかし次の瞬間……

 

 

ドオオォォン!!

 

 

……解放戦線を押し潰そうと暴れるその巨体が、轟音と共に勢いを失った。

 

「<……あ?>」

 

自身の体が急に止まったブレイバーンが不思議そうな声を上げて首を持ち上げると、そこに見えたのは蛇竜の巨体を正面から受け止める巨大な盾。

 

「ヌ、オォアアァ……!!!」

 

体の底から全ての力を絞り出すような声を上げてその盾を支えていたのは、レイジと同じく暑さの影響を受けていない剛龍鬼だった。

 

身の丈ほどのタワーシールドを構えながら地面を踏み締めているが、その力に耐え切ることが出来ないのかフルプレートの鎧がミシミシと悲鳴を上げている。

 

竜人の身体能力が桁外れに優れているのは周知の事実だが、圧倒的な質量差を覆す衝撃的な光景にサクヤ達だけでなく攻撃を仕掛けたブレイバーンも息を呑む。

 

しかし、その数秒の沈黙が反撃の切っ掛けを作り出した。

 

「……隙だらけだな」

 

 

バアァン!!

 

 

気怠そうな低い声と共に砲撃音が鳴り響き、剛龍鬼が踏ん張る反対側の方向から爆発が起こる。

 

その衝撃に我に返ったブレイバーンが視線を向けると、砲撃を放ったイサリに続くように突撃するディランの姿が見えた。

 

迎え撃とうとしたブレイバーンが体を持ち上げるが、その動きを阻止するように放たれたイサリの砲撃が再び腹部に撃ち込まれて爆発を生む。

 

その衝撃は確かにブレイバーンの体を怯ませるが、威力の殆どが鱗に相殺されているせいで有効なダメージを与えるには至っていない。

 

「<その程度じゃオレには届かねぇぞ!>」

 

「……そうらしいな……ではこうしよう……」

 

怒れるようなブレイバーンとは対照的に静かな声で同意したイサリは素早く重火器のスライドを引き、弾倉を回転させて次弾を装填する。

 

同時に初弾を撃ち込んだのと同じ場所に照準を固定し、即座に引き金を引く。

 

 

バアァン!!

 

 

鳴り響いた音と共に発射された砲弾は狙った場所に寸分違わず迫る。

 

だが、同じ場所に命中させても鱗の表面に傷を付けるだけでダメージを与えることは出来ない。

 

 

ドスンッ!!

 

 

……はずだったが、命中した砲弾はブレイバーンの鱗を砕き、鈍い音と共に肉体に突き刺さった。

 

「<なん、だとぉ……!>」

 

「……大型魔獣の骨格も砕く徹甲弾だ……お前の鱗でも無事じゃ済まない……」

 

予想を裏切る痛みに驚愕するブレイバーンとは対照的に、イサリは変わらず静かな声で答える。

 

「……俺の本業は魔獣狩りだ……竜種が相手でも……やることは変わらない……」

 

同時に、こうなることを予想していたのか、2刀のカトラスを握り締めたディランが動きを止めたブレイバーンの懐へと素早く斬り込んだ。

 

「ハハァ! 思いもしなかったって感じだなぁ。

 手痛い授業料をくれてやるぜぇ!!」

 

愉快な笑みを浮かべたディランの豪腕が振るわれ、放たれた斬撃が烈風と共に傷口を広げる。

 

「<ガアァァ!!!>」

 

これは流石に堪えたらしく、悲鳴の咆哮を上げたブレイバーンはその場で激しく暴れ回って近くにいたディラン達を強引に弾き飛ばす。

 

さらに、10メートルを超える巨体が魚のように跳ね回って生まれた衝撃は戦場となっている足場を盛大に揺らし、局所的な地震となって他のメンバーも攻撃を封じられる。

 

その間に体を持ち上げたブレイバーンは溶岩流に潜って岩場から距離を置き、解放戦線の攻撃がギリギリ届かない位置で睨み合うような形となる。

 

「<……今のは効いた……久しぶりの痛みだ……。

 オレの攻撃を止めただけでなく、鱗を砕いて腹を掻っ捌かれるなんてな……>」

 

鱗を砕かれ、斬り裂かれた腹部から流れる血を見詰めながらブレイバーンは静かに呟く。

 

てっきり怒り狂うかと思っていた解放戦線の面々はその冷静な反応に不気味さを感じ、武器を構えながら相手の動きに目を光らせる。

 

「<……認めてやる。これはオレの油断だ。

 無意識にお前達を弱い存在だと決め付け、試練を与える自分を強いと思い込んだ>」

 

そこまで言って、自身の罪を告白するように話すブレイバーンの目付きが変わる。

 

同時に全身を押し潰すような凄まじい威圧感が襲い掛かり、息苦しい呼吸がさらに苦しくなる。

 

「<一応警告しとくが、殺す気で行くぜ。

 マトモにくらえば灰も残らねぇぞ>」

 

体を持ち上げたブレイバーンが深く息を吸い込む。

 

その肺活量は竜種の巨体に見合うほど凄まじく、山頂部に立ちこめていた熱気と共に周辺の空気が目に見える規模でブレイバーンの元へと吸い寄せられる。

 

解放戦線の面々はその動作がブレイバーンの“とっておき”の準備だと即座に理解し、回復したレイジを先頭にして1カ所に密集する。

 

残念ながら逃げ場の無いこの場所では、正面からの火力勝負で押し切るしかない。

 

しかし、リーダーであるサクヤはレイジ1人に全てを託して傍観者を気取る気は無かった。

 

「……皆、そのままで良いから聞いて。

 危ない賭けになるけど、次で決める為の作戦が有るの」

 

その言葉を聞いて、他の全員は一切の疑問を唱えずサクヤの声に耳を傾ける。

 

今更この中にサクヤの決断を疑う者も、勝利を諦めて逃げ出す者もいない。

 

はずだったのだが……

 

 

『……ハァッ!?』

 

 

……作戦の詳細を耳にした次の瞬間、全員(ケルベロスを除く)が驚愕の声を上げた。

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

やっぱりスマホで作業してると感覚が違うのでどうにもしっくり来ない。書いた後も何だか文章に前とは違う違和感が有ります。


戦っている場所が立っているだけで死にそうな環境なので、オリ主含めて全員が最初から全力で戦っています。

様子見なんてしてたらマジで保たないからね、仕方ないね。

ただ、ゲームやってた時に「この岩場の上しか動けないなら、現実的に考えたらブレイバーンに接近戦なんて出来ないのでは」と思ったのでこんな形になりました。

その結果出番が腐ってしまったメンバーがいたのですが、次回でちゃんと仕事してもらいます。このまま名前だけ持ってきたなんていうのは出来るだけ避けたいので。

ブレイバーンとの戦いは次回で決着になると思います。

どうにか代用のPCを探してますので、更新速度は出来るだけ改善したいと思います。

では、また次回。
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