程度の能力――幻想郷に住む者のほとんどは、生まれつきそう呼ばれる異能を持っている。誰がどんな能力を持って生まれるかは、それはもう十人十色であり、個々によってまるで違う。
かく言う俺は、『ゴミを操る程度の能力』を持っている。ゴミの付喪神たちの王とされる塵塚怪王にぴったりな能力、といえば聞こえはいいが、それを知った俺はまず、もっともな疑問が頭に浮かんだ。
「ゴミを操るって、なんだ?」
そういうことだ。
操る、という言葉の通り、自身の思い通りに塵芥を動かすことが出来るのだろうか。不審に思い、実際に不要物を前にして、動け、と念じてみた。
たしかにそいつは宙を縦横無尽に駆けた。重力に逆らい、踊り狂うかのように、それはもう気持ち悪いくらいにヌルヌル動いた。てかきもちわるっ!
俺が止まれと念じると、やはりそれはピタリと動きを止める。やっとこの世に働く重力を思い出したが如く、自由落下を始めた。
「地味だな」
先程まで宙で荒ぶっていたというのに、今は孤独に寂しく地に落ちてしまったごみを眺めて、そう言った。
生涯変わることのない能力なら、いっそもっとこう、なんか派手なやつがよかった……よくない?
しかしまあ、定まってしまった能力は変えようがないので、とりあえず俺はゴミを集めることにした。ひとまずこの能力を使うには、それが必要不可欠であったからである。
三週間続けば習慣となるとはよく言うが、このときの俺は、まさか百年もその生活を続けることになるとは思わなかったことだろう。
そして時は流れて百年後。端的に言うと、家族が増えた。もの凄く。
長年俺が広い続けてきたゴミは、揃いも揃って人の形をした付喪神に変わっていった。本当に、本当に久しぶりに会話できる生命に出会ったことで、少々舞い上がっていた俺は、細かいことなんてまるで気にしていなかった。
しかし、冷静になってから思ったことが一つある。
雨風さえ凌ぐこともできず、もはや家としての機能を果たせていないこんなボロ家に、大人数は住めませーん。そんな衝撃の事実にたどり着いてしまったのだ。
手足を生やし、やっと自由の身になったゴミたちを見渡す。彼らは皆、同じように視線をこちらに向けており、俺が何かを言い出すのを待っているようであった。
いつの間にか緊張感がこの場に張り付いていた。期待や不安の視線を感じながら、俺は口を開ける。それと同時に、付喪神たちがゴクリと唾を飲み込んだ。
「じゃ、みんなで家作るか」
俺たちの大規模建築が今、始まる……!
めっちゃ久しぶりの投稿でこの短さ。この小説、見切り発車で始めてしまったので、全然あとの展開が思い浮かばないんですよね。