一度はたどり着いた城跡だが、肉たちが爆弾やら刃物を抱え込んだまま鎮座しているせいで正直に直進したら怪我を負うリスクがあった。
この山井夜のスタンド世界でのルール『この世界のもので怪我をした箇所から侵蝕される』からして、城跡をぐるりと囲みどんどん広がっていく肉片には可能な限り触れたくなかった。部下たちが何人かで焼こうと試みているはずだった。
そこでジョルノとミスタは一度村の入り口に戻り、看板のすぐそばにあった小さな地図を確認した。くるのかわからない観光客向けの簡易なもので、風雨にさらされ色が薄くなっていた。
「今更地図なんて…」
とミスタは地図を熱心に見るジョルノを横目に銃をいじる。時間が経つにつれどんどん空が暗くなっていく気がして焦っていた。時計はまだ14時を指しているが日が暮れた直後のような暗さだった。
ディオの弱点が『日光』ならば、もうそれは克服されたもののように思えた。
「だいたい目星はついた。行こう」
「あいつのスタンド、空まで覆ったりしないよな」
「それはないだろう。今は」
ジョルノは村はずれにかかった外へつながる橋へむかった。小川を渡るために作られた、馬車くらいなら通れそうなガタガタの橋。その橋を渡らずに小川まで降た。ジョルノは橋の根元の控石垣を触り、確かめる。
「いや、下か」
ジョルノはそう言うと足で地面を蹴った。ドン、という奇妙な音が聞こえ、ミスタもようやくピンときた。
「ジョルノ退いてくれ」
足元の土と草を大急ぎで払いのけると地面の下から鉄板が顔をだした。
「ビンゴだ」
二人がかりで入り口を掘り出し、鉄板にかけられた古びた錠を銃で破壊した。小さな取っ手を引くと、思いの外あっさりと扉は開く。
土の匂いと地下の冷気が漂ってくる。ジョルノは懐中電灯を取り出し、ミスタは銃を構え一歩穴の中へと踏み出した。
「地下道があってよかった」
「よくあるもんなのか?」
「ああ。この城は別に有名ではないがいつの時代も誰かしらが緊急避難用に使ってたものだ。だったら城から抜けるトンネルくらいあるだろうと思って」
トンネル内はひどく埃っぽいが、よくみると小さな電球が壁にかかっているし、椅子らしきものもある。鉄の扉もそんなに古いものではなかった。大戦時にも避難に使われ、戦後しばらくは誰かが管理していたのかもしれない。
どんどんトンネルを進んだ。はじめは二人が並んで歩くにはやや狭かったが、進むにつれどんどんトンネルは広くなり、ついにレンガで補強されたところまでたどり着いた。
同時に、山井夜のスタンドの気配がーもっと明確に言うのならば腥い血の匂いがーしてきた。二人は悪夢に一歩足を踏み入れた。
呼吸音がそこかしこから聞こえていた。暗いトンネル内には山井夜の肉たちが群生し、各々勝手に蠢いている。腸の中にいるようだ。ひどく暑い。
「今どのへんだ?」
「正確にはわからないがこのあたりのはずだ…くそ。肉が邪魔だ。扉がないか注意して見てくれ」
二人は壁をじっと見る。人体のパーツがでたらめに生えて蠢く壁を。見てるだけで正気が削られていきそうだった。艶めかしい赤い唇がパクパクと何かを言う。喉がないから聞こえない。やけに尖った耳の中から指が生えていて、その指が耳を掻きむしっている。割れた爪から流れる血はすぐ下の内臓に垂れていた。
「もうたくさんだ!ジョルノ、今すぐ焼き払っちまおう」
「……静かに」
ジョルノは唇に人差し指を当てて静止した。ミスタもすぐ黙り、耳を澄ませる。ぴちゃぴちゃという水音と、遠くから破裂音が聞こえてきた。
「銃声か?」
………
ジョルノの部下たちが灯油や燃料を撒き散らし、生えている手を雑草のように鉈で切り倒していくさなか、城の上にふいに人影があらわれた。彼らは地面から生えている異形に夢中でそれに気づかなかった。
山井夜は村の狩人の家から頂戴したライフルを構え、悠々と準備する。はじめてマニュアル車を運転するみたいに一つ一つの手順を丁寧に、鼻歌交じりに確認しながら。
「♪じょんぶらんずぼでぃーらいざもでりんざぐれーぶ…」
それがおわると、まだこちらに気付かない間抜けな黒スーツたちをスコープ越しに眺めた。嫌悪に歪んだ男たち。下手したら自分と同じかそれ以下くらいの若い人たちばかりだった。
「♪じょんぶらんずぼでぃーらいざもーでぃいんざぐれーぶ」
老いも若いも男も女も、生者も死者も大した差がないように思えた。照準を栗毛のカールの男に合わせ、引き金を引いた。
「♪ばっとひずそーるごーすまーちんぐおーん…」
銃声、弾ける頭。駆け寄る仲間と銃を構える仲間。プロにかかればこちらの位置なんてすぐにわかる。彼らが自分の殺意に気づくその前に次の狙いを定める。
「♪ぐろーりぐろりはれるーや…」
耳栓のおかげで自分の歌が上手いかどうかわからなかった。歌なんてもうしばらく歌ってない。ああ、そういえばカラオケに行ったことがないな。外国にもあるんだろうか?
「♪ぐろーりぐろりはれるーや…」
拳銃を構えた男と、スコープ越しに目があった。男は即座に転げ、何かを仲間に叫んで塔へ銃口をむけた。全員こちらの位置を視認しただろう。弾丸が一発頭の上を通過した。
「♪ぐろーりぐろりはれるーや…」
次の弾は一人の腕に当たった。最初の一発はまぐれあたりだったみたいだ。だがもう当てる必要はない。遮蔽物を求め転がった男たちを白い手が捉えた。
「♪ひずそーるごーすまーちんぐおーん…」
下では男たちが白い手によって千切られていた。気の毒に。でもこれで救われる。これは時間の密度の問題なのだ。人は何十年もかけて粉々に壊されていく。あの手はー私はーそれを加速していくだけ。神様のいないよりよい場所へ連れて行くだけ。
ジョルノとミスタの姿が見えなかった。
山井夜は空に溶けていってしまいそうになってる頭を振って必死に考える。別の道を探してる?それともヘリかなんかで来るのかな…。
どんどん脈絡のある思考力が奪われていってるようだった。自分がどこまでも広がっていくような気持ち悪さ。自我が曖昧になっていく。いろんなことを覚えているきがするし、感じた気がする。
城の出入り口はもう地下しかない。そこにも当然肉塊がひしめいている。彼らはそこを的確についてきているだろうか。自分がいま屋上でぼうっとしてて生きている…じゃあきっと地下だ。
心から安心する。だって地下ならうまいこと行けば奴らを返り討ちにできる。
マフィアの人たちは二人が危険に陥ったと知ったらきっとワラワラ集まってくる。そしたらもっとたくさん死体が増える。どんどん、どんどん、墓が増える。
栄えあれ、栄あれ、ハレルヤ。
神の御元にはもう空きが無い。でも私は大丈夫。
さっきまで生きてた男たちの死体は世界の一部になった。そして、銃声を聞きつけやってきた仲間も彼らの手により一部になる。
無尽蔵に死は湧いてくる。あるいは、死が生まれてくる。魂の永遠のサイクルの打ち止め。行き止まり、袋小路。ここは肉体と魂の坩堝。
客を迎えよう。私と肉体の枷を打ち砕く槌を。
……
「あったぜ」
ミスタは肉の壁の中からようやくノブを見つけた。周りにへばりついた肉をナイフでどんどん解体していく。二人の手は肉を穿ったせいで血まみれだった。
扉には鍵がかかっていなかった。ドアの形に肉を剥がし、引いた。粘液が糸を引く。扉の向こうは暗く、こちらと同じようにちと肉と管に塗れている。
二人はそこを黙って進む。ジョルノは階段の下に落ちていたぶよぶよした柔らかい内臓を踏みつけた。一階まで登ると、それまで以上の地獄だった。何もかもが血をバケツでかけられたような色をしていて、褪せている。欠損した人体の集積場のようだった。
塔の一階はホールで、他に部屋は見当たらない。二人は上を目指すことにした。先程聞こえた銃声はおそらくこの塔の上からものだ。この悪夢を生み出し続ける根源がそこにいる。
もう気持ち悪さに文句を行く気もなかった。ただ心で何も感じないよう黙った。その沈黙の間を縫って、自分たちの足音以外の音を聞きつけた。
水音だ。
「…なんだ?」
肉たちは生えているだけで移動しない。生き残りの村人がいるとは考えにくかった。ミスタは銃を構え、ジョルノは懐中電灯を動かさないまま周囲を見た。
ぽつ、ぽつ、と血が上着に垂れてくる音とひゅー、ひゅーという呼吸音がする。そしてまた、水音。
「ジョジョ、伏せろ!!」
ミスタの叫び声にハッと上を見るとなにかが階段の上から投げ落とされた。ミスタがそれに数発打ち込むと、真っ白な粉が視界を遮った。
「くっ…」
ジョルノはとっさに銃を構えミスタと背中合わせになり死角を消した。また水音がした。
「うらあああッ!」
ミスタが咆哮を上げ音のした方向を撃った。
「撃つな、ミ…」
ジョルノが言い切る前に背中越しの体温が消え、肉が打ち付けられる音がする。とっさに懐中電灯をミスタが飛ばされた方と逆に向ける。そこには巨大な影があった。
「よく来たなジョルノとそのお守よ。死にに来るとはご苦労な事だ」
「ディオ…!」
ジョルノは躊躇なく引き金を引いた。しかしDIOはそれを容易に避ける。
「最初から狙ってくる場所を予測していればそれなりに避けれるものだな。どうした?もっと撃て」
階段下に転げ落ちたミスタもすかさず撃った。とっさに狙ったが、弾丸は腹部に命中したようだ。しかしそんな事ものともせずにディオは佇んでいる。
「ジョルノさがれ!」
ミスタは手榴弾を投げた。
ジョルノはとっさに身を引き階段を転げ落ちたあとミスタの服の裾をつかんだ。ほぼ同時に眩い光が周囲を照らした。暴徒鎮圧用の閃光手榴弾だった。
「走るぞ!」
ミスタは目を閉じ手で覆っていたからいいものの、ジョルノはまだ目がチカチカしていた。ミスタに手を引かれるままにホールを走る。
ミスタは正面玄関に当たる扉を蹴破った。そこから沈みかけの夕日が差し込み、日の当たらない位置に追ってきたディオが移動するのがわかる。
「あっちが銃を持ってなくてよかったぜ」
「………ミスタ、日が沈みきったら別々に行動だ」
「別だと?」
「ディオはぼくが引きつける。ミスタ、君は山井夜を殺せ」
「……ジョジョ…」
「日が沈んだらぼくは外へ走り出す。君は残れ。ディオはどうせぼくの方を優先する。山井さえ殺せばスタンドで五分に戦えるさ」
「…わかった。重大任務だな」
夕日はもはやほぼ見えず、差し込む光が糸のように細く細く消え入る時を合図にジョルノとミスタは外へ飛び出した。
「往生際の悪いことだ」
ディオは呟き、日が完全に沈んだのを見て外に出た。二人は二手に別れる。肉の地雷原を駆け抜けるつもりらしい。少し遅れて銃声がして、二人が通ったあとに弾丸が撃ち込まれる。
それを境に二人はそれぞれ逆方向に駆け出していった。
ディオはとっさに肉の裂け目に手をかけ、奥にあるゴツゴツとした石壁を見つける。それに指を突き立て一つかみ文の石塊を握り、それをミスタに投げつけた。
ミスタは不意打ちだった故に腹部に石の塊をもろに食らい、血を吐きつながら墓石のどれかに身体を打ち付ける。
傷は作った。死にはしなくてもこれなら放っておけばこの肉片たちと見分けがつかなくなる。
ディオはジョルノを追って走った。
まさか村の外まで逃げるつもりか?仲間を置いて?だとしたらなんてつまらん男だ。ディオは上着の内側にしまったナイフを取り出し、小さな背中に向けて投擲する。
「うっ!」
それはジョルノの肩口に突き刺さり、ジョルノはよろめきながら強く足を踏み込んで飛ぶように転んだ。
ジョルノの血は吸ったら体に馴染むんだろうか?ディオはふと思う。肩の傷からこの世界に染まっていく前ならばより力を得られるかもしれない。自分が、前のままならば。
………
「くそ…痛いってレベルじゃねえぞ…」
血を口からあふれさせながらなんとかミスタは立ちあがる。
先ほどの石の塊のせいで体中を酷く打ちつけている。どれくらい怪我をしているか考えると心が折れそうなほどだ。
しかしジョルノがせっかくあの吸血鬼を引き付けているのだ、すぐに方をつけないとジョルノが危ない。
壁を這う腸のような臓器に手をかけながらミスタはなんとか階段を上った。
とてもではないが近接格闘なんてできない。見つけたら即撃つ。
「…どうせ…最上階にいるんだろうな、ヨル…」
銃声が何発もした。なにか焦っているようだった。
ようやく最上階らしい。もはや見る影もないが、肉壁に覆われた扉はきっと豪奢な模様がついていたんだろう。蹴り開ける余力もなく、ミスタは体重を預けてその扉を開ける。
より一層ひどい臭気がむわ、と襲ってきた。
この胸糞悪い生物の中にいるかのような光景の文字通り心臓部分。
最上階の中心で、山井夜は階下に向かってライフルを構えていた。不思議と彼女の周りはあの臓物や肉に覆われておらず、その赤黒い風景から切り取られたかのようだった。
全然似合わない無骨なライフルと柔い腕。扉の開く音に驚いたような顔をして
「…生きてたんですか」
ヨルはその椅子に座り、慣れない手つきで拳銃をこちらへ向ける。
両手で重そうに支えているせいか、ぶるぶると手が震えている。
「ヨル…ヤマイ…」
ミスタは血を吐いたはずだった。しかし口から溢れてきたのは血と言うにはあまりにも粘土のある黒い液体で、気のせいか肉の塊のようなものも混じっていた。
「………まあ時間の問題っぽいですね」
夜はそれを見て、冷淡に告げる。
ミスタも拳銃をいつも通り構える。しかし体に力が入らず、視界も霞み狙いが定まらない。
互いに引き金は引かない。
撃たれたら撃ち返される。
ミスタは拳銃の使い手で、手負いといえども一発でも撃てさえすれば体のどこかには当たるだろう。
ヨルは素人とはいえ、怪我はしていない。何発もめちゃくちゃに撃ちこめるだろう。
しかし、均衡を保ち続ける事はお互いのパートナーのためにもすべきではない。
「侵食が遅いのはスタンド使いだからかな。それともあなたがそれだけ救いようがないから?」
「お前よりかは天国の門をくぐる資格があると思うぜ」
「資格?それは私が決めるんです」
「その口がよく言うな『ヤマイヨル』…この町、あのホテルでお前が何をしたのかわかってねーのか」
「わかってないのはあなたです。私は何も間違ってない」
「おい、妙な真似したらテメーのカワイイ顔ふっ飛ばす。いや、妙な真似しなくてもふっ飛ばす。テメーはそれだけの事をしたんだ」
「私なら、地震とか火事とか大津波に文句を言ったりしません。それは摂理ですから」
「今すぐスタンドをひっこめれば今殺すのはやめてやる」
「困りましたね。ディオさんがジョルノを殺すまではやめるわけにはいかないんですよ。聞こえますか?」
ヨルは目を閉じ、耳を澄ます。夜闇のそこから空気を叩くプロペラ音が聞こえてくる。ミスタはハッとなって夜空の星の輝きの中から人工的な明かりを見つけた。ヘリコプターだ。
ヘリに一瞬気をとられたその刹那、ヨルはライフルをこちらに向け、引き金を引いた。とっさに前に倒れこみつつそれをかわす。そしてすぐに銃で反撃しようと椅子の方へ顔を上げるとそこにすでにヨルはいない。
まさか屋上から落ちたー?
一瞬そう思ったが違う。整備用の外ハシゴに翻る髪の先が見えた。
すぐにさっきまでライフルがかかっていたヘリに駆け寄り覗き込むと、弾丸が飛んできた。
「ちっ…」
胃から異物がせり上がってきた。ミスタはそれを吐き出す…指だ。
自分の時間もどうやら限られているらしい。
……
『こうしてきちんと文章を書くのは二ヶ月ぶりだ。日本を発つ時、万が一の時のための遺書のつもりで日記を書いたのだが、イタリアに来てから毎日が目まぐるしい。あの日記を書いたときより、私の考えと状況はずいぶん変わってしまった。
日本にいたときはずっと脳裏に家族の凄惨な加工後の姿と青空へ登る白い煙が交互にちらついていたが、ここ最近それを思い出すことも少なくなった。
毎日、とても忙しい。ディオについていくのはとてもハードだ。けれども後先考えずに車輪を転がし続けていると自分の事以外何も見えなくなるから楽だ。
人間を解体することはとても残酷なことのように思えるが、私はその行為にどこか清らかなものを見るようになっていた。いや、清らかというよりは、熱でうかされた頭で思い浮かべる川のせせらぎの様な、穏やかで心地よいものを。
それは幸せの形とよく似ている。
具体的な幸せについて考えると頭がぼうっとする。まるで考えることを拒否するように。多分、そうやって考えるのをやめてきた問題は山ほどある。ただそれについて考えるのも、多分やめた。やめて、やめて、やめて…行き着いた先がバラバラ死体の海というのだから皮肉なものだ。
私の家族は殺され、解体され、調理されていた。解体した人たちはそれとよくにたスタンドによって肉の海に迎え入れられた。家族もそこにいる。私もいずれそこへゆく。あの肉塊たちは私をその永遠に続く凪の中へと招いているに過ぎない。
私はこれから死ぬかもしれない。いや、人は皆死ぬからいいんだ。そうじゃなくて、これは単なるけじめの問題。
私の人生の空欄がようやく埋まってきたということを誰かに知ってもらいたかっただけ。私の人生に決定的にかけていたものたち、日常、幸福、絶頂、天国。
天国。
穏やかで平等で苦しみのない、祝福された理想の世界。
死者にしか入ることを許されない世界。
天国への門が口ならば。人は肉体の形を捨てることによって初めて魂として天に迎えられる。その考えを採用するのならば、この肉体しかない死体の山は片輪の天国だ。
この揺蕩うような肉たちは、天国に在る魂に返却されなかったものたち。
永遠に救われない者たち。
ディオのいう天国を採用するならば、彼らは覚悟もできぬ間に「なんの意味も無く死んだ」人たちだ。
…皮肉にも私達が「大した理由もなく殺した」のだけれども。
運命を知り、乗り越える事ができるものはここにはきっといない。けれどもそんな人間が、果たしてこの地球上にいるのだろうか?ディオでさえ、死は唐突だった。
だとしたら死者は必ずここへたどり着く。煉獄止まりの哀れな肉たち。彼らは己の形すら失った』
………