ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

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どうも、長星浪漫です。
この作品はマリオRPG、スーパープリンセスピーチなどをプレイし、「ピーチ姫って強いんじゃね?」と思い考えました。
作中のピーチ姫は作者の妄想というか誇張がかなり入っています。そういったことを前提にお読みください。



W1-1「部屋からの脱出」

 ここはクッパに城ごと誘拐されたキノコ城の最上階にある一室。

「はぁ~…」

 その部屋で椅子に座り溜め息をつく一人のお姫様がいた。透き通るような白い肌に星のような少しウェーブがかかった金色のロングヘアー、唇は桃のように爽やかなピンク色で瞳は澄みきった空のような青色をしている。ピンク一色の豪奢なドレスを身にまとい、胸元には大きなサファイアがはめ込まれたブローチがついている。

「ふぅ…」

 また溜め息がもれる。お姫様の名前は『ピーチ姫』キノコ王国のピーチ城に住んでいる。だが今は例のごとくクッパに城ごとさらわれて囚われの身である。

「はあぁあ~」

 溜め息が止まらない。ピーチは机の上にあるお皿に盛られたクッキーを1つ掴み口に運ぶ。

「あら!おいしい!」

 ピーチはさらに二、三個口に放りこんだ。

「以前よりも美味しくなってますわね」 

 租借したクッキーをピーチティーで飲み干す。

「この紅茶の味もすごくよくなっていますわ」

 少し元気になったピーチ姫、しかしまたすぐに溜め息をつき始める。

「ふぅ…」

 その原因はピーチ姫かおかれた現状のせいでもあった。

「暇ですわ」

 そう、ピーチ姫は暇だった。何度もクッパに誘拐される度に監禁時の待遇はよくなっているのだが、マリオが来るまでに時間がかなりかかる。早ければ1ヶ月くらいで来てくれるが、遅いと一年かかったりする。そして今回は既に3ヶ月はたっている。それなりに暇潰しの道具は部屋にあるのだが、大体遊びきった。

「むふー…」

 ピーチ姫は机に突っ伏した。

「しかし、今回は嫌なタイミングで誘拐されたものですわ。本当なら今日はハイラル城でゼルダ姫と会食のはずだっのですが…はぁ」

 伸ばした腕をパタパタさせていたピーチ姫はふとその動きを止めた。しばらく部屋の入り口をボーッと見ていたピーチ姫はポツリと呟いた。

「…そうだ、脱出しよう」

 まるで「ちょっと旅行に行こう」くらいのテンションでピーチ姫はこの支配からの脱走を決意した。

「さて、そうと決まれば善は急げですね」

 ピーチ姫は指をパチンと鳴らした。すると着ているドレスが少し変化し動きやすいバトルドレスに変化した。

「うんうん、上出来ですね。最近みなさん忘れてそうですが、私攻撃魔法以外の魔法はわりと得意なんです」

 ピーチ姫は準備運動を始める。腕を伸ばし、足を伸ばし、腰をひねった。首、足首、手首を回す。

「準備体操完了!さて派手にいきますわよ!」

 ピーチ姫は部屋の扉の前で攻撃の構えをとった。

 

 

 

 ピーチ姫がテンション高めに脱走計画をたてているとき、ピーチ姫の扉の前では固そうな鎧をまとった二匹のノコノコが警備をしながらしゃべっていた。

「おい、聞いたか?マリオのやつが初めの島でイギー様を倒したって話」

「聞いた聞いた!イギー様、『今回は秘策がある』っておっしゃってたのになぁ」

 イギーとはクッパの7人の子供のうちの一人で眼鏡をかけたコクッパである。

「マリオは今どの辺りにいるんだろうな」

「さぁ、でも今回はここまではたどり着けないだろ」

「あぁ、『今回は金をかけた』っておっしゃってたしな!」

ガタッ!

「ん?なんだ?」

「なんの音だ?」

 鎧ノコノコ二匹はピーチ姫がいる部屋を振りかえる。中を確認しようと扉に耳をあてた瞬間、

「やっ、はぁ!!」

ばきいぃぃぃぃぐしゃぁぉぁ!

 物凄い音と共に扉が吹き飛び、それに巻き込まれた鎧ノコノコの一匹が声をあげる間もなく扉と共に壁にぶち当たり気絶する。

「同志ー!」

 巻き込まれなかった方の鎧ノコノコが叫び声をあげた。

「あら、意外にもろい造りなのですね。今度はもっと造りが頑丈な扉にしましょう」

 ピーチ姫は鎧ノコノコには目もくれず、自分が壊した部屋の入り口を見て新しい扉のデザインを考えていた。

「ピーチ姫!部屋にお戻りください!」

 大丈夫だった方の鎧ノコノコが槍を構えた。次の瞬間、ピーチ姫が回し蹴りで槍をはじく。その勢いのまま軸足をかえ鎧ノコノコの首の辺りのちょうど鎧の中身が見えている部分に蹴りをいれる。

「ぼはっ!」

 蹴られた鎧ノコノコは湿った声を漏らしながら横向きで吹き飛び地面を二、三回バウンドして気絶した。ピーチ姫はハッとして今蹴り飛ばした方の鎧ノコノコに駆け寄り、心配して声をかけ…なかった。

「この槍をいただいていきましょう」

 ピーチ姫は鎧ノコノコが落とした槍を拾い上げ嬉しそうに自分のアイテムボックスにしまう。

「このボックス便利ですわ~、30個までアイテムが入るんですもの」

 ピーチ姫が持っているアイテムボックスとは、RPGとかでよくあるアイテムを入れておける場所だ。ピーチ姫はそれを魔法で造りだし常に取り出し可能な状態にしている。

 ピーチ姫は倒れた鎧ノコノコを丁寧に運び、隣り合わせに壁にもたれさせた。二匹はまだ気絶している。

「一応私は囚われの身で、あなた方は敵なので手加減はしません…まぁ聞こえてないでしょうけど」

 ピーチ姫は鎧ノコノコの頭をぐりぐりしたあと先へ進もうとした時、行く手をたくさんのブロス達が阻んだ。

「あら?」

 ブロス達の中でもひときわ偉そうな一匹が前に出てきた。

「ピーチ姫!部屋にお戻りください!」

「いやです」

 即答するピーチ姫。リーダーブロスは少し面食らったような顔になったがすぐに気を鳥直した。

「いいから戻ってください!部屋のなかに!」

「だから、いやです。だってほら、扉が壊れてますわ」

「それはあなたが蹴り壊したんでしょう!?」

「違います。ただしくは私の“ヒップ”で壊しましたの」

「どっちでもいいです!ていうかとんでもない尻ですね!?」

「あら?プリンセスをつかまえてその言い方はひどいんじゃなくて?私のヒップはとても美しいんですのよ?」

 ピーチ姫の言動にざわつくブロス達、そんなブロス達をリーダーブロスが一喝する。

「ええい!なに妄想してんだ馬鹿者共!こうなったら力ずくでも部屋に戻すぞ!ハンマーブロス隊構え!」

 リーダーブロスの号令にハンマーブロス達が自慢のハンマーを構える。

「まぁ!怖いですわ!一体なにをなさるおつもりですの!?」

 と怖がるピーチ姫の瞳は怪しく無邪気に輝いている。しかしそれに気づかないリーダーブロスは胸をはって威張りだした。

「もう、遅いですよピーチ姫!少し痛い目をみてもらいます!ハンマーブロス隊!攻撃開始!」

 ハンマーブロス達が一斉にハンマーを投げた。ハンマーブロスは「数打ちゃ当たる」の攻撃方法なのでとりあえず手当たり次第に投げた。狭い廊下なので天井や壁に当たる。徐々にピーチ姫の逃げ場がなくなっていく。

「…さて、まいります」

 ピーチ姫は深呼吸すると自らハンマーの雨の中にゆっくり散歩でもするかのように入っていった。

「血迷いましたか姫!?でも我々は攻撃を止めたりはしませんぞぉ!」

 リーダーブロスのテンションに反応したかのようにハンマーの勢いが増した。

 ピーチ姫はは一瞬でボロボロに…と思いきや、まるでダンスを踊るかのような動作で降り注ぐハンマーの雨を避けていた。さらに避けられないハンマーを次々つかんでいる。

 三分ほど攻撃が続いた時、急にハンマーの攻撃が止まった。

「なにをしている!攻撃を止めるな!」

「し、しかしリーダー…もうハンマーがないんです!」

「なにぃ!?」

 リーダーブロスが現状に気づいた時にはピーチ姫は次の攻撃を開始していた。

「ふっ…!」

 ピーチ姫が両手に持っていたハンマーを一気に投げる。

「ぎゃっ」

「わっ」

「うぎゃ!」

 それらはすべて命中し、ハンマーブロス達は短い悲鳴のあとに次々に倒れていった。

 ピーチ姫は手をパンパンとはたくと行進を再会する。

「は、早く攻撃を再会しろ!ブーメランブロス!ファイヤーブロス!」

 リーダーブロスの命令に緑色の体のブーメランブロスと赤色の体のファイヤーブロスが前に出る。

「まずはブーメランで動きを封じて、ファイヤー攻撃でピーチ姫を倒せ!」

「イエッサー!」

 まずブーメランブロスがブーメランを構え、ファイヤーブロスが大きく息を吸い込んだ。

「放て!」

 リーダーブロスの号令でブーメランブロスが攻撃を開始する。まずブーメランを投げ、十数秒後でファイヤーブロスが火の玉を吐いた。

 その攻撃順が悪かった。

「ほっはっ!」

 ピーチ姫はさっきと同じ要領で自分に当たる前にブーメランを掴み取り、さらにそれをぶん投げファイヤーブロスの吐いた炎をいくつかかきけす。そしてそのブーメランがブロス達を何体かなぎ倒す。敵の陣形が崩れたところでピーチ姫は体制を低くする。その上を先ほど取らなかったブーメランが通過する。それがさらに敵をなぎ倒す。完全に陣形が崩れきった所へピーチ姫が飛び込み乱戦が始まった。

「てぇい!」

 一番近くにいたブロスが素手で攻撃してくる。ピーチ姫は身を引いてなんなくかわし、その腕をとり、足を引っかけ勢いを利用しブロスをぶんまわした。それで周りのブロスをなぎ倒したあとブロスを放り投げ、さらにブロスを倒した。

「うふふ、ボーリングをしている気分ですわ」

 ピーチ姫が楽しそうに笑った。

「隙ありぃ!」

 すかさず別のブロスがピーチ姫を羽交い締めにする。

「あら?」

「はっはぁ!油断したなピーチ姫ぇ!さぁ、リーダー!」

「よくやった!さぁ、ピーチ姫観念してください」

 リーダーブロスがロープをピンとはりにやにや笑う。

 ピーチ姫ピンチ!

「くふっ」

 …と思ったがピーチ姫はおかしそうに笑った。その目には無邪気な狂喜が宿っていた。リーダーブロスのにやけが消える。

「なにがおかしいんです?」

「色んな世界の方々と戦ったせいかしら?」

 ピーチ姫が足を上げた。

「マリオたちと一緒に冒険したからかしら?」

 あげた足を踏みおろす。ヒールの突起部分が羽交い締めにしているブロスのブーツを踏み割り、ヒールが中の足に食い込む。

「ーーーーーー!!!」 

 ブロスが絶叫する。拘束がゆるんだ瞬間腕を引き抜き体を反転させブロスと向かい合う。

「マリオたちを助けた経験のせいかしら?」

 体制を整え拳を握りしめる。

「まあ、なんにせよ…」

 ピーチ姫は相手の顔を見据える。笑顔で。

「ひぃ!」

 相手のブロスはその笑顔を見て痛みを忘れるくらい恐怖した。

「今のあなたたちには負ける気がしませんわ♪」

 同時にブロスの鳩尾に少し回転のかかったパンチがめり込んだ。

「かはぁっ」

 ブロスは白目を剥いて少し体が浮いた。ピーチ姫はすぐに拳を引っ込めアイテムボックスからフライパンを取り出した。ブロスの頭に叩き込む。

「くわん!」

 大きな音をたててブロスのヘルメットがへこんだ。ブロスは目から星を出して気絶した。ピーチ姫のフライパンには傷ひとつなかった。ピーチ姫はフライパンを撫でながらご満悦のご様子。

「さすがオーダーメイドの特注品ですわ。本当に固いのですね、オリハルコン(・・・・・・)って♪」

 ピーチ姫が二、三度素振りをしたあとやはりいい笑顔でリーダーブロスを振り替える。

「で?どうします?」

「…!」

 リーダーブロスは後ずさった。が、まだ諦めてはいなかちどた。

「まだだ!まだ終わらないぞ!我々にはまだ切り札だある!こぉい!ヒマンブロス!」

 ………なにも来ない。

「ヒマンブロス!どうした?早く来い!」

 ………やはり来ない。焦り出すリーダーブロス。

「ちょっ、ヒマンブロスさん?早く出てきてくれない?」

 ………全く来ない。リーダーブロスは気が気じゃない。

「早く来い!どこ行った!?はやーーく!!」

「あの…」

 ピーチ姫が挙手して言葉をはさんだ。

「もしかしてあちらで震えている方々ですか?」

「えっ?」

 リーダーブロスがピーチ姫の指差した方向、自分の遥か後方に体が大きなブロスが何体か身を寄せあって震えていた。

「なにやってんだお前たち!」

 リーダーブロスが怒気をはらんだ声で叫ぶがヒマンブロスたちはそれ以上の恐怖に支配されている。ピーチ姫という(・・・・・・・)恐怖に。

「もういいですね?」

 ピーチ姫がフライパンを抱き締めるように持ち、顔の下半分を隠しつつ、目だけを怪しくキラキラと輝かせブロスたちを見つめる。

「に、にげろぉ!」

 リーダーブロスの命令を聞くまでもなくヒマンブロスたちは走りだし、リーダーブロスも続く。

「あらあら、逃がしませんわよ?」

 ピーチ姫はフライパンをアイテムボックスにしまうと目を閉じ、詠唱を始めた。

「ねむれよ、ねむれ。良いこよねむれ“ねむれよいこよ”」

ドドドドド…

(なんの音だ?)

 詠唱が終わった途端地鳴りと共に何かの声が通路に響き渡った。

「あ、あれは!」

 ブロスたちの目前から大量の羊が迫ってきた。

「うわあぁぁぁ!」

 ブロスたちは羊たちに踏み潰された。しかしダメージはなく、羊たちが通ったあとにはブロスたちが気持ち良さそうに眠っていた。

 ピーチ姫は出てきた羊を抱えあげ頭を撫でる。

「うふふ、命まではとりませんわ。あなたたちの事嫌いではありませんもの」

 ピーチ姫の抱えていた羊が消えた。

「さて、脱出作戦の開始ですわ!」

 ピーチ姫は意気揚々と眠るブロスたちを避けながら廊下の奥にあった扉を開けた。

 




読んでいただきありがとうございます。
楽しんでいただけたでしょうか?楽しんでいただけたら嬉しいです。

更新はまちまちになると思います。
それではまたよろしくお願いします!
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