W3を書き上げるのに思った以上に時間がかかってしまいました
楽しんでいただければ嬉しいです
「う~ら~~め~し~や~」
目の前のゴーストリーダーブロスが威嚇するように両手をあげる。ピーチ姫はとりあえず残っていたピーチティーを飲み干し出していたティーセットなどを片付けた。そしてドレスの乱れを直しゴーストリーダーブロスに向き直る。
「なにかご用ですか?」
「いや、少しは驚けよ!?」
ピーチ姫があまりにも平然と対応してきたのでゴーストリーダーブロスは思わずツッコンでしまった。
「そう言われましても、ここに来るまでに散々お化けを見てきましたし、あなたの顔に至ってはもはや呆れしか感じませんわ」
「くぅぅ~!生意気言ってられるのも今のうちだぁ!!」
ゴーストリーダーブロスが両手をあげると無数のハンマーが宙に浮き始めた。
「これでもくらえぇ!」
ゴーストリーダーブロスの掛け声と共に空中に浮いたハンマーが一斉にピーチ姫めがけて飛んでいく。しかしピーチ姫は特に焦ることなく息を吸うと三歩進み体を少し傾けた。すると不思議なことにハンマーはピーチ姫の脇を通り抜けていきいくつかはハンマー通しでぶつかりあいピーチ姫には届かない。それを見たゴーストリーダーブロスは目を真ん丸にして驚いた。
「は?あれ??」
そんなゴーストリーダーブロスを尻目にピーチ姫はレサレサを見る。
「あれについてどう思う?」
「変な感じですわ。確かにあれはお化けなんですけど、生命エネルギーも感じますの」
「それはつまり『死んでいるのに生きている』ってこと?」
「恐らくあれは“生き霊”ってやつですわね」
「なるほど、クッパ軍は無駄に科学力を持ってるから生き霊を生み出すマシーンでも作ったんでしょう」
「ギクッ!!」
わかりやすく動揺するゴーストリーダーブロス。予想が確信に変わったピーチ姫は早速行動を開始する。
「マッスル、あなたは今からさっき私が言ったマシーンを探しなさい」
「え、でもあるかわからないんですよね?」
「恐らく近くにあるわ。もし遠くにあるならマシーンの存在がバレたからってあんなに動揺しないもの」
「あぁ、確かに!わかりました!!」
早速行動を始めたM・キノピオ。ゴーストリーダーブロスはそうはさせまいとM・キノピオを止めようとするが、レサレサが割り込みセンスで思い切りはたいた。
「ぐうぅ…!?」
「あなたの相手はわたくしたちですわ」
「ふん!まぁいいだろう。お前たち二人を倒してからあのキノコを追うとしよう」
「私たちを倒す自信があるんですか?」
「当たり前だぁ!この体はお前たちの予想した通り生きた体から出てきたものだ!そしてマシーンを使ったからこそこの霊体に“魔封じの加工”を施すことができた!ピーチ姫は魔力を使ってお化けを殴れるようだが、この加工をしている限り魔力由来の攻撃はすべて効かない!つまりピーチ姫じゃ俺を倒せないのだあぁ!さらに!」
ゴーストリーダーブロスが両手をあげるとハンマーが大量に現れ宙に浮く。
「いくらでもハンマーを生み出せるし念力も使えるのだぁ!どうだぁ!びびったなら潔く俺に捕まれ!」
「え?」
いきなりピーチ姫は名前を呼ばれ間の抜けた返事をしてしまう。
「え?はぁ?お話は終わったんですか?」
「…俺の話を聞いていたのか?」
「ごめんなさい、どうでもいい話って入ってこなくて」
「ふざけるなぁ!!!」
完全に怒りMAXのゴーストリーダーブロスが両手を前に突き出すと大量のハンマーがピーチ姫に向かって一斉に飛んでいく。
「すうぅぅー…」
ピーチ姫は息を吸うと一歩踏み出し飛んでくるハンマーに自ら向かっていった。ハンマーの隙間を見つけ、体をうまく通して避けながら避けるのが無理なハンマーは受け止め別のハンマーに当てることで打ち落としたりもした。部屋を抜け出し初めに戦ったブロスたちの時と同じだ。だが、リーダーブロスは避けられることは予想済みだった。
「あの時とは違うんだよ!それ!」
ゴーストリーダーブロスが右手を引くとピーチ姫の後ろに飛んでいったハンマーが方向を変え再びピーチ姫の方へ飛んでいく。
「ピーチ姫!後ろですわ!」
レサレサが心配して知らせるがピーチ姫はわかっていた。
「安心してレサレサ」
ピーチ姫はダンスをするかのようにステップを踏み出した。あまりの華麗さに周りに桃の花が咲き乱れたように錯覚してしまうほどに…すると急にハンマーの起動がおかしくなり、ピーチ姫の体の隙間を飛んでいった。結果としてハンマーは全く当たらなかったのだ。ゴーストリーダーブロスはもうカンカンに起こっていた。
「最終手段だぁ!ハンマーたちよ!!」
ピーチ姫の力の前に冷静さを失ったゴーストリーダーブロスは早すぎる最終手段をやることにした。
ハンマーが次々に現れピーチ姫を包囲する。その数千個以上。ピーチ姫はハンマーの檻に閉じ込められた。そして…
「潰れろぉ!」
球状になって隙間なく取り囲んでいたハンマーが一斉にピーチ姫に向かって飛んでいく。先程のように軌道変更は逆に危なそうだと思ったピーチ姫はその場に止まり
「はーっはっはっはぁ!!今度こそ俺の勝ちだぁ!」
「それはどうでしょうか?」
「はっはっはっ…ん?」
普段と変わらないピーチ姫の声が聞こえて目をパチクリさせるゴーストリーダーブロス。その目の前でハンマーが地面に落ちる。
「ふぅ、さすがにうるさかったですわね」
「なぜだああぁぁぁあああぁぁ!?!??」
全くの無傷のピーチ姫を目にしてお化けなのに恐怖に包まれるゴーストリーダーブロス。ピーチ姫は気にせず身だしなみを整える。
「魔法で障壁を作ったのか?いや、だとしても俺のハンマーはそれを貫けるはずなんだ!」
混乱しパニック状態に陥ったゴーストリーダーブロス。その姿を不憫に思ったピーチ姫が種明かしをする。
「あらあら、落ち着いてくださいな。大した事ではありませんのよ?ただ“波動”の使い方をマスターしただけですわ」
「は、波動?」
「簡単に言うと体の中の“気の流れ”を操作して攻撃や防御に使うんです。こんな風に」
まるでスキップをするように軽やかにゴーストリーダーブロスに近づきお腹の部分に右手のひらをあてる。
「“はっけい”」
手のひらからから放たれた波動エネルギーがゴーストリーダーブロスの霊体の中を駆け巡る。
「あっががががっっいっでえぇぇぇ!!?」
駆け巡った魂に直接響く一撃が本来感じないはずの痛みをゴーストリーダーブロスに感じさせる。ゴーストリーダーブロスはパニックを通り越し呆然とした。
「な、こ、ここれは…夢…?」
そうであってほしいと本気で思ったが先程の痛みがこれは現実であるとゴーストリーダーブロスに言っていた。ゴーストリーダーブロスが顔をあげるとすぐ目の前にピーチ姫。
「ひい!」
「まぁ!人の顔を見てそんな幽霊を見たかのような反応をするなんてひどいですわ!幽霊はあなたの方でしょうに!」
「ぷふっ」
後ろでレサレサが吹き出すのが聞こえた。ピーチ姫は小さな子供に話しかけるように優しい声でゴーストリーダーブロスに語りかける。
「私たちの前に三度も現れるたってことは、覚悟はできているというわけですわよね?」
「あわわわわわわ」
ゴーストリーダーブロスは一歩下がって土下座した。
「許してください!私が悪かったです!」
「謝れば許される…そんなうまい話があると思いますか?」
「お願いしますぅ!」
地面に埋まる(すり抜ける)くらい頭を下げる。しかしその心にはまだ復讐の炎が燃えていた。
(勝ち誇っているなぁ…!!今にみてやがれ)
口では謝りながら自分の力を周りに広げていく。そして散らばるハンマーに自分の力を込めた。
(今だ!)
ハンマーが一斉にピーチ姫に向かって飛んでいく。
「波動がなにかはわからんが、一つ弱点ー見つけたぞ!“一ヶ所を集中して攻撃すれば保てなくなる”んだろ!?」
「あら、以外と見てはいるんですね」
ゴーストリーダーブロスの指摘通りピーチ姫の波動は成長しているとはいえまだ未熟で同じ箇所を集中されるとそこが割れてしまう。…といってもクッパクラスの攻撃力が出せればの話だが、ゴーストリーダーブロスは勝った気でいる。
「死ねぇー!」
ハンマーがピーチ姫を…襲わなかった。
「…あれ?」
ゴーストリーダーブロスが操るハンマーは空中で止まったままだった。
「あれ?あれ?なんで動かないんだ??」
焦るゴーストリーダーブロス。その様を見て笑うものがいた。
「フフフ…何を焦っていらっしゃるのかしら?」
人間フォルムのレサレサが腕組みをし口許に指を当てながらクスクスと笑っている。その目が赤く輝いている。
「なにかお困りごとですの?」
「お前…何をしたんだぁ!?」
見るからにレサレサが現状を作り出している張本人だ。レサレサはクスクスと笑い続ける。
「何てことはありませんわ、わたくしもポルターガイストを使っているだけですの」
「お、俺だって使っているぞ!?」
「お化けとしての“レベル”が違いますわ。それ」
レサレサが指をパチンと鳴らすとハンマーが一斉に壁へと飛んでいき壁にめり込んだ。レサレサはピーチ姫にウインクする。
「さ、これで余計な物はなくなりましたわピーチ姫」
「うふふ、ありがとうレサレサ。じゃあ」
「ひぃっ!」
奥の手も封じられ後ずさろうとするがその前にピーチ姫に胸ぐらを掴まれる。
「逃げられないわよ?」
「な、なんでなんでなんで!すべて万全に整えて強くなったのに、」
「道具を使った強さなんてこんなものです」
余裕の笑顔でゴーストリーダーブロスを見下ろす。
「己を高めて得た強さには敵わないんですよ?」
「くっくそ!」
ゴーストリーダーブロスは手元に隠しておいたハンマーを拾いあげようとするが、ピーチ姫はハンマーを蹴り飛ばす。
「あっ」
「反省をする気はないということですわね?」
「ひ、ひぁ!」
左手でゴーストリーダーブロスの頭をわしづかみにし持ち上げる。ピーチ姫は笑顔をくずさずに右手の拳を握る。
「お仕置きが必要ですわね?」
「やめっ…」
もう遅かった。暴れて逃げようとしたゴーストリーダーブロスはボディにきついのをくらう。波動をまとっている攻撃で魂に直接響くので痛みも感じる。背中を上にして動きを止めたので甲羅の部分にひじうちをおみまいする。そしてそこからは怒濤のラッシュがゴーストリーダーブロスを襲う。
数分後戻ってきたM・キノピオは言葉を失った。幽霊のはずのゴーストリーダーブロスを素手で鷲掴みにし笑顔で殴り続けているピーチ姫。それを見ながら宙に浮くハンマーでお手玉をするレサレサ。M・キノピオは状況を理解できずその場に固まってしまった。そんなM・キノピオに気づいたピーチ姫が殴る手を止め手を振ってくる。
「マッスルー!早かったわね!!」
(え?いや、これどう見ても遅かったんじゃ?)
頭にクエスチョンマークを浮かべながら、M・キノピオは二人を見つけたマシーンの所へ連れていった。そのマシーンの中には眠るリーダーブロスがいた。
「さて、見つけましたがどうしましょう?」
「このまま機械を止めたり壊したりしたらどうなるんですの?」
「さあ?普通に考えたら本体が死ぬ…とかかしら?」
指をゴキゴキ鳴らしながらマシーンに近づくピーチ姫、しかしそれよりも先にゴーストリーダーブロスがマシーンの体に飛び込んだ。すると淡い光がマシーンを包みこんだ。すぐに光は消えリーダーブロスかガタガタ震えて土下座していた。
「すいませんでした!もう二度とピーチ姫を追いかけたりしないです!」
額を何度も地面に打ち付け謝り続ける。そんなリーダーブロスにピーチ姫は優しく声をかける。
「あなたの言いたいことはわかったわ。クッパの命令で仕方なくやったのよね?」
「はい、はい!」
「あなたはしたっぱ、仕方ないわ、もう私の事を追跡しないのならもういいわ」
「ピーチ姫…」
慈悲深いピーチ姫の言葉に涙ぐむリーダーブロス。しかし次の言葉でリーダーブロスの気持ちは一気に恐怖に塗り替えられた。
「でもそれはそれとして、一応再起不能になってもらうわね?」
「…へ?」
それから先のことはリーダーブロスは覚えていない。その光景を見ていたM・キノピオはしばらく震えが止まらなかったらしい。
ゴーストリーダーブロスの部屋を抜け、見つけた階段を上がるとお化け屋敷の外に出た。
「ふぅー、ずっと建物の中だったから空気が美味しいわ」
「そうですわね、と言ってもわたくしは呼吸していませんが」
「レサレサ様、お姿が元に戻られていますね」
「屋敷から出ましたからね、でも十二分に霊力を吸収しましたからいつでも変化はできますわ」
オーッホッホッホ!と笑うレサレサ。少し進むと下への階段があった。
「さっき下に降りて上がったのにまた降りるなんて変な感じだわ」
「でも着実に進んでいます」
「さっさとゴールしますわよ」
気持ちも新たに三人は次のステージへと足を進めた。
その様子をモニターで見ているもの達がいた。
「俺たちが留守の間にこんなことになっていたのか」
「だが、もう好きにはさせない」
「俺たちのコンビネーションで捕まえてやろう!」
お互いに腕を重ねて雄叫びをあげる。ワープゾーンを使いピーチ姫を迎え撃つ準備に取りかかった。