ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

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今回はM(マッスル)・キノピオメインのお話です


W4-2「ルドウィック」

 一方上階に向かうM・キノピオとレサレサを確認しロイとモートンが映るモニターを切り替えたルドウィック。ロイとモートンのサポートはオートモードに設定しM・キノピオとレサレサの対処に切り替えた。

 

「俺を狙っているのか?小癪な奴らめ!」

 

 ルドウィックは手近のボタンを押した。 

 上に続く通路を昇るM・キノピオとレサレサ、するとどこかでガコン!という音が聞こえた。

 

「何の音だ?」

 

 二人が止まり警戒していると、『ギーギー』という音がたくさん近づいてくるのが聞こえた。目を凝らすと目の前の土管から大量のメカクッパが出現していた。

 

「敵!」

「恐らくルドウィックに勘づかれましたわね」

 

 そうこうしているうちにどんどんメカクッパが現れる。メカクッパは焦点があっていない目をキョロキョロさせながら背中のゼンマイをキリキリ回しながら歩いてくる。

 

「どうしますの?」

「当然…」

 

 M・キノピオは胸の前で拳をうちならした。

 

「真っ向勝負です!」

 

 メカクッパは上から踏んでも完全に停止せず、少しすれば復活する。特殊な技で倒すこともできるがそれでもほぼ不死身と言えるだろう。おまけに数が多くなると泣きたくなってくる。ただ、それは踏むしかできない場合で、M・キノピオはパワーだけならマリオをも凌駕している。

 

「せぇい!!」

ばきゃぁ!!

 

 M・キノピオのパンチがメカクッパの顔面にヒットする。その瞬間メカクッパの顔面が風船が弾けるように弾けとんだ。

 

「へ?」

 

 モニターの前でルドウィックは鼻水を垂らしてあっけにとられた。レサレサも驚いた。

 

「あなた…すごいパワーですわね」

 

 M・キノピオは握った拳を突きだす。

 

「なんだかずっといいところなかったけど、攻撃さえ当たれば怖いものなしなんです!」

 

 今度は近くにいたメカクッパをつかみ握りつぶしながら投げつける。

 

「さあ行きましょう!」

 

 ワリオ並のタックルを乱発し、ブルドーザーのような勢いでメカクッパを蹴散らしながら止まることなくどんどん進んでいく。その様子にルドウィックは髪をかきむしった。

 

「ムキー!!なんだあのデタラメなパワーは!?次はこいつらだ!」

 

 M・キノピオのいく先の扉が開き大量のノコヤンが現れた。ノコヤンは格闘に優れたノコノコの亜種だ。風を切るようにパンチを打ちながら迫ってきた。

 

「だらっしゃあああああはアァぁおらあああ!!」

 

 テンションが頂点をオーバーしているM・キノピオは向かうところ敵なしだった。ノコヤンが打ってくる拳に合わせて自分の拳をぶつける。その時発生した拳圧でキレイに隊列を組んでいたノコヤンはすべて吹き飛ばされる。M・キノピオはそのまま地面を殴り床を少し壊し威嚇する。ノコヤンが怯んだ隙に殴り飛ばした。

 

「このキノコ強いぞ!」

「どうする!?」

「あの後ろのテレサを狙ったらいいんじゃないか?」

「よし、そうしよう!」

 

 ノコヤンのうちの数人がM・キノピオの前に立ちふさがり気を引いているうちに残る二人がレサレサに向かう。

 

「おとなしくしろよ」

「あらあら、野蛮ですこと」

 

 レサレサが短い腕をピッと上にあげた。するとポルターガイストの力が発生する。ノコヤンの動きが止まった。

 

「ぐっお?体が、動かない!」

「そ~れ」

 

 軽く腕をふるとその方向にノコヤンがとんでもないスピードで吹き飛び石壁にめり込む。レサレサはセンスを派手に開き口許を隠す。

 

「先程の幽霊屋敷で力は十二分に溜まってますの。わたくしとしてはあまり乱暴なのは好みではないのですが…」

 

 センスの上から敵を見る。その目はこの状況を楽しんでいた。

 

「まぁ、襲ってくるのなら?仕方ないですわよねぇ?」

「ひぃぃ!!」

 

 ノコヤンたちの背筋が凍る。恐怖で動きが鈍くなったのでM・キノピオが一掃した。ノコヤンを倒しきった二人はさらに進む。

 

「ウギー!次はこれだぁ!」

 

 ルドウィックが次の罠を発動させる。すると二人の前に大きな岩が現れ転がってくる。通路が完全に埋まってしまうくらいの大きさで転がってくる。

 

「ワッハッハ!これでどうだぁ!!」

 

 マリオですら壁の隙間に隠れなければやり過ごせないくらいの大岩、しかしルドウィックは少し焦っており判断が甘かった。

 

「ぜりゃああぁぁぁ!!」

 

 引くことも避けることも考えずM・キノピオはただ突進し有り余る力を叩き込む。時間を空けず大岩は大破した。

 

「どぅだぁ!」

「…」

 

 どんどん自信つけていくM・キノピオ。そんなM・キノピオにレサレサは一つアドバイス。

 

「マッスルさん、わたくしの“すりぬけ”能力でもっと簡単に回避できたのですわよ?」

「…あ」

 

 その事を完全に失念していたM・キノピオ。しかしこの無茶な行動は結果としていい効果を生んだ。このあともルドウィックの部下を配置していたのだがM・キノピオの底知れないパワーとレサレサのサディスティックな一面を目の当たりにして尻込みして隠れたままになりルドウィックの部屋まで何事もなく辿り着いた。

 ルドウィックの部屋は機械やら実験道具やらでごちゃごちゃしていたが肝心のルドウィックの姿がなかった。

 

「どこにいるんだ?」

 

 警戒を怠らず部屋を見渡すが誰もいないそれなりに広い部屋ではあるが隠れられるような広さでもない。二人で部屋の中央付近に近づいた時突然地面が揺れだした。

 

 

「なんだ!?」

「揺れていますわ!」

『わーっはっはっは!』

 

 笑い声と共に屋根が開きルドウィックの顔がデザインされた手と足が生えたロボに乗ったルドウィックが降ってきた。さらに四方から柱が現れ今ピーチ姫が戦っているリングのようになった。ルドウィックがロボ越しにM・キノピオとレサレサを指差した。

 

『まさかここまで来るとはな!だがここまでだ!』

 

 言い終わると同時に体当たりをかましてくる。M・キノピオは真正面からロボの両手を受け止めた。

 

『はっはぁ!くらえ!』

 

 ルドウィックはボタンを押した。すると手のひらが開いて砲門が出現し火を吹いた。

 

「うわぁ!?」

 

 まともに炎をくらい焼きキノコになりかけるがなんとか耐えた。

 

「ふぬぬぬぬぬ!」

 

 次射が来る前になんとかしようと力を込めてロボを持ち上げる。

 

『ど、どこにこんな力があるんだよ!?』

 

 ルドウィックがロボを動かし逃れようとするがその前にM・キノピオは投げ飛ばした。しかしルドウィックロボは少し変形しロケット噴射で立て直す。

 

『接近戦はまずいか…ん?』

 

 少し目を離した隙にM・キノピオは消えていた。

 

『レサレサの能力か?だが!』

 

 ルドウィックはモニターを切り替える。レサレサは自分と触れた対象一つを透明にできる。しかし体温までは消すことはできない。

 

『下かぁ!!』

 

 ルドウィックは下に攻撃する。その前にレサレサの能力を解きM・キノピオが合わせてパンチする。しかし少し押し負けた。

 

『なんだぁ!?さっきまでのパワーはどうした!!』

「くっ」

 

 疲れのせいか一発一発の威力げ弱いM・キノピオ。今が好機と思ったルドウィックはここぞとばかりに連続パンチを繰り出す。M・キノピオもそれに合わせてパンチを合わせるが相手はロボット疲れを知らない。徐々に押され始め最後はパンチをモロにくらって吹き飛ばされる。

 

「ぐうぅ!」

『はははぁ!死ねぇ!!』

 

 ルドウィックロボの両手からロケットパンチが飛んでくる。M・キノピオは立ち上がりロケットパンチの一つを殴る。一つは地面に落ちたがもう一発が防げない。M・キノピオは両手で防御する。だが当たる前にレサレサが透き通らせる。

 

「…ありがとうございます、レサレサ様」

「なんだか先程までより攻撃がより雑になっていますわよ」

「そうかもしれません」

「なにか考えがあるのかしら?」

「えぇ」

 

 M・キノピオはレサレサに耳打ちする。

 

「…わかりましたわ、そういうことでしたらわたくしもできる限りのサポートを致しますわ」

「お願いします」

『な~にコソコソやってんだ~?』

 

 ルドウィックロボはさらに変形し武器をたくさんつけていた。

 

『今度こそ倒してやるよ!!』

「いくぞ!」

 

 果敢に向かっていくM・キノピオ。できるだけかわしかわしきれないものはパンチで跳ね返す。それでも無理な時はレサレサがフォローする。そんな攻防が一時間ほど続いた。

 

『はぁはぁ…』

 

 さすがに疲れが見え始めるルドウィック、M・キノピオのほうも限界が近い。M・キノピオは右手の拳をグッパし何かを確かめた。

 

「もういいな」

 

 レサレサに合図を送るとレサレサは頷きゆっくり姿を消した。M・キノピオはルドウィックを睨み付け走り出した。

 

『しぶといな…くそ!』

 

 またまた変形したくさんの大砲を出して弾をたくさん打ってくる。M・キノピオは右手の拳だけで弾いていくがかわしかけれないものは当たってしまい血が出るが構わず進む。あまりの気迫に無傷のルドウィックのほうが後ずさりする。

 

『くっそぉ!』

 

 さらに激しさを増す攻撃、しかしM・キノピオは全くスピードを緩めない。そしてとうとう攻撃の射程範囲に入った。

 

『近づくなぁ!!』

「ぐふっあっ」

 

 モロにくらうM・キノピオ。しかし同時にその腕を掴む。

 

「いてて、しかし掴んだぞ」

『はあ?なんのつもりだ!放せ!』

 

 ルドウィックが何度も殴るがM・キノピオは動かない。ルドウィックは焦りだす。M・キノピオはルドウィックを睨み付けた。

 

「さっきボクの攻撃が弱いって言ったよね?」

『はぁ!?』

「それには理由があるんだよ」

『理由?』

「ボクは修行である必殺技を身につけたんだ。でも使い勝手が悪くてね?何回か攻撃を重ねて力を溜めていかなきゃいけないんだ」

『なにを言って…』

 

 ルドウィックは気づいた。M・キノピオの右手が金色の光を放っていることに。

 

『なんだそれは!』

 

 離れようとするが掴まれた手が離れず全く動けない。

 

「逃がさないって言っただろ?」

 

 M・キノピオが攻撃の構えをとる。

 

『そうはさせるか!』

 

 ルドウィックが“分離1”と書かれたボタンを押すとM・キノピオが掴んでいる腕が外れた。

 

「なに!?」

『はははぁ!じゃあな!!』

 

 ジェット噴射で後ろに飛ぼうとするルドウィック。しかしそれより早くM・キノピオが

反応する。

 

「そりゃあ!!」

 

 左手に持った腕を思い切り投げつける。投げられた腕はルドウィックロボのボディをへこませ移動できなくなる。

 

『くそ!くそ!動かない!!』

「じゃあ、とどめといくよ」

 

 M・キノピオは攻撃の構えでルドウィックに飛びかかる。

 

『まだ奥の手はある!』

 

 ルドウィックが操作するとM・キノピオとの間に分厚い鉄の壁が現れる。

 

『その必殺技とやらを受けきってやる!』

「レサレサ様」

「わかってますわ」

 

 姿を消していたレサレサがM・キノピオのすぐそばに現れる。

 

『へ?』

 

 間抜けな面を見せるルドウィックに気付きニッコリ笑いかけるレサレサ。

 

「よほどマッスルが怖かったのかしら?途中からわたくしの事をお忘れになっていたみたいですわね」

『わ、忘れてたぁ!!』

 

 レサレサが能力でM・キノピオを透明にする。ルドウィックが出した鉄の壁を難なくすり抜けルドウィックロボの真ん前に出る。

 

『ひぃ!』

「くらえ、これがボクの最高の一撃だ」

 

 拳がさらに輝き力が放出されM・キノピオの右手に収束していく。M・キノピオの一撃が打ち込まれる。

 

「“茸の一撃(マッシュ・ストライク)”!」

 

 M・キノピオの拳はルドウィックロボのボディを破裂させ、溢れた波動が後ろの機械を破壊し、壁をも吹き飛ばす。

 

「ぐへぇ!?」

 

 ルドウィックはそのまま外に落ちていく。

 

「まだ、だ…」

「お待ちなさい!」

 

 M・キノピオとレサレサも落ちるようにそのあとに続いた。

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