ピーチ姫たちが階段を降りると狭い部屋に土管が一つだけあった。
「あら?あそこに入るのかしら?」
他に扉もないようなので三人でその土管に入るとなんだか明るい部屋にでた。そこは広い空間だった。天井は五メートルくらいありブロックやコインが大量に置いてある。
「ここは…ボーナスステージかしら?」
ピーチ姫の言う通りここはボーナスステージだった。
「マリオが言ってた休憩所みたいなところよね」
三人が部屋を散策しているとどこからか美味しそうな匂いがしてきた。匂いのもとを探すと部屋の端にある扉の奥から漂ってきていた。三人はとりあえずその部屋に入ることにした。
「あら?ここは…」
そこはキッチンだった。コック服を着たノコノコたちが忙しく動き回っている。
「私、ここに来たことがあるわ」
それはクッパが星の精をスターロッドで捕らえた時に今と同じようにお城ごとさらわれた時に何度かお邪魔したことがあった。美味しそうな匂いを嗅いでいるとピーチ姫のお腹が「くぅ」とかわいらしい音をたてた。
「お腹が空いたわね、そういえばストックもなくなりそうだったわ」
ピーチ姫がアイテムBOXを覗いてそういった時、一人のコックノコノコがピーチ姫たちに気づいた。
「あれ!?ピーチ姫!!」
「!まずい!」
M・キノピオが攻撃の構えをとろうとしたがそれをピーチ姫が制する。
「少しお腹が空いたのだけれど何かいただけないかしら?」
「ピ、ピーチ姫!?こいつらも敵じゃ…」
M・キノピオが焦り声を上げたが、その心配は杞憂に終わった。
「あぁはいはい、お部屋にお持ちしたものがなくなったのですね、すぐにご用意いたしますね」
そういって何人かのコックノコノコに声をかけ何やら準備を始めた。それを見てM・キノピオがポカーンとなった。
「あれ?なんで?」
「このキッチンはねいつも食事の用意で忙しいからなかなか情報が回ってこないのよ」
「それでも姫がここに来ていること事態がすでに異常事態では?」
「忙しすぎて細かいことも気にしている余裕がないんじゃないかしら?」
そうこうしているうちにさっきのコックノコノコが大きな包みと水筒を持って戻ってきた。
「はいはいどうぞピーチ姫!お菓子とごはん、飲み物もご用意しましたよ」
「ありがとう」
ピーチ姫は笑顔でそれを受け取りアイテムBOXにしまった。コックノコノコは急いで持ち場にもどっていった。
「せわしない方々ですわね」
「それでも料理の腕は一流なのよ。じゃ、行きましょう」
必要なものを受け取りピーチ姫たちはキッチンをあとにした。
キッチンから初めの部屋に戻った三人は次に別の部屋に入った。そこには大量のコインとパワーアップアイテムが置いてあった。
「あら、ここは倉庫か何かかしら?」
「たくさんアイテムが置いてありますわ」
レサレサが近くにあったファイヤフラワーを手に取った。その瞬間レサレサの姿が人間形態に強制的に切り替わり衣装も変わっていた。
「きゃっ!?なんですのこれは!」
「あらまぁ!マリオ以外にも効果があるのね!レサレサ、炎出してみて」
「えぇ?わたくし人魂なら出せますが…」
レサレサがいつも人魂を出しているのと同じ感じで力を込めるといつもの青白い人魂ではなく真っ赤なファイヤボールが円を描きながらいくつもレサレサの周囲に浮かび上がった。
「こ、これは!」
「すごいわレサレサ!」
「じゃあ私も…」
ピーチ姫はアイテムの山をゴソゴソかき分けアイスフラワーを見つけ自分に使うと来ている服が青白く染まり、口紅の色も青くなった。
「ひ、姫!?」
「すさまじい冷気を感じますわね」
元の姿に戻ったレサレサが感心した。
「どんなことができるのかしら?」
ピーチ姫がなにもない空中に手をかざした。すると空気が徐々に凍り始め一ヶ所に集まっていき、巨大な雪玉になった。
「おお~、じゃあこれはどうかしら?」
ピーチ姫が指をならすと雪玉がはじけはじけた雪が部屋中に降そそいだ。
「すごい!きれいだわ!」
喜び駆け回るピーチ姫に対して
M・キノピオは震えていた。無理もない、彼は上半身はほぼはだかだからだ。
「ひ、姫、もうでましょう?」
震えながら頼まれたピーチ姫はしぶしぶ頷いた。
「あ、でも待って」
出ていく前にピーチ姫は部屋の中にあるパワーアップアイテムを半分以上アイテムBOXに入れた。
「ちよ、姫!?そんなに取ったらマリオさんが困りますよ!」
「あら、大丈夫よ」
アイテムを摘める手を止めずM・キノピオに笑いかける。
「マリオが来る前にかたをつけるから」
「…!」
その時、Mキノピオはピーチ姫がクッパ城を制圧する様子を想像した。やけにしっかりと想像できたのがものすごく複雑だった。
(ピーチ姫…昔はあんなにか弱かったのに…)
家来として嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちでいると部屋を探っていたレサレサが二人を呼んだ。
「お二人とも!こちらに来てくださいまし!」
声の方を向くと壁に半分体を突っ込んだ状態のレサレサが目にはいる。
「何をやってるの?」
「この先に何やら隠し部屋がありましたの」
「隠し部屋?」
「はい、この壁の向こうですわ」
レサレサが壁をぺちぺちと叩く。すると軽い音が帰ってきた。
「確かに空洞があるみたいですね。どれ、ボクが壁を…」
「せいっ!」
m・キノピオが動くよりも早くピーチ姫が軽やかなステップで空中回し蹴りをぶちかました。
「………」
固まるM・キノピオの目の前で壁がガラガラと音をたてて崩れた。そして壁の向こうにマリオの家くらいの空間が現れ、その中心に丸い円のようなものが描かれていた。その近くに看板がたっていてこう書かれていた。
『ワープゾーン。お城の外行き(一方通行)残り三回』
それを読んだM・キノピオは飛び上がって喜んだ。
「やりましたねピーチ姫!これで外に出られます!」
喜ぶM・キノピオとは裏腹にピーチ姫は微妙な顔をしている。
「ピーチ姫?」
不思議そうに覗き込んできたM・キノピオを見つめピーチ姫は言った。
「私はこのまま進むわ、マッスル、あなたはこれを使いなさい」
「えぇ!?なぜですか??」
M・キノピオは困惑した。それもそうだろう。主人を置いて脱出などできるはずがない、それを伝えたらピーチ姫は優しく笑いかけた。
「このワープゾーンは回数に制限があるでしょ?」
「でも僕たちでちょうど三人…」
「マッスル、思い出して私たちより弱くて小さな存在がピーチ城で待っているでしょう?」
「え?一体だれ…あ…」
M・キノピオはレサレサの執事のセバスチャンと子キノピオの事を思い出した。今も同じ場所で震えているかもしれない。
「彼らに使ってもらうのですか?」
「そうよ、そして彼らをここまでつれてくるのをあなたにまかせたいのよ」
「なぜ、僕なんですか?」
不安の色が見えるM・キノピオにピーチ姫は慈悲に満ちた笑顔を向ける。
「あなたに心服の信頼をおいているからよ」
「ピーチ姫…!!」
感動のあまり涙を流すM・キノピオ。ピーチ姫はその頭を撫でた。
「頼んだわよ」
この後、ボーナスステージをでてすぐにピーチ姫とレサレサはm・キノピオを見送り次のステージに進みはじめた。道中レサレサがこそっと聞いてきた。
「先ほどの話、本当ですの?」
「なんのこと?」
「なんのことかわからない」といった表情でレサレサを振り返る。レサレサはさらにため息をつきながら「M・キノビオのことですわ」とつけくわえた。
「もちろん!信頼しているわよ?」
「では、ワープゾーンを使わなかった理由は?脱出が目的でしょう?」
「それは…」
最後の質問にピーチ姫は立ち止まった。そして振り返ったピーチ姫なさの表情を見て言葉よりも先にその考えがわかった。
「だって、まだまだ戦い足りないんだもの」
そう言ったピーチ姫は心から楽しんでいるような笑みを浮かべていた。
今回はかなり強引な展開になってしまいました(;><)というのもある日ふと、ある展開をしてみたくなり、そのためにはキャラを一人減らす必要がありました。
その展開を面白くかけるように努力します。