ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

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書くたびに頭の中のピーチ姫がどんどん武闘派になっていく


W5-2「二輪の姫」

 赤ブロスは剣、黒ブロスはとげつきグローブを手に取りコンビネーションでピーチ姫に襲いかかる。

 

「そらそらぁ!」

「観念しろぉ!」

 

 結構むちゃくちゃに振り回して攻撃してくるが絶妙なタイミングでブロス同士はお互いの攻撃をかわしていた。

 

「そらぁ!」

 

 赤ブロスが剣で切りかかるのを左に避ける。赤ブロスを飛び越えて黒ブロスが殴りかかってくるのをギリギリまで引き付け、手首の部分を掴み黒ブロスの勢いを利用し、地面に叩きつける。

 

「ぐえっ!」

 

 赤ブロスに背中を向ける形になってしまったところに予想どおりに赤ブロスが剣で突き刺そうとしてくる。ピーチ姫は焦ることなく振り向きざまに向けられた剣の平らな部分を的確に払いのける。その時に少し痛みを感じたが、気にせず勢いが殺せず突っ込んでくる赤ブロスの顔面にひじを叩き込む。アーマーで守られているとはいえピーチ姫の攻撃力があれば外傷はなくてもダメージは通る。赤ブロスは痛そうに顔を押さえ後退する。黒ブロスが背後で起き上がるのを感じとりながら右手の平を後ろに出すとちょうどそこに黒ブロスのトゲトゲパンチが打ち込まれた。

 

「え!?」

 

 打ち込んだ本人が驚きの声をあげる。後ろ向きのピーチ姫が自分の攻撃の位置を当てただけでなく、ちょうどグローブのトゲトゲが当たらないように止めているからだ。ピーチ姫は右手を上げて黒ブロスの脇のあたりに蹴りをいれた。しかしやはり吹き飛びはするがダメージにはならない。

 

「う~ん、埒があかないわね」

 

 さっきから“波動”も試しているのだが内側に届くどころかアーマーの表面で打ち消されている感じだ。赤と黒のノコブロスはふらふらと立ち上がる。

 

「ど、どうだぁ?俺たちは強いだろぉ?」

 

 言葉とは裏腹に今にも倒れそうな赤と黒、しかし攻撃が想像以上に通っていないのも事実だった。

 

「すごいわね防御力ねぇ、何か秘密があるのかしら?」

 

 興味津々といった演技で問いかけると案の定赤ブロスはご機嫌に解説してくれた。

 

「フフン!このアーマーはカメックババ様たちカメックの魔法が施されていて相手の魔法で自分が受ける影響を減らしてくれるんだ!」

「魔法だけじゃないぞ!物理攻撃だって特殊なゴム合金でできた装甲で威力を削ってくれるんだ!」

 

 威力を削ってもそこそこのダメージが入っていたことを棚に上げて赤と黒のブロスは胸をはる。そんな二人に笑顔で拍手を送りながらピーチ姫は策を考える。

 

(このまま戦い続けて心の方を折ることも可能ですが時間がかかるわね。魔法で戦ってもいいけど多分物理より効率が悪いわね…ふむ)

 

 ピーチ姫はある結論に辿り着いた。

 

(よし、さらに圧倒的な物理でしばこう)

 

 ピーチ姫はアイテムBOXに手を突っ込んだ。赤と黒ブロスは警戒し身構えた。気にせず取り出したのは先ほどボーナス部屋から持ってきたメタルブロックを取り出した。それを叩き割ると中からメタル帽子ではなくピンクゴールドに輝く王冠が現れた。ピーチ姫はそれを手に取った。赤と黒ブロスは身構える。

 

「何か嫌な予感がする!」

「さっさと倒してしまおうぜ!」

 

 赤と黒ブロスが攻撃を再開した。迫る二匹に動じることなく余裕の笑みを浮かべたまま王冠を頭に乗せた。同時に二匹の攻撃がモロに入った。「勝った!」と思った二人の表情が一瞬で曇る。二匹の剣と拳の先のピーチ姫は傷一つなかった。それどころか体がピンクゴールドに輝いていた。

 

「な、なんだその姿は!?」

「…」

 

 にっこり微笑みながら赤ブロスの剣と黒ブロスの拳を掴む。そしてそのまま握りつぶした。

 

「ひぃ!?」

 

 バランスを崩したところへピーチ姫のパンチが二匹の顔面にめり込みそのまま吹き飛ばす。ピーチ姫自身も体勢が悪かったにも関わらず本人の想像以上の威力がでた。

 “ピンクゴールドピーチ”。マリオで言うところのメタルマリオ。ピーチ姫がメタル化することできらびやかなピンクゴールド化する。ジャンプ力を犠牲にパワーと防御ははね上がる。

 ピーチ姫は自分の体を観察し「ふむ」と頷いた。

 

『思ったよりは体が軽いわね。パワーは上々!…メタル化のせいかしら少し声が反響している感じがするわ…』

 

 喉のあたりを少し気にしながら少し離れた場所で赤と黒ブロスが頑張って起き上がるのを確認した。

 

『それじゃ、心をへし折る方向でいきましょうか』

 

 ガチンガチンと拳をうちならしながら意気揚々と突進していくピーチ姫だった。

 

 

 

 一方のデイジー姫は“お転婆姫”の異名そのままに大暴れしていた。

 

「おりゃああぁぁぁ!」

「ひいぃ!」

 

 緑ブロスが盾を構えてデイジーの攻撃をなんとか防いでいる状態だった。

 

「このぉ!このぉ!」

 

 黄ブロスが槍で突こうとするが…

 

「あははは!当たらないわよぉ!」

 

 連続で突き出される槍を難なくかわし距離をつめる。緑ブロスが慌てて盾を構えたがデイジーは盾に手をつきまるで体操選手のように二匹の頭を飛び越え後ろに飛び降りた。

 

「スキありだ!」

 

 黄ブロスが着地と同時に槍を突いてくる。完全に不意をついたはずだったのだが

 

「ふふ!」

 

 槍に向けて伸ばした手のひらが槍の刃を受け止めた。

 

「な!?」

 

 デイジーの手と槍の間にはデイジーの花の形をしたバリアのようなものが展開されており防いでいた。驚愕する黄ブロスをよそに槍を避けながらバリアを解除。バリアに向けて体重を乗せていたのでバランスを崩した黄ブロスに対して

 

「ぶっ飛べ」

 

 デイジーの拳が黄ブロスの顔面にめり込んだ。

 

「ブブオァ!?」

「ぎゃん!」

 

 緑ブロスを巻き込んで吹き飛んだ二匹に狙いをつけ跳躍する。吹き飛んでいる二匹の真上に追い付いたと同時に下に蹴りつける。

 

「ズムム…」

 

 二匹は地面にめり込んだ。デイジーは空中で一回転すると見事に着地した。

 デイジーもピーチと同じく魔法を使うことができる。だがピーチ姫のように様々な魔法を使うことができるわけではなく、肉弾戦に関連した魔法強化・付与・防御の三種類のみを使う。

 

「ぶはっ!」

 

 なんとか地面から顔を出した二匹は慌てて距離をとろうとしたが脚力強化をしたデイジーから逃げられるわけもなく盾と槍を蹴りとばされてしまう。

 

「こ、このぉ!」

 

 肉弾戦に切り替えた二匹だったが…

 

「にひっ♪」

 

 デイジーは楽しそうに笑った。黄、緑ブロスの攻撃をかわし後ろに回り込むと両手で甲羅を鷲掴みにした。

 

「くっこの」

「う、動けない!?」

 

 振り返ろうとする二匹だがデイジーの元々凄まじい握力に強化・付与をされており完全にホールドしていた。そのまま持ち上げる。

 

「そぉ~れ!」

「うわあぁぁ~!」

 

 そのまま上に放り投げた。同時に飛び上がり二匹を追い抜くと同時に回転しかかとを黄ブロスの甲羅に蹴りいれ蹴り落とす。デイジーも着地し同じタイミングで緑ブロスが落下してきたのでそれに合わせてアッパーを叩き込む。

 

「ごぶぁっ!?」

「ほっ!」

 

 その流れで地面に叩きつける。黄ブロスが立ち上がりゆっくり背後から迫り拳を振り上げるが振り上げた拳を振り向き様に掴んだデイジー。無邪気な殺気に満ちたデイジーの視線とバチッと目が合う。

 

「ひ…」

 

 顔面に一発、ふらついて後ろによろけたところに蹴りを二発いれた。その間も手を離さない。ダメージにふらついている黄ブロスを後ろに放り投げる。その先には立ち上がりかけている緑ブロスがいた。そしてそのままぶち当たってボーリングのように転がっていく。このフロアは宇宙空間を模倣していることもあって回りだしたら止まらない。

 

「うわわわわわわわ!」

 

 回り続ける黄、緑ブロスに向かって防御壁を足場に二匹に追い付くと強化・付与で拳を巨大化させた。

 

「今止めてあげるわ」

 

 二匹まとめて叩き潰す。二匹は目を回してのびてしまう。デイジーは手首をポキポキならしてピースした。

 

「おっしまい♪」

 

 

 

 ピンクゴールドになったピーチ姫、言うまでもなく圧倒的だった。ピンクゴールド、つまりメタル状態のピーチ姫はスピードが遅くなった代わりに物理がとんでもなく強くなっていた。赤ブロスと黒ブロスの持っていた武器はピーチ姫のパンチですでに粉々に砕けていた。

 

「この!この!」

「くらえぇ!」

 

 よってこの二匹も素手で戦っている。

 

「あきらめないことは誉めてあげるわ」

 

 構えて打ち込む一撃。その一撃はカメックババの魔法がかかったアーマーをなんなく殴り壊した。

 

「そ、そんな…うぐっ!?」

 

 ピーチ姫のパンチが赤ブロスのお腹に食い込む。

 

「スタート♥️」

 

 この言葉を皮切りにピーチ姫の無双が始まった。

 赤ブロスを吹き飛ばしそれを追いかけ上から踏みつける。地面にクレーターができるほどの衝撃とともに赤ブロスの意識がとびかける。背後から黒ブロスが不意打ちを仕掛けてきたがピーチ姫は動かない。黒ブロスの攻撃はもろにヒットしたがピーチ姫にダメージがない。ピーチ姫は黒ブロスの腕を掴んで振り回し赤ブロスにぶち当てる。

 

「がふっ」

「ぐぺっ」

 

 妙な声をあげながら吹き飛ぶ二匹を見ながらメタル化を解除、アイテムBOXから“スーパースコープ”を取り出した。

 

「久しぶりに使うわね」

 

 構えてチャージする。飛ばされた二匹が地面に落ちた。そこには緑と黄ブロスが倒れていた。チャージが完了する。

 

「じゃあね」

 

 スーパースコープからチャージMAXの光弾が発射された。それはすごいスピードで重なりあうノコブロスにヒットし強い光が辺りを包んだ。

 

「終わったかしら?」

 

 いつの間にか隣に来ていたデイジーが目を細めながら問う。ピーチ姫はスーパースコープをしまい同じく目を細める。

 

「一応ボスクラスの敵だからね、どうだろう?」

「一応生者の気配はまだありますわね」

 

 レサレサがいった通り光がはれるとそこにはゆらりと立ち上がるノコブロスがいた。

 

「さすがピーチ姫…一筋縄ではいかないか」

「だがこれでは終われない!」

「我らの力はここからだ」

「“奥の手”をだすぞ!」

 

 ノコブロスはフォーメーションをとった。

 

「あれ?何かする気だよ?」

「どうしますの?」

「う~ん」

 

 少し考えたピーチ姫はニヤリと笑う。

 

「待ちましょうか、正直何が起こるか楽しみ♪」

「賛成!私もまた暴れたりないし!」

「あなた方は…まぁもう慣れましたわ」

「うふふ、でもただ待つのもつまらないわね、今のうちにこちらも準備しておきましょうか」

 

 

 三人はアイテムBOXから色々だして準備を始めた。

 一方のノコブロスはフォーメーションを完了した。赤ブロスが号令をかける。

 

「いくぞ!みんな!!」

「「「おう!」」」

 

 四匹が重なりあい光に包まれそして一つになった。

 

『ふん!!』

 

 地響きをたてなから光を払って一匹の巨大ガメが現れる。

 

『これこそが我々の新しい真の姿だ!本当はマリオと戦うまで隠しておきたかったが仕方ない』

 

 合体ブロスが攻撃を開始した。大きくなった分動きが遅くなるかと思いきや逆にスピードが上がっていた。

 

「うおっと!」

 

 デイジーが慌てて回避したが空中に浮いたところを狙われた。

 

『そこだ!』

「しまっ…きゃ!」

 

 ガードはしたが吹き飛ばされる。すかさず合体ブロスはデイジーを追撃するがその顔面に飛び込んでいく影が見えた。

 

「ピーチ!」

「はああぁ!せい!」

 

 ピンクゴールド状態の攻撃が合体ブロスを襲う。しかしその攻撃は受け止められていた。

 

「!!」

『ふ、ふふふっ!き、きかんな、ぁ!』

 

 明らかにしびれてはいたが確かにダメージは通っていないようだった。その様子にあることを思い付いたピーチ姫はピンクゴールド状態を解除し合体ブロスの目の前に手を突き出した。

 

「“ねむれよいこよ”」

『ぐぐぉっ…!?』

 

 もろに眠りの魔法を受けた合体ブロスは意識を朦朧とさせながらふらついた。

 “ねむれよいこよ”は対象を眠りにおとす魔法。賢い相手やボスクラスの敵にはあまり効果がないのだか、合体ブロスは少し頭がやわかったのでもろに作用した。この隙にピーチ姫とデイジーはレサレサのところまで下がった。

 

「てこずってらっしゃいますの?」

 

 レサレサが特に心配していなさそうに聞く。その言葉に二人の姫は不敵に笑う。

 

「まさか、むしろ楽しくなってきた!」

「そうね、一つにまとまったからやりやすいわ」

「ふぅ、わたくしの出番はまたないのかしら?」

 

 レサレサが残念そうに姿を消したと同時に二輪の姫たちはイキイキと動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

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