ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

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やっと2話を書けました!
今回はピーチ姫はあまり暴れませんが、もう一人が頑張りますのでお楽しみください。


W1-2「地下牢のキノコ」

 扉を開けた途端攻撃してきたクッパの手下たちを難なく退け、ピーチ姫はピーチ城の大広間に辿り着いた。

「静かですわねぇ」

 自分めがけて飛んできたバサバサをまるで虫を落とすかのようにはたき落とし階段を降りる。大広間を見渡しながら「さてどうしましょうか?」と考えていると、どこからか音が聞こえてきた。

「オオオォォォォ…」

「なにかしら?」

 周りを見るが先ほど倒した敵が何体か転がっている以外はなにも見当たらない。その敵も完全に気絶しているので音源ではないようだ。

「…もしかして地下かしら」

 ピーチ城には地下もある。とりあえず地下への扉を開けると、さっきの音が大きくなった。

「オオオオオオオオ!」

「地下牢の方みたいね」

 ピーチ姫は恐れることなくズンズン進む。進むにつれて音が声であることに気づき、またはっきりしてきた。

「おおおおお!開かねぇぇぇ!」

(誰かいますわね)

 ピーチ姫は地下牢の入り口の前で呼吸を整え、少し考えたあと一気に扉を開けて中に入った。

「あら、あなたは…」

 ピーチ姫は牢屋の中に捕まっている人物を見て驚きの声をあげた。

「あっ!姫ぇぇぇ!」

 牢屋の中にいる少しガタイのいいキノピオがいた。

「マッスルじゃありませんの」

 そのキノピオは他のキノピオと少し違っていた。

 かつてマリオ、ピーチ姫、ルイージの三人と一緒に夢の世界に行き、共にそこのボスの「マムー」を倒したキノピオだった。その後、そのキノピオはキノコ王国の兵隊長に就任した。腕力がかなり強く、瞬間的な力はマリオをも凌駕すると言われる。そういった要素からM(マッスル)キノピオと呼ばれ始め、今では「マッスル」になっている。

 その実力は一人でコクッパを倒せるくらいなのだがこのキノピオにはある問題があった。このキノピオ、とにかく間が悪い。これまで幾度となくピーチ姫がクッパにさらわれるときに限ってその場にいないのだ。有給をとっていたり、風邪で休んでいたり理由は様々。なので今回もいないかと思っていたらまさか、こんな所にいるとは…

「で?なんでこんなことになっているのですか?」

「そ、それが…」

 マッスルキノピオは事の顛末を話始めた。

「ほら、この地下牢って使ってないじゃないですか?なのでたまに点検をしているのですが…点検中にこの城がさらわれて、その時の振動で牢屋の鍵がしまってしまいまして…今に至るというわけです」

「なるほど…」

 ここまでくると“間が悪い”というより“運が悪い”ですわね、とピーチ姫はため息をついた。だが、ピーチ姫の疑問はもうひとつあった。

「しかし、あなたの筋力ならこんな牢屋など簡単に破壊できるのではなくて?」

「そ、それはそうなんですが…」

 マッスルキノピオは少し恥ずかしげにその理由をピーチ姫に伝える。

「もし壊したら修理費を出さなきゃだめでしょ?ぼくそこまでのコインはもってないんです」

「…はぁ?」

 ピーチ姫は「呆れた!」という声をあげた。

「状況が状況でしょ?それに修理費くらい城がだします!」

「本当ですか!?」

 喜ぶマッスルキノピオ、呆れるピーチ姫。そんな二人に背後から近づく影があった。

「くくく…後ろががら空きだぜ」

 壁に体を隠し顔を半分だけだしてピーチ姫たちの様子を伺うのは“ブンブン”。いつもは小さなお城のボスをしているのだが、今回は城の警備をしていた。

「ブロスたちは所詮ザコだ!俺様のブンブンパンチで一発KOだぜ!」

 ブンブンは甲羅に身を隠し、ピーチ姫たちに気づかれないように近づいていった。

 

 「早くなさいマッスル」

「わ、わかりました!」

 マッスルキノピオは鉄の檻を壊すため構えた。ピーチ姫はチラッと後ろを確認する。

「私がカウントします。それに合わせて破壊しなさい」 

「わかりました!」

 マッスルキノピオはいつでも攻撃できるように力を込める。ピーチ姫はカウントを始める。

「5…4…」

 ブンブンはピーチ姫を捕らえることのみを考えていて密かにしかし素早く近づく。

「3…2…1…」

 ピーチ姫はカウントを続ける。マッスルキノピオの頭のキノコが少し赤くなっている。右足を後ろに引き右の拳を構える。ブンブンもあと少しでピーチ姫に攻撃が届く範囲に入る。そして…

「0!」

 カウント終了と共に素早く隣の牢屋の前に移動するピーチ姫。ブンブンは攻撃がはずれ、両腕が虚しく空をかく。そしてそこにマッスルキノピオのフルパワーの一撃が襲いかかった。

「わっ、ちょっまあああぁぁぁ!!」

 絶叫も虚しく檻を突き破った拳がそのままブンブンの顔面を真正面からとらえる。鉄格子もろとも殴られたかたちになったのでダメージは当然ウワノセされる。

「ぎゃぴっ!」

 蛙がつぶれたような小江を出し、ブンブンは後ろの壁に激しくぶち当たった。

「きゅ~…」

 白目を向いて気絶した。ピーチ姫はブンブンに近づき完全に気絶していることを確認したあと、現状が飲み込めていないマッスルキノピオに親指をたてながら。

「(*^ー゚)b グッジョブ!!」

「なにがですか!?」

 称賛されてマッスルキノピオは戸惑った。

 

 

 

 ピーチ姫とマッスルキノピオ(以降はM・キノピオ)は地下牢を出た。そして、でてすぐに敵と遭遇した。

「ハッハハハ!待ってましたよピーチ姫!」

「あら、あなた」

 二人の前に現れたのは先程部屋の前で戦ったリーダーブロスとヒマンブロスたちだった。

「もう手加減はしませんよ!」

「あら?あれが全力ではないのかしら?」

「ち、ちちちちがいますぅ!とにかく行け!ヒマンブロス!」

 三体のヒマンブロスがハンマーを投げ始める。普通のハンマーブロスと違い投げる早さは遅いが、一つ一つが大きいので当たると痛い。ピーチ姫はM・キノピオをチラッと見た。M・キノピオは頷き前に出る。そして、

「うりゃあぁぁぁ!」

 M・キノピオのパンチがハンマーを2つとらえそれを他のハンマーにぶつけ攻撃を回避する。

 しかし、M・キノピオはパワーがある分スピードが遅い。そのため一個のハンマーがピーチ姫の方に飛んでいってしまう。

「姫ぇ!」

 M・キノピオは今動けない。ピーチ姫を身長の二倍近いハンマーがピーチ姫に迫る!

「フゥ」

 ピーチ姫は一呼吸すると迫るハンマーに自ら向かっていった。

 ここで一つ説明しておこう。そのハンマーは真横から見たら時計回りに回っていた。前から見ると金属部分の平たい方が下から上にぐるぐる回っている感じだ。

 ピーチ姫はタイミングを合わせ、ジャンプした。まず一歩目、平たい方が上がるタイミングで足を置き回転を止める。

 二歩目、左足でハンマーから少し後ろへ飛び退く。

 三歩目、腰を強く捻り右足でハンマーを蹴り飛ばした。

 ハンマーはさっきよりも激しく回転しながらヒマンブロスに飛んでいく。ヒマンブロスは反応が鈍いため呆然とハンマーを見つめる。

「バキャアァァ!」

 ものすごい音がしてヒマンブロスのヘルメットが割れる。ヒマンブロスは鼻血を出して倒れた。着地したピーチ姫はさっと髪をかきあげた。

「あらあら、大丈夫ですの?」

 心配そうな顔をしているがそれが逆に怖い。ブロスたちが後ずさる。

 ばきぃ!

「ひいぃぃ!」

 別の方向からなにかが割れる音がしてブロスたちは飛び上がった。音の方を見るとM・キノピオが手にしたハンマーを握り割っていた(・・・・・・・)

「貴様らぁ、姫になにしてくれとんじゃあ?」

「ひぃ!」

 M・キノピオの表情は完全に鬼になっていた。口調も変わっている。

「てめぇら目にもの見せてくる」

 M・キノピオがズンズンとヒマンブロスに近づいていく。

「わ、わー!ヒマンブロス!早く攻撃しろ!」

 ヒマンブロスたちが慌てて攻撃する。M・キノピオは避けずにすべてキャッチし横に捨てる。そしてどんどん近づき、攻撃圏内に入った瞬間間髪いれず最高の一撃を打ち込んだ。

「………っ!」

 声もなく崩れ落ちるヒマンブロス、隣のヒマンブロスはびびりながらもハンマーをM・キノピオに降り下ろす。片手で止めるM・キノピオ。

「うらぁ!」

 ハンマーの鉄の部分をなんなく叩き割る。驚愕の表情で硬直するヒマンブロス、その様子をじとっと見るM・キノピオ、次の瞬間にはヒマンブロスは泡を吹いて倒れていた。

 残すはリーダーブロスのみとなる。それを察知したリーダーブロスはそそくさとその場から逃げようとするが、誰かに肩を捕まれる。

「お待ちになって?」

 背後から柔らかで優しげな声がかかる。リーダーブロスは恐怖の形相でそちらを振りかえる。そこにはやはり笑顔のピーチ姫が片手にフライパン(なにかの汚れがついた)を握っていた。

「ひいぃ!」

「そんなに怯えないでくださいまし?大丈夫、痛いだけですわ♪」

 必死に逃れようとするリーダーブロスの頭にフライパンが躊躇なく降り下ろされた。

 

 

 

 リーダーブロスを倒し、ピーチ姫とM・キノピオは城の入り口の扉を調べていた。

「開かないわねぇ」

 とりあえず押したり引いたりしてみたり、ひたすら叩いてみたりしたがびくともしない。

「外から鍵がかかっているのかしら?」

「こちらがわには鍵穴がありませんしね、多分そうなんでしょう」

「う~ん、とりあえず壊してみましょうか?」

「…姫、なんでもかんでも壊すという発想は一家臣としてはどうかと思いますが…」

「あら?今の時代守られてるだけのお姫様なんてだめですわ!攻め攻めでいかなくちゃ」

「…」

 拳をぶんぶん振り回すピーチ姫を横目で見ながらM・キノピオはため息をついた。その時、

がしゃあぁぁん…!

 一階の奥の方の部屋からなにかが割れる音が聞こえてきた。続いて誰かの声も聞こえる。ピーチ姫とM・キノピオは顔を見合わせた。

「なにか言い争っているような声ですわ」

「あの扉の奥ですね」

 M・キノピオが指差したのはエントランスの中央にある星のマーク描かれたドアだった。

「どうしま…」

「行きましょう」

 迷わず脚を進めるピーチ姫。慌ててM・キノピオが続く。

「もし敵だったらどうするんですか?」

「その時はあなたでキノピオガード…コホン、あなたが私を守ってくれるでしょう?」

「いや、姫、少し言い方を変えましたけど、不穏な言葉が出てきたような?」

「大丈夫です。あなたなら他のキノピオと違って完全ガードできますわ!」

「あ、もう取り繕う気もないんですね…」

 この先に何があるのか?ドキドキワクワクなピーチ姫と主人の横暴が垣間見え不安な気持ちのM・キノピオは星の描かれたドアを開け、奥へと歩いていった。

 




今回出てきたキノピオは「マリオUSA」で登場したキノピオという設定です。ゲームの中でも一番の力持ちという設定だったので、マッスルとつけました。
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