ノコブロスを倒し次のフロアに向かうピーチ、デイジー、レサレサの三人はとても暗いトンネルのような場所を歩いていた。
「なんだか長いトンネルね」
デイジーが壁をトントン叩きながら歩みを進める。トンネルを歩き始めて体感で一時間ぐらいは歩いてる気がしていた。ピーチも不思議に感じていた。
「そうねぇ…あと」
ピーチとデイジーはレサレサを振り返る。
「なんですの?」
「レサレサあなた…」
「なんだか大きくなってない?」
「え?」
レサレサは体を傾げた。
「何言ってますの?そんなわけないですわ」
「えぇ~そうかなぁ、なんだか大きく見える」
「長い間暗くて狭いトンネルを進んでいるせいで遠近感などの感覚が狂っているのではなくて?」
「それはありうるわ、前に進んでるのか後ろに下がっているのかもあやふやになりそうだもの」
「そうなのかな?あ、あそこ!」
デイジーが指差す方向を見ると小さな光の点が見えた。
「きっと出口だわ!」
「行きましょう!」
三人は光に向かって走り始めた。そして光を抜けた先には…
「なにここ?」
デイジーに続いて出てきたピーチとレサレサも目の前に広がる景色にポカンとなってしまった。
目の前には鬱蒼としたジャングルが広がっていた。
「幽霊屋敷が一軒丸々あったり、マグマがあったり宇宙があったと思ったら今度はジャングル…ほんとこういうところは尊敬するわ」
ピーチが感心する。ジャングルというだけあって少しじっとりしている。
「少し暑いわ」
「そうねぇ、レサレサは大丈夫?」
「えぇ、わたくしは幽霊ですから…ところで」
レサレサは困惑した表情で2人を見下ろした《・・・・・》。
「お二人はなぜ小さくなっていますの?」
「え?」
「あら?」
ピーチとデイジーはレサレサを見上げる。
「え?レサレサが湿気で膨らんだんじゃないの?」
「わたくしそんな体質ではありませんの!」
「え?じゃあ私たちのほうが小さくなったの?」
「そのとおり!」
突然草の影から声が聞こえてクリボーが飛び出してきた。そのクリボーはピーチ、デイジーから見て見上げるほど大きかった。
「本当に小さくなってたのね私たち」
「でもなんで?」
「カメックババ様が魔法をかけていたんだよ!」
「またあのおばあさんか」
「クッパの部下ってわりと優秀なのが多いのになんでいつも負けるのかしら?」
「まぁそんなことより今度こそ部屋に戻ってもらうぞピーチ姫!」
「そんな小さくなれば俺たちでも負けはしない!」
「観念しろぉ!」
いろいろわめきながらクリボーたちが攻撃してきた。
「小さくなって力も弱くなっているのかしら?」
「うーん、自分じゃよくわからないわね」
二人は襲いくるクリボーたちを見てニヤリと笑う。
「試してみないとわからないわね」
「レサレサ、もしもの時はフォローよろしく!」
「わかりましたわお任せください」
「じゃ、行くわよ!」
「オッケイ!」
ピーチとデイジーはクリボーに特攻した。ピーチとデイジー二人に対してクリボーは三体、今の二人はクリボーの足くらいの大きさしかない。クリボーは二人を踏み潰そうと足をあげた。それに合わせてピーチはジャンプした。上がったクリポ~の足の爪先を足場にジャンプする。一瞬驚いたクリボーだったが今度は口に入れようと口を大きく開く。当然把握していたピーチ姫は空中を蹴りさらに飛び上がる。クリボーの頭の上に乗った。しかしクリボーはびくともしない。
「やっぱりこれじゃ無理か」
「踏み潰そうとしたのか?わはは!軽い軽い!」
「あら、ありがとう」
お礼を言いながらすでに攻撃モーションに入っているピーチ。
「ふん!」
渾身の一撃を手加減なしの全力で叩き込んだ。
「わはは!むだむ、ぷぎゅん!」
台詞の途中でつぶれて消えた。残りのクリボーがざわめくなかピーチは一つの事実を確信した。
「体重とかは軽くなってるけどパワーはそのままみたいよ」
「そうみたいね!」
デイジーはどこからか取り出したマリオが使うサイズの木製のハンマーを振り上げていた。
「持つのが大変だけど、重さの感じかたはいつも通りね」
ゆっくりとクリボーに狙いを定めるデイジー、残ったクリボーはさっきの余裕はどこへやらあわてふためき逃げ惑う。
「ば、化け物ぉ!」
「失礼ね!どっちかといえば化け物はあなたたちでしょ!」
デイジーがプリプリ怒りながらハンマーを横に振り抜く。巻き込まれたクリボーは遠く彼方に吹き飛んだ。
「おっとと…道具は元のサイズだからやりづらいわ」
「そうね、アイテムBOXの中から取り出しても外に出た途端に大きくなっちゃうわ」
ズシン、と音を響かせながらピーチはゴルフクラブを取り出した。
「あら?残りのクリボーは?」
「血相を変えて逃げていきましたわ」
「そうなのね気付かなかったわ」
こうして無事、圧倒的な力でクリボーを撃退した三人は今後の行動について話し合った。
「戦闘においては特に問題はなさそうね」
「パワーと魔力はそのままだしね」
「ですがサイズが小さいと食べられてしまう可能性もあるんじゃないですの?」
「それは多分大丈夫。お腹を突き破ればいいんだもん」
「笑顔でその発想が出るのはさすがにどうかと思いますわ」
「そうよデイジー、それだと服が汚れちゃうわよ」
「気にするところはそこではありませんわ」
和気あいあいとガールズトークを繰り広げ一通り落ち着いたところで話が戻る。
「さて、本当に移動はどうしましょうか?このエリアがどれくらいかわからないけどこのサイズで移動するのは時間がかかりすぎるわ」
「魔法で飛ぶのは…いくら魔力がもとのままとはいえ現実的じゃないわね」
「あら、でしたらお二人ともわたくしに乗りますか?」
「え?」
「乗れるの?」
二人は目を丸くしてレサレサを見上げた。
「今のサイズであれば問題ありませんわ」
「まじで?じゃあお願いできる?」
「もちろんですわ。さ、どうぞ」
体を下におろしたレサレサにピーチとデイジーが飛び乗った。同時にレサレサは体を浮かせた。
「おおおおお!乗れた!」
「重くない?レサレサ」
「オ~ッホッホッホ!ご安心くださいとても軽いですわよ。ではとりあえず先に進んでみましょう」
フヨフヨと移動を始めたレサレサ。その上で二人はかなりくつろいでいた。
「はぁ~思ったよりもふかふかだわ~」
「おばけだからかしら?ひんやりしてて気持ちいいわね~」
頭の上でものすごいまったりオーラを感じたレサレサはあきれた声をだした。
「お二人とも、ちゃんと警戒してくださいまし、以前マリオとジャングルを冒険した事がありましたが本当に何が出てくるかわからな…」
そんなことを話していると茂みの奥でガサガサと音がしたかと思うと三匹の黒いモジャモジャが現れた。
「チョロボンですわ!」
黒いモジャモジャはまっすぐにレサレサに飛び付いてきた。大きさはレサレサの半分くらいだが、今のピーチとデイジーには巨大に見える。そして基本攻撃は“すいとり”だ。
「近づかないでくださいまし!」
レサレサがセンスで思い切りはたきおとす。しかし落とせたのは一匹であとの二匹は止まらない。もう少しで吸い付かれそうになる寸前、見えない壁にぶち当たった。ピーチのはった障壁だ。
「レディに断りもなく口づけなんて言語道断よ」
「モジャモジャだからよく燃えそうね」
デイジーが指を鳴らすとチョロボンが燃え上がった。チョロボンは熱そうに跳び跳ねながら逃げていった。
「ざまあみなさい!」
「でも小さいっていうのはやっぱり不便よね」
「そうねぇ…」
雑談しながらフヨフヨ飛んでいると開けた場所に出た。
「あら?広場にでましたわ」
「あ!あれ!」
デイジーが指し示した方を見ると石でできた入り口があった。
「遺跡かしら?」
「いや、ここ一応お城の中よ?」
「行ってみる?」
「やめておきなさいな、罠の香りがいたしますわ」
レサレサが踵を返して離れようとすると空から一枚の今のピーチとデイジーに合わせたサイズの紙切れが降ってきた。
「何かしら?」
ピーチが手に取り読んでみた。
『まんまと私の罠にはまりましたね!元のサイズに戻りたければ目の前の遺跡のどこかにある三つの珠を探しなさい!ただし、入るからにはそれ相応の覚悟をしなさい?イーッひっひっひ!p.S今すぐピーチ城の部屋に戻るならすぐに解いてあげますよ?』
と書かれていた。ピーチはため息をついた。
「行くしかなさそうね」
「その言葉が本当なら、ですけど」
怪しむピーチとレサレサとは裏腹にデイジーの目はキラキラと輝かせていた。
「遺跡探検よ!ワクワクするわね!早く行きましょうよ!」
子供のようにウキウキしているデイジーを見て二人は苦笑した。
「まぁそうねとりあえず行きましょうか」
「えぇ、では二人ともわたくしの上に乗ってくださいまし」
「よーし!レッツゴーよ!」
こうして三人は遺跡の奥へと入っていった。