扉の外は荒野だった。クッパが好むような場所だ。
「さて、どうやってキノコ王国に帰りましょうか?お城を戻す方法も考えないと…」
と色々思案していると、
「ガーッハッハッハ!!」
「…この物凄く聞き覚えがある笑い声は…」
ピーチが上を見上げると大きな影が降ってきてピーチたちの目の前に地響きと共に降り立った。土煙が晴れ、見慣れた巨体が現れる。
「まさか、あんな天空のピーチ城からワガハイの城の中を抜けて、脱出してしまうとは…大したものだ」
「お褒めありがとう。じゃあそこをどいてくださいませんか?」
「ダメに決まっているだろう?さあ、お城の中へ戻るんだ」
「嫌に決まってるでしょ」
ピーチ、デイジーは臨戦態勢にレサレサも身構える。デイジーはニヤリと余裕の笑みを浮かべる。
「ふふふ、私たちに勝てるかしら?」
「ガハハ!サラサランドのお姫様は相変わらず威勢がいいな!しかしさすがのワガハイでも3人を同時に相手どるのは少々骨がおれるからな…特別なシチュエーションを用意しようか」
クッパが指をパチンと鳴らす。ピーチたちは警戒していたのだが、デイジーとレサレサが背後から突然赤い光に襲われた。
「デイジー!レサレサ!」
「ピー…」
「気配が…」
2人は赤い光と共に消え去った。ピーチは怒りをあらわにクッパに詰め寄る。
「2人をどうしたの!?」
「2人は違う場所に移動してもらっただけだ。さすがに殺したりはせん。なぁカメックババよ」
「ひーっひっひっひ!その通りですじゃ!」
「そっちは任せるぞ」
「お任せあれ!」
カメックババはその場から消えた。とりあえず2人は無事(?)なのはわかったので安心し気持ちを落ち着かせる。
「どちらにせよ、あなたを倒さないといけないのは変わらないわね」
「ふむ、昔より大分たくましくなったな。そんなところもワガハイは大好きだ」
「あっ…そ!」
ピーチの先制攻撃から2人の戦いの火蓋が切って落とされた。
一方デイジーとレサレサは2人でだだっ広い謎空間にとばされていた。そこは壁も地面もなくまるで宇宙や水中にいるかのようだった。レサレサはいつも通りの感じだ。
「ここは何処かしら?」
「ここはわしが造った特別空間じゃよ」
「!!あなたは」
2人の目の前にカメックババが現れた。
「お前たちはこのわしがお相手しよう」
「は?あなたが私たちに勝てるとでも?」
「ひっひっひ、わしが直接戦うわけないじゃろうが、それ!!」
カメックババが杖をあげると先程デイジーとレサレサを襲った赤い光が溢れ、やがて2つの形をなし光が消えると2つの大きな影が残る。それを見た2人は目を丸くした。
「タタンガ?」
「ドガボンですの?」
2人の目の前には2人にとって最大の敵であった敵が現れる。
「ひひひ!先程2人の心を読んだのじゃ、その中でもお前たち2人の最も恐れた敵を具現化したのじゃ!さぁ、恐怖に支配されるのじゃ!」
カメックババが高笑いをあげるがデイジーとレサレサはスンッとしている。デイジーはさらに不適な笑みを浮かべている。
「このくらいで恐怖なんか感じないわ」
「は?」
「確かに昔は怖かったわ、でも今のあたしなら…」
デイジーの足元にデイジーの花型の魔法の足場が現れる。
「勝てるかもしれないじゃない?」
「わたくしも」
レサレサがデイジーに並びドガボンをじっと見つめる。
「確かにわたくしの心にはドガボンの記憶が強く残ってはいますわ、ですが…」
レサレサの姿が霞み人間の姿に変化する。
「今のわたくしにとってはただの過去ですわ」
二人がいる空間はカメックババが作りだした空間でかなりの魔力が練られてできているのでレサレサにとっても絶好の環境だった。センスを手にして扇ぎながら口許を大きく歪ませる。
「幻とはいえ、実体があるのならばどのようなお仕置きをするか…考えただけで笑いが止まりませんわ~♥️」
二人のあまりに想定外な反応にカメックババはのまれかけながらも踏みとどまり幻のタタンガとドガボンに命令する。
「は、はやくやってしまうのじゃ!」
タタンガとドガボンは無言のまま攻撃を始めた。
ピーチの攻撃をクッパは真正面から受けた。
「グフフ、愛のこもったいい一撃だ」
「防御はやっぱり固いわね、愛はこもってないわ、よ!」
蹴りをクッパの角の付け根に当てる。クッパもさすがに痛かったようで怯んだ。ピーチは空中で一回転し着地する。クッパは火炎を吐き出す。ピーチはすかさずフアイヤフラワーを使いファイヤピーチに変身する。衣装も変わり炎への耐性を得た。そして炎を払い右手をピストルのように構えた。
「ズッキュンっていっちゃいなさい」
指先からハートの弾丸を打ち込む。クッパはまたしてもそれを受け止めようとノーガードでまつ。そうすることをわかっていたピーチが指を鳴らすとハートははじけピンクの星の弾丸に変わりクッパを襲った。しかしハートではなくなった途端に目の色を変え、自慢の爪ですべての弾丸を弾きとばした。クッパは首をコキコキならして体を軽く揺さぶる。
「ガハハ!ではそろそろ真剣にいこうか」
「ええ、私も体が暖まってきたところよ」
「ではいくぞ…ガアアアァァァ!!」
クッパが咆哮した。空気が震える。しかしピーチは億さない。真っ向から攻めていく。
「ピーチ姫、それではワガハイには届かんぞ?」
クッパは真正面から突っ込んでくるピーチに向かって手近にあった岩を投げつけた。
「これくらいなんでもないわ」
ピーチは向かってくる岩を難なく破壊し突き進む。しかしクッパは執拗に投げつけてくる。気にせず破壊を続けていたピーチはクッパの行動に違和感を感じ、その違和感の正体に瞬時に気づいて立ち止まる。すると目の前をクッパの尻尾の先が通りすぎる。
「あっぶなぁ」
ピーチは2.3歩下がって構え直す。
岩を大量に投げつけ視界を制限しつつ投げる場所を考えて位置を誘導したところに尻尾の攻撃を叩きつける算段だったようだった。
「惜しかったなぁ、ガハハ」
クッパは笑う。ピーチは構えをしたままクッパとの間合いを慎重に保つ。
(クッパは亀の魔王ってこともあって動きは早くないのよね…でも近接攻撃はかなり早くて強力…だからといって距離をとって攻撃しようとしてもブレス攻撃やワンワンを投げたりしてくるし、そもそも私の遠距離攻撃ってあんまり強くないのよね、だから自然と近距離戦闘になっちゃうんだよね)
クッパが動く。走って来るがやはり遅い。ピーチは臆せず真正面から攻撃する。クッパは爪を振り下ろす。ピーチは間合いを見切り一歩下がってかわし、その腕を踏み台にしてクッパの背後に着地する。
「む!」
クッパは尻尾を振り回しピーチを狙うがピーチはかわす。そしてタイミングを見計らい思い切り踏みつけた。
「ギャアアァ!」
叫びをあげ飛び上がるクッパ、ピーチはフライパンを取り出した。
「そーれ!」
背後からフライパンを叩きつける。
「ぐぅっ」
痛みに痛みが重なってふらつくクッパ。ピーチはプチボムをばらまいて追撃する。
「ポカーン」
ピーチが指を鳴らすとボムが一斉に爆発する。爆風がおこりクッパとピーチを飲み込んだ。ピーチは魔法でバリアをはっていたので無傷だった。クッパはというと…
「そう簡単にはいかないわよね」
クッパは甲羅にこもって爆撃をかわしていた。ピーチは改めて距離をとろうとするとクッパの引っ込んだ甲羅の穴からキラー大砲が顔をだした。まさかそんなものが出てくるとは思いもしなかったピーチはギョッとなった。
「うそぉ!?」
「ガハハ!発射!」
キラーが発射される。慌ててパラソルで弾き飛ばすが、それ故にクッパが迫ってくるのに対応できなかった。
「そらぁ!!」
クッパの拳がピーチの腹部に叩き込まれる。
「ぐうぅ…!」
ジャッキーの時も攻撃を食らっていたが一発の重さはクッパの一撃のほうが重かった。ピーチの体は吹き飛ばされクッパ城の壁に叩きつけられる。
「かっは…いったぁ」
瓦礫を払いながら立ち上がる。まだ少し殴られた場所が痛む。
「一応常にバリア張っておいたのに…あ!」
クッパのいる方向からパタパタやらノコノコやらがたくさん飛んでくる。
「うっそ!?」
痛みが残るピーチはよけずに魔法で障壁を作りだし弾く。しかし下に落ちた甲羅からノコノコが次々に現れる。さらに目の前からはクッパがゆっくりと近づいてくる。
「こうなったら!」
ピーチはアイテムBoxからとあるアイテムを取り出した。それを左手で掲げ叫ぶ。
「“ひつじのしょうどう”!」
手にしたアイテムから大量の羊が溢れだし周りのノコノコやパタパタにまとわりついた。クッパもそのアイテムの羊にまとわりつかれていた。
「これはまさか!」
クッパはそれがなんなのかわかっていたので振り払おうとしたがもう遅かった。まとわりつかれたノコノコやパタパタ、クッパのそばや中にいた部下たちは羊に変わりどこかへ消えていった。クッパの周りにもたくさんの羊が現れ逃げていった。
「しまった」
「いくわよ!」
痛みがおさまったピーチは地面をけり一気に距離をつめる。羊の毛がまとわりついたクッパはうまく動けない。
「せぇい!」
ピーチの蹴りがクッパの腹のど真ん中を狙う。クッパは腕でガードしようと前でクロスした。ピーチは構わず蹴りをお見舞いする。ヒールがクッパの腕に食い込みクッパは痛みに歯を食い縛る。地面に着地したピーチは右足を上に180度上げる形でけりあげた。クッパのガードが解除されたので軽くジャンプをして左手でクッパのトゲつきのチョーカーみたいなものを掴んだ。そして右手を構える。
「ぐぅ…」
「せー…の!!」
ピーチのビンタが一秒に10発のスピードで炸裂する。
「ぶぶぶ!!」
クッパはモロにくらって目の前にお星さまがチカチカした。ピーチは素早く後ろに周りこみ無防備なクッパの尻尾を掴んだ。
「いくわよ!」
ピーチはアイテムBOXから“スーパーキノコ”を取り出し一気に食べる。ピーチの体に力がみなぎる。
「マリオほど力はでないけれど一瞬あればいけるわ!」
ピーチは足と手に力を込めて歯を食い縛りハンマー投げの要領で一気に放り投げた。
「せえええぇぇぇい!!」
クッパの巨体が宙をまい城壁にめり込む。ピーチは着地すると息を整え止めをさすために距離をつめる。
クッパはめり込みながら頭を振って意識をハッキリさせる。
「グググ…やはり強くなっているな…ならもう少し強くやるか」
ピーチが近づいてくるのを見据えながらクッパは甲羅の中に引っ込んだ。そして思い切り回転し城壁をえぐりながら抜け出した。ピーチは行動を切り替え間合いをとる。クッパは壁から降り立つと指を鳴らす。
「ガハハ!少し甘く見ていた。本気でいくぞ」
「ふふふ、こっちもあったまったきたところよ」
にらみあった2人は同時に動いた。ピーチはクッパの右脇腹を狙う。さっきまでのクッパなら反応できなかったが今のクッパは素早く反応しピーチの腕を掴もうとする。ピーチはすぐに腕を引き抜き空を掴んだクッパの拳を足場にして回転かかと蹴りをクッパの顔面めがけて打ち込むが、クッパは顔を引っ込め回避した。ピーチはその中にミニボムをばらまいた。クッパは甲羅の中から炎をはきボムを誘爆させた。その爆風に乗りながらピーチは距離をとった。近接戦闘は部が悪いと考えアイスピーチに変身し、全力の氷攻撃を打ち込んだ。顔をだしたクッパが炎で対抗する。氷と炎が激しくぶつかり合い爆発が起きる。再びおきた爆風をピーチとクッパは障壁を使ってやり過ごす。爆風がおさまると無傷の2人がにらみ合う。
「やるな、ではもうひとつ…」
クッパは一声咆哮した。すると体の周りを黒いもやが小さな雷鳴と共にクッパをおおい隠した。雷鳴は激しくなり黒いもやも高速で回転していく。そして唐突に黒いもやが弾けるように消え失せ、その下から現れたクッパは一回り大きくなりその姿は“野生”に満ちていた。ピーチはその姿に覚えがあった。
「ギガクッパ…」
先程まで余裕があったピーチの顔が強張る。クッパは髪をかきあげニヤリと笑った。
「さあ、続きといこうか」
マリオの映画を観に行きました。とにかくピーチ姫がかっこよかったです。この話を書いている途中にマリオRPGのリメイクやプリンセスピーチの新作、ずっとやりたかったペーパーマリオRPGのリメイクまで決まり最高にワクワクしています!