ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

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ここで使っているフューリークッパについては、プレイ動画とwikiの情報を元にしつつ、他のシリーズのクッパの強そうな能力を付け足したものです。原作と違うのでご了承ください。
あと、ピーチの能力についても動画を参考に自分の趣味を追加したものですので今さらですがこちらもご了承ください。


w8-3a「怒りのフューリー」

 それをピーチはすぐに感じ取った。

 

「なに?」

 

 気絶したはずのクッパからとてつもない力の高まりを感じたのだ。

 

「なんなの?この息が詰まるようなプレッシャーは…」

 

 目線の先ではクッパがゆっくりと立ち上がっていく。ギガクッパの変身は解けたはずだが大きさがギガクッパの時よりも一回り大きくなっているように見えた。さらに角やトゲが禍々しく大きくなり赤いオーラが身体中から溢れている。

 

「なに…あれ?」

 

 あまりの変わりようにピーチが驚愕しているとクッパはゆっくりとピーチの方を向く。その目は赤くギラギラと燃えていた。

 ふとクッパの姿が消えた。

 

「!?」

 

 慌てて姿を探したが見つからない。

 

「どこに…っぐ!?」

 

 気づくとクッパの拳がピーチのお腹に深くめり込んでいた。避ける時間も防御する暇もなかった。“クッパがいきなりそこに現れた”といった感じだった。

 

 

「くっ…うっ」

 

 ピーチは慌てて飛び退いた。

 

(急に現れた?そういえばパワースター集めをマリオがしていた時炎の決戦で瞬間移動を使ってたって言ってたわね…は!?)

 

 後ろに気配が現れた。咄嗟に身をかがめた。その上をクッパの腕が通りすぎた。ピーチはほとんどタイムラグなしで右足で蹴りをいれたがすでにクッパはそこにはおらず、同時に左脇腹に痛みと衝撃を感じた。

 

「あっぐぅ…」

 

 そのまま吹き飛ばされる。体勢も整っていなかったためなす統べなく吹き飛ばされてクッパ城の壁に激突した。

 

(くっうぅ、は、早く動かないと…)

 

 動きだす前に目の前にクッパが現れた。

 

「あっ…ぐっ」

 

 声をあげる前にクッパによってピーチは首を捕まれ壁に叩きつけられた。首を閉める力が少しずつ強くなる。明らかにさっきまでの戦い方と違っていた。さっきまではなるべくピーチを傷つけないように戦っていたが今は違う。殺意とまではいかないものの「傷つけても絶対に連れ戻す」といった意思を感じた。

 絞める力が強くなっていきピーチの意識も少しずつ霞んできた。

 

「このままじゃいけない」

 

 ピーチがクッパの顔を蹴りまくるが全く動じない、それどころかダメージが通っていない。

 

「だったら!」

 

 ピーチはアイテムBOXからマメキノコを取り出して使用した。すると一気にピーチの体が縮んでクッパの拘束を逃れた。すかさずスーパーキノコで元のサイズに戻った。ゴルフクラブを取り出してメタルブロックで強化した。

 

「やあ!」

 

 思い切りクッパの後頭部へ叩き込んだのだが寸前で瞬間移動でかわされる。

 

(同じ手はくらわないわ)

 

 ピーチは意識を広げた。

 

(瞬間移動は時を止めて移動している訳じゃない、あくまで“移動”しているだけ、なら何かしらの“痕跡”があるはず)

 

 ピーチが全方向に意識を向けていると空間の揺らぎを察知した。

 

「そこ!」

 

 ピーチの一振が出てきた瞬間のクッパの顔面をとらえた。クッパはよろけて後ろに数歩下がった。パッと見るだけじゃわからないが少しはダメージがあるようだった。クッパは再び瞬間移動を使いピーチを翻弄しようとするが、ピーチは今度はフライパンをメタル化出現のタイミングにあわせた。

 二度も攻撃を食らったクッパは今行っている攻撃が通用しないことを悟ると瞬間移動で距離をとった。今度は遠距離攻撃に切り替えるみたいだ。クッパの口が開かれた。

 

(くる!)

 

 ブレス攻撃を予想して防御障壁を作るピーチ、しかしクッパの攻撃はピーチの予想を越えていた。

 放たれたのはブレスではなく火球、しかも一つ一つがクッパの体よりも大きい。

 

「そのサイズの火球どうやって出したのよ!?」

 

 避けようとは思ったがさすがに大きすぎる。ピーチは障壁を展開した。なんとか防いでいるが一発一発が大きすぎる。しかも隙なく連続で打ち込まれる。

 

「くっ…うぅ…」

 

 さっきまでのブレスとは規模も威力も違う。ピーチの障壁が少しずつ削られていく。

 

(だめ、耐えきれない!)

 

 そう判断したピーチはメイプルシロップを飲み魔力を回復させ障壁を強く大きく展開しクッパの攻撃を防いでる少しの間にその場から離れようと後ろを向いたその先に炎のように赤く燃えるクッパが立っていた。

 一応ひとつの可能性として今の状況を思い描いていたのと人間離れした反射神経によってクッパの横からの凪払いをしゃがんで避けて、続け様にきた上からの攻撃を右に飛び退いてよけた。しかしそれにあわせるようにクッパがタックルをおみまいしてきてピーチの横っ腹にめり込む。

 

「うっぐぅ…」

 

 吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。口の中に鉄の味が広がった。

 

「けほっけほっ…べっ」

 

 口の中のものを吐くと思った通り血が混じっていた。クッパはどんどん強くなり容赦もなくなっている。

 

「!!」

 

 痛がっているひまもない、クッパの攻撃がさらにくる。屈んでかわしてアイスフラワーでアイスピーチに変身しつつアイスボールでクッパの足元を凍らせるがやはり意味がない。しかし少しは隙ができたのでウルトラキノコで体力の回復を行った。

 

(アイテムの残りも少ないわ)

 

 戦いが長引いてるせいもありアイテムBOXがかなり少なくなっていた。

 

「ん?あれ!?」

 

 クッパがいなくなっていた。また瞬間移動だと周囲を警戒する。だがなぜかクッパの気配がない。

 

(なんで?どこにいったの?)

 

 ピーチは全神経を集中してクッパを探すが全く気配を掴めない。ピーチは必死にクッパを探した。クッパのみに意識を集中していたため気づくのが遅れてしまった。

 

「!!」

 

 ピーチが上を見上げるとクッパ城の尖塔のひとつが降ってきていた。

 

「こんの…!」

 

 ピーチはアイスの力で氷の壁を作り出し尖塔を受け止めるが、重さと速度がついていて氷がどんどん割れていく。

 

「くうぅぅぅ…!!」

 

 必死でアイスを振り絞り何とか尖塔が止まった。

 

「っはあ!!…はぁはぁ」

 

 汗が一気に吹き出した。少しでも反応が遅れていたら、事前に回復ができていなかったら?何かがひとつ少しでも遅れていたら本当に危なかった。

 

「なんとかなったわ…でも…」

 

 クッパの攻撃がどんどん激しく容赦なくなってきている。正直心のどこかで「クッパは自分を傷つけない」と思っていた。だからと言って油断をしていたわけではなかったが…

 

「は!」

 

 上空が赤く染まったのを見た瞬間ピーチは動いていた。氷の下から走り出ながら視線は決してクッパから離さない。たくさんの巨大な火球が降り注ぎ先程までピーチがいた場所を破壊する。なんとか避けながら移動する途中でも火球がクッパ城を少し破壊している。

 

(さっきまではクッパ城への攻撃を少しためらっていた様子だったのに…)

 

 クッパの変わりようにピーチは初めて少し恐怖を感じた。その少しの恐怖をクッパも感じ取っていた。

 

「くっ…あ…?」

 

 ピーチの脇腹にクッパの拳がめり込んでいた。ミシミシと骨が軋む音も聞こえた。目を離したはずはなかった。気づいたらそこに拳があった。ジャッキーよりも早くて重い一撃にピーチの顔が苦痛に歪む。

 

「ぐうぅ!!」

 

 意識が飛びそうになるのを唇を噛みきって意識を無理やり戻しフライパンを取り出してクッパに叩きつける。クリーンヒットしたのだがフライパンはひしゃげて歪む。クッパはピーチの首を掴んだ。ピーチが抵抗する間もなく地面に叩きつけられる。

 

「あ、あぁ…ぁ」

 

 どんどん力が強まっていき呼吸もできない。殴ったり蹴ったりしてみてもびくともしない。

 

「う……く………ぅ」

 

 意識が遠くなり体から力が抜けていく。

 

(だ…め…)

 

 アイテムBOXに手を伸ばす力すら失っていた。目の前が白く、白くなっていく。

 

(………)

 

 意識が混濁し夢か現実か境界がわからなくなった。あぁ、ここまでか…と諦めかけたとき、急に視界が黒く反転した。とうとう意識を失ったのかと思ったが、何故かむしろ意識がハッキリしたのを感じていた。意識がどんどん深いところに沈んでいく感覚がありやがて“なにか”に行き着いた。

 

 

(これは…)

 

 以前どこかで感じた感覚、暗い空間に体が溶けていき馴染んでいくような感覚、そして掴んだ“なにか”をピーチは握りしめた。

 

(あぁ…これは…)

 

 ピーチの中で“それら”が交わった。

 

「!?」

 

 殆ど自我を失ったクッパが攻撃を中止し飛び退いた。それとほぼ同時にピーチの体から黒い影が吹き出した。それがピーチを繭のように包み込むさらに白い光がピーチの中から溢れだし黒い影と交わる。我に返ったクッパが強化された火炎で攻撃するがピーチを囲む二色の壁が受け止める。その奥でピーチの衣装がどんどん変わっていきドレスの色が白と黒が交わったものに変わっていった。そしてゆっくり目を開いていった。

 完全に目を開くと同時に繭が弾ける。同時に起こった衝撃波が辺りの瓦礫を吹き飛ばした。クッパはなんとか踏みとどまった。そして顔をあげると姿が変わったピーチが二色になった眼をこちらに向けていた。

 

「…」

 

 ピーチの瞳は片方が赤くなり、ドレスは白と黒が貴重となった色になり、所々にダークピンクが入っている。腰のリボンは羽のように伸びていた。

 ピーチは手を握ったり開いたりしたり足をトントンしたりして体の調子を確認する。

 

「この力ってあの時の“カゲの女王”の…いえ、少し違うかしら?そのものっていうよりはその“残り”って感じかしら?」

 

 ピーチが自分の現状を確認している間明らかなすきがうまれているのだがクッパは警戒して動けなかった。

 あらかた自分の現状を把握したピーチはクッパに目線を向けた。クッパは一気に敵意を解き放ち攻撃を再開した。一声雄叫びをあげるとたくさんの火球が現れた。

 

「があっ!!」

 

 火球が一斉にピーチに向かう。さらに次々に新しい火球が現れピーチを襲う。

 ピーチが手を叩く、ドレスの腰の部分から伸びている二色のリボンがさらに伸び、まるで手のように動き迫る火球を弾いていく、ピーチに一番近く、スピードが早いものを優先して弾き、さらに弾く方向も計算され火球同士がぶつかり合うことで最低限の動作で火球が消えていく。クッパは絶えず火球を飛ばしてくるがピーチは難なく弾いていなしていく。あまりにもギリギリの攻防にクッパの意識がピーチを倒すことにのみむいていた。故にピーチが火球をうまく誘導・破壊し、一瞬道ができた。ピーチはその一瞬を見逃さない。クッパが瞬きした一瞬でピーチが眼前にきた。闇と光で強化された拳を叩き込む。クッパは腕で防ぐ、しかしピーチはそのまま影から腕を伸ばしてアッパーでクッパのガードを崩し再度顔面に拳を叩き込んだ。今度は派手に吹き飛ぶクッパ。しかし空中で受け身をとり体勢を立て直す。

 ピーチは追撃をせずとんとんと軽くジャンプし腕を伸ばして軽くストレッチをした。そしてクッパを見やるとニヤリと口許を歪ませた。

 

「だいたいわかったわ。さ、戦闘再開よ!」

 

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