ピーチ姫の脱出大作戦   作:長星浪漫

4 / 36
かなり次の話の投稿が遅れましたすいません!
それではどうかおたのしみください。


W1-4「リベンジは突然に~改めて旅立ち~」

 まず動いたのはやはりピーチ姫だった。地面を強く蹴り二段ジャンプでキングテレサと同じ高さまで跳躍する。

「せーの」

 いつのまにか持ちかえたバットを構え、まるでホームランを狙うかのように思いきり振り抜いた。

「あぶねぇ!」

 キングテレサトは体を透明化させかわす。空振りしたピーチ姫は空中でくるくると回る。

「あらららら~?」

 くるくると回り続けるピーチ姫。

「けけけ~!今だぁ~!」

 ピーチ姫を襲うために姿を現すキングテレサ。

「覚悟しろ~!」

「こちらのセリフですわ」

「けけ?……!」

 キングテレサの動きに合わせて回転を合わせかかとをキングテレサの頭に叩き込む。キングテレサは声をあげることなく下に落ちていく。その先にはレサレサがセンスを手に待ち構える。

「わたくしの繊細なセンスさばき、ご覧あれ」

 勢いよく落下するキングテレサを開いたセンスでうまく受け流し、軌道を先程のテレサの山に向ける。

「そーれ!」

 センスを振り抜きキングテレサをはたく。キングテレサはボールのようにテレサの山に突っ込んでいき、とても豪快な音と共に山を吹き飛ばした。

「ナイスショット!」

 フワリと降り立ったピーチ姫がレサレサを褒めた。レサレサは「ふふん」と笑い称賛を素直に喜んだ。

「ありがとうございます。ま、当然ですけど?」

「うぅ…」

 崩れたテレサの山の下からM・キノピオが這い出てきた。

「死ぬかと思った…」

「あら、そんなところにいましたの?」

 レサレサが驚いてM・キノピオを遠巻きに見守る。

「私は最初からわかっていましたわ」

「なら、早く助けてくださいよ…」

 M・キノピオは立ち上がり服についたほこりをはらう。と、その時後ろからキングテレサがズバーン!と復活した。

「てめぇらぁ!!もおぉ許さねぇ!?」

 キングテレサは両手を上にあげる。すると中庭の中の木や石などが浮かび上がった。

「まだまだぁ!」

 今度は周りのテレサがキングテレサに吸収され、キングテレサがどんどん大きくなっていく。

「あら」

「まあ」

「えぇ!?」

 三人はそれぞれ驚きながらもキングテレサを見守った。キングテレサは最終的にもとの三倍くらいの大きさになった。さっきまで見えていた月が隠れてしまった。

「わはははははー!押し潰してやる!」

 大きくなりすぎたせいで声が若干野太くなった。

「うわわわわ!これやばいんじゃないですか、姫!」

 M・キノピオが顔を青くして慌てる。力には自信があってもおばけに当たらないとなれば恐怖も一層強くなるだろう。しかし、ピーチ姫は冷静だった。

「う~ん、さすがに骨が折れそうですわ」

「お手伝いしましょうか?」

「ええ、お願いしますわ」

「ごちゃごちゃうるせぇー!消えろぉ!」

 キングテレサが先程と同じ力で木々を集め巨大な棒を造り出す。そしてそれをピーチ姫たちの方へ降り下ろす。しかし、ピーチ姫は動かない。

「マッスル、これなら大丈夫でしょう?」

 ピーチ姫に促されM・キノピオはすっくと立ち上がった。

「触れるなら問題ありません」

どしいぃぃぃぃゎ!!

「なにぃ!?」

 M・キノピオが巨大な棒を受け止めた。ピーチ姫はM・キノピオの肩を優しく叩く。

「よくやりました。しばらく止めておいてください」

「了解です」

 M・キノピオがさらに力を込める。巨大な棒は動かなくなった。キングテレサは必死で動かそうとするが全く動かない。

「くっそぉ!なら別の手で…」

 キングテレサがしゃべるのを止めた。目の前にはピーチ姫が浮かんでいた。

「ここまで上がれば月が見えますわね」

 月をバックにピーチ姫が笑った。キングテレサは目を見開いて驚いている。

「なんで?なんで、浮いてる?」

「あなたのやり方を真似たのですわ」

 ピーチ姫はおびえて固まるキングテレサの目の前まで近づき両手でキングテレサに触れる。

「“ねむれよいこよ”」

 ピーチ姫が放った魔法はキングテレサに直撃した。キングテレサは抗えないほどの眠気に襲われ、耐えきれずに眠りに落ちる。すると、体がどんどんしぼみはじめ最後には音もなく弾けとび大量のテレサになった。そのうちの一匹に王冠を頭にのせたテレサがいて、そのテレサの王冠が光りテレサの頭を離れてピーチ姫の手に収まり一本の鍵に変わった。

「どうやら私たちの勝ちのようですわ。レサレサ嬢、おろしてくださる?」

「わかりました」

 姿を消していたレサレサが現れゆっくりピーチ姫をおろしていく。そして無事に地面におろした所で一息ついた。

「姫!お見事でした!」

 M・キノピオが走ってくる。ピーチ姫は手に持った鍵をじっと見た。

「これはホールの扉の鍵ですわね」

「おお!これで開けられますね!」

「いえ、でも鍵は外から開けるようになってましたわ」

「そういえばそうでした。まだなにか必要なことがあるんでしょうか?」

「そうねぇ……リーダーブロスをもっと追い詰めようかしら?」

 ピーチ姫がなにかを握りつぶすようなジェスチャーをする。その会話にレサレサが入ってくる。

「それならわたくしが扉をすり抜けて開けましょうか?」

「え?そんなことができるのですか?」

「ええ、わたくしの透明化はわたくしが触れているものも透明にできますの。キングテレサが鍵を持っていたことを考えると恐らくもともとテレサが扉を開けるようになっていたんだと思いますわ」

「本当ですか!お願いします!」

「しかし、いいのですか?」

「今更遠慮することはありませんわ、最後までお付き合いいたします。あとピーチ姫、もう少し砕けた話し方にしてくださる?わたくしのことも“レサレサ”と呼んでくださいな」

「よろしいのですか?では、…レサレサ?」

「フフ、わたくしも“ピーチ”と呼ばせてくださる?」

「ええ!もちろん!改めてよろしくですわ、レサレサ!」

「こちらこそ」

 ピーチ姫とレサレサはかたい握手を交わした。M・キノピオはその横でその様子を寂しそうに見ていた。

 

 

 

 城内に戻り玄関ホールに戻った三人は早速レサレサに鍵を開けてもらった。

「開きましたわ」

 扉をすり抜けてレサレサが鍵を渡す。ピーチ姫が扉を押すと扉が開いた。扉の向こう、お城の外は満点の星のなかだった。

「まぁ、きれいな星空♪」

 ピーチ姫は目を輝かせながら城の外に出ていった。後に続くようにレサレサとM・キノピオが外に出る。

「わたくしのお屋敷からでもここまできれいな星空は見えませんわ」

「まぁ、空の上にいますからね」

 M・キノピオがムードもくそもないような発言をしたがピーチ姫は気にしなかった。星空を十分に楽しんだあと、二人の方に向き直りいかにも楽しそうな笑みを浮かべた。

「さあ!脱出ゲームはここからが本番ですわ!」

(“ゲーム”っていっちゃったよ…)

 M・キノピオがため息をつく。

「クッパがマリオたちのために用意した罠の数々を私たちが見事かいくぐってクリアしてしまいましょう!」

 おーっ!と三人が気合いを入れたとき

「いかせるかぁ!」

 大きな声とともにピーチ姫の行く先に巨大ななにかが降ってきた。

「きゃあ!」

「姫っ!」

 M・キノピオがすぐにピーチ姫のもとに駆け寄り降ってきた何かの前に立ち盾となるように両手を広げる。土煙がはれ、そこにいたのは二足歩行で立つブロスの形をしたロボットだった。胸の辺りにコックピットがあり先程のリーダーブロスが乗っていた。

「またお前か!」

 M・キノピオが構える。リーダーブロスは血走った目をしながらレバーを握っていた。

「もおなりふり構ってられるか!こうなったら力ずくでも部屋に戻ってもらうぞ!」

 ロボブロスの右手が上がりその手にハンマーが握られる。M・キノピオが力を込める。

「姫、レサレサ様とお下がりくださ…」

「下がりなさい」

 ピーチ姫がM・キノピオを押し退け前に出る。M・キノピオは後ろに下がり尻餅をついた。そして、唖然とピーチ姫を見た。

「えっ?姫?」

 M・キノピオは状況が理解できずすぐに動けなかった。リーダーブロスはロボブロスに乗りながら高らかに笑った。

「あーっはっはっは!ピーチ姫ぇ、まだぼくが遠慮するって思ってるんでしょう?でもざーんねーん!もう容赦しないって言っただろうがぁ!!!」

 ロボブロスがハンマーを思いきり降り下ろす。ピーチ姫はうつむいたまま動かない。

「姫ぇ!!」

 M・キノピオが助けようとするが全く間に合わずハンマーがピーチ姫のいた場所に降り下ろされた。

ドオオオオオン!!

 ものすごい轟音とともに降り下ろされたハンマーが玄関前の広場の石畳を砕いた。

「…」

 唖然とその場所を凝視するM・キノピオ。レサレサはセンスで口を隠しながらケラケラと笑った。

「さすがピーチ!いつ動いたのか全く見えませんでしたわ!」

 ピーチ姫は降り下ろされたハンマーのすぐ横にいた。左手でハンマーに触っている。

「はずしたか!今度こそ!」

 リーダーブロスが下ろしたハンマーをあげようとした。しかしハンマーは持ち上がらず空回りする機械の音が悲鳴のように響き渡る。

「なっ、くそ!なんで動かない!?」

 思わぬ事態に焦るリーダーブロス。その時、その耳に地のそこから聞こえてくるような声が入ってきた。

「…ませんわ」

「ほえっ?」

 あまりにも低く殺気を含んだ声がまさかの方向から聞こえリーダーブロスはすっとんきょうな声をあげる。

 その声はピーチ姫のものだった。ロボブロスのハンマーを片手で押さえ込みロボブロスを見る顔は笑っていなかった(・・・・・・・・)

「私…水をさされるのが嫌いなんですの」

 ピーチ姫の左手にさらに力が入る。その力に焦るリーダーブロス。

「く、くそ!なんなんだよ!」

「あと…」

 ハンマーにヒビが入った。

「ひいぃ!」

 恐怖に顔がひきつるリーダーブロス。ピーチ姫は表情を動かさずに喋り続ける。

「しつこすぎる方も嫌いなんです」

 ロボブロスのハンマーが盛大に砕けた。そのせいでバランスを崩したロボブロスが後ろに傾く。それに合わせてピーチ姫はロボブロスの体をかけあがり、ゴルフクラブを取り出した。

「ふっ!」

 ロボブロスの頭に向かい思いきり降りおらした。

メキィ!ぎぎぎぎ…ベキッ!

 落下のスピードも加わりロボブロスの首が胴体からねじれとぶ。同時にロボブロスは倒れてしまう。

「相手が機械なら遠慮することはないですわね」

「ぐぐぐ…くそぉ!」

 リーダーブロスはロボブロスを立ち上がらせた。ピーチ姫はそれをただじっと眺めていた。

「これでもくらえ!」

 リーダーブロスがボタンを押すと、ロボブロスの両腕の肘から先が伸びてピーチ姫を襲う。ピーチ姫はそれをジャンプでかわしたが、伸びた腕はまるで生き物のように動き空中のピーチ姫をとらえようとする。

 ピーチ姫はフライパンに持ちかえ、せまる腕を打ち返すその反動でもう一本もかわす。

「あ」

 見事な回避にあっけにとられていたリーダーブロスが絡まるロボブロスの手に気づき慌ててほどこうとしたが、焦るほどに絡まっていく。ピーチ姫は着地しフライパンを片付けて部屋からの脱出直後に入手した鎧ノコノコの槍を手に取った。

「さて仕上げですわ」

 槍を構えたピーチ姫が高く飛び上がる。ロボブロスの少し上からコックピットに狙いを定める。

「槍投げは始めてですが、まあ、大丈夫でしょう」

 手に持った槍を躊躇なく投げつける。槍は空を切り裂き真っ直ぐにコックピットを狙う。

「ん?」

 気づいたリーダーブロスが顔をあげるときにはコックピットの強化ガラスを割っていた。

「どえー!!?」

 槍はリーダーブロスには刺さらず、その手前のボタンに刺さった。

「は、はずした…?ほっ…」

 安心もつかの間、ロボブロスのコックピット部分が変形し大砲のような形状になった。

「えっ?何これ…、いったい…はっ!!“緊急脱出ボタン”!」

 ピーチ姫が投げた槍は“緊急脱出ボタン”を押していた。システムが作動しもはや止められない。

「やばい!これは!あぁぁ…!」

 ドシュウ!という音とともにリーダーブロスは夜空の彼方に飛んでいった。

「…ふぅ」

 それを無言で見送ったあとピーチ姫はロボブロスに刺さった槍を抜こうかと思ったが見た感じかなり深く刺さっているのであきらめた。ピーチ姫にM・キノピオとレサレサが走りよる。

「姫!お怪我はありませんか!?」

「ええ、問題ないですわ」

 レサレサは称賛の笑みを浮かべながらピーチ姫を褒め称える。

「すばらしいですわ!ピーチ!わたくし、感動いたしました!可憐で苛烈で…見とれてしまいましたわ~!」

「あら、ありがとう♪」

 レサレサの誉め言葉に頬を緩めるピーチ姫。先程の戦いで見せた殺気はすでにない。

「では、邪魔物もいなくなりましたし…」

 ピーチ姫はパラソルに持ちかえ、レサレサはセンスをしまい、M・キノピオは拳で手のひらを打った。

「今度こそ“脱出大作戦”の幕開けですわ!」

 三人はピーチ姫を先頭にキノコ城の下にあるクッパ城への階段を降りていった。

 その先ではマリオたちを迎え撃つ予定のクッパの手下たちが待ち受ける。ピーチ姫はどうやってそれらを潜り抜けるのだろうか!




読んでいただきありがとうございます!
W1はこれでクリアです。どこまで書くかは正直決めてませんが、こんな形式で書いていこうと思います。これからも投稿時期はバラバラでしょうが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。