「ふん!ふん!」
金網を握力で変形させながら登り移動する。
「まて~~~い!」
ノコノコが数匹M・キノピオを落とそうと接近する。
「きやがったな…」
M・キノピオは左手で金網をつかみ、そこだけで体を支え右手の拳を握る。金網を伝ってくるノコノコは両手がふさがった状態だ。攻撃はたいあたりのみ。スピードもそこまで早くないのでタイミングは計りやすい。
「おら」
左手で体を固定しつつ、左手を支点に体を揺らしその力を使って向かってくるノコノコの顔面に重さがのったストレートを叩き込む。
「むべっ!」
殴られたノコノコは派手にぶっ飛び仲間を何匹か巻き込んで溶岩に落ちていく。ゲームなら確実に1UPしていただろう。
M・キノピオは体を後ろに戻しながらジャストミートで肘を背後に迫っていたノコノコの腹に叩き込んだ。
「ぐふっ!」
ノコノコが後ろに吹き飛ぶ。前に進まなくてはいけないので横に移動を始めると当然ノコノコが集まってくる。だが先程のこともありM・キノピオの下には集まらないようにしている。M・キノピオは前方にせまるノコノコに照準を合わせノコノコの顔面を金網に押さえつけた。
「むぎゅっ!!」
ノコノコの顔が金網にめり込む。それでもまだ金網にはしがみついていたので、押さえつけた腕を支えにして体を金網に対して垂直に立たせ上にジャンプし、そこにいるノコノコを蹴り飛ばして金網を両手で掴むと、そのまま体を回し周りのノコノコを蹴散らす。ある程度倒し動こうとしたら腕が動かなかった。
「なんだ?」
見てみると金網の裏側にもノコノコがいてM・キノピオの手を掴んでいた。
「はははー!これで動けまい!!」
「どうかな?」
M・キノピオは両手のひらを掴まれながらその手に力を込めていく。そして、
「ふん!」
野菜を引き抜くかのように左手を
「あいたたたたた…わぁ!?」
そのままそのノコノコを振り回し周りのノコノコを蹴散らす。
スココココココココココココピロリロリン♪
小気味のいい音と共に1UPする。
「こ、こいつもめちゃくちゃだ!」
M・キノピオの猛攻にたじろぐノコノコ。M・キノピオは振り回したノコノコを溶岩に落としノコノコたちを睨み付けた。
「ひぃ!」
先程まで威勢がよかったノコノコたちが怯えて後ずさる。その様子を見てM・キノピオはニヤリと笑った。
「どうした?数ではそっちが上だぞ?」
M・キノピオが一歩進むとノコノコたちは一歩下がる。すでに状況は一変していた。数では勝っているノコノコだが、メンタル面で完全にのまれていた。M・キノピオがノコノコたちを睨み付けた。
「闘う気がないのならとっとと行かせてもらうぜ!」
M・キノピオはゴールに向かって金網をひた進んだ。
一方ピーチ姫とレサレサは橋を渡り終えようとしていた。
「バブルもなにも出てこなかったですわね」
「罠を警戒して損しましたわ」
レサレサがつまらなそうにセンスを扇ぐ。しかし、中央の円形の舞台にたどり着いたら途端前後の橋が収納され道がなくなった。
「あらあら」
二人は特に驚く様子もなくその光景を見ていた。
「罠、ありましたね」
「ええ、警戒が無駄にならなくてよかったですわ」
そんな呑気な会話をしていると円形の舞台の中央になにかが大きな地響きと共に落ちてきた。
「きゃっ!」
「くっ!」
ピーチ姫とレサレサを砂煙が襲う。砂埃が収まると目の前には大きな鉄の塊が佇んでいた。
「なにかしら?」
ピーチ姫が警戒しながら近づこうとしたとき鉄の塊が
「きゃ!?」
驚いたピーチ姫は反射的にバックステップで距離をとる。開かれた目がピーチ姫をとらえた。
「リーダーブロスの報告通り脱走したのかピーチ姫!」
まるで金属がぶつかりあうような声で鉄の塊が口もないのに話し出した。いや、よく見ると下の方にボム兵のような形の緑色の足が二つちょこんと生えており、頭の方には両側に黄色の二本の角が生えている。その鉄の塊は石の舞台をドンドンと足で踏み揺らし、またしゃべる。
「俺の名前はボスドンケツ!ピーチ姫!今ここで捕らえさせてもらう!」
言い終わると同時にさらに十体ほどボスドンケツよりも小さい、普通サイズのドンケツが降ってきた。全員がピーチ姫を睨み付け地を蹴り今にも突進してきそうだ。ピーチ姫はやれやれといった様子で少し下がる。それを怖じ気ついたと思ったボスドンケツはドンケツたちに命令した。
「今だ!突撃ー!」
ドンケツたちが一斉に突っ込んでくる。ピーチ姫はゆっくりした動作でアイテムBOXから“ウルトラハンマー”を取り出した。ドンケツたちはボスも含めてピーチ姫しか見えておらず、振り上げられたハンマーの存在など眼中になかった。
「そー…」
ウルトラハンマーを振り上げるピーチ姫。ウルトラハンマーは数種類あるハンマーの中でも最高クラスのハンマーでその素材のほとんどは特殊な合金でできており結構な重量なのだが、ピーチ姫はそれを軽々持ち上げる。
「…れ!」
突進してくるドンケツにタイミングを合わせてウルトラハンマーを振り抜く。
ガキンッ!
見事にウルトラハンマーが先頭のドンケツにヒットした。ドンケツはまるでゲートボールのボールのように転がりうまい具合に他のドンケツの間をぬってそのまま溶岩の中へと消えていった。続いて二匹続けて弾き飛ばした。今度は何匹かを巻き込んで落ちていく。さすがにドンケツたちの足がすくんでしまいそこを狙ってさらに一発。…が、三回目にウルトラハンマーを振るった時、ハンマーに体を持っていかれそうになってしまう。
「おっととと、普段はあまり扱わないから難しいですわね」
その一瞬をドンケツたちは見逃さない。すかさず一匹がたいあたりをぶちかます。
「きゃ」
ダメージはなかったが反動でウルトラハンマーを落としてしまう。
「しまった!」
拾おうとしたが、それよりも早く他のドンケツがウルトラハンマーを舞台の上から落としてしまう。
「あぁ…!」
ピーチ姫がウルトラハンマーのほうへ行こうとしたが、それを残ったドンケツたちが阻む。ピーチ姫はため息をついた。
「あのハンマー10万コインもする特注品なんですのよ」
「10…!」
聞いたこともないコインの数字に一瞬たじろぐドンケツたち。しかしそれをボスドンケツが一喝する。
「何をしている!早くピーチ姫を捕らえろ!」
「!!」
ボスドンケツの声にビックリしながらもドンケツたちは攻撃を始めた。
まず両サイドからピーチ姫を挟み込むように突進する。ピーチ姫は慌てず右足を少し後ろに引き体勢を少し下げる。そして両の手で両サイドのドンケツを受け止める。その時生じた衝撃をからだ全体で受け流す。
「お、おう!?」
ドンケツはそれ以上前に進めないばかりか後ろに後退することもできない。ピーチ姫は涼しい顔でドンケツを抑え続ける。それを見かねた一匹が前から突進してきた。ピーチ姫は両手で抑えている二匹を向かってくるドンケツの方に45度傾けた。そしておさえつけていた手をはなす。急に解放されたドンケツはそのままピーチ姫が狙った方向に突っ走っていった。
「!!?」
ちょうど
「と、とまれ~!!」
「無、無理だ!」
「わ~~~!」
ガツウゥーーン!!
鉄と鉄がぶつかるものすごい音が響き渡り、三匹はそれぞれが進んだ方向と逆の方向に弾き飛んだ。ピーチ姫が抑えていた二匹はピーチ姫の脇を通り抜け舞台から落ちていった。前方の一匹は転がりながらボスドンケツに突っ込んでいき、あたって止まる。その様子にボスドンケツは怒りをあらわにした。
「人間一人になにてこずっている!?早くしとめんかぁ!!」
ボスドンケツの怒鳴り声に怖じ気づきながらもドンケツたちはピーチ姫に突進を開始する。
(敵はあと七匹…)
ピーチ姫は爪先で地面をコツコツと二度蹴り、三回目を鳴らす前に右に飛び退く。そこをドンケツが通りすぎ、それを確認しながらピーチ姫は左手をすっと下ろした。するとちょうどそこにドンケツが突っ込んできたドンケツの頭に手をつき動きを止める。そのままドンケツの顔面に思いきり膝げりを叩き込んだ。
「つぅ~」
鉄の体を思いきり蹴ったのでかなり痛かったが、我慢して地面を蹴りあげる。蹴られて気絶したドンケツの上に左手を支えにして逆立ちする。
「ふっ!」
そのまま左手の力だけでジャンプする。同時にまたもや突っ込んできたドンケツ二匹が目標を失い気絶しているドンケツにぶつかった。ピーチ姫はヒラヒラと優雅に着地する。
「突進だけじゃ簡単に対処されちゃいますわよ?」
三匹並んで気絶しているドンケツに近づきアイテムBOXから木製のハンマーを取り出した。
「そーれ!」
ドンケツを叩く。すると叩いた一匹を残して後の二匹が溶岩に落ちていった。それを見た残り五匹のドンケツは何を思ったか一匹の上に残り四匹が乗ってタワーみたいになった。
「あら、どうなさるおつもりかしら?」
ピーチ姫は手元に残ったドンケツをけとばし溶岩に落とすとハンマーを肩にかけドンケツタワーに向き直る。
「一匹ずつでも駄目、多方向から攻めても駄目。ならば皆で一つになれば怖いものなしだ!」
してやったり!みたいな雰囲気で笑うドンケツたち。その様子にピーチ姫も拍手を送った。
「発想は間違っていませんわ、ただ結果は残念でけど」
「はっはぁ!いくぞ!ピーチ姫ぇ!!」
ドンケツたちはピーチ姫に突進を始めた。しかし、実際に動いているのは一番下の一匹だけ、当たり前だがスピードは大きく落ちる。
「…」
その様子を黙って見守るピーチ姫。遅すぎるスピードに困惑するドンケツたち。
「お、おい!スピードもっとでないのか!?」
「無茶、言うな!…重い…!」
ずりずりと進むドンケツタワー。ピーチ姫はハンマーを引きずりながら近づいていく。そしてドンケツタワーの横を通りすぎる。
「あっ!後ろに行ったぞ!後ろ後ろ!」
「いや、ちょっ、無理だって!」
ピーチ姫は振り返りドンケツの背中(?)を狙ってハンマーを構える。
「ひぃぃ!早く後ろを向けぇ!!」
「最後に一つ教えて差し上げますわ」
ハンマーを横に構えながらピーチ姫はニヤリと笑う。
「“たて”ではなく“一塊”になれば勝機があったかも知れません」
ピーチ姫はハンマーを振り抜いたら。
「わきゃっ!」
二段目のドンケツがきれいに吹き飛んだ。そして上のドンケツがきれいに落ちてきてバランスをくずすことなく上に乗った。
「え?え?」
ドンケツたちが何が起こったのかわからず困惑しているとピーチ姫はさらに連続で三回ハンマーを振り抜く。
「ぎゃ!」
「わ!」
「ひ!」
どんどんドンケツが吹き飛んでいき、一番下のドンケツはその度に小さく悲鳴をあげた。そして、今の状況をどこかで見たような気がしていた。
(なんだっけ?これなんだっけ??…あ!)
今の状況をなぜ見たような気がしたのか、それがわかった瞬間、ピーチ姫がその答えをささやいた。
「“だるま落とし”…ですわ♪」
(それだっ…!)
少しスッキリした気持ちで最後のドンケツが吹き飛ばされていった。
「さて、あとでっかいのが一匹だけ…」
ピーチ姫が振り返った瞬間、目の前に大きな鉄の体が迫っていた。
「!!」
いままで全く手を出してこなかったので完全に油断していたピーチ姫はなんの抵抗もできなかった。大きな鉄の巨体がピーチ姫に容赦なくぶち当たる。
「がうっ!!」
一瞬呼吸が止まり、ハンマーを取り落とし大きく吹き飛ばされる。
(しまった…!)
なんとか体を止めようとしたが高い位置で吹き飛ばされたため足がつかない。数秒後真下に溶岩が見え、下では特殊なボートに乗ったヘイホーが大きな網を構えていた。
キノピオメインで書こうと思ってましたが、もちませんでした!
次の話はいつになることやら…次も読んでいただけたら幸いです!