超えれない境界線   作:風薫る頃

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3話 出逢い

 今世の性別に動揺したが『生まれちゃったもんは仕方がない』と腹をくくることにした。今は高柳家でのお祝いに向けマナーを学ぶことが何より大事だ。

俺がこんなに気合いを入れている訳は、理由がある。それは、高柳の祖父母に気に入られる為だ。今世で初、祖父母に会うというわけで…せっかくだし可愛いがられたいのだ。前世では、叶わなかったことだしな。

そしてあわよくば、高柳家にあるという庭園に行きたい!。

この世界で大変貴重な植物が庭という狭い規模だが、集結しているのだから是非とも見たい。前世の自然を知っている者からしたら、この世界はどうも機械的で落ち着かないのだ。前世で生まれた場所が都会じゃなかったというのも、大きいかも知れないが。

 

 

遂にやってきたお祝いの日。

移動手段は車っぽい、宙にういているがな。どうやら仕組みは磁気らしい、すべての道路と車に反発しあう磁石が内蔵されているため宙に浮くとのこと。運転は自動で空気の力で動くらしい。

個人での所有は、上流階級しか許されてないらしく中流層・貧民層は電車タイプしか乗れないそう。こんな所にも貧富の差があるとはな…。

外から今世の自宅を初めて見たが、なかなかの豪邸だな。俺は建物に詳しくないんだが、お寺っぽいな。確か、和様建築っていうんだっけ?まぁとにかく立派だ。外はお寺っぽいが内装は全然違う、旅館みたいな感じだ。

ん?どうやら着いたらしい。前世の車よりも快適だったので、つい物思いにふけってしまった。

高柳家は神原家とは反対に洋風の豪邸らしい。これぞ上流階級といった感じの家だな、絵本に出てきそうな感じだ。

 

俺は今高柳家のゲストルーム的な場所にいる。もうすぐで、祖父母に会う。ヤバい緊張してきた……ジャガイモだと思えばいいんだ、頑張れ自分!

少し離れたところから、足音がしてきた。

扉が開いて入ってきたのは、the上品な感じのムッシュとマダムだった。

 

「来てくれてありがとうね、疲れなかった?。直ぐお茶を用意するわね。」

「こら少し君は落ち着きなさい、みんなよく来てくれたね。ありがとう。」

[[お父様、お母様(お義父さん、お義母さん) お久しぶりです。]]

少し慌てたようにマダムが言い、それをムッシュがなだめるように言った。この二人が俺の祖父母らしい。あわてんぼうの祖母にしっかり者の祖父という組み合わせだな。

 

「ふふ、大丈夫ですわお母様。今日は私達の可愛い我が子のお祝いですものまだまだ元気ですわ、ね。あなた?」

「そうだね。疲れるには少し早いさ」

両親がにこやかに返す所を見ると、祖母と祖父はいつもこうなのだろう。

 

「うふふ、ごめんなさいね、心配し過ぎだったわね。」

「気にしないでください、お義母さん。

 おいで、晶。

 お祖父様、お祖母様にご挨拶は?」

っごく、父親に呼ばれた。さっきまでの緊張はどこにもない。なぜだろうか。

「はじめまして。お祖父様、お祖母様。神原晶といいます。今日はお招きいただきありがとうございます。」

「はじめまして。まずは、少し早いけど五歳の誕生日おめでとう。あなたが花を好きだと聞いてね、今朝取れたばかりの季節の花束よ。喜んでくれるといいけど…。」

心配そうに祖母が手渡してくれたのは、七色どころか何十もの色の花束だった。

「っあ、ありがとうございます。僕、毎年楽しみお二人から贈られてくる花を楽しみにしてるんです。だから、その凄く嬉しいですっ。」

そう言うと。祖母は嬉しそうに微笑んでくれた。

「贈り物はそれだけじゃないのよ。ね、あなた。」

「ああ。これは君が生まれて来てくれたことを、祝して贈ろう。水晶で作った花とブローチだよ。ブローチを着けてもいいかな?」

ああ、なんだろうこの感情は。

「は…はい。お願いします…」

「ん、了解した。………よし、似合っているよ、晶」

「ええ、とっても可愛いわよ晶ちゃん。」

祖父母が褒めてくれた。俺、何もしてないのに。

「あ、ありがとうございます。」

[[どういたしまして。 晶、生まれて来てくれてありがとう。そしておめでとう]]

きっと今酷い顔をしてるだろうな。幸せだな俺、祖父母にちゃんと伝えようありがとう。と。

「あ、ありがとう。おじいちゃん、おばあちゃん。すっごく嬉しい。」

 

 

 

 




お目汚し失礼しました。
            風薫る頃。

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