超えれない境界線   作:風薫る頃

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お久しぶりです、風薫る頃。です。
まずはじめに、投稿が遅くなってごめんなさい。
理由は色々あるんですが、夏のせいにしておきます。
ぜひクーラーをガンガンにかけてお読みください。



5話 分岐

鈴木悟……何の変哲もないありふれた名前だろう、前世では。……今世では鈴木悟という名前は大きな意味を持つ。

俺はこの世界に生まれてすぐ、転生したことに気が付いた。そして直ぐにどのような世界軸なのか判断しようとした、それはこの世界に原作があるのか・ないのかの判断だ。

 

下らない、原作があるかないか何て関係無い、人生というものを汚している。と思われるかも知れないが原作の有無の確認は、転生者にとっては何よりもすべき大切なことだ。

第一に原作ありの世界は生きていくことが厳しかったり難しいものが多いと個人的に思う。それは単純に自然環境だったり世界的な戦争や、裏の裏を読まないといけない人間関係など様々。主な原作は漫画か小説になるのだがそういったものには必ず夢や希望そして絶望などの、道筋がある。その道筋の確認をすれば身の置き方がほぼ決まる…オーバーロードでの身の置き方が………。

 

そう考えると鈴木悟は特殊な原作の人物になる。なぜならこの世界はオーバーロードの世界ではないからだ、今の世界に魔法も異形種も存在しない、現実なのだ。だから鈴木悟という、いずれはモモンガになり。そしてアインズ・ウール・ゴウンになる人物と関わっても親しい間柄にならなければ大丈夫。

 

「そう思っていたんだけどなぁ…はぁ。」

「ん?どうしたんだ晶、ため息なんてついて…珍しいな。」

そう言って心配そうに顔を覗かせるのは活発そうだが利発的でもありそうな少年がいた。

「いや…何でもないよ()。」

 

 

悟と出会ったのは高柳家での庭園だ。父親に連れてこられたが肝心の父親は祖父に俺への贈り物(プレゼン)に夢中で悟の事は客間的な部屋に放置していた。部屋には幼い子供のおもちゃなどなく、どうしていいか分からなくなった悟は父親に会いに行こうとして迷子になったらしい。

使用人を呼んで悟の事を任せて関わるのはこれっきりにしよう。そう思っていると。

 

「わぁ…すっごく綺麗だね!。」

「え?」

いきなりのことでびっくりしていると悟は目をキラキラさせて言ってきた。

「服に付いてる透明なお花のことだよ。僕こんな綺麗なもの初めて見たよ。」

「あ、ああ。これはブローチっていうんだ。透明なのは水晶だからだよ。」

どうやらブローチに反応したらしい。確かに子供は好きかもしれないな。

「このブローチ光に当てるとたくさんの色が見えるんだ、良かったらみる?」

「ほんと!見る見る!。」

ブローチを渡すと悟はさっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔になった

「わぁーほんとだぁ…すっごく綺麗だ……。」

「ありがとう。そのブローチ祖父から今日貰ったんだ。祖父も喜ぶよ。」

「?……今日貰ったってことは誕生日なの?。」

「うん。」

「ほんとに?!、すっげぇ、おめでとう!。」

「ど、どうも。」

テンションのあがりかたにびっくりしていると。

「僕、誰かの誕生日をお祝いしたの初めてだ。なんか嬉しいなぁ。

 ブローチ見せてくれてありがとうね、すっごく綺麗だった。」

「どういたしまして。」

ブローチを付けたら、じぃーっと悟が見てくる。

「なにか付いてる?。」

「ううん、そのブローチだけでも綺麗だけど、やっぱり君が付けてる時の方が綺麗だ。」

「………。」

あぁ、もうどうしよう。なんだこの気持ちは!

「ど、どうかした?。」

「ねぇ、お願いがあるんだ。聞いてくれる?。」

「いいよ。僕に出来る事ならどんなことでも。」

「もう一回おめでとうって、言って欲しいんだ。」

「そんなこと?別にいいけど…。」

「ありがとう。でも、おめでとうの前に名前を呼んでほしいなぁ。

 …鈴木悟くん、僕の名前は神原晶って言います。出来たらもう少しだけ一緒に居たいと思ってる、けどだめかな?。」

 

 

 

 

 

 

 

 




お目汚し失礼しました。
                 風薫る頃。

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