転生!『ハロハピ』【ロメオ】のジュリエッタ!? 作:ちよVR
「愛の為に貴女に会いに来ました
急な話ですがどうか驚かないで
僕のお姫様にね なってください」
漆黒の軍服に身を包んだ紫色の髪をした王子様は、芝居がかった気障な身振りと口調で告げると、私の手を取りそっと口づけをした。突然の状況に理解が追い付かず体が動かない、
「ああっ私のお姫様会えて本当にうれしいよ。うん?ああこの衣装が気になるみたいだね。
シェイクスピアも言っている、『男が誓うと、女は裏切るものだ』…だからつまり…そういうことさ。」
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「悩んでるの?お嬢さん!浮かない顔は似合わないわよ!
いまから俺と一緒にそんな顔はやめて楽しいことを探しに行きましょう!」
純白の軍服を身にまとった黄金色の髪をした王子様は私の耳元でそう囁くと、そのまま頬に口づけをした。本日二度目の状況だ、相変わらず理解が追い付かない
「やっとまた会えたわねなんで王子様の格好をしているかって?
だって約束したじゃない!あたし…ううん俺があの星の王子様になって、
あなたがお姫様になってくれるって!」
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…はっ!?気が付いたら私の家の前に立っていた。
さっきの王子様たちは…夢?なわけないよね。
(キスされた二人と死ぬほど美形だったなんで軍服?王子様だからかどうしていきなりマジでかっこよかった心臓の動悸がとまらん顔がアツい立て続けに二人に告られた?んだよね?モテ期来たのか二人とも本気だったなどこかであったことがあるようなそうだあの二人は女の子だったよなお姫様になってくれって言われたけどそもそも…)
様々な感情が私の頭の中を目まぐるしく駆け巡っている。
だがその中で一番の大きさを占めているのは、
「私いや『俺』は女装した男なのに!どうしてこうなった!?」
俺は思わずそう叫んでいた。
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なぜ俺がこんな状況に陥ってしまったのかの話をしようと思う、長くなるかもしれないが付き合ってくれると嬉しい。まずは俺についてと、俺が生まれた時の話から始めようと思う。
俺の名前は『江藤樹里』(えとうじゅり)だ。親しい人にはよく『ジュリ』って呼ばれている。性別男、転生者、「美容チート」持ち、職業は美容アドバイザーと学生、特技は女装、一人っ子で両親はどちらも芸能人だ。
信じてもらえないかもしれないが俺には前世の記憶がある。いわゆる転生者ってやつだ、しかもチート持ち。死んだときなどの記憶はなく気づいたら生まれ変わっていた。前世の自分の名前などところどころ記憶が抜けていたりする、があまり気にしていない。
俺の前世で流行っていた小説のジャンルに転生ものというものがあった。その知識のおかげか、転生したことに驚きはしたがなんとか受け入れることができた。
転生ものによくあるファンタジーな剣と魔法の世界や、超能力などが存在する非現実的な世界に転生したのかと思ったがそんなことはなかった。俺が生まれたのは21世紀入ったばかりの日本、俺の前世と技術的にも歴史的にもほとんど変わりがない。多少の違い、例えばなんかやたらと規模のでかい「弦巻」だとかいう財閥、などといった前世にはなかったものがちょくちょくあったりするが、ほとんど一緒だ。特に「原作」といったものの無い普通の世界だと思っている。
転生もののお約束、転生特典いわゆる「チート」だが、俺のチートは、ずばり「美容チート」だった。「美容チート」って言ってもピンとこないかもしれないな。まあ簡単に言うと、俺が施す「美容」にかかわることなら「なんでも」極限までブーストがかかる。そして本来ならありえないような事象を引きおこし、最終的に対象の美しさを引き上げる結果をもたらす、というチートだ。「なんでも」というのは文字通りで、肌のケアメイクファッションはもちろんマッサージなんかも恩恵を受ける。チートを活かしてメイクアップアーティストとしても、美容師としても、スタイリストとしても、エスティティシャンとしても働いているため、全部ひっくるめて「美容アドバイザー」を名乗らせてもらっている。
俺はこのチートをとても気に入っている。前世はたしか普通の男子大学生だったはずだ。大学デビューをして以来、見た目に気をつかうのに好きになっていた。ほぼほぼ趣味みたいなレベルで好きになっていて、美容専門学校の友達に教えを乞うぐらいハマっていたからだ。そしてなにより、老若男女を問わず俺のチート施術を受けた相手が、鏡のなかの自分をみたときの笑顔がたまらなく好きなのだ。特に女性は自分の見た目に気にしやすいためか、とても素敵な笑顔で喜んでくれる。だからやりがいが半端ない。そのため悩んでいる女性を見かけると笑顔にしたくて、ついついおせっかいをしてしまいたくなる悪癖がついてしまった。
俺がこのチートに気づいたのは母がきっかけであった。俺の母は女優だ、それも並みの女優ではない。日本一美しいと言われ、人並み外れた美貌を持った、超一流の女優だ。
10代のとき日本一の称号、ミス日本を取って華々しく芸能界デビューし、演技の才能を買われすぐに映画やドラマの主演を任され、それらがすべて大ヒットを飛ばした、音楽の才能も超一流で毎年紅白は当たり前、持っている女性向けのファッションブランドが世界的に大ブレイクしほかにも…、といった作り話のような数々の伝説をもっている。名実ともに日本の女優界のトップを爆走している女優だ。
そんな母と日本一のイケメン俳優と呼ばれる父(父も母と同レベルの伝説を持つ超一流俳優である)が結婚し、その間にできたのが俺である。両親ともに職業柄ほとんど家にいないが、俺のことは溺愛してくれている。たびたび世界一かわいい~~だの言ってきて恥ずかしい、まあ嫌ではないむしろうれしいが。まあでも両親は家にいなくとも俺は母方の祖父母に愛情を注がれながら育てられている。ちなみに母方の実家は古くから呉服屋を営んでいる名家である、そのため家事などはお手伝いさんを雇ってやってもらっている。また呉服屋のノウハウは母のファッションブランドにも受け継がれているらしい。
話がそれてしまった、チートに気づいたきっかけに戻ろう。あれは俺が5歳ぐらいの時だった、いつも家にいない母が珍しく家にいたのだ。ドラマ撮影が近場で行われしかも予定より早く終わったらしい、ばっちりドラマのメイクをしたまま母は俺に会いに帰ってきてくれた。俺はうれしくなり、仕事で疲れている母にねぎらいと感謝の気持ちを込めて子供らしく肩たたきマッサージをしてあげることにした。母にマッサージをするのは初めてだったが、思いのほか母が気持ちよさそうにしていたのを覚えている。調子を良くした俺は、前世の記憶を頼りに美容に良いツボを思い出しながら、肩だけでなく背中や足ツボなど全身のマッサージをした。
気づけば時間が経っており、母は寝息を立てていた。それを見た俺は心地よい疲労感と満足感を感じた。しかし寝返りをうった母の顔を見たとき、それらは瞬時に吹き飛び、代わりに強烈な焦燥感が入り込んできた。
なんと!母はメイクをしたまま眠ってしまっていたのだ!!
……たかがそんなことかと感じる人もいるだろうが、しかし母は日本一の女優なのだ、メイクをしたまま眠るということは肌に深刻なダメージを与えかねず、それは誇張ではなく日本の損失につながる。しかも母の口癖の一つに、[毎日寝る前の肌のケアは最低1時間!これを忘れるときは、私は女優として死ぬとき]、というものがあるのだ。超一流のプロ意識をもつ母のことだ本当に女優をやめてしまいかねない、本当にやばい。俺はまず母を起こそうとした、しかし母の眠りは以上に深く、いかなる手段をもってしても起こすことはできなかった。
焦った俺は、ほかの人に助けを求めるということをせず、たった一人で母のメイク落としと肌ケアをすることに決めた。メイク落とし、クレンジング、洗顔、化粧水、顔パック、乳液etc…母のいつも使っている道具を使いながら無我夢中で施術を行った。他人に施術することなど初めてのはずなのに、不思議なことにどのようにすればいいのか頭が適確に理解し、体もまた適確に動いていた。(今思えばこれはチートの恩恵だったのだろう。)
一時間かけてなんとか施術を終えると、緊張の糸が切れた俺は化粧品を広げたまま俺は眠ってしまった。
その後俺は母にたたき起こされた、昨日と比べて若々しくなった母が尋常でなく興奮した様子でマシンガンのようにしゃべりかけてくる、
曰く体の調子がこれ以上ないぐらい良い、曰く肌の調子も最高に良い、曰く10歳若返った、曰くあなたがやってくれたのよね、曰く私のメイクアップアーティストになって欲しい…
などなど、初めは何の冗談を言っているのだと思っていた。しかし昨日までも美人であったがそれと比べても尋常でないぐらい美しく若々しくなった母と、何より見たこともないような母の笑顔に思わずうなずいてしまって、あれよあれよという間に母のメイクアップアーティストにされてしまった。
あとでいろいろと検証してみると。自分には美容関係の才能(チート)があるとわかった。そのおかげもあって何とかメイクアップアーティストもとい美容アドバイザーとしてやっていくことができた。今思えば、小さな子供にやらせることではないだろと思う。しかし母は自分の美に関しては容赦がなかった。まあ精神年齢は20歳を超えてるので、問題は体力面だけだったが。わけもわからないままに、仕事で日本中を飛び回る母に同行したり急に呼び出されたりして美容アドバイザーの仕事をやっていくことになった。
特技の女装についてだが、これは仕事の時に常に女装をしていたことが関係している。仕事の時には俺は常に女装をしていた。仕事では女性にかかわることが多い。だから子供とはいえ女の子の格好をしていたほうが何かと都合がいいだろうと母に言われ、確かにそうかもと思ってしまった俺は、常に母のファッションブランドの女児服を身にまとい女の子のふりをして仕事をしていた。(今思えばブランドの宣伝に使われていたような気もする)チートのおかげで、なかなかの美少女に変身することができてちょっと楽しかったのと、急に仕事が入ってもいいように毎日女装をしていたらいつの間にか特技と呼べるまでになっていた。
長くなった俺の自己紹介はこれぐらいにして、次は俺が小さいころどんな生活をしていたかを話そうと思う。ええとまずは自分のチートに気づいた後の話、七五三の行事のために地元の名家「美竹」家に行った時の話からしようと思う。
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