中央暦1642年 2月某日 ムー国外務省
現在、ムー国外務省は日本皇国外務省からもたらされた連絡により、上から下まで慌てる事態となっていた。
その連絡とはすなわち、日本皇国の国家元首である天皇陛下、つまりは皇帝がムー国への来訪を希望しており、その日程を調整したいと言う話であった。
しかも、日本皇国からは、来訪は3月初旬を予定したい旨を伝えられており、ムー国外務省は日本皇国との外交を担当している外務省列強担当部長オーディグス・リュックを責任者として、外務省からオーディグス・リュックの他に外務省職員3名、警護をする関係から、ムー国国家警察要人警護課と国防省、船での来訪との事で海上での警備を行う海軍及び沿岸警備隊からそれぞれ2名づつ、そして他国の皇族を迎えるため、アドバイザーとしてムー国王室管理局から、王族に礼儀作法などを教える担当者1名の計13名で急遽調整委員会と言う組織が立ち上げられ、日本皇国から後程到着する日本皇国側の準備委員会との日程や警備、スケジュール調整などの話し合いが行われる事になる。
ところ代わり、日本皇国でも着々と準備が進められて居た。
ムー国側の調整委員会に伝える内容も幾つかまとめられて居た。
1・天皇、皇后両陛下が視察を希望されている地域、及び施設。
2・天皇、皇后両陛下が好む食事の趣向と苦手なもの
3・天皇、皇后両陛下が参加を希望しているマイカル港の工事完成式典に着いての日本側からの警備についての確認事項及び要望
4・天皇、皇后両陛下と、ムー国王室との交流行事に置いて、日本皇国側からムー国王室への贈答品の目録
5・天皇、皇后両陛下の護衛について、日本側からの護衛隊先遣隊及び皇室専用車両、護衛車両の輸送予定について
6・天皇、皇后両陛下の宿泊場所についての確認事項
7・護衛隊及び護衛艦隊の宿舎、及び艦艇の停泊場所についての確認事項、要望
他にも幾つかあるが、大まかに上記の事がムー国側へ伝えられることとなる。
1週間後、日本皇国側準備委員会とムー国調整委員会が合流、早速防諜対策が施されたムー国外務省会議室にて協議が開始された。
「では、協議を始めたいと思います。この協議の進行は私、ムー国外務省列強担当部モーブ・コーシンが担当させていただきますので、宜しくお願いします。まずは、日本皇国の方から自己紹介をお願い致します」
進行役の職員から促され、1人づつ立ち上がる形で日本皇国側の自己紹介が始まる。
「では私から、日本皇国の準備委員会責任者を任されております。日本皇国全権大使も兼任しております。外務副大臣の白百合 厚子と申します」
白百合副大臣が自己紹介をすると、ムー国側からどよめくような声が幾つか聞かれた。
「女性が副大臣とは…いやはや…」
そう声が聞こえてきた瞬間、ムー国側の人物が一名、眉間に皺を寄せた険しい表情で立ち上がる。
「誰だ?今の発言は…ここは外交の場だ。弁えないものにはここに居る資格はない……もう一度聞く、今の発言は誰だ?」
するとムー国側から1人立ち上がり頭を下げる。
「わ、私です。ムー国の品位を落としかねない発言…申し訳ありません」
「謝罪するべきはそこではない……君は出て行きたまえ、外務省には君は必要ない」
言われたムー国側の人物は肩を落として会議室から退室する。
それを見届けてから、彼を退室させた人物が日本側に対し頭を下げた。
「私はムー国外務省列強担当部長オーディグス・リュックと申します。部下が大変申し訳ありませんでした」
「いえ、構いませんよ、私は気にしませんから」
「ありがとうございます」
そして、自己紹介は続けられる。
「私は日本皇国外務省第二文明圏担当部局局長の柳田 俊昌と言います。ムー国を含む第二文明圏との外交の責任者であります」
「同じく日本皇国外務省副大臣付き補佐官の菅原 義孝です。主に白百合副大臣の補佐と実務全般の調整をしております」
その次に自己紹介のため立ち上がるのは、黒い軍服に近い制服を着た人物である。
「次は私ですな…私は日本皇国宮内省皇宮警備局統括部長 長尾 影虎 二等将監…軍隊で言えば中将に当たりますな。日本皇国で我々は陛下をお守りする組織として、軍隊とは区別されております」
「同じく、宮内省皇宮警備局情報課長 服部 久蔵 二佐、軍隊で言えば中佐です」
「同じく私は皇宮警備局護衛隊司令部付き補佐官 佐々木 直次三佐です。私の所属する部署が陛下以下皇族の直接の護衛を行う事になります」
次に立ち上がったのは、他の先に自己紹介した者達より貫禄のある初老の男性であった。
「…私は日本皇国宮内省皇宮警備局皇宮親衛艦隊参謀、水戸 國光三等将監…少将に当たります。海上における護衛計画の責任者となります」
その次に立ち上がる人物は普通の背広である。
冴えないサラリーマンの様な人物だが、動きは洗練されている美しい所作の中年男性と、若いが、その動きに洗練されたものを感じる青年である。
「私は日本皇国宮内省皇室侍従教育係を務める中村 左衛門と申します。宜しくお願い致します。そしてこちらが」
「はい、同じく宮内省皇室侍従補佐の言峰 切嗣です」
日本側の紹介は以上となり、次にムー国側の自己紹介がはじまる。
「では次は我らですな、私は先程も自己紹介しましたな…ムー国外務省列強担当部長オーディグス・リュックと申します。ムー国王より全権を任されております」
「同じくムー国外務省列強担当部のクリス・トファーロです。リュック部長の補佐をしております」
「同じくムー国外務省列強担当部のカリス・ライモンドです」
以下ムー国のその他メンバーの紹介が続く。
そして双方の自己紹介が終わり、本題に入る。
日本側が提示した内容
1・天皇、皇后両陛下が視察を希望されている地域、及び施設。
2・天皇、皇后両陛下が好む食事の趣向と苦手なもの
3・天皇、皇后両陛下が参加を希望しているマイカル港の工事完成式典に着いての日本側からの警備についての確認事項及び要望
4・天皇、皇后両陛下と、ムー国王室との交流行事に置いて、日本皇国側からムー国王室への贈答品の目録
5・天皇、皇后両陛下の護衛について、日本側からの護衛隊先遣隊及び皇室専用車両、護衛車両の輸送予定について
6・天皇、皇后両陛下の宿泊場所についての確認事項
7・護衛隊及び護衛艦隊の宿舎、及び艦艇の停泊場所についての確認事項、要望
の内、1、2、4、6は日本側の要望がそのまま決定した。
しかし、3、5、7については、ムー国が提示した内容と日本側の求める内容が違い、紛糾することとなる。
「我々としても、宿泊場所には異論は無いが、それとこれとは別である。陛下の護衛は我々が直接行うと言う事を認めてもらいたい」
と長尾統括部長
「いや、迎賓館といえど王宮敷地内、このレベルの武装を持った他国の要員を例えどのような理由であっても国王陛下のお住まいになる王宮敷地内に入れる訳にはいかない!」
と話すのはムー国側警備担当者(階級的にはムー国側の外務省以外の人員は日本側に比べ一段二段劣る。彼は警備担当者の中で一番階級の高いムー国国防省課長級と補佐それ以外のメンバーは海軍大尉と中尉、沿岸警備隊の大尉と少尉、国家警察に至っては警部補2名である)
「ならば宿泊場所を変えてください」
「それは出来ん!他国の皇族を満足にもてなすのには迎賓館が最も適しているのだ!」
「それは貴国の事情でしょう?我が国の天皇陛下の身の安全に比べたらそんな事は瑣末な事だ。そんな事で陛下の身の安全を他国に委ねるなどありえんな」
と佐々木護衛隊補佐官
「ふん、それを言うなら貴国の皇族の思い付きに我々は付き合ってやっているのだ。貴国こそ、そちらの事情を我々に押し付けるで無いわ!」
「なんだと!」
「よさんか!冷静になれ佐々木!そちらも、我が国の天皇陛下への侮辱と取れる発言は控えて頂きたい!無礼である‼︎」
そう声を上げたのは長尾統括部長である。
その表情は険しい。
「あ、いや、侮辱する意図は…誤解を与えたなら申し訳ない」
先の発言をしたムー国側の人物が頭を下げる。
「長尾統括部長、コチラの者が重ねて申し訳ない…」
それともう1人 、オーディグス・リュックが胃の辺りを抑えながら頭を下げる。
「いや、リュック殿、コチラも頭に血が昇ってしまった。すまない…提案なのだが、王宮内敷地内に小銃を装備した部隊の配置が認められないのなら、陛下の宿泊する迎賓館内部にのみ拳銃などの軽装備の護衛を1小隊に限定して配置するのではどうだろうか?無論、迎賓館の主要な警備はそちらに任せるが、両陛下の居室やその周辺は我らが警護をしたいのだ。それでもダメだろうか」
「軽装備といえど武装をしているのならみと「黙れ」……は」
先程の職員を黙らせ、オーディグス・リュックは全権としてどうするか決める。
「分かりました。それで行きましょう。それと、そちらの他の護衛たちも、王宮に近い場所に宿泊できるよう手配します。緊急時には直ぐに展開できるよう取り計いましょう」
「ありがとうございます」
長尾とリュックの2人はそこで握手をする。
それを先程の職員が睨む様に眺めて居たが、誰も気づかなかった。
次に護衛車両と皇室専用車両についてであるが、武装のある護衛車両は式典後に王宮敷地外へ退去、皇室専用車両にも武装があるが、陛下が乗るための車両という事で特例として王宮内にいる事が認められる。
護衛艦隊については、豪華客船一隻と護衛艦8隻、コチラは観艦式をマイカル港の工事完成式典に捩じ込もうとした海軍と沿岸警備隊からの提案があったため、後日協議となった。
宮内省皇宮警備局階級()は軍隊の階級
警備局長たる護衛将監(大将)
二等将監(中将)
三等将補(少将)
護衛一佐(大佐)
護衛二佐(中佐)
護衛三佐(少佐)
護衛一尉(大尉)
護衛二尉(中尉)
護衛三尉(少尉)
上級護衛曹(曹長)
一等護衛曹(軍曹)
二等護衛曹(伍長)
三等護衛曹(兵長)
一等護衛官(上等兵)
二等護衛官(一等兵)
三等護衛官(二等兵)→※正式に護衛官になる前の訓練生の階級
なお、皇宮警備局所属の職員は総称として【護衛官】と呼ばれる。
Qなんで軍隊の階級じゃ無いの?
A軍隊動かすには議会の承認が必要(緊急時は内閣のみの決断でOK)だけど、陛下の護衛と唯一陛下の意思で行動させれる(制約あり)組織である以上議会の承認がなくても動かせた方が良いということもあり、軍隊ではなく宮内省皇宮警備局の警備隊、護衛隊、親衛艦隊は軍隊じゃ無いよというために階級を軍隊式にして居ないのである。
軍隊じゃ無いよ、警備局、警察とかの仲間だよ…という建前
2025年3月21日 一部設定見直しに伴い一部改訂してます。