BBB×FGO   作:warlus

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第3話

「なあ、そこのあんちゃんたち」

 藤丸が決意を決めた直後のことだ。公園のベンチに集まる彼らに、声をかける者がいた。

 普通の人間のそれとは明らかに違う声域から出ている声音。

 肌の色が灰色で頭がクワガタムシのアギトのように反り返った、長身3メートルほどの大男が、だらだらとした歩みでこちらに近づいてきていた。

「あんちゃんたち、ここら辺じゃあまり見ない顔だな。よそもんか?」

「…」

 突然の現地人との接触に藤丸達が思わず身構えると、こちらまで歩み寄ってきたその男(?)はわずかに狼狽したような様子を見せた。

「おいおい、なんだあんたら、俺たちと接するのは初めてか?そう身構えるなよ、別にとって食うわけじゃねえよ」

 そういう男の口調は、少なくとも敵対する意思はないように思えた。

 少しだけ警戒を解いて、藤丸は彼との会話を試みることにする。

「ええ、そうなんです。実は海の向こうからわたってきまして」

「へえ、向こう側からかい。それなら正真正銘のおのぼりさんじゃないか。

ようこそヘルサレムズ・ロッドへ」

 聞きなれない言葉に、カルデアの面々は反応する。

「ヘルサレムズ・ロッド…?」

 ジークが思わず漏らした言葉に、男は訝しんだ。

「おいおい兄ちゃん、まさかそんなことも知らないのかよ?今のこの街の名前さ。

確か、以前は…ああ、そうそうニューヨークと呼ばれたこの街は、一度ひっくり返ったのさ」

「ひっくり返った?」

「ああ、今までのこの世界と裏側の俺たちの世界がひっくり返って、まざっちまった」

『横から失礼するよ、ミスター。ひっくり返ったというと、まさかテクスチャが裏返ったのか…?』

 ロマンのモニター越しの言葉に、男は首をかしげる。

「テクスチャ…?いんや、俺も別に専門家じゃねえから詳しいことは解らないよ」

 すると男は、今度は藤丸の手首についているデバイスに興味を示したようだ。

「それにしても、兄ちゃん。随分よさそうな物身に着けてるじゃねえか。

それ、こっちじゃなくてそっち側の技術だろ?かなり高い科学力がそちらには出回ってるんだな」

 男はまじまじと見つめる。

 それもそうだろう。藤丸の身に着けているデバイスは、科学と魔術を掛け合わせて作った道具だ。この世界の科学技術が、こちら側の世界の科学技術と同等だとした場合、明らかに逸脱したもののように感じるだろう。

 しまったとカルデアの面々は思う。明らかにいらぬ興味を引いてしまったらしい。

 男はまじまじと藤丸のデバイスを見つめ、言葉を重ねようとする。

「あんたさあ…」

 その時だった、そん男とカルデアたちの会話に、新たに加わるものがいた。

「おーい、そこにいたのか!」

 今度は人間とはっきりわかる、少年の声だ。

 みんながそちらに目を向けると、いかにも若者という風なツリ目でぼさぼさの髪型の少年が手を振ってこちらに駆け寄ってくるところだった。

 その姿を確認した男が、鬱陶しそうに舌打ちをする。

「なんだよレオ、お前の連れかよ!」

 レオと呼ばれた少年は、こちらまで駆け寄ってくると、走って乱れた息を、その場で整える。

「そうだ…はぁ…知り合いだ!…だから手を出すなよ」

 少年は自分の倍近くは体躯のある男に、臆せずににらみかかる。だがそんな少年の様子に、男は露骨にイラついたような顔で少年の首元をつかみあげた。

「おいおい、レオちゃんよ。おまえなんか勘違いしてねえか?

お前が何か指示できる立場だと思ってるのか?」

「…ん、ぐうっ」

 少年は苦しそうに手をばたつかせるが、男はまるで堪えた様子がない。

「おまえがいきがったところで、お前が勝てるわけねえだろうが!ああっ!?」

 男が少年に顔を近づけてすごむ。すると、少年はその勢いに任せて、男に思いっきり頭突きを食らわせた。

 完全に不意打ちを食らった男は思わず少年を手放してしまう。

 少年は地面に不恰好に落ちると、慌てて立ち上がった。

「そこのあんた達!今のうちに走るぞ!」

「え?」

 突然の流れにカルデアの面々は置いてきぼりになり、その場で二の足を踏んでしまう。

「いいから早く!」

「てめえ、レオ!待ちやがれ!」

 男の激高に、藤丸達もさすがに慌てて走りだした。

 

 

 少年の走りにつられるまま、藤丸達は男から逃げ回る。

 ビルの間に入り込み路地裏の裏まで走り回ると、気付けば大きな交差点に出ていた。

「はあ…はあ…」

 しばらく全力疾走をしたので、藤丸と少年はしばらくその場で荒げた息を整える。やがて少し落ち着いた少年は口元をぬぐうと、藤丸に話しかけた。

「はあ…あんた達、よそから来た人だよね」

「はい…どうも、助けてもらったみたいですね」

 藤丸の言葉に、少年は呆れたように肩をすくめた。

「この街じゃ、ちょっと無防備すぎるよ。あんた達、ここがどういう街か知ってるだろう?

カツアゲ感覚で臓器を売りとばされるような街で、そんなもの見せつけてたらそりゃかもられるよ」

『カツアゲ感覚で臓器売買って…またとんでもない街があったものだな。スラム街かなにかかい?』

 デバイスから、困惑した調子のロマニの声が聞こえる。その声に少年は驚いたようだった。

「…本当にこの街のことを知らないんすね。この街はスラム街なんかとは比べ物にならない、しっちゃかめっちゃかのなんでもありの街ですよ」

 少年の物言いに、カルデアの面々は軽く顔を合わせる。

 どうやら明らかに自分たちは情報が少ないようだ。目の前の少年はそれを手にするにはちょうどいい存在であるように思える。

『少年、申し訳ないのだが、僕たちはこの街の事はほとんど何も知らないんだ。よかったら話を聞かせてもらえないだろうか?』

 代表して、ロマンがデモニター越しに少年に交渉をする。

 少年は少しの間厄介そうな顔をしていたが、すぐに取り直してふいと顔を横に向けた。

「はあ、いいですけど。それでしたら、そこのカフェで話しませんか?立ち話もなんですし、ちょうどそこは僕の行きつけなので」

 そういって、顔を向けた先にある店を指差した。そこにはダイニーズカフェと書かれた看板の飾ってある喫茶店が建っていた。

「こ、これは…アメリカンな喫茶店というものでしょうか!?」

 それに誰よりも良い反応を示したのはマシュであった。

「ステイ、ステイだマシュ」

 藤丸はどうどうとマシュを宥め、少年の言葉に同意した。

 

 

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