ご注文は祝福ですか?   作:すぱいす

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すみません!予定より2日も遅れてしまいました……
しかも、字数も前回より少ないです。

次からは、頑張りますのでよろしくお願いします!


灰かぶりと冒険者

 あれから、何とか言いつくろう事に成功した俺はココアもコーヒーを俺にぶっかけた上に、あいつの誤解のせいで散々苦労させられたという事でトントンだという事になり、俺はラビットハウスを出禁になるという事は無かった。まあ、怒りのままにパンツをスティールした事が許されるなら俺は最高の結果を得たといっても過言ではない。

 しかし、物的被害を受けた俺の冒険者服は最近買ったばかりという事と、カズマさんはお客様なのだからというチノのマスターとしての心遣いによって、後日弁償してもらう事となった。ココアの給料天引きという形で。

 そして、今日、ラビットハウスの定休日にそれをしてくれる手筈になっている。

 今はいつもの通り、俺はめぐみんの爆裂散歩に付き合った後、待ち合わせ場所で待っているところだ。

 ちなみに、俺の服はあの後、

 

「なぁに? カズマさん、私に秘密で喫茶店なんか行ってきたの? しかも、そこで誰かを怒らせてコーヒーをぶっかけられたと見たわ! 私のくもりなきまなこはそう見通してるわね! ぷーくすくす、女神を働かせてのけ者にしたから罰が当たったんだわ! これに懲りたら、私にカズマさんのお金を少し分けて、働かなくてもいいようにすべきね! そうしたら、カズマみたいなヒキニートにも少しは良いことが訪れるんじゃないかしら? あと、私はコーヒーを飲むよりはシャワシャワが飲みたいんですけどー」

 

 と、アクアが馬鹿な事を言ってきたので、もはや最近殆ど着ていない羽衣を引き裂いてやろうとしたら泣いた。

 泣きじゃくるアクアが鬱陶しかったのでしぶしぶ羽衣を返してやったら、

 

「私に任せなさい! カズマが何度いじめられてコーヒーをぶっかけられても私が新品同様まで綺麗に洗濯してあげるわ!」

 

 と妙に意気込むので任せてみると、マジでコーヒーのシミは全くといっていいほど無くなり、新品以上の輝きで俺のもとに帰ってきた。なるほど、あいつは実は洗濯の女神様だったのかもしれない。それならもう少し心も漂白されればいいのになんて馬鹿なことを考えていると、どうやら、チノたちが着いたらしい。

 

「お待たせしました。ココアさんが中々起きなくて……」

「ああ、俺も今来たところだ。全然問題はないよ」

「えへへ、ごめんね。カズマくん」

「ごめんねじゃないだろう……全く、親しき中にも礼儀ありだぞ。ココア」

 

 ココアを注意したのはラビットハウスの店員の最後の一人、リゼだ。

 俺が別の日に行ったら彼女が働いていて、ココアが俺にコーヒーをこぼしたことをすごく謝られた。

 その後、すべての事情をココアから聞いた後は俺と目が合うとスカートを抑えて顔を真っ赤にしながら、それでも客への礼節を尽くそうと頑張っていた。俺としてもそういう対応はありがたい。

 

「じゃあ行くか」

「はい」

 

 俺たちはコーヒーをこぼした際にカップが割れてしまったため、雑貨屋に行くことになった。

 

「あれ? カズマくん、その服綺麗になってるー」

「その服がココアがコーヒーを掛けてしまった服なのか?」

「そうなんだ。そのせいでカズマくんは変な服で街を歩き回ってたんだよ」

「他人事ですね」

 

 アクアが洗っている間、ジャージを着ていた時の事だ。これまで言われたことは無かったが、やっぱりこちらの人からしたら、変わった服なのだろうか。一応、俺の一張羅なのだが。

 

「ああ、俺の仲間が綺麗に洗濯してくれたんだよ。こういう変な事には役に立つ奴なんだ。この前話しただろ?」

「アクアさんって言いましたっけ。お金の為に働いていらっしゃるとか」

「ああ、またラビットハウスに連れてきてお金を落としていかせるよ」

「それでは意味がないと思うんですが……はい。お待ちしています」

 

 あいつはコーヒーよりシャワシャワを飲みたいとか言っていたが。

 

「妹になってくれるかな?」

 

 一応あいつは年齢不詳の女神だから、多分お前より年上だぞ。というか、誰でもいいのか。なら、是非アクアを妹にして欲しい。チノとの交換ならおまけに俺のジャージまでつけるぞ。

 

「アークプリーストなんだろ? この街では出会ったことがないぞ! 駆け出しの街アクセルにいるレベルからアークプリーストだなんてすごい才能じゃないか! 私も是非会ってみたいな! ん? なら、なんで借金なんて持っているんだ? アークプリーストとは慎み深く、謙虚で、欲にまみれず、人々を助け、神の道に導くという。借金なんてできるとは思えないんだが……」

 

 やたら冒険者について詳しいリゼ。

 アクアはアークプリーストだが全くそれに当てはまってなどいない。

 悪いやつではないのだが、欲には俺たちの中で、誰より塗れていると言えるだろう。

 

 雑談をしていると、その店に着いたようだ。

 結局、服に関しては俺の方から弁償しなくても良いといった。

 新品と変わらない程綺麗になったし、何より彼女達は俺の友人なのだ。

 そんな関係の人からその程度の事でお金をむしり取りたいとは思わない。

 ココアは大喜びしたが、チノとリゼは余り良く思わなかったらしくごねたが、また仲間を連れてラビットハウスを訪れるので、その時安く飲み物を提供してくれ、と言ったら納得してくれた。それだったらアクアも来る気になるだろう。

 

「でも、それだと私たちは今日カズマさんをただ買い物に付き合わせてしまったことになりますね。なんだか申し訳ないです」

「いや、別にいいよ。今日は暇だったし。それにアクセルにこんな店があったなんて知らなかったよ。一度、自分一人で回ってみたことがあったけれど、やっぱり地元の人が居ると違うな。穴場みたいな場所を教えてもらえる」

「そういえば、カズマは最近アクセルに来たばかりだったか。出身はどこなんだ?」

「凄く遠いところだよ。俺も、自分の出身地の名前はよく分からないな。小さな辺境の街だったしな」

「そうなのか。カズマは偉いな。しかし、そんな遠いなら親御さんも心配しているんじゃないか?」

 

 その質問に押し黙ってしまう。日本の両親は本当はどうしているのだろうか。考えまいとしてきたが、アクアのこ後任の人が、俺に関しての記憶を消してくれるなんかの対処をしてくれたりするんだろうか。

 もし、そうじゃなかったら。普通に俺は死んだことになって、両親は……

 

「あの、カズマさん? 大丈夫ですか? ひどい顔をしていらっしゃいますよ?」

 

 チノが心配そうにのぞき込んでくる。

 いけないな。そんなつもりじゃなかったんだが。

 

「す、すまない! 思い出したくないような事を思い出させてしまった!」

 

 リゼが慌てて俺に謝ってくる。

 

「いや、ただホントに遠くでさ。もう会えないかもしれないから、ちょっと思い出しただけさ。二人ともフツーに生きてるよ」

「そ、そうなのか。ホントにカズマは偉いな」

「お? やっと俺の凄さがリゼにも伝わったようで何よりだ。……ん? チノ、頭の上の毛玉を握りしめてどうしたんだ?」

「痛い、いだい、痛い!」

「おい、チノ。ティッピーが痛がっているようなきがするんだが」

「野太い声で痛いって言ってるよなコレ。コイツ自身が喋っているとしか……」

「腹話術です……」

 

 いや、流石にチノの腹話術であんな声を出すのは無理だと思うんだが。多分、アクアでもあんなのは……いや、何となくアイツはできそうな気がするな。宴会芸と洗濯の神様だしな。

 

「何話してるのー? 私も入れてよぉ!」

「もう話終わりました。ココアさん、早くいいカップ見つけてきてください。今手に持っているのはウチの規格には合ってません」

「チノちゃん厳しい! あ、あれなんてどうかな?」

 

 俺たちが話している間に、ココアは真面目にどれがいいか探していたようだ。

 離れたところにあるカップを手に取ろうとして、

 

「「あっ……」」

 

 同じカップを取ろうとした女の子と手が触れ合った。

 

「なんだかこれ漫画で見たことがある展開だな」

「このまま恋愛に発展しそうな感じだな」

「はぁぁぁ……」

「なんか意識されてるぅっ!」

 

 いきなりラブコメし始めるココアと女の子。

 普通は男である俺がこういう展開になるべきではないだろうか。

 

「ん? シャロじゃないか?」

「え?」

「お知り合いですか?」

「リゼ先輩? どうしてこんなところに? しかも、サトウカズマ!?」

「前にちょっといざこざがあった時に首を突っ込んで仲良くなったんだ。紹介するよ。ここにいるのは同僚のココア。そしてこっちが働き先の娘さんのチノだ。今日は割れたコップの替えを探しに来たんだ」

「ココアだよ」

「チノです」

「そうなんですか。あの、リゼ先輩? この人は?」

「ああ、全く先輩なんてつけなくてもいいって言ってるのに。こいつはサトウカズマだ。うちの店の常連で、今日は買い物に付き合ってもらってるんだ。さっきの感じからすると、カズマもシャロの事知ってるのか?」

「いや、俺は知らないぞ。見たことはあるような気がするんだが」

 

 金髪のゆるくウェーブのかかった髪の毛をしていて、そこはかとなく上品さをたたえているこのシャロという少女。どこかであったことがあるような気がするのだが、どこだったか思い出せない。

 

「アンタね……担当していなくても割と来てるんだから、受付の顔くらい覚えておきなさいよ……」

「担当……? 何の?」

「ギルドよ! 冒険者ギルド! 覚えているクセに知らないふりしてるんじゃないでしょうね!」

「ああ!」

 

 俺はボンと手を叩いて納得する。

 なるほど、俺はルナさんという受付嬢さんにやってもらう事が多いので、忘れていたが、飲み会の席でシャロという受付嬢を狙っているという冒険者が居たような気がする。狙っていない男からもウケは良いようだが、確かみんな一様に、

 

「あの『気品は素晴らしいし、愛想も良くて、顔も間違いなくトップクラスだけど、他の人に比べて何かが足りない』っていう」

「どこの情報よ! っていうか、何かって何!? なんだかすっごく腹立たしいんだけど!」

 

 何かって、ナニだ。

 

「何が足りないんでしょうか? 私にはシャロさんは完ぺきに見えますけど」

「お嬢様すぎて近寄りがたいんだよ! きっと」

「そうなのかも知れないな」

 

 うんうん、と納得するラビットハウスメンバー。

 しかし、アクセルの冒険者の実態を知っている俺からすれば、奴らはいくら相手がお嬢様だろうが、身分とか関係なくセクハラすると思う。むしろ、綺麗なもの程、汚したくなるとか言い出しそうだ。

 まあ、どうかっこつけても俺もその一人だし、はっきり言ってやろう。

 

「色気がないんじゃないか?」

「はっ? いきなり何言ってんのアンタ? 大丈夫? プリーストでも探す?」

「このやろーてめー! 人が困っているみたいだからハッキリ教えてやろうとすれば!」

「余計なお世話よ! そんなにデリカシーが無いから、カスマだのクズマだの言われるのよ!」

「おい、その名前について詳しく!」

「あわわわ、上品なシャロちゃんが、カズマ君相手だとあんなに……」

「美人が怒ると怖いってホントです」

「喋っている内容はスルーなのか?」

 

 けなしあう俺とシャロを横目で見るココア、チノ、リゼ。

 

「というか、このパターンも結構恋愛に発展したりするよな」

「嫌よ嫌よも好きの内ですね」

「勇者の話でも、最初はお姫様がダサい半人前の勇者を馬鹿にしてるっていうお話も結構あるもんね」

「……もしかして、シャロさんはお姫様!?」

「二人はこのまま結婚してハネムーンに行くんだね!」

「「そんなわけないっ!」」

「おお、息ぴったりだな……」

「リゼ先輩!? 私、こんな奴はありえません! 私の、私の好きな人は……ぁぁぁ……」

「そうだよ! 俺ももっと巨乳なお姉さんが好みなんだよ! こいつはロリ枠2号なんだよ!」

「ああ! アンタ、言ってはいけないことを言ったわね……ただえさえ、ギルドの先輩方と更衣しているときなんか、格の差を見せつけられてため息ついたりしてるのに!」

「お前の事情なんて知るか! こら!髪を引っ張るな!」

 

 もはやヤケクソになりながら、これまでのイメージをかなぐり捨てて飛びかかってくるシャロ。

 っていうか、力強っ! 俺一応冒険者だぞ!

 

「やっぱり王道だな」

「いいなー私もラブしたいなー」

「ココアさんは色気より食い気です」

「失礼な! 私だってちょっとは色気くらいあるよ!」

「そういう意味じゃないと思うぞ……」

「おい、お前ら少しはコイツを止めろ!」

 

 三人は微笑ましそうに見るだけで、余りにもうるさすぎて、店の人に叩き出されるまで俺たちのケンカは続きました。

 

 カップは追い出される前に買ったみたいです。

 

 

 

 




シャロのキャラが暴走しちゃってますね……こんなつもりじゃなかったんですが。もっと、可愛らしさを全面に出せるようにしたいです。
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