ご注文は祝福ですか?   作:すぱいす

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またも遅れてしまいました。
申し訳ないです。
今回は少しだけシリアスです。

途中変な書き方になっている箇所がございますが、ご了承下さい。


ココアと爆裂散歩

「「「ばくれつ、ばくれつ、ランランラーン。ばくれつ、ばくれつ、ランランラーン♪」」」

 

 青空の下、俺たち三人の歌声が響き渡る。めぐみん、ココア、俺の三人は今日も爆裂散歩に繰り出していた。俺とめぐみんだけだった爆裂散歩に新しいメンバーが加わったという事になる。ラビットハウスで、俺の仲間には爆裂魔法を撃てるやつがいると話したところ、ココアがそれを見てみたいと言ったので、連れて行ってみたらドハマりしたというわけだ。ちなみに、チノは爆裂魔法は凄そうだが、それが上手くいかなかったときの二次被害も凄そうだという事で不参加、リゼは物凄く見たがっていたが、家庭の事情で不参加という事になった。

 めぐみんは、

「ほう! 我が爆裂魔法を見たいという人が居るですと!? いいでしょう、いいでしょう! その人に爆裂魔法の素晴らしさを見せつけて、爆裂道へと共に歩む同士になってもらおうじゃありませんか!」

 と、やはり、爆裂魔法の布教には非常に熱心な対応を見せて、目を赤く光らせながら承諾した。

 チノが失敗したら、怖いのでみたいな事を言っていたのは黙っておこう。

 ていうか、本当に失敗したりしないよな? これまで上手くいっているってだけで、これから上手くいく保証が無いって事は無いよな? まぁ、めぐみんは爆裂魔法だけはホントに凄い。

 うん、大丈夫だろう。大丈夫……だよな……?

 

『エクスプロージョン!』

 

 今日の爆裂魔法が炸裂する。

 観客がいて調子に乗っているのだろうか。爆風が強い気がする。

 

「今日の爆裂魔法はどうでしたか? カズマ?」

「ああ、その前に一つ聞きたい」

「何でしょう?」

「まず、今日の爆裂魔法は俺がここ最近見たやつの中でもトップクラスの威力を誇っていたと思う」

「カズマもそう思いますか!やはり、観客が多いと違いますね! 私の気持ちが爆裂魔法に乗ったみたいです」

「うん、それは分かる。俺もめぐみんの真の実力が見れて嬉しい。……でもな、コレを見てみろ」

「はい?」

 

 俺はココアを指を指す。

 

「腰を抜かしてますね」

「腰を抜かしてるな」

 

 ココアは腰を抜かして、立ち上がれないまま、それでもこの場から遠ざかろうと這って動いている。

 逃げなきゃ……逃げなきゃ……と言いながらもぞもぞ動く姿は俺でもちょっと可哀想だと思う。

 

「もうちょい力加減出来なかったのか?」

「いえ、見たいという人に全力を尽くさないのは寧ろ失礼かと思いまして……それに私も中途半端に撃つと爽快感が少ないんですよ。ここまで驚くとも思ってませんし……」

 

 めぐみんも普通に撃っただけだしな。

 俺は見慣れているが、初めてのココアにはちょっとした驚き体験だったのかもしれない。

 しかし、コイツは爆裂魔法を見てもめぐみんみたいに興奮すると思っていたんだが……

 やはり、普通の女の子なんだな。

 

「おい、ココア。もう、大丈夫だ。安心していいぞ」

「爆発が……爆発が……あの城が……燃える……」

 

 ガタガタ震えながら、ぶつぶつ言う。

 トラウマになったかもしれないな。

 

「おい、ホント大丈夫か?」

「あわわ……あわわ……」

 

 こりゃ重症だな。

 行きの道では『めぐみんちゃんも私の妹だよ!』とか言っていたコイツはもう見る影もない。

 まだ這ったまま逃げようとするので、回り込んで通せんぼする。

 

「落ち着け。ココア。逃げなくても大丈夫だから」

「ヴぇ……?」

 

 どんな声だしてんだよ。

 

「もう爆裂魔法は終わったし、あれは魔力を多く使うから1日に2度は使えない。だから、もう心配することは何もない」

「……ホント?……」

 

 そこでやっと顔を上げる。

 ココアは俺にぶつかるまで逃げようとした上に、俺は何の気なしにしゃがんでココアに声を掛けたので自然、ココアに上目遣いされる形になる。

 

「お、おう大丈夫だ……うん、大丈夫だ」

 

 興奮したせいか、頬が赤く染まり、目に涙を浮かべているココア。

 よく考えれば女の子の泣き顔なんて、バイト駄女神しか見たことのない元ニートな俺はどぎまぎしてしまう。

 コイツも普段、お姉ちゃんになりたがっているだけのトラブルメーカー。つまり、俺の中でアクアと同列になりかけていた分、ギャップでかなりクる。

 コイツも女の子……なんだよな……

 

「もうばくはつしない?」

「しない、しない」

「もうおしろもえない?」

「燃えない、燃えない」

 

 まだぐずぐず泣きながら話しているからかちょっとたどたどしい。聞いてくる質問も少し幼児退行しているような。

 今、言われて気づいたが、あの城めぐみんが何回爆裂魔法撃っても殆ど変わってないんだよな……

 あの城、何か魔法でもかかっているんだろうか?

 でも、只の廃城に見えるけど。

 至近距離で見つめあってるのが恥ずかしくて、訳のわからん事を考えてしまったが、今はとりあえずココアだ。

 

「おい、ちょっと近くないか?」

「え、あ、うん。ゴメン……」

 

 もじもじと離れるココア。

 恥ずかしがるなよ! と思ったが、多分端から見たら俺も似たようなもんだろう。

 

「ちょっとは落ち着いたか?」

「うん……もう、大丈夫」

 

 一段落だ。

 これでもうココアももう取り乱す事はないだろう。

 

「そうか。痛いとことかないか?」

「ううん、大丈夫。カズマ君優しいね」

「ち、違うから! お前がケガするとチノに言い訳するのが面倒なだけだから!」

「照れなくてもいいのに~」

「照れてないから! ホント、照れてないから!」

 

 ニヤニヤしてくるココアがウザい。

 コイツ調子が戻ったらすぐこれか。

 もう少しあのままで良かったかもしれない。

 

「おい、二人とも、私の事を放っておくのはやめてもらおう」

 

 すまん、めぐみん。お前のこと忘れてたわ。

 

 

「ごめんね……?」

「あん?」

 

 一休みしたココアがポツリと話し出す。

 

「私せっかく連れてきて貰ったのにあんな感じで……ダメダメだよね……」

 

 しゅんっとするココア。きっと自分が見せてと言ったのに怯えてしまい。めぐみんに申し訳ないとでも思ったのだろう。

 それを感じたのか、めぐみんも、

 

「まぁ、我が爆裂魔法は最強の魔法! 一般人が見て驚くのは仕方がないことです。寧ろ驚かれない方が私にとって侮辱とも言えます。やはり、私の日々の訓練に精を出し、着実に成長している爆裂魔法は現世の理を離れ、私の思い描く究極に至ろうとしているのかもしれませんね」

 

 なんて言った。

 全く、素直じゃない奴だ。普通に気にするなと言えばいいのにな。

 

「そうだぞ。ココア。喫茶店の店員に戦闘能力なんて必要ないんだ。爆裂魔法みたいなアホ魔法にビビるのは当然だ」

「おい、私の人生を懸けている爆裂魔法について悪口を言うのはやめてもらおうか」

 

 ココアは俺達のバカなやり取りにちょっと笑顔をこぼす。

 それでも憂鬱な顔はそのままで。

 何か言おうとした時に、ココアが口を開いた。

 

「でもね、私も一応、冒険者なんだ……」

 

 *

 

 それからココアはぽつぽつ話始めた。

 

「私は王都出身でね。上にお姉ちゃんとお兄ちゃんが二人いるんだ」

「お兄ちゃんの一人はソードマスターで、もう一人はアークウィザード」

「お姉ちゃんは魔法も剣も使えるルーンナイト」

「皆、凄い冒険者なんだ」

「だから、私も冒険者になろうとしたんだけどお母さんやお姉ちゃんに大反対されて」

「家でパン屋をやりましょとか、ココアにはちょっと危なすぎるよとか言われてムキになっちゃって」

「ベルセルグのソードマスターアークウィザードルーンナイトになって帰ってくるんだからーって家出しちゃったんだ」

「でも、アクセルについて私のステータスを見せて貰ったんだけど、ちょうどあと一歩剣士にも魔法使いにもなれないステータスで」

「取り敢えず、冒険者として登録したのは良かったけど、冒険者じゃ上手くパーティーに入れなくて」

「一人でモンスターと戦おうとしたんだけど、カエルさんには食べられそうになるし、コボルトさんにも集団で追いかけられるし、何も出来なかったんだ」

「家に帰りたいって思っても、家出した時に持ってたお金は馬車代や宿代なんかに消えちゃって」

「クエストを受けてもモンスターは倒せなくて、それだけダメでも、お姉ちゃんみたいになりたくて。冒険者にしがみついてたくてバイトも長く続かなくて」

「それで殆ど行き倒れみたいになってたときにラビットハウスに拾われたんだよね」

 

 そこでココアはふっと思い出すみたいに目を瞑る。

 

 *

 

「あ、良かったです。目を覚まされましたね」

「ふわふわのベッド……私の借りてるお宿じゃない。あそこは雑魚寝なのに……ここ、どこ?」

「お疲れみたいですね。ここは私の家です」

「あなたの……?」

「はい。貴女は家の店の前で倒れてたんですよ? 声を掛けても返事しないので、取り敢えずベッドまで連れてきました」

 

 ようやく焦点の合いだしたココアの目には青い髪の少女と白い毛玉が映る。

 

「あ! もふもふ! って、事はこれは夢だね! 夢の中だけでも私の都合のいいものを出してこようって言うなら、私は全力でもふもふさせてもらうよ!」

「あ、ちょっと飛び付かないで下さい! この子はティッピーです。あと、夢じゃありません」

「え、夢じゃないの? ならここはどこ?」

 

「ここは喫茶店ラビットハウスです」

 

 階段を降りて一階に行くと、ココアも少しは知っている喫茶店の佇まいだった。

 

「わー、ホントだ! 喫茶店だね! でも、これが私の夢じゃないとは限らないよ! だって、私王都で喫茶店お姉、ちゃんと、行ったこと……」

「どうしたんです? 取り敢えず、座られては?」

 

 カウンターへと促すチノ。

 

「へ? でも……」

「まだ夢と間違ってるみたいなので、少し刺激を与えます」

「はえ?」

 

 トクトクと、淹れられる湯気が立つ暖かそうな飲み物。

 

「どうぞ……」

 

 差し出されたのは真っ黒なコーヒー。けれど、ココアは飲むことはできない。

 

「私、お金もってない……」

「大丈夫です。夢ですから」

「あ、そうだよね! 夢だもんね!」

 

 ふっと口に含む。

 

「に、苦いー、って、夢じゃない!?」

「当たり前です」

「夢じゃないって事は、私やっぱりお金払わなくちゃ! 何も持ってないよぉ!」

「だから、お代は要らないって言ったじゃないですか。ちょっと恥ずかしいことまで言ってしまったのに台無しです」

 

 ぷう、とむくれる少女。今の今まで彼女が自分よりも幼いような女の子で、その子がコーヒーを淹れてくれたなんて、ココアは全く気づく余裕等なかった。

 でも、その子の顔がちょっと可笑しくて、もう一口コーヒーを飲む頃には自然と微笑んでいた。

 

「やっと、笑いましたね。死んでるような顔をしていたので心配しました」

「あっ、ごめんね……コーヒーまでタダでもらっちゃって」

「いえ、お爺ちゃんも言ってました。一杯のコーヒーがお客様の心の安らぎになるならそれが一番だ、って。」

「お爺さんかっこいい! あれ? でも、お爺さんは? マスターじゃないの?」

「申し遅れました。私、この店のマスター代理、チノといいます。この頭の上にいるのはティッピー。そして、夜のバータイムを担当する父がここにいます。お爺ちゃんは前に他界しました……」

「あっ、ごめんね……」

「いえ、もう大丈夫ですから……」

 

 自分をもてなしてくれたチノを寂しそうな顔をさせてしまったのが、歯痒くて。

 飲みかけのコーヒーをぐっとあおって、

 

「だったら、私がチノちゃんのお姉ちゃんになるよ!」

 

 ぎゅっと抱きしめる。

 上手くいってなかった。アクセルにきて何もかもが空回りした。もうダメだって思ったときに彼女の優しさが心に染みた。

 だから、少しでもありがとうを伝えられたらと、強く抱きしめる。

 

「え、あ、あう……」

 

 ココアから見えないが、ずいぶん慌ていると思う。

 それでも、そのままにする。

 

「あの! 離して下さい!」

 

 離してとは言っているが、どこか優しさを含むように言うチノ

 

「えへへ、ごめんねチノちゃん。つい、嬉しくて」

「はぁ……あの、いきなり困ります……」

「ゴメンね……」

 

 たははーと笑うココアをじとっと見るチノ。

 

「大体、お姉ちゃんになるって何ですか?」

「それはチノちゃんのお姉ちゃんになってあげるって意味だよ!」

「そのままじゃないですか……」

 

 ムフフと笑うココアに呆れるチノ。

 

「だったら、ココアお姉ちゃんですね……」

「! もう一回言って!」

「ココアさん、止めてください」

「もう一回言って!」

「コーヒーのお代取りますよ?」

「取ってもいいから、もう一回言って!」

「お金無いんじゃ!?」

「その時はここで働いたりして…………そうだ!」

 

 ?、と疑問符を浮かべるチノにココアは提案する。

 

「私をここで雇ってくれないかな?」

「はい?」

「私ここで働いてみたいんだ! そしたらチノちゃんのお姉ちゃんとして一緒にいれるし良いことづくめだね!」

「え、えと……話に付いてけないです……それに、第一ココアさん、剣持ってますし、冒険者さんじゃないんですか?」

 

 腰を見るとアクセルで買った安物の剣。

 これだけがまだ彼女を冒険者足り得る物だった。

 それをそっと置いて、

 

「大丈夫! 冒険者は辞めるから!」

「え、えぇ……」

「だから、お願い! 私、お金ないの! ここで働かせて!」

「私だけじゃ、決めようが無いんですけど……」

「わかった! じゃあチノちゃんのお父さんに聞いてくるね!」

「ま、待ってください! 今、父は不在です! せめて今日はここに居てもらっていいんで、夜に話してください!」

「わかったよ!」

 

 ふんふ、ふーんと鼻歌を歌いながらスキップするココアをみてため息をつくチノ。

 

「さっきまで死にそうな顔だったのに。ココアさんって変な人です……」

「何かいった?」

「何も言ってません!」

「そういえば、私の飲んだあのコーヒーはブルーマウンテンだね! あの美味しさは間違いないよ!」

「あれはウチのブレンドです。コーヒーの銘柄も分からないのにウチのバイトは出来ませんね」

「あ! チノちゃん、私を認めてくれたんだね!」

「えっ……認めてません! まだ認めてませんから!」

「ふふっ、照れなくても良いんだよ! ティッピーとまとめてもふもふしてあげるー」

「だ、抱きつかないで下さい」

「もふもふー」

 

 チノとココアのやり取りを実は帰って来たタカヒロがそっと見ていたので、即決でココアは住み込みになった。

 その時のココアはとても喜び、チノは父の決断を不可思議に思いながらも少しだけ嬉さが混ざったような表情をした。

 

 *

 

「そんなことがあったんですか……」

「俺も知らなかったよ……」

「ゴメンね、変な話してもう帰ろっか」

 

 一人歩き出すココア。

 

「あの、ココアはもう冒険者になろうとは思いませんか? もし良ければウチのパーティーに……私の一存では決められませんが……」

 

 前にいるココアに尋ねるめぐみん。

 俺も同じ事を聞こうとした。

 俺達のパーティーは別に四人じゃなきゃダメって事はない。

 寧ろ、クセのある俺達と組んでくれるっていうなら歓迎だ。

 でも、きっと、ココアは。

 

「ううん! 今はやらないよ。私はチノちゃんのお姉ちゃんだから。チノちゃんを一人にしたくないし、私もチノちゃんと居たいんだ。だから、ありがとう。めぐみんちゃん、カズマ君」

 

 ココアの振り向いた横顔は少しだけいつもの彼女より大人びた笑顔をしている気がした。

 

 

 カズマと別れ、ココアはラビットハウスに着く。

 

「お帰りなさい、ココアさん、爆裂魔法はどうでしたか?」

「ただいま! チノちゃん。あのね!」

 

 




ココアの兄は原作では弁護士と科学者の卵だそうです。
冒険者風にすればこんなのかな? と。
モカさんについても、このすば世界に直せば上位職につくぐらいじゃないかな? と思い、こういう設定にしました。

ルーンナイトについてはオリジナル設定です。

今回はココアに対して原作に比べてハードにしてしまったので、うわー、やっちまった感が物凄いです。
ほのぼの、日常とタグ付けしてあるのに! 全てのごちうさファンの皆様に深く謝罪を申し上げたいと思います!


次回からは少しはこのすばの話を進められたらいいなぁと思っています。
このすば原作一巻もまだ終わっていないので、はやく進めなくちゃ! という焦りが有るのですが、筆者のロースペックさのせいで上手く筆が進まない……ッッ!

けれど、頑張っていきたいと思います!
これからもよろしくお願いします
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