Wonderful World!!   作:ワイバーン

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前半部分に関しては本当にすみません。
筆がノッてしまって……

ちなみに、ニクスが喋った〇〇の部分の文字が全て分かったそこの君、立派な変態の仲間入りだ




第7話「子供であるが故の傲慢」

 

 俺は頭が混乱しながらも故郷であるヴァート大陸に戻ってきた。

 はっきり言って感慨もクソもない。船の中のニクスの一件が頭から離れない。

 なんなのだ。アレは一体何だったんだ。

 ニクスは女王だ。女の子だ。だというのに股にぶら下がってるものはなんだ?男が女王であってたまるか!!

 

 だがあの光景が忘れられない。誰がどう見ても美少女。それも百年に一人現れるかどうかの美貌の持ち主だ。

 だというのに付いている。大人のようなグロいものではなく、子供らしく可愛らしいモノだった。ミスマッチすぎて眼福だ。

 

 いや、違うだろ!!正気を保て!

 だが、俺の愚息も……

 

 これ以上はいけない。これは開けてはならない禁断の扉だ。

 俺は考えるのを止めた。

 

「うー、暑い、ムシムシする。こないな所にレシスト達は住んどったん?」

 

 ニクスは初めての他の大陸ということで年相応の子供らしく船の上ではしゃいでいた。しかし、上陸した途端に想像以上の気候の変化でへばっていた。

 

「俺としてはこれくらいが丁度いいんだけどな」

 

「うーん、【断熱魔術】は正常に発動してるのに……あっ!」

 

 ニクスは何か思い付いたように俺達を乗せてくれた船の船長さんに近づいていった。

 

「船長はぁん?」

 

「ど、どうした嬢ちゃん?」

 

 めちゃくちゃ猫撫で声である。それにあの上目遣い。

 アレには俺もやられた。あの美少女にアレをされると男ならコロッと落ちる。まぁ、アイツ男なんだけどな!

 船長さんは子供のニクスに顔を赤くしながら平静を装っている。はっきり言ってバレバレだ。

 

「お願いがあるんやけど、聞いてくれる?」

 

「ああ!何でも言ってくれ!!」

 

 ああ、もう船長さんはニクスの掌の上だ。あとは搾れるだけ搾られるぞ。

 

「うちにこ・お・り、あるだけくれる?」

 

「あ、あるだけ!?1kgで手を打ってくれないか?」

 

 実は氷は貴重な物資だ。何故なら氷結属性の魔術を扱える者が少ないのだ。

 エルフは基本的に衝撃属性、人間は無属性が得意属性。それ以外の属性はハーフエルフがバラバラで扱える。

 ハーフエルフの数自体も少ないため氷結属性が扱える者は極端に少ない。

 

 海で魚を釣る漁師たちはその鮮度が重要なため、氷はいくらあっても足りないのだ。

 だから氷結属性を扱える魔術師はかなりの厚待遇なのだ。

 

 船長さんが言った氷1kgもかなりの価値がある。まあ、一ヶ月間毎日豪勢に飲み食いしてもお釣りがくるぐらいだ。

 

「えー、1kgぽっちじゃウチ満足できひんで」

 

「そ、そんなこと言ってもよ、俺には女房に子供もいるんだよ」

 

 おい!所帯持ちかよ!自分の子供ぐらいの相手に何鼻の下伸ばしてんだよ!

 

「あーあ、ほなしゃあないか。全部氷を出してくれる太っ腹はんにはウチ達氷雪族の村を案内したろう思たのに」

 

 アイツ…

 

「何?」

 

「それに村まで安全に快適に案内したろう思うとったんやけどなぁ」

 

「………」

 

「知ってる、船長はん?ウチ達氷雪族が殿方をどないしてもてなすか?」

 

「ど、どうもてなすんだ?」

 

「食事に入浴、それに下のお世話も。

食事に関してはほんま鳥の雛や。口移しで食べ物運んでくれんで。入浴はウチ達全身を使うて洗うたる。船長はんのあーんなとこやこーんなとこまで垢一つ残さず綺麗にしたる。

下の方はみんな喜んで〇〇になってくれんで。まさに〇〇〇や」

 

「………」

 

 生唾飲み込む音がこっちまで聞こえてきたぞ。

 

「勿論夜伽も。一人や二人ちゃうで。希望であれば五人、十人、それ以上、とっかえひっかえしてくれてええで」

 

「あ、あああ……」

 

「みんな船長はんに従順やで?どないな卑猥な命令であっても絶対答えてくれんで?それこそ目の前で〇〇を見してみぃやったり、〇〇しろやら、船長はんの〇を〇〇〇のだって嫌な顔しいひんよ?

それもこれも船長はんのお種注いでほしいからや。

船長はん?」

 

「はい?」

 

「この世の天国、見せたる」

 

 船長さんの何かが折れたような気がした。

 

「この、バカちん!!」

 

 そこでようやくミューリが拳骨を食らわした。ミューリは憤怒の表情。

 やばい、これ飛び火がかかるぞ。

 

「いったぁー!なにすんねん!!」

 

「なにすんねん、じゃないわよ、この色ボケ!白昼真っ昼間からなんて話してんのよ!」

 

「だって、船長はんが氷くれへんねんもん」

 

「こ・お・りぃぃ!?」

 

 あ、完全にキレたぞあれ。

 

「こんのオオバカ!聞いて呆れた、氷ぐらいあんたの氷結魔術でいくらでも作り出せるでしょ!!」

 

「そんなんしたらウチ疲れるやん」

 

 あーあ、俺もう知ーらね。

 今度は拳をニクスのコメカミに当て力一杯グリグリし始めた。

 

「イダダダダダダダダダ!!ちょぉ、ミューリ!シャレんならんて!!頭割れる!」

 

「あんたの頭を割って、そのピンク色の脳ミソ私が治療してあげるから」

 

 あれマジで痛いんだよな。俺も何回もやられてるからその痛さが分かるぞ。

 頑張れ、ニクス!

 

「それと、レシスト。あんたも話があるから少し待ってなさい」

 

「はい!」

 

 逃げるの遅かった。

 

 

 

 

 あの後、ミューリになぜあんたがいながら止めなかったのかとしこたま怒られた。俺は素直に謝罪をし、拳骨一発で済んだ。

 ニクスは無償で【コキダイン】の巨大な氷塊と、氷塊が溶けにくくなる魔術を施し船長さんにあげた。

 

 ニクスはキレるとミューリはヤバいと理解できたようで、借りてきた猫みたいに大人しくなった。ずっと俺の袖を握りしめ、チラチラとミューリの顔色を窺っていた。

 

 そして俺とニクスは一足先に宿に入った。ミューリは医療器具を新調したいとのことで病院に向かっていった。

 

「何なのよミューリってば!ちょい船長はんをからかっただけなのに」

 

 ニクスはミューリがいないことを良いように不平不満が爆発していた。

 

「まだウチ頭痛んだけど、どないな力してんのよ、ゴリラやで」

 

「まあ、ゴリラについては俺も同意しておこう」

 

 何だろう、日に日にアイツの腕力が増しているような気がする。

 常時【肉体強化】してんのか。

 

「レシストもそう思うやろ?ウチ女王やで!普通しばく?」

 

「んー……」

 

「何よその反応?」

 

 女王じゃなくて王だろ、と突っ込んでいいのだろうか。いや、止めておこう。氷漬けにされる未来しか見えない。

 

「うーん、ほんまは今頃レシストとラブラブになってるはずなんやけど……やっぱしミューリがおるさかい……」

 

 ニクスはゴニョゴニョ何か言ってる。まぁ俺がつれないから一人でミューリの悪口を言ってるんだろうな。

 

「お、ミューリ!」

 

「!!!」

 

 俺がそう呼ぶとニクスは面白いぐらい動揺していた。

 

「ってミューリいーひんやん!」

 

「あはは、悪い悪い。ちょっとからかってみた」

 

「もお!レシスト!」

 

 本気で怖かったみたいで俺にポカポカと殴り付ける。

 

「悪かったって!」

 

「覚えときやで」

 

 やべ墓穴掘っちまったか、顔が笑ってない。

 さてニクスも少しは冷静になったろう。本題に入ろうか。

 

「でもそれ以上は仲間の悪口は許さないぞ」

 

「レ、レシスト?」

 

 俺が口調を変えたもんだから少しニクスは戸惑っていた。でも仕方ない、これもニクスの為だ。

 

「ニクス、お前は氷雪族の女王っていう立場だ」

 

 先程よりも声色を優しくする。女王とは言っても相手は子供。

 俺が怒ってはいないということを声色で伝えないと萎縮して話が聞こえなくなってしまうからな。

 

「確かにその歳で一族の長を勤めるのは俺が想像もつかないほど大変だと思う」

 

 そして相手を頭ごなしで否定してもいけない。子供であっても自我がある。その自我を否定されては面白くない。

 それが大人であってもだ。

 

「今までニクスは一杯努力をしてきたはずだ。本当に偉いと思うよ」

 

「……」

 

 ニクスは俺の言葉をちゃんと聞いてくれている。それに俺が褒めてあげると少し恥ずかしそうにする。

 これはあまり褒められてないな。まあ女王だから仕方ないことかもしれないけどな。

 だけど俺はその教育は気に食わない。だから俺は俺のやり方でやらせてもらう。

 

「けどな、俺達は旅を共にする仲間だ」

 

「仲間?」

 

 ニクスは聞きなれないような言葉らしく俺に尋ねてきた。

 

「そう、仲間だ。女王という立場は一旦忘れるんだ」

 

「せやけど」

 

 まあそりゃ反発するわな。今までずっと女王だったもんな。

 

「ニクス、ミューリは嫌いか?」

 

「そらそうで、ウチは今までいっぺんも負けたことが無かった!それを魔術師ちゃう医者がウチに勝つ?認められへんで」

 

「そっか」

 

 実はこのヴァート大陸に来るまでの船旅で、ニクスはミューリとあまり話すことが無かった。

 しかも、その全てはミューリから話しかけた会話なのだ。ニクスからは一度も話していない。

 何で俺がそんなことを知っているかというとミューリに相談されたからだ。

 

「ニクスはミューリに勝ちたい?」

 

「うん」

 

「でもそのままじゃあ、ニクスは何時までたってもミューリに勝てないよ」

 

「嘘や!ウチん魔術の方強いもん!ウチは上級魔術を使えるんやで!あの時はたまたま負けただけやさかい!」

 

「上級魔術を使えるから強い、ね」

 

 やはりそこか。確かにニクスは魔術の才能がある。それを子供のニクスが驕るなという方が難しいか。

 

「それにレシストも上級魔術は使えへんのやろ?そやさかいウチが三人の中で一番強い!」

 

 この子がこのまま育てば、十中八九自分勝手な子になってしまうだろう。

 これは賭けだ。

 もし、これの判断を誤ってしまえばこの子を壊してしまうかもしれない。

 だが俺は信じている。この子はそんなに弱くない。何せ見知らぬ大地をこの幼い年齢で踏みしめる度胸。大の大人を誑かすふてぶてしさ。

 

 それに何よりも、上級魔術を習得するまで血反吐を吐く修行をこの子はこなしてきたのだ。

 ニクスはこんなところで折れやしない!

 

「じゃあニクス。俺と勝負しようか?」

 

「え?」

 

 俺の言葉にポカンとしていた。

 

「ニクス、俺は君と勝負がしたい」

 

「あ、ああ。何の勝負する?ウチ─」

 

「勿論、魔術のだ」

 

「本気?」

 

「ああ」

 

「せやけど、レシストは男やし怪我人やん!?」

 

「どうした?ここはヴァート大陸だぞ?氷雪族はいない。男を傷付けるなという法なんか気にするな?」

 

「そないなことできひん!」

 

「なんだ、じゃあこの勝負は俺の不戦勝か。怪我人相手にビビったのか?」

 

「ッ!レシスト、ウチ本気で怒るで」

 

「臆病者が怒ったって怖くないさ。何せ俺に攻撃すらできないんだろう?」

 

 我ながら最低な挑発だ。

 全てが終わればキチンとニクスに謝ろう。

 

「レシスト!!後悔せんな?」

 

 自尊心が傷つけられたことでニクスは今まで見せたことのない怒気を纏っていた。

 

「ここじゃあ、人もいるし迷惑になる。出よう」

 

「分かった」

 

 ヤバいな。眠れる獅子を起こしてしまったかもしれない。

 俺も覚悟はしていたが、それ以上に気張らないとな。

 

 




次回、初の主人公戦闘回。
レシスト君、ヒロインに抜かれているぞ……
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