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攻撃魔術は【火炎】【氷結】【電撃】【衝撃】【無】の五大属性に分かれていて、更に属性の中に【下級】【中級】【上級】とランク分けされている。
下級はその属性が扱える者は誰にでも発動でき消費魔力も少ない。いかんせん威力は低いという欠点はあるが、そこは使用者の扱い方で化けるため侮れない。
中級は誰でも扱えるというものではなく、ある程度の魔力量と修行を積みさえすれば扱えるようになる。下級と比べ威力は上がっているものの消費魔力も上がっており、考えなしに発動しては魔力が尽きてしまう。
そして、最後の上級は中級との明確な壁が存在する。目安ではあるが才能有る者が1日約8時間の修行を毎日積むとして修得に10年は最低でもかかるとされている。魔術を扱う者は上級魔術を扱えるようになれば大魔導師と呼ばれるようになる。これは武道の免許皆伝に等しい。それほどまでにこの上級魔術を扱える者は血の滲むような努力を重ねてきたということだ。
そして、その氷結系上級魔術をニクスはその幼い年齢で扱えている。初めて見る上級魔術がまさか俺よりも一回り幼い子が扱うなんて考えてもみなかった。
【コキダイン】は上空に直径7m程の巨大な氷柱が形成される。その巨大な氷柱はミューリ目掛け襲ってくる。
「くっ!」
ミューリは上空に魔力で形成した障壁を作り出す。
「そないな薄っぺらい障壁でウチの【コキダイン】は防げへんよ!」
ニクスの言う通りだ。あんな障壁では意図も容易くぶち破れるてしまうだろう。
しかし、ミューリは器用に障壁を展開しながら全身に魔力を巡らせ【肉体強化】を施した。そして障壁に氷柱が当たったと同時にその場を凄まじいスピードで離脱する。
「へえ、なかなか器用やな。せやけどまだ【コキダイン】の攻撃は終わってへんよ!」
バキィン
氷柱は障壁に当たると同時に凄まじい破砕音が辺りに鳴り響く。氷柱は内部から爆発したようで、砕かれた氷柱の破片が四方八方に飛び散る。
その360°無差別な攻撃は破片の小ささも加わり回避不可能な氷柱の弾幕となってミューリに襲う。
「きゃあッ!」
その予想だにしない攻撃にミューリは対処が遅れまともに食らってしまう。かろうじて頭は腕でガードしていたようだ。しかし頭を除いた全身は氷柱が突き刺さり血が流れる。
「降参したらどや?」
その痛々しい姿を見たニクスはミューリに負けを促す。
しかし次の瞬間、ミューリの全身から煙が出てきてた。あれは恐らく治癒魔術を使っているのだろう。
確かにあの攻撃は凄まじいものだ。だが、あんな小さな氷柱では致命傷にもならない。ミューリであればそれぐらいの傷は一瞬で治療出来る。
ニクスは氷結系魔術の天才だろう。だがミューリも治療魔術の天才なのだ。
「まだ降参なんてしないよ!」
ミューリは頭を腕でガードしながらニクスに突っ込んでいく。
それでいい。喧嘩はビビった方が負けるのだ。
「チィッ!【コキダイン】!」
突っ込んでくるミューリに驚いたニクスであったがすぐに気を取り戻しすかさず【コキダイン】を発動する。
今度は巨大な氷柱ではなく、人間大のサイズの氷柱が無数に出現した。
「行きなさい!」
一度に数十本もの氷柱がミューリ目掛け襲ってきた。ミューリはそれに反応し進行方向の横へと回避する。
「まだまだ!」
ニクスはミューリが回避した着地点目掛け、また数十本の氷柱を発射させる。しかし肉体強化をしているミューリは、何とかその氷柱の波状攻撃に対応している。
恐らくだがニクスは【コキダイン】を発動している最中は他の魔術を発動できないのだろう。【コキダイン】の氷柱の波状攻撃はニクスが着地点を見定めながらコントロールするため、他の魔術を発動する余裕がないのだろう。
そして、その事にミューリは気付いているようだ。ニクスと一定の距離を取りながら氷柱を躱すことに専念している。その距離というのがミューリの射程範囲圏内なのだ。
ニクスの氷柱が尽きたときミューリの反撃が始まるはずだ。
「くそ、ちょこまかと!」
対してニクスは焦っていた。恐らく最初の【コキダイン】で終わらせるつもりだったのだろう。だが予想とは裏腹にミューリは治療魔術で回復し、あろうことかいつの間にか防戦一方になっているのだ。
そして、その焦りは戦闘で致命的だ。焦りは思考を乱し、乱れた思考では正しく判断出来ず攻撃を受けてしまう。
「あっ!」
そして、遂にニクスの氷柱が尽きてしまった。その瞬間をミューリは見逃すことはなかった。
ミューリはニクスの懐へと入り込み、右手の人差し指と中指から魔力メスを伸ばす。そして肩から胴にかけメスで切りかかる。
その魔力メスは主に手術で使う魔術。魔力でメスを形成させ、更に1秒間で約数万回もの振動を加えることによって人体はたやすく切れてしまう。
「勝ったか」
そう俺が呟いたのも束の間、ミューリはすかさずニクスから離れる。それと同時にニクスは、いやニクスだと思っていたものは透明な氷の塊へと変化する。そしてその氷のニクスは爆発し、あたりに細かな氷の破片が四散する。
ギリギリで退避できたミューリはその氷の破片に巻き込まれることはなかった。
「まさか、ウチが【
そして、ミューリを囲うようにしてニクスが複数、いや複数なんて数じゃない。10、20、30、余りにも数が多すぎてとてもじゃないが数えることができない。
あのニクスは恐らく氷で出来た分身体なのだろう。そして無数にいる分身体からは微かに魔力反応がある。それが意味することは──
「先に言うとくで。そのウチん分身がなんかに触れると内部から爆発して氷の破片飛び散る」
そしてニクスの説明を聞くとミューリは顔が青くなる。
「理解できたようなぁ。そう、その飛び散った破片が分身に触れれば、また爆発して氷の破片が飛び散る。相手が行動不能になるまで爆発し続ける」
いくら【肉体強化】を施していようが四方八方を塞がれては躱しようがない。
詰んだ。
「覚悟はええ?【
ニクスの言葉を皮切りに、無数に出現した分身体が一気にミューリへと襲いかかる。
ミューリは逃げようとせずその場にうずくまった。そして無慈悲の爆発が始まった。
◇
「はぁ……はぁ…」
勝った。まさかウチがここまで追い詰められるとは思わへんかった。せやけどウチの【
魔力はもうほとんど残ってへん。立ってるだけでも怠い。それよりも。
「救護班!早うミューリを手当てしたって」
「いや、まだ終わりじゃない」
「へっ?」
レシストがよう分からへんことを言うた。まだ終わってへん?
「せやけどミューリは倒れてピクリとも動かへんで!」
「あいつは俺より気合いがあるんだ。あれぐらいじゃ諦めてないぞ?」
レシストの目が真っ直ぐウチを射抜く。ミューリを1mmも疑うてへんその目はウチん胸を貫いたような気がした。
「ほら」
レシストはミューリを指差すと、ふらふらになりながらもミューリは立ち上がる。
「な、何で?何で立ち上がるのや!」
「い、痛かったよ…ニクスちゃん」
訳分からへん。何でミューリは立ち上がる?ウチん【
「そんなの決まってる……気合いだよ!!」
ミューリが突っ込んでくる。うちはもう満足に動くことさえできひん。
「ウオオオオォォォォォ!!」
ほんでウチは意識を失うた。
◇
「いや、ウオオオオォォォォォってゴリラかよ」
俺は呆れながらもフラフラになったミューリを支えた。
「あ、レシスト。私勝ったよー」
「ああ、しっかり見てたよ。お疲れさん」
「でもまだもう一仕事あるから」
そう言うと倒れているニクスを治療し始めた。
ニクスを殴ったとはいっても、顎を微かに殴り脳を揺らしただけ。一応何か異常がないかを看ている。
「うん、大丈夫そう。すぐに目を覚ますよ」
「おねえ、あんた強いんやなあ。まさかニクス様を倒すなんて思わへんかったで」
治療を終えたミューリに氷雪族の人が話しかけた。
「せやけどすぐにここから逃げた方がええで。ニクス様ああ見えて癇癪持ちやさかい、どないなるか分からへんよ?」
「そうなんですか?でも私─」
そしてミューリが言葉を紡ごうとした瞬間にニクスの目が開いた。
「あ、あれ?ウチ何しとったんやっけ?」
「あ、ニクスちゃん。さっきはごめんね。どこか痛いとか気持ち悪いとかクラクラするとかある?」
「ミューリ?ああ、そっか。ウチ負けてもうたんだ」
「ニクスちゃん?」
「嫌や」
「へ?」
「嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や!!
レシストはウチんだ、誰かに取られるなんて嫌や!!」
「ちょっ、ちょっとニクスちゃん?」
「やかましい!レシスト誰かに取られるんやったら、全部壊したる
【
読まなくても大丈夫なコーナー
今回出てきた魔術の五大属性の簡単な説明。
◇火炎系
炎を魔力で生成する。一般的では球状で生成される。ただ、炎自体に決まった形というのはないので使用者が想像すれば槍だったり剣だったり色んな形に生成することができる。
氷結系に次いで弱い。
下級…ガガ
中級…ガガンガ
上級…ガガダイン
◇氷結系
氷を魔力で生成する。大体は火炎系と同じようなもの。
実は五大属性の中で最弱。
将来の不安を一瞬にして忘れさせるストロングゼ○では断じてない。
下級…コキ
中級…コキール
上級…コキダイン
◇電撃系
雷を魔力で生成する。雷とは言っても電圧はそこまで高くは無い。ただ運が悪ければ死ぬ。速度も常人では反応できない速さ。
ぶっちゃけ五大属性の中で最強に等しい属性。
下級…パギ
中級…パギリラ
上級…パギダイン
◇衝撃系
風を作り出す。炎・氷結属性に対しては風の風圧で吹き飛ばせるため完封することができる。
防御に向いている属性。
下級…ウェン
中級…ウェライン
上級…ウェラダイン
◇無属性
魔力をそのまま出現させる。全ての属性を無へ帰すとかそんなチートはないです。
魔術を扱える者は誰でも扱うことが出来る属性。
下級…ムガ
中級…ムガダラ
上級…ムガダイン
かなり簡単ですがこんな感じです。
えっ?プロローグにあった超級と極大魔術?なんのこったよ?(すっとぼけ)
ちなみに○○ダインは女神転生シリーズからお借りしてます。