20年前の夜。
トン トン
「・・・・」
「コンラッド、入るよ」
ドアを開けると頭を抱えているコンラッドの姿があった。
「リア・・・か」
そう言いながらコンラッドは顔を上げた。
「コンラッ「なぜっ!君が、ここにいる・・・・っ」
リアが口を開いて何か言おうとしたが、コンラッドにさえぎられる。
「ジュリアが死んだのに・・・
なぜっ!君がここにいるんだ!!」
「・・・っ、ご、ごめんなさいっ!!
ごめんなさい・・・・」
コンラッドの悲痛な声にリアは涙声になりながら謝る。
いや、謝ることしかできなかった。
傍にいたのに何もできなかったのは事実なのだから。
「君が傍にいるからと、安心していたのに・・・・・」
顔を見るのは嫌だとばかりにコンラッドは顔をそむけてそのままうなだれた。
「わ、わたしがしねば・・・よかっ・・・よかった・・・・」
リアは涙を流し、つっかえながら言う。
そして、リアの頭の中にジュリアと最後に会話したことが、
よみがえってきた。
『リア、聞いてほしいの・・・』
『何?急に』
『私はもうすぐ死ぬわ』
『えっ・・・・、な、何いってるの』
『眞王陛下にそう言われたの』
『何で!?』
『私の魂が次代の魔王となるから・・・』
『・・・・う・・・そ・・・・・』
『嘘じゃないわ』
『何で私に言うの!
こんな・・・、こんな大事なことを・・・・・』
『あなただからこそ言うの
私の大事な親友の貴女だから』
『ひど・・・ひどすぎるよ、 こんなの・・・・』
『泣かないで
リアには・・・いいえ、リアだからこそ頼みたいことがあるの』
『たのみたいこと・・・?』
『そう
きっとあの人は、コンラッドは私が死んだことで自分を責めるわ
だから、あの人を支えてやってほしいの』
『む、無理よ!!』
『お願いっ
リアにしか頼めないの!!』
『ジュリア・・・
出来るかどうか・・・、わからないわ・・・・』
『大丈夫
あなたなら出来るから
私が、あなたの気持ちに気づいていないと思って?』
『!? 知って・・・』
『えぇ、目が見えない分、他の感官が鋭いから
リアは、コンラッドと一緒にいる時が一番楽しそうな、嬉しそうな声で話すもの』
『っ・・・・・』
『だから・・・、お願いね?』
無理だよ、ジュリア。
こんなに自分に絶望しているコンラッドを慰めることなんて、私にはできない。
「そうだな、君が死ねばよかったんだ」
コンラッドからその言葉を聞いた途端、リアは部屋を飛び出した。
(ジュリア、ごめん
約束っ・・・守れそうもないよ・・・・)
リアはその後馬も使わずにひたすら森の中を走っていた。
そして、夜が明ける頃、一つの森の前に来ていた。
リアは迷うことなく森の中に入って行った。
しばらく進むと森の中心にある湖の前に立った。
湖の上にはいつの間にか神秘的な雰囲気の女性が一人立っていた。
『リア?どうしたのです?
そんなに目を泣き腫らして』
「か、母様
わ、私っ、王になる!」
『・・リア・・・』
「精霊王になるっ!!」
『本当にいいのですか?』
「うんっ」
『そうですか・・・
ではすぐに修業を始めましょう
もう親しい者には簡単には会えませんがいいのですね?』
「はい・・・っ」
(・・・さようなら、コンラッド・・・・・)
最後に今来た道を、愛しい人がいる方向を見てからリアは歩き出した。